2010年8月30日月曜日

民主党代表選:中途半端な調整より、分裂し党内整合を


今回の代表選は菅、小沢両実力者(?)による勝負になり、予想される分裂の危機を避けるための動きが活発になってきた。政権の座にとどまるには、それも一つの方法であるが、ここは中途半端な調整ではなく、分裂で党内整合をするのも一つの手である。

民主党はその生い立ちから、保守から革新に至るまで、いろんな考えの集団が集まり、形成された党であり、その得体は計り知れない。基本的な政策については、細部にわたり意見の対立で骨抜き政策になりかねない。

今まで政権を目指して一致団結していたが、一端政権に就くとイデオロギーが支配する。民主党政権の混乱は、今後も続くことは明らかである。

小沢さんは、支配下に置く国会議員数から大多数のポイントを得ていることは想像できるが、メデイアの報じる世論調査では逆に菅さんが圧倒的に優位である。しかし読売新聞の世論調査でも分かるように、菅さん支持の理由は「首相が短期間で変わるのは良くない」と言うことで、政策、リーダーシップでは小沢さんが圧倒的に評価されている。

民主党員、サポーターは難しい判断を強いられることになる。

私も先に政治の安定の為には、鳩山さん、小沢さんは政界から引退した方がよいと書いた。政権党の民主党が安定しないためだ。

その考えに代わりはないが、中途半端な調整で、禍根を残したまま政権に当たるよりも、いっそのことガチンコ勝負で分裂し、党内の整合を図った方がよいような気がする。分裂回避に挙党態勢が求められているが、政界は「小沢vs反小沢」の構図であり、その根源である「権力の2重構造」、さらには「政治とカネ」の問題は民主党で顕在化した。どんな位置づけでいようと小沢さんを抱えている限り、民主党政権に安定など求めることは出来ない。

政策面では、マニフェストに掲げられた政策も、支持団体、党内各グループの主張で細部が骨抜きにされては、それこそ国民を裏切ることになる。公務員制度改革などはその例である。憲法改正や安全保障など国体の根本を為す政策においては相当な混乱が予想される。

民主党は、離党すべきグループは離党し、すっきりした形で政策提言し、早い時期に総選挙で新しい政権の枠組みを築くべきではないか。
自民党もこの1年下野し変わりつつあり、今までの自民党ではない。復権に向け早い時期にチャンスが来る。民主党は野党時代に良いことを言っていたが、今の自民党もそうだ。

寄り合い所帯で、反自民でしかない民主党にどこまで期待できるのか。
写真:民主党本部 寄り合い所帯の為に、争いごとが耐えない。むしろ分裂し党内を整合性したらどうか

2010年8月29日日曜日

政治に混乱を招くだけの鳩山、小沢さんの存在か


代表選をめぐり政権党の民主党が非常事態に直面している。その中で鳩山、小沢さんの存在が混乱を大きくしている。鳩山さんの優柔不断さは仲介役不足であるし、小沢さんは相変わらずの権力闘争に徹している。

民主党のスローガンは「国民の生活が第一」でありながら、実体は、我が身の権力保持にあるだけなのだ。鳩山さんは、民主党分裂の危機に当たり、仲介者を気取っているが、優柔不断さは、総理時代から変わらず、支持がブレまくって、寧ろ混乱に輪をかけている。

小沢さんも、小沢さんで自身の政治塾で、多くの報道取材陣を前に「今日は下世話の話はしない」と言ったが、小沢さんこそ代表選を権力闘争の場として下世話な話題に持って行っている。

出馬宣言する前は、自分の考えは述べず周辺議員が憶測で忖度し、その政界の動きを影で楽しんでいる闇将軍だ。民主党が目指す「クリーンで開かれた政治」都はかけ離れた政治手法である。

今までのひ弱な総理を見るに付け、強力なリーダ-シップが要求されているが、小沢さんにその力があることは認めるも、自らも「政治は権力闘争」と言うように、政局を小沢さんに頼る危うさは付きまとう。

我々の総理を選ぶことになる代表選にあって、民主党国会議員と国民の間に乖離がある。議員数では圧倒的に小沢さんが有利であるが、ある通信社の緊急世論調査では菅支持69%、小沢支持15%だ。

小沢さんの側近議員が「小沢出馬」を煽っていたが、実際に小沢さんが出馬を宣言すると、かえって戸惑っているのではなかろうか。彼らの狙いは、小沢さんの出馬ではなく、「脱小沢」戦略で失った党内の権力奪回にあったのではなかろうか。

政権党にあって、鳩山さん、小沢さんの存在は混乱を招くだけだ。国民のためというのであれば、1日も早い政界からの引退が望まれる。
写真:首相官邸 民主党代表選後の予想される混乱をどう乗り越えられるか

2010年8月27日金曜日

民主党代表選:世論に反する小沢氏出馬だが、輿論は


世論(せろん)では、80%の人が小沢さんの要職復帰に反対しているにも係わらず、小沢さんは勝負に出た。どんな輿論(よろん)を背景にしているのか。

一方菅さんは、世論の支持も約60%に達していたが、菅再選の予想も危うくなってきた。

今度の民主党代表選は、即我が国の総理を選ぶことになる。国会議員824ポイント、地方議員100ポイント、サポーター300ポイントの合計1224ポイントのうち両陣営がどれだけ獲得するかにより決まるようだ。国会議員が大きなポイントを持っているので、議員の取り込みが重要になる。

今、小沢さんの出馬を支持を訴えているのは、民主党の小沢系と言われている議員が中心だが、広く議論され、公正な考えの輿論(よろん)になっているのかは甚だ疑問だ。

メデイアが報ずる処によると、小沢系国会議員の小沢支持の理由として、挙党一致体制の構築、先の衆院選でのマニフェストへの原点回帰、「ねじれ国会」での国会運営、政界再編には小沢さんの手腕、強いリーダーシップなどが挙げられている。

しかし、本音を言うと、人事で干された小沢系議員が主導権を取り戻そうとする権力闘争で、小沢さんが代表になっても挙党態勢など出来るはずがない。寧ろ強権政治の再来である。

マニフェストの原点回帰だって怪しいモノである。菅政権は現実論からマニフェストの見直しに取り組んだが、その政策推進のための財源をどう考えているのか。4年間は増税しないと言う約束を守らなければならない。特別会計の見直しも容易ではないと言う話も出てきている。マニフェスト推進に当たってもっと正確な情報が欲しい。

メデイアや国会議員は政界再編を煽っているが、直ぐにどうなる問題ではなかろう。水面下での寝技が必要になり、小沢さんの得意とする政治手法であろうが、「開かれたクリーンな政治」を目指す民主党にとっては相容れない政治手法だ。

強いリーダーシップの必要性は確かだ。今までの総理はブレたり、政治オンチな唐突な発言が多かった。その都度支持率を落としている。しかし、小沢さんのような古い体質の旧態然とした政治手法を国民は望んでいない。

更に小沢さんには「政治とカネ」の問題が付きまとっている。政治資金規正法で3人の秘書が起訴されてもいるが、政治的責任は幹事長辞任で取ったと周辺は解釈している。
小沢さんは、出馬に当たってどんなメッセージ、政策を発するのか分からないが、自分の政治塾で「日本人は劣化している。きちんとしたモラルを身につける必要がある」と挨拶していたが、自分のこととして、小沢さん自身が本当に変わらなければ、支持など得られるはずがないと思う。
写真:民主党代表選で「菅vs小沢」を報じる読売新聞 2010.8.27

2010年8月26日木曜日

小沢氏代表選出馬:政策推進か、党内抗争か


小沢さんが最後の賭に出たようだ。鉢山さんの支援を取り付けて決断したという。菅政権になって変更されるマニフェストの原点復帰か、相変わらずの権力闘争なのか。

菅さんも小沢さんも民主党の創業者である鳩山さんや鳩山グループに取り込みたい気持ちは分かる。鳩山さんと相次いで会談を持ち、昨日までは、挙党一致を条件に菅さんの支援に廻っていたが、突如小沢さん支持に寝返った。

