2009年11月24日火曜日

民主党よ 何故マニフェストにこだわるのか


メデイアの最近の世論調査では、「マニフェストにこだわるべきでない」と鷹揚な考えの人が70%を越えている。

 ムダを排除し、マニフェスト実現に向けての財源確保のための「事業仕分け」の公開作業は、下落する鳩山内閣支持率をかろうじて60%台に維持する大きな効果があった。仕掛け人の資格、作業仕分けの事業の選定、仕分けのやり方、この結果をどう活かすか。野党の自民党から詰問されれば、マニュアルがないのだから、回答の根拠は薄弱だ。

 我が国の経済状況は厳しい。先進国でも一番の厳しさだ。為替が110円になれば経済状況は大きく好転と言うが、米国のドル安容認もあって円高傾向は続くだろう。オバマ大統領の東京演説にもあったように、米国だって輸出で儲けなければならないのだ。米国市場に期待するなと言う。

 リーマン・ショック以来、経済構造は変わってきたのだ。人件費を抑制した経営、価格競争は雇用や企業収益の悪化に繋がる。政府はやっとデフレ宣言する事になった。

 実際に、税収は40兆円を切ろうとしている。一方、あれもこれもで予算は95兆円という過去最大のふくらみである。行政刷新会議の仙谷さんは、3兆円の削減を目指しているが、今回の事業仕分け作業で見通しがあるのかというと、それも不確実だ。

 朝日新聞(2009.11.23)によると、「マニフェスト見直しに着手したのか」との質問に菅副総理は「見直していない。約束は守る。高速道無料化、戸別所得保障制度は第一段階としてどこまでやるか」検討しているという。7.1兆円についても「見極めようとしている」のだ。

 苦しい胸の内がよく分かる。

 何故、マニフェストに拘るのか。

 小泉内閣の時、菅さんが予算委員会で「公約に反している」と詰問した時、小泉さんは「この程度の公約が守れなくたって問題ない。もっと大事なことがある」と切り返したことがある。

 恐らく党首討論、通常国会での自民党の「マニフェスト違反」の追求を交わしたいのだろう。自民党は転落しても自民党だ。追求に手をこまねいているだろう。民主党の予算削減ムードは景気対策に逆行すると見られるだろう。

 民主党の置かれている立場は厳しい。

 民主党政権が支持されているのは、首相が鳩山さんだからではなく、朝日新聞の世論調査では「政策」であり、毎日新聞の世論調査では「政治のあり方が変わりそうだから」だ。

 何かが変わらなければ、一気の信を失ってしまう。

 子ども手当、農家の戸別補償など、控除から手当へと税制が大きく変わって来るだろう。しかし実際に家計で損得がはっきりしてくると、民主党政権への不満のうねりが出てくるだろう。「マニフェスト通り」と言ってみても、通用しない。

 情報公開と説明責任が強く求められる政局になる。

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