2009年6月21日日曜日

日本郵政に国が口出しするのは是か非か



日本郵政のガバナンスに問題があるとして、鳩山前総務相が反対していた西川社長続投問題で、世論の80%が鳩山さん支持だったにも関わらず、鳩山さんを更迭した麻生さんに批判が集中したのは当然だろう。
 麻生政権の支持率が20%を切って、こんなに落ちるだろうとは麻生さん周辺は思ってもいなかったと言うことは、今の自民党幹部に民意を把握できていなかったことになる。
 このゴタゴタを認可権を持っている鳩山さんを切って収めるか、民営化を推進する人達が強力に推す西川さんを切るかは麻生さんにとっては決断がいったことだろうが、その結果が、更に混乱に招いているは麻生さんの責任でもある。
 ところで、今回の決断で麻生さんや安倍元総理など改革派を名乗る人達の論点に疑問を感じない訳にいかない。
 「鳩山更迭は間違っていない。郵政民営化を進めており、民間の株式会社に政府は口を出すべきでない。西川社長を尊重し、経営は経営者に任せるべきで、株主が判断すればいいことだ」というのが、彼らの考えだ。
 しかも、経営はうまく行っており、収益も上げ、300億円にもなる税金を納めており、西川さんは民営化に向け良くやっているという評価だ。
 しかし、今の日本郵政の置かれている状況は不思議だ。
 2007年10月に株式会社化されたとはいえ、株の100%は国(財務省)が持っている。最後は国が1/3、残り2/3が民間に売却される予定だという。そうなると国はあくまでも大株主で、経営に対して発言権があることになる。
 さらには、総務相に社長などの認可権があると言いながら、日本郵政には社内人事を決める指名委員会がある。指名委員会が指名した社長を総務相が拒否する事態は、当初から想定されていたことではないか。官僚出身者にするか、民間人にするかの争いは当然出てくる問題である。

 私は、日本郵政は、今の段階では国のモノであると思う。日本郵政のガバナンスに問題があれば異論を呈するのは当たり前のことで、「国民の財産」を適正に処理する責任がある。

 「かんぽの宿」の格安(?)売却、DM不正事件、東京中央郵便局、大阪での郵便物未配達事件など民営化の過程で、国民の信頼を損ねる不祥事が明らかになったことがこのような混乱を産んだことで、官邸、自民党、日本郵政も想像していなかった事だろう。
 それだけに今後の不安が残る。
 小泉さんが、郵政民営化是か非かを問い、あれほど騒いだ選挙が何だったのかとの疑問も出てくる。
 当時のことを思い出そう。郵政民営化は米国の年次改革要望事項に沿っていることは別として、税金のムダ遣いを歳入、歳出両面から改革、公務員を3万人削減、郵便局がコンビニのように便利になると良いことずくめであった。
 しかし、郵政民営化に反対した人達も民営化には賛成であるが、今の内容には反対であるという考えが大方であった。小泉さんが功を急いだためか、十分な議論を尽くさない前に民営化に踏み出したのが原因なのだ。
 
 それに初めての今回の3年ごとの見直しも、小泉さんが何か発言したことで、尻すぼみになってしまったが、小泉さんの顔色を見ながらの民営化は止めて欲しい。

 誰がなんと言おうと、今は国が株主なのだ。国民の財産を預かっている総理は、毅然とした考えで日本郵政の経営に口出しすべきである。麻生さんには無理だろうが・・。

写真:売却が決まっていた「かんぽの宿」磯部  東京中央郵便局 鳩山さんのクレームで保存計画の見直し中

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