2009年10月18日日曜日

マニフェストに拘ると政権はもたない。マニフェストの存在意義は?




 マニフェストを実現しようとすれば国債発行に頼らなければならないジレンマに鳩山政権は置かれている。読売新聞の世論調査では、マニフェストの修正について、「必要な場合は修正」を認める人が76%に達している。

 マニフェストか、赤字国債か、政権は難しい舵取りの局面に向かっている。

 10年度の一般会計要求額は、政権公約実現関連の4兆3767億円を含め、95兆380億円の過去最高額になったが、更に予算額の明示にない事項要求を加えれば97兆円になるらしい。税収が46兆円から40兆円に落ち込むことを考えると、赤字国債の発行は避けられない現状だ。

 マニフェスト実現に必要な主な予算は、子ども手当2.3兆円、公立高校無料化0.46億円、農業の戸別所得保障0.56億円、高速道無料化0.6億円、雇用対策0.27億円 で子ども手当が全体の約50%を占める。
 
 中学校卒業まで1人あたり2.6万円を支給し子育てを支援するらしい(10年度は半額)。7人ほどいる家庭では月18万円の手当になり、父親は「実現すれば嬉しい」と笑顔でコメントしている。

 子供を産んで育てることは親の責任である。低所得なら低所得なりに育て方もあるだろう。またその覚悟で子供を作ったのではないのか。子供1人1人に手当を支給すること自体に抵抗を感じる。

 寧ろ保育所が不足して、働きたくても働けない母親の為に、待機児童を解消するための保育園、学童保育、延長保育などを拡充すべきではないのか。子ども手当は内需拡大のための施策の一環でもあるらしいが、景気対策には待機児童解消策の方が効果は大きいのではないか。そのためにも設置基準緩和などの構造改革が必要だ。

 民主党の政策で子ども手当が、クローズアップされているが、最近の世論調査(読売新聞2009.10.18)で内閣に優先的に取り組んで欲しい課題では、景気対策(73%)、年金制度改革(49%)、雇用対策(47%)、医療制度改革(41%)そして子育て支援(31%)だ。

 「国民の目線」での政治が、先の衆議院選での人気取りのバラマキ政策に翻弄されている感じがする。
 早く国会を開いて、政策の議論をするべきである。この1ヶ月民主党政権は、マニフェストに掲げて国民の信を得たとマニフェストを御旗に、今までの自民党政権とは逆の政策を推し進めてきたが、ここに来て公共事業、外交、そして今までの構造改革で混乱が起きている。

 政権に就いたこともなく、実体は把握できず、民間のコンサルタントなどの活用で何とかまとめ上げたマニフェストだ。実際に政権に就けば思うように行かないのは当然だ。

マニフェストの目標から離れると、公約違反だと非半田出る。マニフェストを実現しようとすれば、予算がいくらあってもたりない。おまけに国民は期待している面もある。実現しなければ政権の維持は難しい。

 ところが、国民はマニフェストも「必要があれば修正してもかまわない」という人が76%もいるのだ(同 読売新聞)。

 赤字の上積みは極力避けなければならないが、税収も46兆円から40兆円に落ち込みそうだ。ここは一般会計ばかりでなく、特別会計も含めた207兆円全体での削減を考えるべきだ。ほとんど必要な予算である一般会計より、特別会計の方に削減代がありそうだ。民間企業では一律5%カットでの予算執行をよくやるが、国はどうしてこういう考えが出てきないのか。

 一般会計概算要求95兆円を92兆円まで落とすと仙谷さんは発言している。あれもこれもではなく、優先順位をはっきりさせて、PDCAで修正しながら目標に近づけていった方が良いのではないか。

 今の状態が自民党麻生政権だったら、「またブレた」と批判されるだろうが、鳩山政権では国民は鷹揚だ。09年度補正予算見直し、10年度予算編成において、そのプロセスが国民にオープンであった為ではないか。

 今マニフェストはその存在意義を問われ始めたのではないか。政権政党にも野党にも選挙公約を要求した。政策課題について、何時までにどうするか数値目標で示すことを要求した。しかし、人気取りのバラマキ予算に走った嫌いはある。

 強力にマニフェストを推進した早稲田大の北川先生はどう思っているのか。今、一向に発言されないことに疑問を感じる。

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