2009年5月18日月曜日

新型インフルエンザ感染拡大:正当な理由で怖がることの難しさ?








新型インフルエンザの人から人への感染が拡大しているようだ。朝テレビを付けるとトップニュースは新型インフルエンザのニュースで、ニュース画面の作成が間に合わず、手書きになっている。

 今の段階で強毒性の新型インフル発生時のマニュアルに従って対策をとっていくと、都市生活の支障を来すとして、橋下大阪府知事は政府に見直しを要求している。

しかし、韓国は日本を危険地域にしていした。

 一方の政府の対策本部は、今の段階で休業などの一律規制は考えていないと言う。
 大阪、神戸では、臨時休校、イベントの自粛、不要不急の外出を避けるように指導しているが、ここはパニックにならず、国民一人一人が情報に基づきうがい、手洗い、マスクなど自己防衛すべきであろう。

新型インフルエンザに日本人の感染が確認された時に、専門家が注意喚起に引用した寺田寅彦の次ぎの言葉が紹介された。

 「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだ」。

 寺田寅彦は昭和10年8月に2回にわたり、浅間山の小爆発を経験した。一回目の4日、噴火の後帰京しようと駅で待ち合わせしていたら、今浅間山から降りてきた学生と4人づれの登山者が登山道を上りかけていた。爆発しても平気で上っていった。学生は「何でもないですよ、大丈夫ですよ」と言うのに対して、駅員は「いやそうでないです、そうでないです」と言う場面を小爆発二件に記している(寺田寅彦随筆集第5巻 岩波文庫1999.6)。

 まだしばらくは数字が吸えるだろう。このまま小康状態になるとは思えない。気温や湿度が高くなってくるとウィルスの活動も鈍ると思うが、逆に秋以降は更に拡大するかも知れない。しかも南半球はこれから冬になる。季節性インフルエンザと新型インフルエンザが混在する「第2波」が続くのだから混乱することは十分に想像できる。その時どう対応するかだ。

 保育園、幼稚園や学校で集団生活する子供を抱えている家族は大変な時期になる。
 今まで東京の保育園だと年少では毎朝体温測定が義務づけられており、38℃以上は預け入れ出来ない。年中、年長になると測定が省略されていたが、強化されるのではないか。私の孫も時々、保育時間中に「体温が38度以上あるので、迎えに来てください」という連絡が来て、迎えに行くことがある。こんな機会が増えるのではないかと心配している。
 2人の孫が同じ保育園に行っているが、1人が新型インフルエンザにかかると、まだ症状の出ていない孫も自宅待機になるのだろうか。

 娘には、38度以上の熱が出た場合の都や区の発熱相談窓口の電話番号と、どういう手続きで医者の診察を受けることが出来るのかを確認しておくように言った。
 私の住んでいる地域の対応を調べてみたが、自治体、医療機関によって対応が違っているようだ。キチンとした対応が決まっている自治体は、公立病院でも玄関に「新型インフルエンザ症状の問い合わせについて」という注意事項が張り出されている。該当する人は先ず保健所の窓口に相談すれば、その後の指示がなされるようだ。

 群馬県も大阪、兵庫から離れていることで、まだ発熱外来は設置されていないが、地域によってはインフルエンザAが流行していると発表されている。

 既に国内の高熱患者の診療拒否の事例が100件ほど出ているようだが、開業医院の玄関にはまだ注意事項の張り出しはない。フェーズ6に格上げされると状況が違ってくるのだろうが、診療拒否は確かに医師法違反になるという舛添さんの警告は当然であるが、何故先ず「相談窓口に相談してください」の張り出しをしないのか。今の時点で張り出しすると患者が減る心配もあるのだろうか。

 一方で、たかが高熱程度で保健所に相談し、指示に従うことを面倒と思う人も出てくるのではなかろうか。
 薬局(ドラッグストア)で解熱剤、感冒薬を買って飲み、ほとんど症状が改善せず、むしろ悪化し、インフルエンザが蔓延する危険もある。
 薬局でどうするのか聞いてみた。
 解熱剤や感冒薬をレジの後ろの薬品棚に載せている薬局では、聞いてきたお客さんに問診してみるという。そうでなく店内の薬品棚に並べている店では、薬剤師が巡回しアドバイスする方法を考えているという。
 公衆衛生の面から考えると、自分勝手な判断は禁物である。

 これからは本当の「危機管理」が問われるときなのだ。

 私も今までこの寺田寅彦の随筆「小爆発二件」を3回ほど引用した記事を書いたことがあるが、上記のこの部分を改めて読み直し「なるほど」と思った。
 公衆衛生の基本である、うがい、手洗い、マスクの着用、社会ルールをしっかり守り、この危惧される事態を切り抜けようと思うが、興味のあることに60歳以上の高齢者では、季節性インフルエンザと新型インフルエンザでは違いがあるようだ。新型インフルエンザには高齢者は免疫があって罹りにくいと言われている。
 今冬のインフルエンザ流行期に、家族の対応に年配者が役立つかもしれない。


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