鳩山さんの相変わらず優柔不断だ。一番最後にあった人の考えに同調することは、総理の時から言われていたが、今回もそうなった。こんな男を信じて良いのか。こんな人間が民主党内を調整していると思うと、愛想が付く。

小沢さんは出馬表明で、鳩山さんが「決断するなら全面的に協力、支援していきたい」と言うので決断したというし、鳩山さんも「自分の一存で民主党に入って頂いた。その経緯から支持することにあいた」とコメントした。

一方の菅さんも「大変良いことだ」と鷹揚に答えていたが、以前の代表選では負けたこともある。最近の世論調査で約60%弱の人が菅さんを支持しているが、「菅vs小沢」では民主党を2分し、党分裂の危機も抱え、内心は穏やかではないはずだ。

今の民主党にあっては、挙党態勢が築けるか、マニフェストの原点回帰、唐突な消費税問題言及など菅代表のやり方への不満があったのは確かだ。

今は、挙党一致態勢に持っていけないことから権力闘争の様相だが、どんな政策で戦うのか。

小沢さんには「政治とカネ」の問題が付き廻るが、これに対しては一切国民に答えていない。世論調査でも80%の人が小沢さんに否定的だ。もし代表→総理となるとどう対応するのか。

財政危機であるのに、バラマキ予算をどうするのか。

そして、民主党が目指す「開かれたクリーンな政治」を小沢さんはどう展開していくのか。今までの政治手法を否定することが出来るのか。

政権与党の党内抗争は、即国民の生活に影響する。どっちにしろ政治は混沌としてきた。

2010年8月25日水曜日

異常な円高:市場になめられた民主党政権か




菅さんが財務相に就任したとき、為替の問題で「円は95円程度」と発言して物議を醸したが、今85円を切り15年ぶりの円高になった。菅さんや財務相の野田さんは「注意深く様子を見る」と言うが、口先介入に市場は反応しない。

民主党政権を「どうせ何も出来ない」だろうと、見くびり、試しているようだ。

日本経済は多くの問題を抱えており、円高になるほど優位に立っているとは思えない。1000兆円になろうとする債務残高、対GDPでは180%を越え先進国では最悪の状態で、一般会計の約半分を赤字国債に依存する予算編成は続く。

財政再建は避けて通れない課題であり、消費税増税が参院選の争点になり、予想外の敗北を期して、菅総理は消費税問題を封印してしまった。IMFは、日本に消費税15%を提案したが、「財務省の意向を受けて」の提案ではないかと財務省パッシングになった。

こんな日本経済の状況下でも、学者によっては、「日本人の金融資産は1400兆円あるとか、政府純債務で考えると対GDPは欧米諸国とそんなに違わない」と危機感を払拭する。国債の約95%を日本人が持っていることも強みらしい。消費税増税問題とあわせて良く議論しなければならない。

米国内の経済が予想以上に厳しいらしいし、ユーロ圏内の不安も残っている。米国の製品を売りたいオバマ政権にとってはドル安は好都合だ。米国は中国元の切り上げを要求していたが、間違って円高を招いてしまったのか。

政府・日銀は様子見のようだが、こう円高になっては経済界も黙ってはいない。政府に対策を要求してくる。しかし、策が乏しいのも確かだ。

日銀の白川さんが副総裁から総裁に昇格したとき、今の日本経済の状況では誰が総裁になっても舵取りは難しいと言われていた。日本はすでに超低金利だったために、金融政策の取りうる幅は、ほとんどなかったのだ。

ここに来て、再び政府と日銀の強調が大事と言うが、民主党は政治主導の名の下に日銀総裁もメンバーだった経済諮問会議を廃止した。コミュニケーションは保たれていない。電話会談で終わったと言うことは、有効な政策はないと言うことか。
介入する介入すると言って介入しなかったり、メデイアがとり得る政策を報道すると、市場は織り込み済みで動くから、実際に実施されたときには、ほとんど効果が現れない。今回も同じ状況になってきた。インパクトを与えるためには、期待されないうちにやってしまうことだ。

円高になれば株価も下げる。輸出産業が売られるという。経営者が投資意欲を持てる政策が要求されるが、これが難しい。技術革新で新規需要の開拓が必要だが、今何があるのか。成長路線が見つからない。

消費者の購買意欲を駆り立てる製品がない。エコポイントでは心許ない。街を歩くとエアコンの工事を目にする。猛暑で売れているのだろう。車の販売店では、まだ乗れそうな車で新車探しをしている者もいる。

一刻も早い経済政策が必要なのに、政権党の民主党は、代表選で相変わらずの「小沢vs非小沢」、「菅代表で一本化できないか」で持ちきりだ。円高、株安は「注意深く見守れ」では、何もしないと同じことだ。

菅さんはどう言う政策なのか、小沢さんはどういう政策なのか。何も分からないし、何も
発言しない。他の閣僚も何も発言しないから、菅内閣の円高政策が伝わってこない。

小沢さんが、出馬するかどうか。政治塾での発言が注目されたが、個々では下世話な話はしないと言うし、さらには「日本人は劣化している。きちんとしたモラルを身につけなければならない」とテレビニュースで言っているのを聞いた。何のことはない。己のことを言っているではないか。

今日も円は83~84円、株は8845円で円高、株安が続く。インパクトを与える政策を打ち出さなければ、局面は打開できない。
写真左:東京証券取引所 米国の経済不安、株安に引かれて株価の下落が続く
写真右:日本銀行 有効な金融政策の取り幅がない超低金利をとる

2010年8月5日木曜日

「国会で審議を」発言が目立つ菅総理


今回の予算委員会の菅総理に「国会で審議を」という発言が多い。菅総理にどう考えているか、政府の方針を質問したときの答弁が「国会で審議を」なのだ。

みんなの党の江田さんからは「盗人猛々しい」と批判されたり、公明党の山口さんからは「民主党内、政府内で議論も尽くさない政策に対案など出せない」と突っぱねられる始末だ。

反対に、議員定数の削減、人件費削減に対する質問に、突っ込んだ発言をしたために、衆議院議長が三権分立の観点から反論されることもあった。

民主政治の根幹を揺るがす「政治とカネ」の問題では、「説明責任を果たすように指導力を発揮する気はないか」と質っされ、「辞任で一区切りした。後は国会で審議して欲しい」という。鳩山、小沢さんに関するスキャンダルには及び腰だ。党内事情で菅さんはドウしようもないのだから、それこそ国会で追及すべきである。

「ねじれ国会」での今後の国会運営について、かなり注目されている。「丁寧に 丁寧に」が民主党政権の方針である。先の国会での強行採決に謝罪している。強権的運営はもう出来ない。予算案だって修正もあり得るらしい。

民主党のお家の事情で国民が期待する改革ができない場合でも、国会審議で打開することも可能になった。公務員制度改革もその一つだ。自治労が民主党の支持団体であり、仙石官房長官も「公務員の数、人件費の削減への期待はバッシングだ」という旨の発言をしていた。これでは公務員改革は出来ないと見た。

しかし、みんなの党の案を野党が賛成すれば、改革も一歩進むことになる。野党の力で寄り厳しい改革が出来る道が開けるのだ。

野党は、改革法案を持っているようだが、国会審議を重視するのであれば、民主党も政府も良く検討し政策を固めるべきだ。野党案の丸飲み、ブレは国民に不安を与える。政策にブレがあってはならない。
そして、野党時代の発言、政策との整合性も必要だ。自民党の西田さんが「やってることと言ってることが違う。不誠実、不道徳だ」と批判したのを思い出して欲しい
写真:国会 今後の国会運営が注目される

