2018年11月20日火曜日

日産・ゴーン会長逮捕(2):ゴーン容疑者がいなければ日産の立て直しが厳しいか


日産・ゴーン会長が逮捕されいなくなると「日産の立て直しが厳しいだろう」と情報番組でコメンテーターが言うとMCが「では逮捕されない方が良かったのか」と問い直す。「そう」とは言わないが日産の限界を暗示したか。

日産の技術開発には昔から定評がある。フロントグリル周辺のパーツはトヨタと比べてダントツだった。時計一つとってみてもトヨタはデジタルだが、日産はアナログだった。コストに糸目は付けないと思っていた。

しかし、経営悪化に次いで測定データの改ざん、無資格者の検査などコンプライアンスの欠如を見せつけたが今度はゴーン容疑者の不正経理はガバナンスの欠如だ。

「良きにつけ悪しきにつけ」ゴーン容疑者の手腕は大きい。ゴーン容疑者なき後の立て直しに危惧する向きが多いのは当然だろう。だからゴーン容疑者なき後の日産を心配する社員も多いだろう。

ルノー、日産、三菱の三社連合もゴーン容疑者の構想だろう。各社の特徴を生かした経営戦略があってのことなのだが、一番の心配はルノーとの関係だ。ルノーはフランス政府が15%の出資をしている。国営企業とは言えないが政府の政策にも関連する。マクロン大統領の意向も重視しなければならない。

以前は、日産の経営不振をルノーが助けていたが、今はルノーの不振を日産が助けている。マクロン大統領にとってはフランスの自動車会社の先行きは心配だろう。

これを乗り切るにはゴーン容疑者しかいないことは誰でもわかる。

肝心の日産、三菱の社内はどうなるか。

想像するに今回のゴーン逮捕劇は、日産からゴーン容疑者及びその側近連中の追い出しにあるのではないか。社内に絶大な権力構造を築き我が物顔にふるまう事態を良いとは持っていないはずだ。

内部通報に基づき半年かけての慎重な社内調査、監査役を説得し、弁護士とも打ち合わせした結果なのだ。ゴーン容疑者は日本にいる時間も少ないといわれていた。鬼の居ぬ間の慎重に練られた結果なのだ。

昨日のゴーン容疑者が羽田に着いた時の様子がテレビで放映されていた。その時間に間髪を入れず日産本社、容疑者の自宅の家宅捜索が始まった。東京地検特捜部の素早い行動、さらには家宅捜索でみられる多くの段ボール箱の搬出の映像もなかった。

日産と東京地検がしっかり練って計画した行動だ。あまり日本に滞在しないゴーン容疑者を拘束するには最後のチャンスと見たのだろう。ゴーン容疑者は自分に捜査の手が迫っていることなど考えられなかったのだろう。

これから日産の経営陣はどうするのか。

今回の事件を第三者委員会で検証するという。弁護士を含めた委員会でどういう結果が出るか。ゴーン容疑者からの聞き取りもできるのか。

主力銀行はどうするか。ふつうは社長含みで幹部を送り込んでくるが今回はどうなるか。また、ゴーン容疑者と考えが合わず去っていった旧経営陣も戻って来る可能性もあるだろう。

ガバナンス、コンプライアンスの再構築も最優先だ。通常は何回やっても改善ができないが日産は経営トップの不正経理事件まで出したのだ。あいまいなことでは株主も許さないだろう。

気になることは「ゴーン会長の経営は数字合わせ、最後はカネだ」とい発言だ。経営実態に合わない数字合わせでもやっているのか。経営数値が良くなればメデイアはおだてる。経営の神様とあおる。

「カリスマ経営者」と言われる所以は何か。自動車業界の将来を先読みする才能があったのか。上がって来る提案を即決し会社を動かすことができたのか。あるいは、三菱自動車との提携も三菱グループではお手上げだったがゴーン容疑者は長期戦略で支援に踏み切った。そういう決断力は見事と言うことか。

今、日本企業もグローバリゼーションで外国人経営者を採用しているが、日本式経営のよさまで排除してほしくない。日本経済での最大の課題は内需拡大だ。誰も成功していない。日本人経営者が頑張ってほしい分野だ。


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