2014年10月26日日曜日

経済再生と財政健全化:安倍政権は相反する両立に確信があるのか

政府は経済再生と財政健全化を目指すと言うが両立に確信があってのことか。今まで各政権は2015年にプライマリーバランス半減化、2020年に黒字化を公約しているが、自分の政権では出来ないことを良いことに先送りしている感じだ。どの政権で目標達成すると言うのか。

財政出動で企業活動が活発化し、賃上げで家計収入が伸び税収増、消費増で経済は好循環に入る。うまく行けば税収増で財政赤字も減少に向かうのだ。皆それを狙いたいところではあるが、財政赤字は財政出動に足かせになる。緊縮政策は国民にとっても抵抗があるのは、先の欧州経済危機で証明済みだ。

財政出動か財政規律か。

今、欧州でも仏伊とドイツが路線対立している。フランス、イタリアは財政赤字GDP比3%以下のルールは尊重するも柔軟性も大事で財政出動をドイツに要求するが、ドイツは財政規律を遵守する姿勢だ。EUのもう一つの財政規律目標の「構造的財政赤字ゼロ」も延期する国もある(毎日新聞2014.10.25)。

デフレ危機の正念場に来ており、ECBは金融緩和を打ち出しているが、効果は限定的と見られ金融政策だけでデフレを阻止できないと考えられており欧州の内需拡大を求める声がG20財務相・中央銀行総裁会議で強かった。

我が国でも日銀が実施している異次元の金融緩和も企業の設備投資には回らず金融機関は手持ちのカネを国債で運用しようとしており「初のマイナス金利」で「緩和の限界」を見せているようだ。

ところで、我が国の経済再生と財政再建については第16回経済財政諮問会議の議事録(平成26年10月1日開催)で何が話されているかが分かる。テーマは「経済再生と両立する財政健全化に向けて」だ。

そこでは、歳出の削減、投資の効率的運用、反動減など景気停滞要因などが議論されている。資料提出など議論は民間議員主導で行われている。

民間議員から公共事業は優先度の高い事業、社会保障も効率化と重点化で非社会保障し支出の圧迫を回避、行政システムの効率化、補正予算や繰越金の巨額化のため効率的な予算の仕組みの構築、薬価基準の適正化で医療費支出の抑制等が提言されている。

優先順位、効率化、重点化などいつも言われていることだが、その改善状況はどうなのか。

麻生財務相は、諸外国は財政再建をすすめている中で日本だけ遅れている。プライマリーバランス半減目標達成には27年度の予算が大事になると言う。

民間議員は、社会保障給付額総額107.5兆円のうち高齢者向けは67%に当たる72.2兆円、一方児童/家族関係では5.3%で5.7兆円と非常に低く高齢世代から若い世代へ金を回せという。

内閣府の資料でも300万円以下の低所得者に消費支出を絞る傾向があり、将来のことを考えてのことか。逆に高齢者は収入が減っているのに消費は減っていないという。

新聞報道では反動減の回復が遅れている要因に天候不順が上げられているが、経済財政諮問会議でも検討されていた。

内閣府の資料で7~9月期は2000~7000億円、GDPで0.2~0.6%押し下げる結果になった。天候不順も影響しているだろうが、民間議員は他に実質所得の落ち込みも考えられるという。

黒田総裁は、企業部門では所得から支出へと好循環を維持しているが、家計部門では雇用、所得は着実に伸びているが消費は「少し弱め」という。

円安への影響について、菅官房長官が円安になっても輸出はほとんど増えていない。海外から日本にもどろうとする雰囲気がないと国民の見方と同じ考えを述べているが、黒田総裁は数量が増えないのは海外への移転が増えたためで、輸出を通じて成長率を押し上げる効果は「やや弱め」で、その背景にある循環的要因、構造的要因を十分に勘案しつつ経済見通し、経済政策を考えていかなければならないという。

リーマンショック前の108~109年にもどっただけ(麻生財務相)で、企業の国内生産は「国内需要」プラス「80円でも利益の出る製品」に限定している(民間議員)と見ている。

円安の効果は「タイムラグ」があり、もう少し様子を見るべきなのだろう。円安になったからと言って直ぐには変わらないと言うことか。
経済財政諮問会議での議論は中央官庁でどのように生かされているのか。安倍総理は「経済再生と財政健全化の両立は中長期的観点からも重要な課題で議論を進めしっかり取り組め」と結んだ。

いつも思うことだが、会議に提出された資料の添付が議事録にはない。資料の添付があればもっと分かるのだが。


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