このまま政権を民主党に託せるか


権力闘争に明け暮れていた野党時代の民主党が、マニフェストで政権交代を果たしたが、参院選の敗北で、菅総理の求心力低下で代表選に向けまた権力闘争が始まった。

参院選の敗因は、「政治とカネ」の問題が一向に解決していない。マニフェストは衆院選の時に比べ大幅に見直しされた。官僚主導から政治主導へ期待されたが、結果は混乱に終わり、財務省復権の様相を呈している。「開かれたクリーン政治」を掲げたが、鳩山政権での小沢さんとの権力の2重構造を呈し、政策のプロセスが全く分からない。野党時代に発言していたことと言行不一致が目立ち、強行採決に至る横暴な国会運営。そして唐突な消費税発言が挙げられている。

菅総理は、次の代表選での再選を目指し、党内事情に考慮して「自分の唐突な消費税発言」を主要因に挙げて平謝りである。しかし、財政再建は避けて通れず、菅総理の勇気ある発言は逆に評価されている面もある。

党内事情を考慮する余り、参院選の総括をねじ曲げると、本来の有権者の批判が分からなくなる。前の鳩山/小沢体制への批判が大きかったことは誰でも分かっていること。

政治を根本的に見直す考えは、多くの国民に支持されたはずだが、予算委員会の攻防を見ると、菅総理は低姿勢一方で、「元気な日本復活」の意気込みが伝わってこない。

期待された「国家戦略局」構想も先の政権で草案先送りになり、今回菅総理は「総理のアドバイス機関」とする意向を表明し、党内外で異論が出ている。官僚主導の本丸である財務省からの脱却を目指したのだから、その後退は国民に大きな不満を抱かせた。

「開かれた政治」にも本気度が見えてこない。党内最大グループの小沢さんは、政局の節目でいつも雲隠れ、裏行動に出る。表に出てきたときは政治の流れが違っている。小沢さんの政治手法は、民主党のモットーに反する。

そして今後の国会運営のあり方だ。

菅総理は「丁寧」に対応すると言い、この予算委員会でも低姿勢が目立つ。連立構想も思うように行かないらしい。政治の停滞が予想されるが、そうなると谷垣さんが言うように、「総選挙で国民に信を問う」ことになるが、菅総理はそうしたくないだろう

自民党だって、今までのような「反対、反対」では国民の信を得るようにはならない。谷垣さんが予算委員会の最後に言った「真摯に提案があれば、真摯に応じる」のが本音だろう。

普天間に始まる日米合意の扱い、雇用の創出、避けて通れない「財政再建」、迫っている予算編成、一向に国民の不信が払拭されない「政治とカネ」問題など、難問山積の今、誰が総裁になっても簡単に解決できる問題ではない。

9月の代表選に向け、いろんなグループが出来、勉強会を開いているが、権力闘争の感があっても、政策集団とは思えない。

又、国会審議の中で、今まで見えてこなかった民主党の暗部もさらけ出している。予算委員会での民主党の支援団体の実体が明らかになると、菅総理の歯切れも悪い。

だからといって、自民党への復権は、まだ先のようだ。

民主党にどこまで政権を託せるのか。今後の予算編成過程で、見極めていかなければならない。
写真:民主党本部 保守から革新まで幅広いグループの混成政党、権力闘争は絶えない。

2010年8月1日日曜日

民主党は「開かれたクリーンな政治」をどう展開していくのか


その政策の過程が分かり、開かれたクリーンな政治を目指すと言ったのは民主党だ。ところが敗北となった参院選総括では、その説明責任がなっていないことが明らかになってきた。

昨年の政権交代の期待に応えるには、もっと国民に分かる政治手法をとるべきだ。

今回の民主党の参院選総括は、民主党のHPでも見つからずメデイアの報道に頼るしかないが、菅、枝野さんのトップ2人の発言での説明不足、小沢vs非小沢の権力闘争、政策提案でのコンセンサスの欠如など「クリーンで開かれた政治」とはかけ離れた状況が浮き彫りになった。

