7日の尖閣列島の領海内での中国トロール漁船の衝突事件は、その悪質さから公務執行妨害容疑で船長が逮捕された。当然両国主に抗議に仕合になったが、日本は領海内での事件であり、「国内法に則り厳正に進める」と当たり前の主張をした。しかし、中国は「中国の領土内で違法な操業ではない」と抗議はエスカレートの一途だ。
この背景には、棚上げされていた尖閣諸島の領有権、東シナ海での本土から太平洋に抜けるルートの確保、「反日、愛国」世論、そしてこの海域での資源の確保、さらには米中関係の悪化など中国側の事情がある一方、普天間移設問題、日米安保の尖閣諸島への適用など日米関係での不透明さを確かめる必要性もあったのだろう。
この海域での中国漁船の領海内航行は8月頃から増加し、中国艦船の太平洋ルート拡大行動も頻繁に報道され、その都度日本が抗議することが続いていた。
中国の領土主張に対して、11日には前原国土交通相が「東シナ海には領土問題を抱えていない」と反論した。1895年に尖閣諸島は日本に編入された経緯があり、当然のことであるが、中国との領有権問題は棚上げにされていたことも確かだ。
8~10にかけ5回にわたって、副首相クラスの要人が中国大使を呼びつけて抗議した。これ程の要人が出てきたことは、「即時釈放」に向け並々ならぬ気迫を感じた。裏返して考えると、たかがカワハギ漁の漁船でありながら何かあるのではと疑う。
この海域では160隻の漁船が違法操業しているという。中には特殊な任務を抱えた漁船もいるだろう。紛争が続く海域ではスパイ合戦は当然だ。
インターネットでも「反日、愛国」世論が盛り上がった。70年代から中国、台湾が領有権を主張したが、90年代に入って「反日、愛国」教育の一環として領有権が主張されるようになった。折しも1931年満州事変の発端となる柳条湖事件から79年となる18日にあわせて抗議活動への呼びかけがネットで広がりを見せた。
11日、日本の測量船が排他的経済水域内で測量していたことに中国は「測量中止」を求めてきた。
13日に、乗組員14人が帰国した。インターネットは「中国外交の重大勝利」だと盛り上がったようだ。18日、中国政府は、デモを一部容認するも秩序崩壊を恐れて抗議行動の囲い込みもやった。中国は強く日本に当たらなければならない国内事情があるのだ。
中国は、重要な会議やイベントの中止を通告してきた。日本も15日には「安全に注意」と警告を出す羽目になった。
日本が中国を頼りすぎる危うさが露呈した。
経済への影響も出てきた。レアアースの輸出規制見直しを日中経済協会の訪中団が要求したが、逆に「日本は輸入先の多角化を図れ」という。しかしこのレアアース規制強化は7月に提案された課題だ。21日に日本商社に対してレアアースの対日禁輸を通告したという。
輸出では、日本の対中国は18.9%、中国の対日本は13%、お互いに大きな割合を占めている。中国がエスカレートすれば国内経済への影響は大きい。日本でも電器製品、雑貨、食料品など中国製の安い物が入らなければ日本の生産者が助かるだろうが、物価は上がり国内への影響は大きい。
19日には、石垣簡裁は、船長の拘置延長を決めた。当然中国は「即時無条件釈放しなければ、強烈な報復措置をする。すべては日本の責任である」を強硬に抗議した。21日には温家宝首相が米国で報復措置を再警告した。
23日に新たな事件が発生した。遺棄兵器処理事業で調査していたフジタ関係者4人が拘束された。漁船衝突事件とは関係ないと言うが、誰が見ても報復措置だ。
相次ぐ中国の報復に及び腰になったのか、24日に那覇地検は日中関係を考慮し船長の釈放を決めた。この決定には野党から「歴史的大失態」と批判されるし、各界の識者もこぞって反対した。政治的判断を検察に委ねたのかと政府は痛烈に批判された。
14日に「平和的に解決されることを望む」とコメントしていた米国だが、23日になってクリントン国務長官が、日米安保適用発言をした。それまでは、1996年キャンベル国務次官補代理が「尖閣諸島は日本の施政下に置かれる」と発言、8月16日クローリー国務次官補も「安保条約が尖閣諸島に適用されるかとの質問にYES」と答えていた。オバマ政権は中国に配慮して安保条約適用を明言していなかったのだ。
中国の主権拡大に嫌悪し、米中関係の悪化にともなって、普天間移設問題でギクシャクする日本にてこ入れをする結果になった。中国がどう判断するか。米はグアムに無人偵察機を配置したという。
ところが27日、第2次世界大戦終結65周年に関する中露共同声明で、領土をめぐり対日圧力を欠ける結果になった。尖閣諸島に続き北方領土にも飛び火しそうだ。
29日になって、「中国が軟化するのでは」というニュースが流れているが、現場では中国が監視船を常駐化しているという。
主権拡大を狙っている中国に対して、どんな政権でも対応は難しいだろうが、菅政権は完全に足下を見られている。漁民の安全、領土を守るためにも毅然とした対応が必要だ。
習氏を天皇に無理矢理会わせたり、160人もの国会議員を引き連れた大訪中団を送り込んだり、鳩山さんの「私ならホットラインを使ってうまくやれた」発言など中国を増長させているのも日本の政治家なのだ。
国連の常任安全保障理事国の中国が、東シナ海、南シナ海で隣接国の迷惑も顧みず、こんな主権拡大の暴挙に出るなんてとんでもないことだ。
レアアースに見るように、中国に頼りすぎる危うさが今回の事件で露呈した。景気回復も中国経済に負うところが大きいが、方向転換すべき時かも知れない。
