2018年11月21日水曜日

日産・ゴーン会長逮捕(4):あの時、ルノーが支援していなかったら日産はどうなったか


1990年頃、日産が経営不振にかかっていた時、ルノーが支援の手を差し伸べていなかったら日産はどうなっていたか。そんなことを考えると今回の日産のドタバタ劇は何だったのか。

日産は技術力はあったが、モデルチェンジに失敗したかどうかは知らないが販売が伸びない。トヨタの後塵を拝し差は開くばかりで、有利子負債は2兆円を超えた。

この日産の苦境に当たり国内で支援する企業はない。主力銀行も動いただろうが自動車メーカーどうしの系列下もできない。アメリカの自動車メーカーも手を出さない。以前から日本はアメリカ車が売れないと文句ばかり言っているが、日産を系列下にして自社の車を売ることも考えなかったのか。

労働組合も強かった。これも尻込みする要因になったのか。

そんな時にフランスのルノーが支援の手を差し伸べた。日産の不振だが技術力などは評価していたのだろう。8000億円ぐらいの支援を申し込んだらしい。日産は世界的な評価も受けていた。日産をステップにルノーが躍進の絵を描いたとしても不思議ではない。

でも2兆円にもなる有利子負債は重荷だったが、コストカッターで知られ今まで辣腕を振っていた経営不振の数々を乗り越えてきたゴーン氏が再建のため送り込まれたのだ。

主力工場の閉鎖、大量の首切りは労働組合の標的になったが、そこは日本人経営者とは違う。コストカットで有利子負債もなくしたようだ。コストカット、車種の整理と荒治療を行ったのだ。

約束した「日産サバイバルプラン」は評価され「経営者は公約し守れ」とコミットメントを社外重役でも要求したほどだ。それは当時のテレビでもゴーン語録として幾度も放映された。

この頃がゴーン容疑者にとっては評判が一番良かったのではないか。

私も車の買い替えの時、カブリオ―レに乗ってみたかったのでディ―ラ―を回っていたら、日産の販売店でルノーのカブリオ―レを見て何度も訪問、試乗までした。しかし一番心配したのはアフターサービスだった。聞くと、日産のサービス網を使うという。「売れているのか」と聞くと「県内で1台走っている」という。結局この時は購入をあきらめた。

そのうちに東京に移り住んだら、近くにルノーのカブリオ―レを所有している人がいて夏、外人の女性3人を乗せて街中を走っているのを見たことがあるが、いつの間にか他の車に変えていた。日本ではまだ需要がないのだろう。

あの時、ルノーが手を差し伸べていなかったら日産はどうなったか。おそらく最後は通産大臣が仲介に入っただろう。日本のどこかの自動車メーカーが系列下にしたかもしれない。もちろん規模の縮小は避けられない。

そして今、日産がなければルノーはどうなるか。ルノーは販売台数、売り上げも日産に劣る。ルノーが支援した8000億円も今は返している勘定になるらしい。日産の技術力を使い、日産の車種を生産しなければ経営がおぼつかなくなっているのではないか。だからこそ、フランス大統領が気をもんでいるのだ。

今回のゴーン会長逮捕、役職解任劇はルノーvs日産の問題、他人がどうこういうべき問題ではない。



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