1日のテレビ朝日のSフロンテイアでの枝野幹事長の生出演で、その実体の一部が分かってきた。

枝野幹事長の「みんなの党」との連立構想は、民主党の完敗が予想されていたために、早い時期から度々報道されていた。この点を聞かれた枝野さんは、「誤解を与えた。本心はすべての野党と強調すると言う考え」だという。過半数割れから、ねじれ国会が予想され、野党のうちでも「みんなの党」が国民の支持を伸ばしていたために、「みんなの党」に重点を移した発言になったらしい。

どうもこれは、後からくっつけた言い訳のように思える。

参院選の総括では、女性議員が「消費税、マニフェストの見直しなど、知らないうちにいろんなことが決まっていった」と批判していた。これについて枝野さんは「今まで、政調会などがなかった為だ。新執行部になって政調会が復活したので、そこで審議出来る」という。小沢さん主導の一元化が失敗した例だ。民主党のHPを見ると、7月30日に全議員説明会で「政調会の機能と機構について」説明されたようだ。

無役になった小沢さんが選挙期間中に「去年の政権交代の時に国民に支持され手進めてきた政治改革や行政改革が菅政権で後退している」と発言したことに対して、枝野さんは、「決して後退はしていない。国家戦略局の構想も機能縮小とは認識していない」と後退批判に反論した。

私も前執行部が国家戦略室から国家戦略局に格上げする法律を見送ったことで、政治主導に疑問を抱いていた。おまけに菅総理が「アドバイス機関」的な考えを発表したから、尚更官僚主導政治の本丸である財務省に取り込まれたと思った。

枝野さんが、否定するのであれば、これからどのように「開かれた政治」をやっていくのか、国民に説明すべきである。

更に、鳩山/小沢の前執行部の「政治とカネ」の問題が、今回の総括で何ら触れられていないことに関して、枝野さんは「総括のテーマになっていなかった」と、前執行部での責任追求を回避する姿勢を見せた。

今回の総括の背景に小沢vs非小沢の見にくい構図があることが分かる。

改めて枝野さんの考えを聞くと「これは法律論と政治論を分けて考えなければならない」と言う。今、検察審査会に委ねられており、これに影響を与える発言は避けるというのだ。一区切り付いたところで政治論が出てくると言う。検察審査会の議決後に、何らかの政治判断が下されるのだ。

コメンテーターが「小沢さんは、両議員総会にも出ずに、裏で動いているようだが」と問いかけると、代表選は党員、サポーターの投票で、透明なプロセスで決まっていくはず」と裏の動きを牽制した。

小沢さんの雲隠れ、裏での他党との会談の噂、ここはと言うときに表に出ずいつもの裏行動は、民主党内で過半数に近い議員数を持っていると言われている現状を考えると、民主党内の政局に大きく影響することは誰が見ても明らかで、目指す「クリーンで開かれた政治」に逆行する動きである。

今回いろんな意味で、小沢さんは古い体質の政治家であることを露呈したが、「まず変わらなければならないのは、小沢さんである」ことを認識すべきである。

「小沢vs非小沢での構図」で党内抗争をやることは止めて欲しい。今回の総括でも前政権の鳩山、小沢、石井さんらの責任を避けた様相だ。こんな総括で、民主党支持者は満足しているのか。

9月の代表選で民主党員、サポーターはどう行動するのか。私も6000円の会費を払って、意思表示をすべきかどうか迷っている。小沢系議員が躍起になって党員、サポーターを確保すると、どうしても小沢さん寄りの候補者が代表選に出ることになる。
小沢さん本人の出馬の可能性もあると言うが、言われているように二度目の検察審査会で「起訴相当」議決が出れば、小沢さんは強制起訴される。

しかし、自ら総理であれば、憲法第75条で在任中は訴追されないことになる。しかし、「政治とカネ」でスキャンダルを抱えたままの総理では、外向的にも国益を損なう。

小沢さんのいる限り、民主党は「クリーンで開かれた政治」など追い求めることなど出来ない。

もしやるのであれば、小沢さんに裏で動かれるのを制するためにも、常に国民と対話し、説明責任を果たしながらやっていくしかない。国家戦略局はその拠り所である。
写真:2010.8.1 テレビ朝日Sフロンテイアに生出演の枝の幹事長