2018年11月28日水曜日

ゴーンvs東京地検特捜部:有価証券報告虚偽記載で地検に勝算があるのか


日産の有価証券虚偽記載でゴーン容疑者と東京地検特捜部の熾烈(?)な戦いが繰り広げられているようだが、地検特捜部に勝算があるのか。ゴーン容疑者らの逮捕後、次々に明るみに出る日産の不正経理、有価証券報告書の虚偽記載も常識外れの巨額な内容、100億円以上の報酬を50億円過少記載したことでゴーン容疑者の罪が立件できるのか。

ところが、それ以外にも私的活用、投資資金の私物化、姉への報酬支払など特別背任、横領罪の疑いも出てきた。

これだけの内容を見ると脱税の疑いも出てくる。日産がどういう税務処理をしていたのか。おそらく国税も動いて内偵調査しているはずだ。脱税が立件できればゴーン容疑者はアウトだ。

専門家の間では形式犯と軽く見る向きもあるが、罪は10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金刑だ。決して軽いものではない。地検特捜部の考えに賛成だ。しかし有罪を立件するのはハードルが高いとみる専門家もいるが積極論を打つ専門家はいない。他の専門家も難しい事案と見ているのか。

しかし、これだけの不正行為だ。ゴーン容疑者に協力していた執行役員クラスの人間がいるはずだ。その人たちが司法取引して悪事を暴いているのだが、日産本体、日産の現経営陣にも責任追及はあるだろう。

現経営陣も「自分は助かりたい」で及び腰になっては事件の解明はできない。「自分も責任を取らなければ」と腹をくくるべきだ。そうでないと5工場の閉鎖、2万人を超えてリストラされた元・従業員にしめしがつかないだろう。多くの犠牲を払ってのV字回復なのだ。

今まで報道されたお互いの主張点をまとめてみた。

概要は、ゴーン容疑者の高額報酬が株主や世間の批判を受けることを恐れて実際には100億円以上あった報酬を有価証券報告書には50億円過少記載し株主をだましたことになる。その差額を「後払い」する「覚書」を作成、退任後にゴーン容疑者が受け取る手はずになっていた。ところがこの「後払い」の確実さが主張点の大きな違いになってきた。

その後ゴーン容疑者の不正行為が次々に明るみになってきた。どこまでは私用でどこまでは公用か。ほとんど日産を私物化していた疑いが大きい。

2兆円の有利子負債を2年間でゼロにした実績からこれぐらいのことはやってもいいだろうと間違った考えが芽吹いてきたのか。それとも本質的にゴーン容疑者はおカネにきたなかったのか。裁判官の心証にも影響するか。

東京地検特捜部の考え方

開示額を過少記載、「覚書」を作成、後払い」をさせること、未払い額を退任後に受け取ることにした時点で故意も立証できるとみている。形式犯と言う専門家もいるが罰から考えて決して軽い罪ではないという。

世間では「軽い事案でたいそうなことをやっている」と批判する専門家もいることに反論したのだろう。

ゴーン容疑者の考え方

「後払い」と言っても確実に支払われることが決まったわけでなく記載は不要という。日産は積み立てもしていないし日産の利益の中から支出されるという。弁護士と相談してやっているので違法なことはやっていないと反論する。場合によっては「クーデター」を言い出すかもしれない。日産と検察が組んだ国策捜査と言うかもしれない。

専門家の考え方

受け取りの確実性があいまいで罪を問えるか。いずれにしてもハードルが高い。

問題点として、役員報酬の虚偽記載が株主の投資の判断を左右させたか。これには株主総会でも高額報酬に批判が集まっていた経緯もあるし、株主代表訴訟も考えられる。

民事訴訟となると、イメージダウンもあり高額な賠償額が示されるだろう。

そして、特別背任、横領に加えて脱税の可能性だ。これが立件されるとゴーン容疑者もたいへんだろう。

法解釈の問題もあるがあまりにも不正金額が大きすぎる。「一般社会通念上」どう考えるか。世界的な(?)カリスマ経営者とみられるゴーン容疑者だ。カネに糸目をつけず大物弁護士を付け反論してくるだろうし、日本司法の在り方が国際的に問われる事態になるだろうが、東京地検特捜部はひるまず日本の法律で処罰してほしい。

グローバル化で日本企業も外国人経営者を招へいすることがはやっているが日本人の感覚とは違う。昔の日本企業のよき習慣も失われているが、日本経済に一番大事なのは「内需拡大」だ。グローバル化に目を向ける外国人経営者に内需拡大が期待できるのか。




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