2015年4月11日土曜日

安倍総理の危うさ:総理の器でない人間が総理になったことか

国会審議を見るとあれだけ安倍総理に失言があったにもかかわらず攻めきれない野党の不甲斐なさを見せたが、決して盤石ではない安倍総理の危うさは総理の器でない人間が総理になったことか。

安倍総理には最高権力者の立場が分かっていない言動が多いと思う。言論界で自分の考えに合わない意見を言う人間を徹底的にたたき、メデイアを萎縮させてしまう。野党が指摘すると総理にも「言論の自由」があるという発想だが全く立場が違う発想だ。

総理の席からの不規則発言も多い。「政治とカネ」の追求に「日教組はどうなんだ」と発言する。民主党は日教組から献金を受けているのではないかといわんばかりだ。後で調べて誤解していたことが分かり謝罪した。もしも委員会室で新人議員が発言しようものなら懲罰の対象になるのではないか。

更に参院予算委員会で多国籍軍との共同行動をした場合の自衛隊のことを「我が軍」と発言してしまった。憲法では軍隊は持たないことになっているので総理自身が違憲発言をしてしまったことになる。菅官房長官が直ぐさまフォローしたが野党の攻めは弱かった。

予算審議に影響が出ていることを考えて安倍総理は「もう我が軍とは言わない」と納めようとしたが、そんなに簡単に自衛隊を軍隊と言ってみたり、その発言を下ろしたりできるのか。

民主党議員の質問に対して「民主党ではどうだったのか」と反撃に出る。民主党政権の時にどうしてやらなかったのかと言うのだ。全く了見の狭い総理にウンザリする。

国会審議で野党が攻めにくいことは確かだ。「政治とカネ」は政治家として重大問題であるが、そこを攻めていくと「法案の審議があるのに、そんな事ばかり議論していて良いのか」と与党から牽制される。国民もそういう目で見ているのではないかと思うと追求も萎縮する。

しかし、なんと言っても怖いのは人事権をかざして政策をごり押しすることだ。日銀総裁人事、NHK会長人事、経営委員人事、法制局長官人事など任免権を持つ人事はことごとく安倍カラーだ。

ただ不思議に財務省に牛耳られることはないようだ。今までの政権は財務省の庇護のもとで政権を維持していたが安倍政権はチョット違う。財務大臣を経験していなかったことが強みなのだろう。10%消費税増税も財務省の意向に反して先送りした。

でも一番大きいことは与野党にその存在を恐れさす人間がいなくなったことではないか。

自民党内も二階さんが早々と安倍再選に言及したし、谷垣幹事長も安倍再選だ。この人が宏池会出身の議員だってことは忘れてしまった。

石破さんもどうしたことか総裁選に出る意思はなさそうだ。地方議員などを含めた投票では1位を獲得したが、国会議員だけの選挙では2位だった安倍さんに敗れた。長老議員達が自民党改革などを訴える石破さんに反対したのだ。「安倍さんの跡は石破さんしかいない」という菅さんの説得発言を今も信じて禅譲を待っているのか。

政治家の約束事には何の担保もない。

ポスト安倍をことごとく潰し長期政権を構築しようとしているようだが、NO2がいないことは自民党を継ぐ組織が出来ていないことになり自民党低落の始まりだ。

さらに野党にも問題がある。野党に何をするか分からない恐ろしい存在で野党を力でまとめていく人間がいないことだ。その善し悪しはあったが小沢さんのような存在の人間がいなくなったことは政界での緊張感がなくなったことだ。

維新の党の橋下さんとは良好な関係を保っているように見え敵ではない。民主党の岡田さんも何とかやれるんではないかと思ったが党内の意見がまとまらなくては自民党に対抗する動きなど出来っこない。

与党を組んでいる公明党も議席数はあるが山口さんが言うようなブレーキ役にはいざというときに役立たない。公明党が抵抗すると「政教分離」を持ち出し脅せば直ぐ腰折れになる。

野党再編に期待されたが、民主党が分裂解体した後でないとすっきりした再編は出来ない。

ところで、メデイアの世論調査では、安倍内閣の支持率は50%を保持し異例の高率だ。でも、支持する理由は「安倍さんが総理だから」よりも「他の政権に較べてマシだから」が高率だ。政党支持率も自民党35%、民主党7%では心許ない。

福沢諭吉が言った「悪さ加減の少ない方がマシ」ということになる。民主党政権に持って行ってもゴタゴタ続きでは嫌気がさすのだ。

でも今のような強権政治をやっていたのでは何かあったときに民意が離れていくのは早いのではないかと思う。辺野古移設問題、拉致被害者問題、安保法制化問題、憲法改正、TPPなど難しい舵取りが待っている。そしてアベノミクスの効果、財政健全化など今後もメデイアを牽制し続けるのだろうか。


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