2018年11月29日木曜日

迷えるトランプ外交:個人的信頼関係だけで外交が出来るほど甘くはない


迷えるトランプ外交か、個人的信頼関係だけでは外交はできない。それを証明するような状況が続いている。トランプ大統領は「保護主義」「アメリカNO1」を掲げてアメリカの国益を守ろうとしているが、相手国も自国の国益(?)を守るためにやってることがトランプ大統領の意向に反しているのだ・

先のAPECに見るようにアメリカ・トランプ大統領の外交姿勢が世界の協調をかき回す状況で、それが世界の外交のあらゆるところに現れている。

トランプ大統領は個人的信頼関係を築き関係改善を目指そうとしているが相手も相手で一向にお構いなしに好き勝手なことをやってくれるので妥協の道など閉ざされているのだ。

あれだけ騒がれた北朝鮮との2回目の米朝会談も年内から年明けに先送りされた。アメリカが主導する「非核化」への道筋が描けないのだ。一方で、北朝鮮はミサイルの開発など逆行する動きをしている。「これじゃだめだ」とトランプ大統領は国務長官に下打ち合わせの訪朝をやめさせた。

それでもトランプ大統領は金委員長は信用できるという。信頼関係を維持しているのだろう。トランプ大統領にしてみれば金委員長との信頼関係に価値を見出しているのだろうが、いつまで通用するのか。

プーチン大統領との米ロ関係修復会談も怪しくなってきた。ウクライナ海軍艦艇拿捕事件が発生し大統領選を控えポロセンコ氏にロシアの脅威を思い知らせる目的があったとニュースは伝える。

トランプ大統領はロシアゲート疑惑も報じられ司法関係閣僚の更迭を強行しているが、ロシアに対しては友好関係を保ちたいようだ。しかしこれでは対ロ融和姿勢は厳しくなりアルゼンチンでのG20首脳会談時の米ロ会談は難しくなった。

対中国は厳しさを増すばかりだ。トランプ大統領と習主席が友好関係にあったかどうかは知らないが、習主席の覇権主義、安全保障を守るためにも対中貿易赤字は見過ごせない。高関税の掛け合いも第4弾を打ち出しこれで輸入製品のすべてにかかわってくる。

中国はアルゼンチンでの米中首脳会談で「休戦」を持ち出そうとしているが、AIの国有企業への補助金、顧客データの取り扱い、知的財産、技術移転、関税で中国の構造的変化をアメリカは望んでいるのだ。

フランスとも関係が悪い。100年記念式典でマクロン大統領はトランプ大統領の前で「国家主義は愛国心の裏切り」と批判、NATOへの負担金増額要求に独自の「ヨーロッパ防衛軍(?)」の設立を訴えトランプ大統領を嫌悪にさせた。

日本も御多分に漏れずトランプ大統領と安倍総理の友好関係だけでは解決できない問題を抱えている。二国間貿易協定、新しいルールとして「為替条項」、対中軍事拡大ではF35を80~100機購入するらしい。

国際舞台で孤立するトランプ大統領も習主席の覇権拡大、一帯一路構想にインド太平洋インフラ整備構想を打ち出し日本にエールを送っている。

トランプ外交が続けば自由主義国の軋む政治の隙間をついて中国、ロシアがくさびを打ち込む。

国際的取り決めもできない状況が続くのか。

米が報告した地球温暖化にかかわるレポートに国際的対策が不十分で米経済に深刻な影響を与えると「私は信じない」と言うのだ。

国連の移民受け入れにも米国の政策が大きく影響している。国連の移民協定に不参加の国が続々出てきている。

一方、アメリカ国内でも矛盾が出てきた。GMが5工場を停止し、1万4千人を削減し、大型車、電気自動車、自動運転車に資本投入を強化すると発表したとたん、トランプ大統領は反発したという。

先の中間選挙ではトランプ支持者が減り上院では勝ったものの下院では負ける結果になった。2年前にトランプ大統領を支持した層が離れていっているらしい。それでも人気があるのはトランプ大統領の外交を支持してのことか。



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