2011年12月9日金曜日

野田総理「そもそも論」発言:要因は国民目線とかけ離れた政策推進か







野田総理の母校での講演で、「そもそも論のところで変な議論が起きる」と避けて通れず、不退転で取り組む決意を述べた社会保障と税の一体改革で財務省悪玉論、TPPでアメリカ謀略説が起きる指摘したという(読売新聞2011.12.8)が、その要因は国民の目線とかけ離れた政策推進にあるのではないか。

確かに、最近のメデイアの報道、学識者やジャーナリストの発言を聞いていても反対論者の論調の背後には、財務省、アメリカの思惑が絡んでいる。

しかし、政策を提案する当初から消費税増税で財務省主導、TPPでアメリカ謀略説が出ること事態異常なことであるが、その要因には野田総理の政策推進が国民目線とかけ離れていることにあり、当然のことながら世論調査でも支持率は下落傾向になる。

社会保障と税の一体改革では、今世界を騒がしている国家の財政健全化とも相まって消費税増税は避けて通れない問題であることは分かるが、「今の経済状況で増税はどうか」と疑問も感じる。

最近、いままで増税で突き進んできた野田総理の考えも少々トーンダウンしている気がするが、財務省悪玉論が出てくるのは、明らかに財務省主導・官僚主導だからだ。

何故、政治主導が見えてこないのだ。

国家公務員数削減、給与の削減、国会議員数の削減など自ら身を削らなければならない公的セクターでの歳出削減が政治的スケジュールにあがってこないのに、消費税増税だけが一人歩きし財務省主導を印象付ける。おまけに朝霞公務員宿舎問題では、国家財政が破綻しているにもかかわらず、公務員の福利厚生が確保されている異常なまでの財務省の感覚を見せ付けた。

野田総理、財務省のポチと言われ、悪玉論を廃するためには、国家公務員、国会議員の削減を政治スケジュールに載せ、国民に提案するのが常道ではないのか。

また、TPPでのアメリカ謀略説に対しては一理ある。アメリカは自国の「国益」を押し通すために無理難題を他国に要求しているのは明らかだ。日本だって以前アメリカとは「年次改革要望書」に沿った改革が要求され、毎年その進捗状況の報告まで課せられていた。

最近は、姿を変え「日米経済調和対話」で継続している。

TPP参加交渉では、アメリカは「高いレベルの対応が必要」と、あらゆる分野での関税撤廃が目的であることを機会あるごとに匂わせているが、野田総理は「農業など守るところは守り、勝ち取るところは勝ち取る」といい、例外条項もあることを匂わせている。

国民は誰もアメリカを相手に有利に交渉を進めるとは思っていない。9日の新聞に野上元外務次官が担当すると報じられているが、田中真紀子外務大臣のときに「外務省は伏魔殿」とゴタゴタした時の外務次官だ。

昨年、菅総理の時にAPECで突然参加の意思を表明し、今、野田総理が参加交渉に向け関係国と議論を始めると「まやかし」の発言をし、国会も賛否二分している。

アメリカ謀略説を否定し、「平成の開国」を主張するのであれば、TPPさんかでの「国益」をしっかり説明すべきである。

今、国会審議を聞いていても、政府、担当官庁がどういうデータに基づき、その政策を推進するのかの根拠が分からない。

野党などの質問者は、資料をフリップに記し質問しているが答弁する閣僚は、ペーパーを棒読みするばかりで理解できない。

官僚答弁を避けた国会審議では、何故そういう政策が出てくるのかの理由がはっきりしないのだ。いっそうのこと官僚答弁も許し、事前通告なしの国会審議は出来ないのか。そうすれば官僚の考え方が良く分かる。「最初に政策ありきか」、「誰のための政策か」など政策の本質も見抜くことが出来る。

国会審議を国民目線で出来るように、改革すべきではないか。

そして野田総理自身も直接国民の信を得ている訳ではない。不退転の決意があるのなら国民の信を問うべきだ。

写真左:野田総理「そもそも論」発言を報じる読売新聞 2011.12.8

写真右:一川防衛相更迭の意思がないことを表明するのだ総理 2011.12.7 NHKニュースより

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