2015年5月13日水曜日

安倍政権の「経済財政一体改革」:名目3%成長率での財政再建は幻想か

安倍政権の経済財政運営の基本哲学とも言う「経済財政一体改革」は、名目成長率3%での財政再建を目指す幻想ではないか。メデイアは一斉に安倍政権が財政健全化に向け動き出したと12日開催されて経済財政諮問会議の内容を報じるが、一方で専門家らは名目3%、実質2%の成長頼みに疑問を呈する。

実質2%成長は不可能とみたのか内閣府参与でリフレ派の旗振り役だった浜田さんは2%成長に拘るな」と言い出す始末で内閣不一致ともとれる。

「経済成長なくして財政再建なし」とは、安倍総理の口癖だ。成長戦略経済成長(GDP増)税収増(歳入増)とともに歳出削減をする構図を描く。

財政再建では今まで各政権が2020年のPB黒字化を掲げる。2020年に誰の政権になっているのか知らないが不可能に近い目標達成をどう評価するのか見物だ。

ところが最近、経済財政諮問会議で民間議員が債務残高/GDP比も指標に加えることを提案してきた。

2015年に3.3%、2018年に1.5%を掲げるという。5年前に6.6%だったのが今、3.3%だからこれからGDPが伸びることを考えると達成出来そうな指標だ。

これが提案された経済財政諮問会議で麻生財務相が「今まで2020年にPB黒字化を言ってきたが、この新しい指標はこの目標と異ならないのか。新しい指標を出すと誤解される」と質問した。民間議員は「同じことだ」と答えていた。

それにしても相反するテーマを同時に追求するとなると経済成長で税収増に持って行き、同時に歳出削減をするしかない。

経済成長に持って行くには需要がなければならない。新聞報道では企業が好決算を出しているという。その要因は円安で自動車や電気の輸出が好調だったというのだ。海外では需要があるが国内はどうなのか。経営者によっては「そろそろ設備投資を考えても」という考えも載っていた。

景気回復下における企業行動調査では、投資をするかどうかは「予想以上の需要の増加」「他企業の動向から競争を維持するため」というのだ(アベノミクス批判 伊東光晴 岩波書店 2014.7)。

12日開催の平成27年度第5回経済財政諮問会議での甘利大臣の記者会見の要旨を見ると民間議員が「アベノミクスの進展により企業の国際競争力の見直し、改善しており、海外からの国内移転や国内への新規投資が増加するなど企業の設備投資について潮目が変わりつつある」というのだが、民間議員提出の「論点整理と総論・・経済再生と財政健全化を両立する計画の策定に向けて」を見てもそんな記述はない。

安倍総理をヨイショした発言なのか。確かに海外から生産を国内に移す動きはある。

問題は成長戦略だ。3%の名目成長率を担保する成長戦略に何があるのか。

民間議員は、その「論点整理と総論」で、法人税改革、規制改革、官民ファンドや設備投資減税などの活用、TPP,対日直接投資などの促進とともに健康産業、観光、農業、エネルギーなどの成長産業化、ロボット改革、人工知能、ビッグデーターなどを活用した産業大変革の具体化、生産性向上投資、女性、高齢者の労働参加露津野上昇などにより供給力の強化を実現し、企業の収益改善、雇用増、賃金上昇、消費や投資の拡大の「経済の好循環」に結びつけるというのだ。

これらにより実質2%、名目3%程度を上回る民需主導の経済成長、歳入増加を実現するらしい。

更に経済財政諮問会議の下に専門部会を置いてPDCAサイクルを回し目標達成を狙うというのだ。

でも、役人の政策にPDCAは不向きではないのか。官僚は一度決まった政策はどんなことがあっても見直しせず当初の計画を遂行し無駄の根源と言われたのではないか。一度手にした利権は絶対に離さないのだ。それとも今回は民間議員が責任を持ってチェックするとでも言うのか。

だったらまず3%名目成長率達成への工程図、2020年のPB黒字化の工程図を示すべきだが、6月末に計画表を提示するらしい。

安倍政権が3年間取り組んできた歳出削減を継続していけば目標の達成は可能とみている。社会保障を含めて弱者いじめの政策を続けるのか。

それよりも先に浜田内閣参与が発言した「2%実質成長率に拘るのか」で内閣内統一を図った方が良いのではないか。

2%物価目標をなりふり構わず狙う黒田・日銀も経済財政諮問会議や記者会見で財政再建に向けた取り組みを主張する。国債の日銀買い入れは「財政ファイナンス」とみられる危険があるし「国債はリスク資産」という考えから金融機関への規制強化が始まりそうだ。

異常な国債買い入れは日銀の経営にも影響し、中央銀行の信認にも影響する。財政の信認がなくなれば物価の安定も金融システムの安定も損なわれるのだ(日銀と政治の責任 白川前日銀総裁インタビュー 朝日新聞2012.5.13)。

経済成長と財政健全化の安倍政権の経済政策は幻想に包まれた経済政策なのか。



0 件のコメント: