2018年11月20日火曜日

日産・ゴーン会長逮捕(1):コンプライアンス(ガバナンス)欠如が経営トップの不正経理に発展


日産のゴーン会長が東京地検特捜部に逮捕されたが、日産と言う会社はもともとコンプライアンスあるいはガバナンスに欠けており、ついに経営トップの不正経理まで発展したのかと言う感じだ。至るところでゴーン語録を撒いていたが自分のことになるとからっきしダメだったのだ。

無資格者検査、測定データの改ざんで世の中の批判を浴びていたが、ついに経営トップの不正経理まで飛び出した。一時は経営不振の日産を立て直し、V字回復、電気自動車では自動車業界をけん引する手腕を見せ、最近では経営不振の三菱自動車が三菱グループの支援を受けられない状況下で手を差し伸べルノー、日産、三菱の三社連合を構築販売台数も1060万代の世界第2位までになった。

不振にあえぐ日産の再建には主力工場の村山工場閉鎖、20000人を超える人員整理は日本人経営者ではできなかっただろうとみられている。経営者としての評価を上げたゴーン容疑者は他社の社外取締役にも就任し「経営者は公約を守れ」とコミットメントを要求していた。

テレビ画面にも何かにつけて登場しゴーン語録を振りまいた。トヨタの社長以上に顔を出し経営哲学を振りまいていたが、メデイアがニュース性に重宝したためか。

ところが社外の評価とは裏腹に絶大な権限を持った日産内ではゴ-ン統括に「ほころび」が出ていたようだ。絶大なゴーン容疑者の下で他の役員は何もできなかったのか。

ゴーン容疑者の善管注意義務を問うとしているが、他の経営陣の善管注意義務は問わないのか。それとも司法取引で無罪放免か。これではコンプライアンスどころの問題ではない。

高額な年収は志賀さんも「日本人にはなじまない」と指摘していたがゴーン容疑者は「何が悪いのか」と反論していたようだ。50億円も過少記載していたとは驚く。

海外から腹心の経営者を招き入れていた。自分の体制を築こうとしていたのだろうが日本人経営陣にとっては不満がたまっていた。

さらにルノーと日産の経営統合、一体化には日本の経営陣が警戒していたという。ルノーにはフランス政府が15%出資している。国営企業と言えるかどうかわからないがフランス政府の支配が強まるのは考えものだろう。

私的目的で会社の資金を流用しているし、目的を偽った投資資金の支出もあるらしい。レバノン、ブラジルなど4か国に不動産を持っているが子会社を通じての悪だくみのようだ。

業績が良かった分、悪だくみを隠ぺいできただろうし、やっぱりゴーン容疑者は「正論を吐くが最後はカネだ」と見ていた経営陣もいるらしい。

そして、今回は司法取引が結ばれて内部通報で日産が社内調査し情報を東京地検特捜部に提出したそうだ。企業トップの悪だくみは、なかなか摘発されないが司法取引の制度は役に立っているようだ。

内部通報者はゴーン容疑者の悪だくみを知る立場にあったのだろう。子会社の人間かもしれない。このままでは自分の責任が問われることに危機感があったのか。

この辺は週刊誌が暴露するだろう。

一方、ゴーン容疑者は昨日どう行動していたのか注目した。自分に地検の特捜部が迫っていることを全く知らなかったのか。

テレビの画面では日産の社有機が駐機している映像が流れた。タラップは降りているがだれも降りてこない。近くに留まった白いワゴン車から背広服の人間がタラップを上がったという。

ジェット機になかで事情聴取を受けた後、地検に向かったのか。同時に家宅捜索も始まったというから地検は相当の確信を持っているのだろう。ゴーン容疑者の飛行計画も慎重に確認していたという。

フランスから日本に着いたその時に囲まれていたのだ。日本に滞在する時間は非常に少ないというからゴーン容疑者は自分へ司直の手が迫っていることを把握できなかったし、日産内で自分の不正が極秘に調査されていることも把握できなかったのだろう。

権力者の油断が日産を正常化に向かわせることになるとは皮肉だ。

地検はゴーン容疑者の認否を伝えていないが、ゴーン容疑者には外人経営者として日本人にはわからない論理があるのではないか。グローバリゼーションだ。

新聞は「再建カリスマ失墜」とタイトルを付けたところもある。グローバリゼーションで外人経営者を選ぶ企業も多いようだが、日本企業は日本人経営者で経営してほしいと思う。

日本式経営のよさを見なおす時ではないか。今、日本は内需拡大が最大のテーマだ。外人経営者では気が回らないはずだ。



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