2014年10月9日木曜日

ノーベル物理学賞受賞に見る:日本の科学技術立国は赤崎・天野流が良いのでは

今回の赤崎先生、天野先生、中村先生のノーベル物理学賞受賞を見ると、日本の科学技術立国は赤崎・天野流が良いのではないかという気がする。青色LED開発で中村先生が長い間候補に挙がっていたが実現しなかった。今年は、読売新聞(2014.10.5)の「ノーベル賞 高まる期待」によると物理学では今年は「物性」だとしたら赤崎先生と中村先生の名前が挙がっていた。

人類の生活の役に立つ技術と言うことになると青色LEDの受賞は遅かったが研究開発から生産まで一貫して日本の研究者が認められたことに意義は大きい。

ところが受賞された3人を見ると我が国の科学技術立国は赤崎・天野流でやった方が良いのではないかと思う。

2人は強い師弟関係にあり、「これからは窒化ガリウムしかない」という信念の元で研究を続けた。赤崎先生がインタビューで「みんなの力、いいチームだった」と述べていたことからも理想的な研究グループを構築していての成功だったのだろう。赤崎先生の「信じられない」は謙遜としても天野先生の自分も受賞したことが「信じられない」と言ったのは本心からなのだろう。良かったと思う。

一方の中村先生は民間企業に勤務しながら、創業者が「ドンと3億円を用意してくれた」ことで研究を続ける事が出来たようだが、経営者が替わって研究を含め待遇が悪くなった。でも頑として初心を貫き成果を上げたが、報酬で不満があったようで訴訟にもなった。最後は退職するが自分を受け入れてくれる企業は国内になくアメリカへ渡ったという(今まで中村先生が新聞などでコメントしたことを記憶の範囲内で)。

その経歴から中村先生の研究の原動力は「怒り」だという。今回の受賞でのテレビのインタビューを見ていると、そんな感じがにじみ出ている。チョット日本では馴染めない雰囲気だ。

赤崎先生、天野先生のインタビュー記事から感心したことを拾ってみると、赤崎先生は失敗したことはないようだ。失敗ではなく「新たなスタート」としたそうだ。重要な発見は成功例より失敗例から生まれてくることはNHKの「プロジェクトX」でもよく紹介されていた。

天野先生の研究室もおもしろそうだ。受賞を祝う名古屋大の天野研究室が写ったとき、等身大の写真の看板が用意されていた。後で研究室の人が「受賞しなくてもノリでやったのだ」と言うことにしようと笑っていた。良い雰囲気の研究室なのだろう。

天野先生も若い人の発想の方がよほど優れている。「人のマネをするな 新しいことをせよ」
と指導しているという。

大事なことは研究費もそうだが、指導力ではないか。

地方の大学、研究所、企業にもテーマを掲げてがんばっている研究者が多いはずだ。

大学は比較的自由にテーマを選べるが、企業はどうしても金儲けと言うことになり成果が出なければ研究もしぼんでくる。こういった研究者に研究費を支給することを考えるべきではないか。

国の交付金は往々にして○○団体、○○研究会、○○審議会など村社会を通じ、ドンが研究費を配分しているのが実体ではないか。そういう既得権益者を打ち破らなければならばならない。

主流の研究ばかりでなく、将来は芽が出るかもしれないが失敗しても仕方ない考えも大事なのだ。

そして大事なことは、研究者の生活の不安があってはならない。今回は大学とか企業の属し生活の不安はなかったのではないか。

理研のような契約雇用制度ではブラック企業そのもので、十分な研究費を交付し海外からも優秀な研究者を集め科学立国を目指すと言うのが特定国家研究開発法人構想であるが、考え直す必要がないか。

こんなことをしていると、又STAP細胞不正事件のようなことが発生する。

今回のノーベル物理学賞受賞者の赤崎・天野流研究を参考に国の科学技術支援を見直すべきではないか。


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