2014年8月29日金曜日

50年前の「末は博士か大臣か」:安倍内閣改造、STAP細胞不正事件で今は?

「末は博士か大臣か」、昔は憧れてもなかなれなれない博士、大臣だったが、今、安倍内閣改造、STAP細胞不正事件で一躍有名になった小保方さんの博士論文問題で、今はどう感じているか。

50年ほど前の大学生時代に「末は博士か大臣か」という映画をみた。「父帰る」の作家・菊池寛と当時文部大臣など数々の大臣を歴任した政治家・綾部健太郎の京都帝大時代からの友情物語だったと思う。

当時、人生の目標として博士か大臣が憧れの的になったものだ。

そして今はどうか。29日の昼前、9月3日の安倍内閣改造を目指し安倍総理と石破幹事長の会談が昼飯をはさんで始まったというニュースが流れた。27日は理研のSTAP細胞の存在の有無を確かめる検証実験の中間報告がなされたが、そのキーマンである小保方さんの早稲田大学での博士論文の正当性が問題になっている。

昔は大臣も重量感があり、政策も重視され専門性を有し、自分の意見を言える国会議員が選ばれたが、今は軽量級で専門性を有しているかどうかは不明で、官僚の書いたペーパーを棒読みして国会審議に当たっている。昔の様に爆弾発言もなければ答弁で窮することもなく(答えることが出来なかったり、質問の意味が分からなかったりした大臣はいたが)、時間が来れば採決し国会の本会議へ回される。たまたま与野党で考えが食い違う政策については採決で乱闘になることもある。

今、政界は自民党一強時代で安倍政権の思うままだ。

安保相をめぐって安倍総理と石破幹事長が対立している(正確に言うと周辺筋のリークで対立させられている)。安倍さんは長期政権を狙い総理の座を脅かす石破さんを閣内に封じ込めようとするが、石破さんはポスト安倍を狙い幹事長の続投を希望している。両陣営が流す情報戦で石破さんは窮地にかかり、他の閣僚でも入閣を了解する事態にまで追い込まれている。

60人の大臣待機組、女性枠、派閥の権勢拡大、サプライ人事で内閣支持率の向上など安倍さんの課題は大きい。議員にとっても地元で「家の先生もそろそろ」と期待されればプレッシャーもかかる。選挙区に「今度は大臣だ」と情報を流したり、礼服を用意して入閣の連絡を待つ代議士の事務所が映し出される度に、「大変だな」と同情する。

安倍総理実現へ貢献したか、政治献金は十分かで、資質に欠ける国会議員が選ばれることもあり、国会の委員会審議でみっともない光景を国民に見せつけた議員も居る。

一方、博士は国の政策で急増した。そのも結果、ポスドクの社会現象まで出て来たのだ。

大学院博士課程で、「そろそろ論文を書け」と言われると必ず博士号の学位がもらえるのかどうかは分からないが、STAP細胞不正事件で明るみになった小保方さんの早稲田大学の博士論文が問題を起こしている。

STAP細胞論文がクローズアップされた当初は、AO入試で合格し、「生物学の常識を覆す理論」と賞賛された論文を発表したと言うことで早稲田大は躍り上がって喜んだが、悪いことは長続きしない。あっという間に論文の疑惑が指摘され、早稲田大の調査委員会で「まともな審査をしていれば学位の授与はなかった」と酷評されることになった。

調査委員会は「学位取り消しには該当しない」と早稲田寄りの見解を示したが、「学位取り消し」でもしない限り早稲田大は最高学府として持たないのではないか。

全ての学位がそうではないのは分かっているが、博士号も落ちたものだ。

27日の理研の研究不正防止アクションプラン発表の記者会見で、自らの責任について野依理事長は「論文不正問題は個人の責任」と言ったが、本当に小保方さん本人だけの問題なのか。

それにしても、大臣、博士を素直に信じて良いのかどうか。難しい時代になったものだ。

せいぜい政治は、わかりやすく、国民のためにあってほしいものだ。

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