2018年11月2日金曜日

フリージャーナリスト安田さんの自己責任:正当化するフリージャーナリストに違和感


無事帰国されたフリージャーナリストの安田さんに対する「自己責任」で正当化するフリージャーナリストの仲間と「責任あり」と主張する人たちが入り乱れての情報番組だが正当には違和感がする。

3年4か月の拘束期間から無事帰国できたフリージャーナリストの安田さんには驚かされた。「よく無事で」という感じだ。同じころ2人の日本人が殺害されたことを考えると背後に「何かあったのか」と疑問が出る。「運が良かった」だけでは済まされないのだ。

こういう渡航禁止が出ていたシリアの危険な地域に入り取材しようとした是非は必ず問われる「自己責任論」だ。

今日のテレビの情報番組でも仲間のフリージャーナリストは危険な地域にでも入って「何が起きているのか」「世界に知らせる」のがジャーナリストの高尚(?)な姿だと評価するが、フリージャーナリストの言い分にも無理がありそうだ。

万一、紛争地に入国でき多くの映像、情報を持ち帰り報道に使うと高い報酬を得ることができる。やっかみも含めて失敗した時のバッシングの要因だ。

さらに身代金の支払いがあったとしたらなおさらだ。今回身代金が支払われたかどうかは不明だが、直接身代金でなくてもカタールにODAと言うことも考えられるし、こっそり官邸機密費で支払うこともできる。政府は本当のことは言わないだろう。

さらに政府の不思議な行動がある。菅官房長官が夜中の緊急記者会見で発表したが、実際にカタールからのニュースは4日前ともいわれている。何があったのか。

安田さんは記者会見の冒頭で「日本政府を当事者にしてしまって申し訳ない」と謝罪した。どう言うことか。邦人が海外で行方不明になった時、調査、救出に動くのは政府に仕事ではないか。

安田さんが自分の言葉で自己責任についてコメントすることが第一だ。仲介人など十分な準備をしてトルコからシリアに入ったはずだったが入国直後に拘束されたことは自分の凡ミスだと言ったが、誰かが検証しなければ自己責任を論ずることは無理だろう。

フリージャーナリストの仲間は危険を冒してでも「何が起きているか知ること」「何かを伝えたい」と言う気持ちが強いらしい。政府が渡航禁止を宣言している紛争地へは特にそうらしい。政府の言うことを鵜呑みにはせず、「何が起きているか」知らしめることが重要だというのだ。

ここが企業ジャーナリストとフリージャーナリストの違うところらしい。

政府の言うことを鵜呑みにはできない。そういうことを言われると今、東電福島第一原発事故で旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪に問われて強制起訴裁判が行われているのを思い出す。

旧経営陣3人は政府の地震調査研究推進本部が発表した巨大地震の長期評価を信じないで対策を先送りし15.7mの巨大津波の来襲で甚大な放射能事故を発生させた。一方、政府の長期評価を信じて対策を立てた原発は無事だった。

確かに政府の言うことをすべて信用することはできないだろうが安全のために紛争地への渡航禁止が出ている国へ入ることの「自己責任論」の是非を論じてほしい。

フリージャーナリストだから「何をやっても許される」と誤解していないか。また、危険と判断すれば撤退する勇気も必要ではないのか。

ある著名はジャーナリストが以前言っていた。

「人と会ったり現地で取材しなければ信頼できるニュースは手に入らないというのはうそだ。自分の周りをよく見れば貴重なニュースがあちこちにある。重要なのはそれをどうピックアップするかだ」と。



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