2017年10月16日月曜日

国内外で賛否が分かれるアベノミクスという経済財政政策

朝日新聞 2017.10.16
安倍政権が訴えるアベノミクスという経済政策は国内外、自民党内でも賛否が分かれてきたが、どう評価すれば良いのか。これまでの実績を評価し、今後の経済政策の信を問う「国難突破解散」になって欲しいのだが。

安倍総理は「この国を守る」と「アベノミクスの加速」を訴えるが、国内外で賛否が分かれるアベノミクスという経済政策をどう評価すれば良いのか。第一の矢「異次元の金融緩和」、第二の矢「財政政策」、第三の矢「規制緩和、成長戦略」で円高→円安、株安→株高へのきっかけを作りアベノミクスを肯定する雰囲気が続いている。

しかし既に5年、成果が薄いと思ったのか、安倍総理は新・第三の矢を出し今回の自民党の公約にもなっている。

海外の専門機関が「アベノミクスの限界、規制改革、構造改革が必要」と指摘するし、機会毎に招聘したノーベル経済学賞受賞者も安倍総理の前では評価するも帰国後は批判する始末だ。

自民党内でも反アベノミクスの勉強会が出来たし、ポスト安倍の閣僚が見直し論を言い出した。今アベノミクスを唱えているのは安倍総理の側近連中や経済財政諮問会議などでのYES MANぐらいだろう。否、もっといた。ヨイショするジャーナリスト、経済評論家だ。

日銀の総裁の首をすげ替えての第一の矢・「異次元の金融緩和」も「2年で2%」は公約破りで6回も先送りされ、それでも達成は疑問視されている。

市場にカネを流せば物価は上がり、円は安くなると政権交代時の選挙では自民党の新人まで「そんな事が分からないのか」と訴えていたほどだ。円安にはなったが物価は上がらない。「脱デフレ」宣言をしたいだろうが無理だ。そもそも景気が良くなって物価が上がるのが経済なので市場にカネがあるから物価が上がるのではない。

黒田総裁はそれが分かっていたのだろう。市場の期待感を煽ったし、金融緩和策は一時の時間稼ぎ規制改革、財政政策の必要性を訴えていた。

欧米の中銀は縮小策へ、FRBは資産売却、利上げのタイミングをとり金融正常化に向けて動くが、日銀は安倍総理がアベノミクスを推進する以上は「出口戦略」を口に出せない。安倍総理も出口戦略については「2%物価目標を達成していない」と拒否する。

第二の矢の財政政策では安倍総理は財政出動派だが財政再建策も掲げ日本経済の両輪だといったが、今回の選挙公約では先送りするが看板は掲げておくと言い出した。

財政再建は国際公約だが、「今は、消費税増税、財政再建は止め財政出動するときだ」というシムズ教授を始め経済学者が多い。古くなったインフラ整備、大規模災害に備え公共投資など確か5兆円を上げている。

麻生さんは経済財政諮問会議で財政出動より「民間出動だ」と主張し民間議員も賛同するが民間企業の動きは鈍い。企業は輸出や海外投資で儲けるが多くは国内の設備投資に回さず、企業の内部留保に努め360兆円にもたっする。これをはき出させようと内部留保に課税しようと「希望の党」が主張する。

法人税の減税などの税収減の一方で企業業績が上がったための税収増もあろうが政策推進には赤字国債を余儀なくされる。90兆円を超える国家予算に中で30~40兆円(?)が赤字国債で借金は安倍政権でも増えている。

アベノミクスの目的の1つにトリクルダウンを期待する。企業の儲けを家計に再分配し消費を伸ばそうというのだが政府が要求する賃上げにも腰が重い。海外の著名な経済学者が「トリクルダウンなんて今まで見たこともない」というのだ。

我が国も外需より内需拡大が要求されたとき、前川レポート、21世紀版前川レポートが報告されたがうまく行かなかった。その要因には企業の儲けを家計に再分配するシステムがなかったことが上げられている。今もその状況に変わりは無い。

企業活動を活性化し、海外から企業を呼び込むために法人税を減税する。税収は減る一方と思われたが、ここ5年間で効果があったのか。

第三の矢「規制改革、構造改革」は安倍政権でも「固い岩盤にドリルで穴を空ける」と威勢の良いことをいうが戦略特区構想では「森友・家計学園疑惑」で安倍総理夫妻の悪行で行政の公平さ、平等を害する結果をさらけ出し、「安倍さんは信用できない」と内閣支持率の下落を招いた。今回の冒頭解散もこの疑惑を追及されるのを恐れての行為であったことは皆知っている。

官僚、既得権益者の岩盤に風穴を空けても新しい権益者が生まれてくるのだ。

誰が名付けたか、アベノミクス。欧米経済のタイミングも合って当初は成果が認められたために否定に及び腰な点もあるがタダの経済政策、得意な点は「異次元の金融緩和」だが、海外からは「周回遅れの日本」と心配されている。


大事な政策をネーミングで覆い被せてはいけない。希望の党の小池さんは「ユリノミクス」と言い出した。

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