2017年10月24日火曜日

今日の新聞を読んで(112):民主政治のためには健全な野党の育成が重要では

今日の新聞を読むと自民の圧勝、立憲民主以外の野党の失速、一方で得票率の割には議席数の多い小選挙区比例代表制の不備を指摘する記事が多いが、安倍一強・自民党政権に対する危機感もあり民主政治の維持には有権者が健全な野党を育てることの重要性も出て来た。

圧勝した自民党の得票を見ると得票率48%で議席数75%の218議席、全有権者で見ると自民党の得票率は小選挙区で25%、比例で17%。4人に1人が自民党支持だが、これで憲法改正に突き進むのは乱暴過ぎると思うが、勝てば官軍だ。

評価は「野党の失策で自民一人勝ち」させ、勝敗のライン233議席(安倍総理)を大きく越えた。

一方で、野党共闘が出来ていれば3割に該当する63選挙区で勝敗が逆転するという(朝日新聞2017.10.24)。

メデイアの報道によると、仏・フィガロは「自民党は「選挙の懸け」に勝った」と言うし、希望の党の失速についてテレビ朝日の羽島モーニングショーでコメンテーターの玉川さんが「排除した側が有権者に排除された」と小池代表を皮肉っていた。

今回の「政権選択」「国難突破」を掲げた選挙だったが野党への期待〈希望〉が持てず、取り敢えずは「安定政権、強い政権」を求めて自民党を選んだのだろう。株高、内容に問題はあるが求人数の改善は良くなっている。企業の業績も良いことが若者を信頼させたのだろう。

これからも2020年まで、自民党が認めれば安倍政権が続くことになるが、国民に取って本当に良いことなのか。圧勝したと言っても選挙対策本部で候補者のボードに当選のバラを付ける安倍総理の顔は冴えなかった。勝っても何かを感じていたのだろう。

安倍政権の今までの国会運営をみると、国会軽視の姿勢がうかがえる。今回の解散総選挙でも国会での所信表明がない冒頭解散、国会開催に要求があったのに無視した憲法違反の行為、集団的自衛権では国会審議せずに閣議で解釈改憲をやってしまったし、安保2法の国会審議を見ても委員会は強行採決で担当大臣も答えられない内容の法案を通してしまった。

多くの国民が説明不足という「モリカケ」問題も真面目に説明する事なく封印し選挙で禊ぎをしたと思っているようだ。森友、加計学園疑惑に関係した議員は当選し国会に戻ってきた。

民主政治、憲法の趣旨も無視する国会運営は安倍一強・自民党政権の「一種の暴力行為」だ。

そして多くの国民が平和憲法改正は国民を戦争に向けさせる危険があると憲法改正に反対しているが、これも暴力の一種だろう。

社会学者のマックス・ウエーバーが「国家とは与えられた領域で暴力の正当な行使を独占する主体である」と定義した。

「暴力の正当な行使」とはどういうことか。そんなものに正当性などないのではないかと思うのだが、正当とは「受け入れられている」とか「太刀打ちする者がいない」という内容らしい。

「受け入れられている」とは今回のように選挙で認められたこと、「太刀打ちできる者がいない」とは野党がゴタゴタして与党に対抗出来ないことを考えるとマックス・ウェーバーの言う通りの国家観だ。

自民党圧勝でも「自民で仕方ないが、安倍はイヤだ」ということは世論調査での安倍政権の賛否で分かる。「丁寧」「謙虚」と繰り返すが誰も本気にはしていない。

今回は野党のゴタゴタで漁夫の利を得た感じだが、これで野党の離合集散が始まるだろう。時間はかかるが各党の立ち位置がはっきりしてくるので民主政治を守るためには野党を育てることも国民の役目ではないか。メデイアも野党のゴタゴタを面白がって報道するだけではメデイアの役目を果たしていない

今回の選挙の成果は、ゴタゴタしていた民進党の分裂、大きな希望を抱かせていた「希望の党」の失墜で野党再編のための条件が新たになって来たことではなかろうか。
願わくば、保守系リベラルが野党第一党になって欲しいのだが。


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