2011年12月22日木曜日

R&I

遅ればせながら、日本の格付け会社 格付投資情報センター(R&I)が日本国債の1段階格下げ(AAA→AAプラス)を発表した。11月末に予告していたし、S&Pやムーデイーズなどが格下げした後だったので、影響はたいしたことはなかろうが、その理由がほとんど政治問題だから厄介だ。

日本の借金は1024兆円、対GDP比200%、純債務でも116%で先進国一悪い財政状況だから、誰も最上位の格付けはありえないと思っている。1段階下げても「安定的」だからこれといった影響は出ていないようだ。

ギリシャに端を発した財政危機は、休むことなく各国の財政に影響を与え続けている。ECBは50兆円という巨額の資金を3年間投入する(テレビ東京 WBS 2011.12.21)するというニュースが流れると株価も好転するが、しかし、本質的な解決にはなっていないのだ。

来年2月には、フランスなどユーロ圏の国債の格下げも懸念されている。制度維持のため精力的に回避策に奔走したフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相の間でも思惑の違いがあり、ドイツのメルケル首相は「他国を助ける」考えに抵抗している。どんな政局で破綻するか不透明なのだ。

格付け会社はどういう考えで格下げしているのか。経済見通しをどう見ているのか、主な理由に挙げている財政再建策をどう評価しているのか、R&IのNews Releaeを開いてみた。

経済見通しとしては、2011年度は成長率はマイナスであるが、2012年度は1%台前半を予想している。内需回復に結びつくような民間消費を活性化する必要がるとしている。

財政再建への取り組みとしては、政策次第では財政再建は可能と見ているが、財政状況を自ら調整する能力には欠けており、AAAの評価には値しないと言う。内需拡大とし根本的な体質変化がない限りは財政運営は厳しいと見る。そして現在のような規模での国債発行を続けられるのも、後数年だろうと言う。

そこで政治に対しては、規制緩和も後手で、財政再建は時間の問題だ。税や社会保障改革も野田総理はがんばっているように見えるが、負担増の先送りなど質的には例年と何ら変わらず、踏み込み不足と指摘し、消費税増税も先送りなら再格下げもあると警告している。

何やらR&Iにも財務省OBが天下るし、財務省主導の増税をバックアップしている光景にも見得るが、内需拡大は避けて通れないのは当然だ。規制緩和、税制改革で道を開こうとしても、利害関係者と政治家の抵抗で踏み込んだ改革が出来ないのも現実だ。

増税では、政権与党も一本にはなっていない。民主党で素案のたたき台を作り、政府が素案を作り、素案を決定するというスケジュールらしい。野党も反対している。選挙を控えての増税案は政治家にとっては禁物なのだ。

格付け会社や市場が政治への不満を表明しているが、政治の質はこの程度なのだ。

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