2014年10月14日火曜日

不透明さを増す世界経済:ユーロ圏はデフレ、日本はリセッション、米国はドル高懸念?

G20サミット、財務相・中央銀行総裁会議などが頻繁に開催され世界経済状況を話し合われているようだが、デフレ危機へ向かうユーロ圏、リセッションが心配されている日本、そして一人勝ちのようだがドル高が懸念される米国と不透明さを増す世界経済にあって妙案はなさそうだ。

最近のメデイアの報道から世界経済の現状と行く末を拾ってみた。

行き着くところは「財政再建」か「成長路線」かと言うことになるが、財政出動は財政再建に相反する政策でバランスを取るのが難しい。IMFはユーロ圏のデフレの確率を40%といい、日本のリセッションの確率を25%と言って危機回避を迫っている。

以前からG20でも成長を底上げする対策の検討を申し合わせ「財政出動」を促す。

ユーロ圏のデフレ危機を目前に麻生財務相は「日本は金融緩和と財政出動でデフレから脱出しつつある」と言ったようだが、海外では日本をリセッションの危険もあるとみている。IMFは消費税増税で日本の成長率を下方修正したが国の借金が高水準であることから10%への消費税増税を促す。

国内では消費税増税に賛否両論だが、賛成派は「法律通り粛々と進めろ。国際的にも公約になっている。増税しなかったら国債は下落し金利は上昇する。計り知れないリスクがある」と主張する。今のところ財政再建策は増税しかないのだ。

債務返済か成長かと言うことなのだろう。確かに借金もGDPの2倍と先進国内では最悪であるが、資産も600兆円(?)あるので借金が1000兆円を越えていても問題ないという主張もある。

ここのところをはっきりしてコンセンサスを得なければ財政運営は曖昧になる。IMFなどが借金の大きさを危惧するが、財務省からの出向者により財務省を代弁しているのだ。

ユーロ圏も金融政策だけで対応するのは限界で、ドイツのように財政に余裕のある国に財政出動を促すがドイツは財政規律を守る姿勢だ。

協調より自国の財政運営が優先するのは責任を持つ政権としては当然だろう。他国のためになんてことは二の次だ。
米国も景気は回復傾向にあるらしいが、日本と同様に政府債務、人口の高齢化を抱えている。今、量的緩和の終了、利上げによる金融政策の正常化も話題に上がってきて一人勝ちのドル高傾向であるが当然輸出への影響があり喜んでばかりはいられない。

国際的には「通貨安競争」をしないという了解がある。日本も量的緩和で円安を目指す政策が批判されたが、日本経済再生は世界経済に貢献するという理由で容認されている。しかしドル高は米国にとっては輸出への懸念が出ているし、日本は円安で悪い物価上昇の様相を来たし「不況」が現実になりそうだ。日銀はお構いなしに量的緩和を継続する。

米国は他国に財政出動を促し世界経済を引っ張ることにより対ユーロ、対円の改善を目指そうとしている。

ところで先進国が実施した量的緩和での資金はどこに行ったのか。新聞報道では新興国の投資には向いていないという。では株式や債券の購入に回っているのか。

新興国には年に1兆ドル(107兆8000億円)の資金が回っていると言うが更に1兆ドルの資金需要があるというのだが新興国への投資にはリスクが付き物で躊躇しているらしい。

先進国主導の開発銀行による投資に加えて、今中国が主導する開発銀行による投資が動いているようで先進国は警戒している。世界経済へ中国の発言力を強めようとしているのだろう。

でも中国の今の一党独裁の政治体制を考えると中国の援助で開発することに怖さはないのか。カネさえあれば良いとも言えないだろうと思うのだが。

今世界は混沌としている。

ウクライナ、ロシア問題でロシアはG8から外され制裁でインフレ? プーチン大統領の発言力も落ちてきたという。

シリア、イラク、「イスラム帝国」問題では、米国などの制裁行為が長引けば経済にも影響が出てくる。地政学的リスクは市場に敏感に反映する。

中国も人口が多く巨大な市場で経済性成長が期待されていたが、一党独裁政治の弊害から投資は中国を避け東南アジアに向かう。テレビ映像では不動産バブルが何時弾けるかが注目されるが危険をはらんだままだ。

欧州経済の危機も再現しそうな雰囲気でデフレ危機が叫ばれている。ユーロ圏の経済の失速は世界経済に悪影響を及ぼすことは間違いなく、G20財務相、中央銀行総裁会議でも成長底上げが議論された。

驚いたことに米国でのエボラ出血熱の人感染が伝わったとき、株価が敏感に反応した。

市場はあらゆることに反応しリスク・オン、リスク・オフを繰り返し利益確定売りもあって市場は落ち着かない。それに振り回される各国トップも気の毒だ。

「市場が先か、政治が先か」。動きに目が離せないが、世界経済は悪い方向に動きかねない瀬戸際のようだ。

国内経済政策だって賛否両論がありまとまらないのに世界経済の政策協調なんて出来るはずがない。ドイツが財政出動を求められているのに財政規律を頑なに守ろうとする姿勢からも分かる。

我が国経済も海外ではリセッションの可能性もあるとみられていることに注意すべきだ。


0 件のコメント: