2010年2月23日火曜日

「政権交代」を幻想に終わらせないために

選挙の度に負けた側は「地方選挙と国政選挙は違う」と主張し責任論を弱めようとするのが政権与党の常套手段だ。今回の長崎県知事選は、10万票に近い大差で敗れた民主党から、そんな声が聞こえてくる。

 長崎県政には、九州新幹線長崎ルート、諫早湾干拓事業、石木ダム、県庁舎移転など大規模事業に賛否両論がある。

そんな中で、副知事だった自民党系の中村さんは、経済団体幹部の作る「新知事をつくる県民の会」の養成で立候補し、37年間の実績から即戦力が期待された。一方の民主党系の橋本さんは、民主党県連の要請で、「若さ」と「金子県政刷新」を掲げて戦ったようだ。

 国政選挙とは違うと言いながら、候補者選び、中央から現職大臣や党の要人が応援に駆けつける。中村さんは副知事経験者だから、県政のことをテーマに上げることが出来るが、橋本さんは農水産省出身で中央からの応援者は、県政よりも国政の話になりがちだ。地方選と言いながら、国政選挙の様相を呈するのは当然かも知れない。

 そうなると、「政治とカネ」の問題は避けて通れないが、バンクーバー冬季五輪の熱戦が長時間放映され、政治問題は影を潜めていたので、もっと接戦になるかと思っていたが、意外な大差が付いた。

 先の衆議院選では、長崎の全4区で民主党が圧勝したが、それは何だったかと疑問が出てくる。新人や落下傘候補が善戦するには、現職の県会議員や市町村議員の支持者を動員しなければならず、当然何らかの利益誘導が中央からあったのだろう。

 しかし、今回は様子が違う。

 私も過去に組織票の一員であることを経験したが、組織の締め付けも支持政党の勢いが上向いている時はよいが、今回の「政治とカネ」のような問題が出てくると、締め付けも弱まりかえって逆効果になるのだ。しかも、民主党政権の政策の効果が実感としてまだ湧いてこない時期だ。

 民主党も恐らく組織への働きかけをやったと思うが、トップ2人が「政治とカネ」の問題をかえていては、支持も得にくいだろう。

 しかも、テレビ報道で、応援に来た閣僚が露骨な利益誘導している映像が映った。斬新な政治を目指していたはずが、選挙になると旧態然とした選挙戦を展開していたのだ。公共事業の見直し、事業仕分けが話題になっているときに、これでは有権者の反感を買うばかりだ。

長崎県民は、中村さんに金子県政の継承ばかりでなく、独自性も要求するだろう。一方で、政権与党との関係も気になるところだろう。今まで陳情、予算付けで露骨な民主党への票の取り込みをしていたことを考えると、難しい決断になったモノだ。

 この長崎県知事選での民主党の大敗は、政治の流れが変わって来たことになるのか。このままでは,本当に[政権交代は幻想だった]ことになるのか。

 小沢さんは、「政治とカネ」の問題では、地方行脚で聞かれれば答える意向であるようだが、民主党有権者の内々での説明では何の意味もない。国会の場でしっかり説明すべきである。鳩山さんだって、国会に任せるのではなく、自ら証人喚問を受けると言えば良いはずであるが、小沢さんの問題もあるので調整が付かないのだろうか。

 いずれにせよ、国民の期待を裏切らず、民主党がこの苦境を乗り越えるのは、小沢さん、鳩山さんの決断次第だ。

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