2018年10月12日金曜日

IPCC「1.5℃報告」:「パリ協定」を守っても2℃未満は達成出来ずと言っても


ICPPの「1.50℃報告書」を新聞で見ると「パリ協定」を守っても世界の平均気温上昇2℃未満達成は難しいという。それでもポーランドで開かれるCOP24では、2℃から1.5℃に引き上げるかどうかが審議されるという。

報告書では1.5℃を維持するためには2030年までにCO2排出量を基準年の45%削減が必要で2050年には「実質ゼロ」にする必要があるのだ。石炭火力発電は止めて再生可能エネルギーにするのだ・

ところがCOPを開いても新興国と先進国とで思惑違いが大きい。新興国は見返りに経済成長に支援を要求する。最大排出国の中国も発展途上の新興国だと言い張る。アメリカは国内産業保護と各国のそれ相応の負担を要求し、トランプ大統領は離脱を決めた。後を追う国も出てきそうだという。

日本も確か排出量は6番目ぐらいだが、日本の排出量を確か35%削減してもどれだけの世界平均気温の上昇を抑制できるのかという疑問が投げかけられている。計算誤差の範囲内なのだ。

それでもCO2など排出量の削減をやらなければならない。石炭火力や再生エネルギーに政府は原子力を重用する。クルマは燃費改善、輸送に鉄道を利用、家庭では省エネ機器、古い電化製品を新しいものに更新する。住宅も省エネ住宅が推奨されているが高齢者になれば古いものを簡単に捨てるわけにはいかない。

驚いたことに新聞報道で、農業部門で「低排出羊」の開発、飼料に工夫がされメタンガスを放出する牛や羊のCO2削減が進んでいるのだ。

地球温暖化対策は費用もかかる。「費用vs効果」が重要だが、2℃未満目標も無理という話しだ。更に急に温暖化は止まらず100年は続くともいう。何か間違っているのではないかと思う。CO2人為説ではなく赤祖父先生が言うように自然変動説なのか。

地球温暖化の研究を「科学は大災害を予測できるか(フロリン・デイアク著 文藝春秋 2010.2)」で振り返ってみるとCO2人為説は数値モデルで予測できるが、自然変動説ではいろんな要素が抜けているという。
1896年スヴァンテ・アレニウスが氷河の謎を解くのにCO2の量との関係を考えた。1911年アンドリュウ・ダグラスが年輪の幅と太陽の黒点周期で年輪年代測定法を考え、1926年にはブルックスが海中で起きる垂直、水平方向の循環が気候に変化を与えると言う。そして1932年にはハンフリーズがメキシコ湾流に異変が起きれば欧州の気候に変化が出ると説いた。

メキシコ湾流は欧州に温暖な気候をもたらしているが、世界規模での海洋循環・・海洋コンベアベルト・・に異変が起きると欧州は寒冷化する。12000年前欧州は寒かった。

そしてCO2がやり玉に挙がってきた。

1938年、ガイ・スチュワード・カレンダーというアマチュアが温室効果ガスが赤外線を吸収すると言うことで石炭燃焼が原因と説き始めた。

そして大気中のC02測定は1950年代にチャールズ・デービット・キーリングがハワイ島マウナロア山でCO2の観測を始め、CO2の濃度が上昇している事を見つけた。「キーリング曲線」と言うらしい。

単純モデルでCO2と大気の平均気温の関係をシミュレーションしたのが1968年ロシアのミハイル・ブデイコだった。1989年にはエドワード・ローレンツがカオス現象を説く。

IPCCもローレンツより遙かに現実に近い新しいモデルで外部の影響がない条件下でカオス特性を示した。温度変動はローレンツより小さかった。

全てについて言える事は、モデルの中で気温の低下を予測するものはなかった。温室効果ガスが地球を暖めている点は間違いないという。

それでもグリーンランドの3000m氷床深層コアの掘削調査で10万年の間に急激な気温変化が何回もあったと言うし、局地戦争で小型原爆を使ったり爆発、火災など大噴火での浮遊微粒子で気候変動も指摘されている。所謂「核の冬」だ。

熱帯雨林の消失で酸素供給が失われればCO2は今の400ppmから1000ppmになるし、海底でのメタンハイドレートも海水温の上昇、巨大地震により海底の崩壊で大量のメタンを放出する事になるし、気温の上昇はツンドラ地帯の溶解でメタンを放出することにもなる。

外部因子として地球温暖化に何が起きるか分からないのだ。

日本でも各地の活火山が噴火し噴煙を上空までまき散らしているが阿蘇山カルデラ噴火、富士山噴火、北海道屈斜路湖周辺での巨大噴火が危険視されている。いずれも浮遊微粒子で日光を遮り社会生活に大きな影響をもたらすだろう。

「1.5℃報告書」でも1.5℃、2.0℃上昇時の考えられる被害がされて
いる(朝日新聞2018.10.10)。

それによると熱波に見舞われる人口は13.8%(1.5℃)~36.9%(2.0℃)、干ばつ被害1.1億人~1.9億人、洪水2倍~2.7倍、海水面上昇26から77cm~更に10cm。

そればかりではない。砂漠の拡大、氷河の減少、山火事、台風/ハリケーンの巨大化、局所豪雨、海水温上昇でサンゴの白化、新たな感染症の北上、海面上昇は6mとも言われている。

今の世界の平均気温は14.5℃、気温が2~3℃上昇すると赤道付近は0.5~1℃しかあがらないが、北極では7℃上昇するという。一体どうなるか。北極海航路が俄然注目される。

「パリ協定」を厳守しても目標の2℃上昇も抑制できないと言って何もしない訳にはいかない。

不安を煽ってもいけない。今、地球温暖化はフィーバー気味だが、はっきりしたことを言える人は一人もいない。

気候変動問題は技術的検証を曖昧にしたまま政治問題化し、政治指導者の手に委ねられている。地球温暖化対策で環境関連の「地球温暖化村」が利権食いしてはならない。


0 件のコメント: