2009年12月6日日曜日

政治資金規正法は格下の法律か




 小沢さんは、巨額の不動産を購入していたと指摘され売却、公設第一秘書が逮捕された献金疑惑では「修正すればいいだけの形式犯で何故逮捕するのか」と真っ向から検察を批判した。鳩山さんは、故人献金、母親からの超多額の資金提供を「知らなかった。驚いている」、「公設秘書がやったこと」と終始曖昧な説明だ。

 政治献金疑惑で、議員辞職まで追い込まれた議員もいるが、それは少数例で多くは責任逃れで生き残っている。

 政治資金規正法は、「規制」ではなく、「規正」と言われているように重要な法律なのだと主張する法律家もいる。辞書の通りだと、「混乱しないように規則を作って制限することではなく、悪い点を正しい方に直すのだ」とすると、チョッと意味合いの違う法律だ。

 しかし、民主政治のために、我々が代表として国会へ送り込む人達の政治活動を規正する法律としては、格下の法律と見られてはいないか。

 法の解釈に迷ったら第一条(目的)をよく読めと教えられた。図書館で政治資金規正法を開いてみた。

 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみー中略―政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行なわれるようにするためにー中略―政治資金の収支の公開並びに―中略―政治資金の授受の規正、その他の措置を講じることにより政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とするとある(第1条 目的)。

 崇高な法の目的とは裏腹に、議員や候補者のその理念の低さに驚くばかりだ。「正直に報告しているから問題ない」とか「知らなかった」ではすまされないのだ。

 その基本理念では、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民に委ねー中略―適切に運用されなければならないという(第2条 基本理念)。

 昭和23年に制定された法律だから、国民の浄財を集めて活動することを前提にしているのだろうが、何か見返りを要求されているような、いやしくも国民の疑惑を招くようなことをしてはいけないのだ。 

 その政治資金の運用も金融機関への預金、貯金、債券などに限られている(第8条の3)。政治資金で不動産取得を取得するような蓄財なんて考えられないことだ。それが政治家個人のモノだとすると誰だって疑う。

 政治家が「オレは関与していない」、「秘書に任せている」と言い逃れ出来るのは、政治団体の会計責任者に報告書の提出義務があるのだ。国会議員本人は何ら関係ないのだ。
 しかし、これはおかしい。私達が何らかの報告書を自治体や国に提出するときは、企業では社長、事業所長など、施設では施設長や理事長の名前でするのが常識で、経理部長の名前ではない。

 本来は候補者や議員本人の名前ですべきである。そうすると責任が明確になる。

 お笑いは、報告書の真実性の確保のための措置として、「真実の記載がされていることを誓う」旨の宣誓書を添付する必要があるという(第29条)。

  監督上の措置として、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会は、提出書類に形式上の不備があり、記載が不十分であると認めるときは、説明を求めたり、訂正を命じることができる(第31条)。

 これに反する場合の罰則は、3年以下の禁固または50万円以下の罰金だ。

 政治資金規正法が、甘く見られているのは、その形式的処置からだろう。

 一方で、衆議院議員や参議院議員に係わる公職の候補者が代表である政治団体でも「政治資金監査報告書の提出が求められているが、この時は登録政治資金監査人(弁護士、公認会計士、税理士)が作成した報告書を合わせて提出することになっている(第19条)。

 政治資金規正法が、国会議員に軽視され、格下の法律のように扱われているのは、法の趣旨に反する。

 西松建設違法献金の問題のあり、企業、団体献金の禁止などが課題になっているが、議員本人が責任者となり提出義務を負い、政治資金報告書は予め公認会計士などの監査を受けるべきである。形式上の措置で済まない大きな疑惑のある場合は、議員辞職など罰則も強化すべきである。

 政治倫理に欠ける人が議員に選ばれたり、政治資金規正法で疑惑を持たれた人が政治の中枢に座り、その追及で政治が停滞することのないようにオンブズマンの活躍を期待すると共に、何よりも自分の選挙区の議員、候補者に疑惑のある人をあててはいけない。

 この法律の保護法益が何であるか、しっかり考えなければ・・。あっせん収賄、業務上横領、詐欺、脱税の隠れ蓑になってはならない。

 政治資金規正法は、格下の法律ではない。政治家の公明、正大な活動を希求する重要な法律なのだ。

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