中国は非民主国家なのだ。私達の常識が通用する国ではない。
この背景には、棚上げされていた尖閣諸島の領有権、東シナ海での本土から太平洋に抜けるルートの確保、「反日、愛国」世論、そしてこの海域での資源の確保、さらには米中関係の悪化など中国側の事情がある一方、普天間移設問題、日米安保の尖閣諸島への適用など日米関係での不透明さを確かめる必要性もあったのだろう。
この海域での中国漁船の領海内航行は8月頃から増加し、中国艦船の太平洋ルート拡大行動も頻繁に報道され、その都度日本が抗議することが続いていた。
中国の領土主張に対して、11日には前原国土交通相が「東シナ海には領土問題を抱えていない」と反論した。1895年に尖閣諸島は日本に編入された経緯があり、当然のことであるが、中国との領有権問題は棚上げにされていたことも確かだ。
8~10にかけ5回にわたって、副首相クラスの要人が中国大使を呼びつけて抗議した。これ程の要人が出てきたことは、「即時釈放」に向け並々ならぬ気迫を感じた。裏返して考えると、たかがカワハギ漁の漁船でありながら何かあるのではと疑う。
この海域では160隻の漁船が違法操業しているという。中には特殊な任務を抱えた漁船もいるだろう。紛争が続く海域ではスパイ合戦は当然だ。
インターネットでも「反日、愛国」世論が盛り上がった。70年代から中国、台湾が領有権を主張したが、90年代に入って「反日、愛国」教育の一環として領有権が主張されるようになった。折しも1931年満州事変の発端となる柳条湖事件から79年となる18日にあわせて抗議活動への呼びかけがネットで広がりを見せた。
11日、日本の測量船が排他的経済水域内で測量していたことに中国は「測量中止」を求めてきた。
13日に、乗組員14人が帰国した。インターネットは「中国外交の重大勝利」だと盛り上がったようだ。18日、中国政府は、デモを一部容認するも秩序崩壊を恐れて抗議行動の囲い込みもやった。中国は強く日本に当たらなければならない国内事情があるのだ。
中国は、重要な会議やイベントの中止を通告してきた。日本も15日には「安全に注意」と警告を出す羽目になった。
日本が中国を頼りすぎる危うさが露呈した。
経済への影響も出てきた。レアアースの輸出規制見直しを日中経済協会の訪中団が要求したが、逆に「日本は輸入先の多角化を図れ」という。しかしこのレアアース規制強化は7月に提案された課題だ。21日に日本商社に対してレアアースの対日禁輸を通告したという。
輸出では、日本の対中国は18.9%、中国の対日本は13%、お互いに大きな割合を占めている。中国がエスカレートすれば国内経済への影響は大きい。日本でも電器製品、雑貨、食料品など中国製の安い物が入らなければ日本の生産者が助かるだろうが、物価は上がり国内への影響は大きい。
19日には、石垣簡裁は、船長の拘置延長を決めた。当然中国は「即時無条件釈放しなければ、強烈な報復措置をする。すべては日本の責任である」を強硬に抗議した。21日には温家宝首相が米国で報復措置を再警告した。
23日に新たな事件が発生した。遺棄兵器処理事業で調査していたフジタ関係者4人が拘束された。漁船衝突事件とは関係ないと言うが、誰が見ても報復措置だ。
相次ぐ中国の報復に及び腰になったのか、24日に那覇地検は日中関係を考慮し船長の釈放を決めた。この決定には野党から「歴史的大失態」と批判されるし、各界の識者もこぞって反対した。政治的判断を検察に委ねたのかと政府は痛烈に批判された。
14日に「平和的に解決されることを望む」とコメントしていた米国だが、23日になってクリントン国務長官が、日米安保適用発言をした。それまでは、1996年キャンベル国務次官補代理が「尖閣諸島は日本の施政下に置かれる」と発言、8月16日クローリー国務次官補も「安保条約が尖閣諸島に適用されるかとの質問にYES」と答えていた。オバマ政権は中国に配慮して安保条約適用を明言していなかったのだ。
中国の主権拡大に嫌悪し、米中関係の悪化にともなって、普天間移設問題でギクシャクする日本にてこ入れをする結果になった。中国がどう判断するか。米はグアムに無人偵察機を配置したという。
ところが27日、第2次世界大戦終結65周年に関する中露共同声明で、領土をめぐり対日圧力を欠ける結果になった。尖閣諸島に続き北方領土にも飛び火しそうだ。
29日になって、「中国が軟化するのでは」というニュースが流れているが、現場では中国が監視船を常駐化しているという。
主権拡大を狙っている中国に対して、どんな政権でも対応は難しいだろうが、菅政権は完全に足下を見られている。漁民の安全、領土を守るためにも毅然とした対応が必要だ。
習氏を天皇に無理矢理会わせたり、160人もの国会議員を引き連れた大訪中団を送り込んだり、鳩山さんの「私ならホットラインを使ってうまくやれた」発言など中国を増長させているのも日本の政治家なのだ。
国連の常任安全保障理事国の中国が、東シナ海、南シナ海で隣接国の迷惑も顧みず、こんな主権拡大の暴挙に出るなんてとんでもないことだ。
レアアースに見るように、中国に頼りすぎる危うさが今回の事件で露呈した。景気回復も中国経済に負うところが大きいが、方向転換すべき時かも知れない。
中国は非民主国家なのだ。私達の常識が通用する国ではない。
写真:2010.9.27 事件を報じるテレビニュース「 釈放でも強硬 対中国政策・・問われる政府」より