菅総理は、政権に対する批判が強まると、「オレの考えが国民に良く伝わっていない」と不満を募らせる発言をするという記事が、政治の背景を解説する新聞に載っているのが目に付く。しかし正直言って、テレビの国会の衆議院予算委員会の中継を聞いていると、「菅総理の曖昧な考え」が見受けられ、それが良く国民に伝わっているのだ。
テレビでは、面白そうな場面を編集し報道する危険はあるが、国会中継となると、その前後も分かる。全体を見て間違ってはいない。
社会保障と税の一体改革でも、「民主党案はないのか」と詰問されるが、菅総理は与野党が案を持ち寄って協調できる案を作ろうと考えているのだろう。今、民主党案はこうだと言えば、野党はそれを攻撃してきて、菅総理が望んでいる協調案など出来ないから議論が曖昧になる。
公明党の坂口さんの「社会保障と財源」で、社会保障費の増加はやむなしとして、財源を作り出そうとしているのか、それとも社会保障の負担を減らして自己責任とするのかとの質問には前者と答えた。
消費税増税では、社会保障目的税化で「すべてか」、「一部か」と言う質問に、払った消費税は時間差があるが戻ってくるようにするという。「すべて」とも「一部」ともとれそうな返事だ。
ところが、政府の社会保障改革に関する集中検討会議の幹事委員である柳沢さんは、読売新聞のインタビューで消費税率を引上げる場合は社会保障の強化に加えて財政再建にも活用すべきで10%以上が必要という(読売新聞2011.2.8)。
菅総理は国会で、言質を取られないように慎重な発言をするが、政府の検討会議の委員は、また勝手な発言をしている。
だから、国民は疑いの目で見ているのだ。支持などできっこないのだ。
年金の制度改革も、一元化は固まっていないと言う。マニフェストは一つのベースであるが、あらゆる団体の意見を聞き、一つの考えとしてまとめるという。最低保障年金70,000円を実現するのかどうかについても答弁は曖昧だ。
関連法案は与野党がある程度の責任を持って通さなければならないが、どうであれば合意が出来るのか。菅総理は模索するようだ。一方、予算案はベスト案で、協調の余地はなく、丁寧に説明するだけだと官房長官は発言している。
結局、野党は、民主党マニフェストは破綻しているのを認めず、バラマキ予算のために増税するのではないかと追求しているのだが、国会では野党の攻勢を受け、民主党内では小沢系議員の攻勢を受ける。四面楚歌の菅総理だ。
菅総理の答弁は、不思議に頭に残らない。
JNNの世論調査では、内閣支持率は21%だと言う。民主党では世代交代、中間派がささやかれ始めた。ポスト菅だろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