2018年11月19日月曜日

北方4島問題(2):「双方に受け入れ可能な解決策」というが国益を害するな!


安倍総理はプーチン大統領との会談後、ダーウィンで北方領土問題について改めて「双方に受け入れ可能な解決策に変わりはない」と記者会見で発言しているが、双方が話し合いで合意できる余地があるのか。どちらかが国益を害し、どちらかが国益を守るとしたら、安倍総理が国益を害する可能性が強くないか。

丁度、へロスコフ大統領報道官が「領土の自動的引き渡しはない」と2島返還が既定路線ではないことを改めて確認、「日ロ双方の利益を害さない妥協が必要」と主張した。

プーチン大統領の唐突な「前提条件なしでの平和条約締結、年内に」は拒否したようだが、北方領土問題解決の道筋の難しさを改めて露呈した。

プーチン大統領は何故、今このような発言をしたのか。

ロシアは広大な土地で至るところで隣接国と国境問題を抱えているが、解決の目処が立ってきた。平和維持のためにも北方の国境問題を解決しようとした事が考えられるが、外交問題ではG7からはじかされており、今後のことを考えると日本を味方に付けておきたいと考えても不思議ではない。

更には経済開発には資金が必要だが、ロシアは国内経済が停滞している。日本からの経済支援が必要なのだ。

だから順番としては①日ロ共同経済活動、②平和条約締結、③歯舞、色丹2島返還、④国後、択捉返還が考えられる。

しかし、「主権は日本か、ロシアか」「返還後の2島に米軍が駐留する可能性」が最重要の課題になる。プーチン大統領は「主権はロシア」、「米軍は駐留しない」が前提条件だろう。安倍総理も「米軍を駐留させない」と言うが日米安保での適用領域を除くとするとアメリカがどういうか。

1956年の日ソ共同宣言がどうして不明確な点を残したまま締結されたのか。

当時の鳩山一郎首相の業績は日ソ関係を改善したことだ。ソ連は当時社会主義国の王者、何とか平和条約の締結にこだわるとなると、主権はあいまいに、4島一括返還は主張しないという譲歩しかなかったのではないか。この大事な点が不明確になっているから今、物議をかもし交渉を複雑にし、プーチン大統領は日本の譲歩を期待している。

ここで安倍総理が功を焦れば譲歩を積み重ね「国益を害する」外交になる。プーチン大統領も国内の人気挽回に焦っているのだ。日本は、急いで譲歩してはいけない。

外交関係では、ほとんどが「譲歩」で国益を害しているが政府の発表では「成功」なのだ。内容の不備は後からはっきりしてくる。

テレビで2島に加え国後、択捉の現状が放映さえるのをみるとロシアが開発に力を入れていることがわかる。島民の収入も他に比べると恵まれている。軍事化も進めミサイルも発射できるらしい。

日本政府はその都度「主権を害する」と異議を唱えるがプーチン大統領はやりたい放題だ。今回の発言で「日本にボールを投げた、後は日本次第だ」と思っているだろう。

易々とプーチン大統領の手に乗ってはいけない。

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