2015年5月21日木曜日

科学技術振興機構のセンター長に野依さん:国の研究開発事業につるむ御用学者ら?

新聞の囲み記事で前の理研の理事長だった野依さんが科学技術振興機構(JST)の研究開発戦略センター長に就任するという記事が目にとまった。国の研究開発機構は複雑で多くの御用学者や天下り官僚の利権のたらいまわしの現場になっているのではないか。研究開発費が削減されているというがこんな人たちに蝕まれているのではないか。

新聞によると、国立研究開発法人 科学技術振興機構の研究開発戦略センター長に6月1日付で野依さんが就任するという。

野依さんと言えば理研・理事長の時にSTAP細胞論文不正事件が発生し優秀な科学者を失い、日本科学界の信用を大きく失墜させた事件は世界三大不正事件とまで言われた。

その責任は誰にあるのかが注目されたが、小保方さん一人の未熟な研究者による単独不正事件として理研は幕引きを急いだが、野依理事長の責任を問う声は大きかった。

野依前理事長は自分には責任はないという。その根拠は研究不正は現場の研究者の責任であって組織の長が責任をとる例はないというのが科学界の常識(?)とでもいうのだった。

だから野依さんの記者会見のたびに「理事長自らの責任は?」と質問が飛ぶが自らの引責辞任は否定する。

3月の任期途中での辞任記者会見でも引責辞任は否定した。

ところが辞任2カ月後に科学技術振興機構のセンター長に就任するのだ。これで引責辞任であったことが分かった。誰かに責任を取らせる必要があると文科省が考えても不思議ではない。しかも任期途中ということで野依さんに申し訳ないと思ったのだろう。

文科省という官僚機構と御用学者の利権のたらいまわしだ。

ところでこのセンターは何をする機構なのか。

科学技術振興機構(JST)には理事長がいて中村道治さんという。我が国の科学技術戦略を効率的に推進する中核的組織らしい。その下に野依さんがセンター長に付く研究開発戦略センターがある。ここは国内外の科学技術の動向を調査し開発戦略を提言するのだという。

今のセンター長は東大総長を経験した吉川弘文さんで野依さんは主席フェローだが6月からセンター長だ。

中村理事長は選考理由を「野依さんは社会に研究成果を還元することに熱意を持っている」というのだ。

当然だろう。野依さんはトップダウンで実績を作ることを優先する効率主義者だ。それが理研では裏目に出た。笹井さん達は当時、特定国立研究開発法人指定の問題もあって実績を出すためにSTAP細胞不正事件を起こしてしまった。

その特定国立研究開発法人はどうなったのか。

今、国の研究機関は「独立行政法人通則法の一部改正する法律」によって、現行の独立行政法人は「中期目標管理法人」「国立研究開発法人」「行政執行法人」の3つに業務特性に応じて区分される。

この国立研究開発法人にはJAXAの他に31の法人が分類され、文部科学大臣など主務大臣が目標指示から評価まで一貫性を持たせ、実効性を向上するなど研究成果の最大化を目指すというのだ。

この国立研究開発法人の中で特に世界のトップレベルの成果を期待されるのが理化学研究所と産業技術総合研究所だが、STAP細胞不正事件で先送りされている。出来るだけ早く成立させるよう努力するという。

でもこの特定国立研究開発法人では世界トップレベルの先端分野にカネと人を集中すると言うが、もっと基礎的で社会に貢献出来る研究分野が産業技術総合研究所では多いのではないか。その分野が冷遇されては元も子もない。個人的にも産業技術総合研究所の研究には興味がある。

国の研究分野には末端で多くの研究者がかかわり膨大な予算になっているが、それもドンドン削られているという。予算は削っておきながら成果は出せという矛盾した考えに懸念を示す人もいる。

そういったことも踏まえての今回の「国立研究開発法人」制度の見直しらしい。

でも国の事業となると御用学者や天下り官僚の利権の漁り場になる。決してそうならないような制度にして欲しい。






0 件のコメント: