2010年7月31日土曜日

ねじれ国会:自民党は復権に向け信を得るチャンスだ


「ねじれ国会」は、野党の出方によっては法案、人事案件が停滞する可能性があると過去の事例を挙げて暗いニュースが流れるが、対応次第で自民党は復権に向けて信を得るチャンスでもある。

国会で法案を真剣に審議すれば、政権与党の一方的な政策を廃して、国民全体のためによりよい内容の法案に近づける。そのためには、委員会での審議に十分な時間を確保することが必要であり、通年国会で審議時間を確保する国会改革も必要になる。

野党提案の法案、政策であっても政権党の都合によって無視して葬り去ることは出来なくなる。

ねじれ国会は、これから3年は続く。民主党が衆院で318議席持っているとは言え、ごり押しの強行採決の繰り返しは出来なくなる。

先の国会での郵政改革法案のように、自民党は民主党の強行採決を批判していたが、自民党だって政権を握っていたときには、同じような強行採決を繰り返し、民主党は批判していた。

民主党も自民党も、今まで通りだとお互いに批判しあい、国会が空転することになる。

こんなことを繰り返していては、自民党に復権のチャンスは遠のく。

今回の参院選では、各党の獲得票数を見ても自民党は選挙区、比例区共に民主党を下回っている。世論も民主党が混乱しているが、それでもまだ自民党に政権を執らそうとは考えていないようだ。もうしばらく様子見か。

ここで自民党は、国会で「大人の対応」をすべきだ。何でも反対、「反民主」一辺倒ではなく、国政に責任のある対応をすれば、政権に戻る国民の信を取り戻せるチャンスになる。

自民党は、成熟した政治へ一歩を踏み込んだら同化。

谷垣さんは地味すぎて、自民党のイメージチェンジに不向きであると、総裁の交代を訴える動きもあるが代わりになる人材がいそうにない。

でも「権力闘争の政治」から「成熟した政治」へ向かうのだから地味な谷垣さんで良いのではないか。老練な議員も沢山いる。

さらには、自民党の地方の支持基盤はまだ良さそうだ。小泉さんにぶっ壊されたと思っていたが、今回の選挙の結果でも伺える。逆に民主党は労組などの組織に頼りすぎ、小沢流の利権誘導の票集めで古い体質をさらけ出した。参院選の総括でも「風頼る」ではダメだと記している。

議席数に拘った強硬手段よりも、政策に対する国会審議で自民党は復権できるチャンスがあるのだ。その姿勢を見せて欲しい。

2010年7月30日金曜日

民主党参院選総括:これで「新しい政治」が開かれるのか







民主党参院選総括での菅さんは、唐突な消費税問題で謝罪し、その上で「新しい政治を開きたい」と続投の意向を表明した。しかし、出てきた意見は「責任をとれ」「マニフェストを勝手に変更した」では、政権党に失望する。

小学校1年生に孫が国会が見たいというので29日、時々強風と強い雨が繰り返す悪天候のなかを永田町に出かけた。憲政会館に立ち寄るとテレビ局の中継車が集まってきている。
今日政治的に何かがあるとすれば、民主党の参院選総括のための総会だ。

その様子を30日の新聞で見て、民主党は本当に政権を担う政党なのかと疑問が出てくる。相変わらずの「小沢vs反小沢」の構図なのだ。

菅さんは、批判をかわすためか自分が提案した消費税問題が正確に伝わらなかったことを反省している。しかし、自民党も消費税問題をマニフェストに掲げて戦ってくるのだから争点はぼやけて、おまけに「政治とカネ」「普天間移設問題」を隠蔽できると見たはずだ。
これがせこい考えだった。

社会保障費に目的の消費税増税は世論調査でも60%以上の人が「仕方ない」と思っている。菅さんは何故、唐突であっても消費税問題に言及しなかったのか。財務省に屈した「政治主導に反する行為」と思われたくなかったのだろうが、国家財政の姿を国民に公開し、各分野で議論することは将来にとっても重要な課題だ。党内に強力な地盤を持たない総理の悲哀かも知れない。

今回の惨敗の要因は、10ヶ月の前鳩山・小沢政権をどう評価するかの結果でもある。その総括を避けて、1ヶ月の短期間の菅・枝野政権の責任追求岳に終始するのであれば、この民主党の暗部が見えてくる。

鳩山・小沢さんに係わる「政治とかね」の問題、鳩山政権で大ブレだった「普天間移設問題」、小沢さんも選挙中に批判している「マニフェストの見直し」、財政再建が急務になっている状況の中での「バラマキ予算の続行」など、どうして議論できないのか。各議員が選挙区に帰っての国民との接触で消費税の問題しかテーマにならないのか。

批判続出の中で「菅、枝野氏に責任を押しつけるのは気の毒だ。前執行部にも連帯責任がある」と言う石井さんの発言は長老の意見として意味がある。小沢vs反小沢の構図で総括しても意味はない。非公開でも良いからじっくり党内で議論すべきだ。その時は長老のアドバイスが有効だ。

考えてみよ 責任与党である民主党の混乱は、内政、外交共に国益を損なう重要な問題である。ゴタゴタが続くようだと、それこそ政権を去った方がよい。

「生活が第一」「元気な日本を復活させる」のスローガンは何だったのか。1年前の総選挙で現実がよく分からないままに作成したマニフェストは、PDCAでより現実的で内容のあるマニフェストに変えていくことは当然であるとしても、菅執行部は、まず党内をしっかりまとめ、国民に説明責任を果たすべきだ。

ところで孫との国会参観はどうだったか。国会議事堂はさることながら、偉容な新議員会館に驚いたようだ。

憲政会館から衆議院参観受付に廻っていたら、孫が「あの大きな建物は何なんだ」という。「新しい議員会館で、皆が選んだ代表がお仕事する事務所だよ」と言うと、「いくらかかったの」と聞く。「1700億円ぐらいかかったそうだ」と答えると、「誰が払うの」と聞いてきた。「みんなが納める税金だよ」と説明すると「フーン」と。

小学生だって豪勢な議員会館は不思議に思う。大人の国会議員が、それぐらいのことを分からないのか。「1人当たり2.5億円。それ以上の仕事をしてくれればいい」という意見があるが、「ねじれ国会」で与野党がどう政策を作っていくか、見物である。
写真:民主党の議員総会が開かれる憲政会館に集まるテレビ局の中継車 2010.7.29 憲政会館で
写真:新議員会館 小学生でもその偉容さは分かる。税金を使っての無駄な事業だと大人の国会議員は分からなかったのか。
写真:民主党の両院議員総会での参院選総括を伝える2010.7.30読売新聞。小沢vs反小沢の構図、前政権の総括なくして参院選総括にならない。

2010年7月28日水曜日

日本の不幸:資質を欠く総理の続出




28日のテレビ報道によると、米軍再編の為の日米合意が進まない原因の一つに、「日本は次々と総理が替わる」ことを、キャンベル次官補が米議会の公聴会で発言したという。先のASEANフォーラムでも、北朝鮮の外相が記者に「日朝会談があるのか」と聞かれ、「政権が安定してから」と答えていた。

普天間移設問題がこじれて米国大統領とまともな会談が出来なかった鳩山元総理。菅さんだって国際会議で、日本の財政再建について強気の発言を切り返していたが、日本は毎回出席する指導者が替わったのでは、何回も同じ指導者が出席している外国の指導者とうまく行くはずがない。

内政にあっては、小沢vs反小沢、政府vs財務省、政治主導vs官僚主導、部分連合か連立か、或いは再編か。どうすればキャステイングボードを握るか。議員は1人1人が自分の立ち位置に苦慮している。

国内にあって、出てくる総理が皆「資質を欠く」と酷評されているのだから、外交でも相手にされないのは当然である。

「ねじれ国会」の結果、すでに菅政権の行き詰まりを見越して来年4月の総選挙も話題になってくる。

こんな内政、外交に至った混乱の諸悪の根元は「欠格総理」の続出にある。

自民党が国民の信を失い、政権の座から落とされた原因のトップに「政権の放り出し」が上がっているが、安倍、福田、麻生そして政権交代後の鳩山、菅の総理に言えることは「資質の欠如」である。

決断力の無さ、政策・発言のブレ、政治姿勢に一貫性のない言行不一致、どういう訳か国民に人気があっても政党内での人気の無さ、人望の無さなどが「資質の欠如」賭してあげられる。

更に、総裁・代表としての党内基盤の脆弱さが、何かあると「○○降ろし」の運動になり、政権与党にあっては政局の不安定となる。

どうしてこんな総理が続くのか。
最近は、「オレがオレが」で、自分の能力を省みず、虎視眈々と総裁/代表→総理の座を狙い、人気を挙げるためにパフォーマンスを多発する。メデイアはそれに飛びつき垂れ流す。見ている国民は本当かと思う。

党内基盤が脆弱だと自分では総理になれないので、「担がれる人」になる。

担ぐ人が森さんのような長老であったり、民主党では小沢さんのような独裁者なのだ。どうしても保身のために担ぐ人の意向に沿うようになる。永田町の論理になるから国民目線からはかけ離れてくる。

政局も以前とは違って、相当厳しい状況にある。

いろんな考えの人が、党内でグループを為している。そう言う中で政策を調整しなければならないのだから、しっかり考えた末の政策でない限りブレも多くなるだろう。

民主は「反自民」、自民は「反民主」を通していたので、野党時代に民主党は自民党の反対のことを言えば良かった。しかし実際に政権に就くと現実が立ちはだかる。当然に言行不一致になり、信頼をなくする。

総理には、政策がぶれないこと。どうしても変更する場合は、しっかり説明するべきである。政治姿勢は昔と変わらないという言行一致は不可決である。

総裁選、代表選で党員の総意を吸い上げようとしてはいるが、どういう訳か「資質に欠ける」人材しか出てこない。

党内を抑えられ、しっかりした政策を提案することが出来る人が今の民主党、自民党にいるとは思えない。

部分連合、連立は基本的には数あわせだ。政権基盤が弱体であることに代わりはない。

今もてはやされている再編は一つの手であるだろうが、紆余曲折があり安定政権が出来るまでには時間がかかる。こんな時に小沢さんが必要だという人もいるが、小沢さんが担ぐ人になれば、権力の2柔構造ができあがる。

結局、国民は政界の混乱期を耐えなければならないのだろう。
写真左:2010.6.2 鳩山総理辞任記者会見を報じるテレビ報道
写真右:2010.6.4 民主党代表に菅さんが選出されたことを報じるテレビ報道

2010年7月26日月曜日

消費税論争:国家財政に対する冷静なコンセンサスを




参院選で菅さんが唐突なまでの消費税論議を提案したかと思ったら、敗北でトーンダウンしたが、メデイアは財政再建に向け消費税論争の必要性を訴え続ける。

7月14日にはIMFが財政再建のために、消費税を今後10年で15%まで引上げる例示をした。菅さんは援軍を得た気持ちになったのかと思ったが、どうもそうではないらしい。一向に消費税論争に拍車がかからない。騒いでいるのはメデイアだけという状態だ。

日本の国の財政はどういう状態なのか。

財務省の言うように借金だけを掲げて議論してもダメだ。政府には金融資産もあるのだから借金から差し引いて計算しなければならない。そうすると言われている対GDP180%ではなく、もっと低いレベルであり日本の財政は決して危機的状態ではないと言う。

財務省の言いなりになってはいけないことは分かっているが、取りあえず若国の財政状況を知るために、財務省のHPから「財政事情の国際比較」を開いてみた。

債務には、「粗債務(総債務残高)」と粗債務から政府の保有する金融資産を差し引いた「純債務」があるらしい。2009年度の債務残高を見ると対GDPは189.6%で、先進国で圧倒的に高いレベルにある(2番目に悪いのがイタリアの122.9%)。一方で、純債務から見ると対GDP97.1%でイタリア(97.8%)に次いで2番目のレベルだ。

アメリカなどは純債務を採用しているのに、何故財務省は粗債務を採用して財政状況は先進国で最悪だと主張し消費税増税を訴えているのか。純債務は粗債務から金融資産を差し引くのであるが、その金融資産の過半は将来の社会保障給付を賄う積立金であり、直ぐに取り崩して債務の償還や利払い費の財源にすることは出来ないことに留意する必要があると言う。

確かに財務省も言うように純債務で比較しても、先進国では一際厳しい水準だ。2009年度で見ると日本は97.1%、米国59.0%、英国47.55,ドイツ51.1%、フランス49.5%、イタリア97.8%,カナダ27.3%で、先進国でも一番悪い。

消費税増税の前に歳出を削減する努力が必要になるが、国全体の歳出は平成21年度で206.5兆円になる。一般会計歳出88.5兆円、特別会計歳出354.9兆円、うち重複額146.兆円を差し引き、更に国債整理基金特別会計における借換償還額91兆円を差し引いて206.5兆円になる。

その具体的内訳は、国債利払いなど78.9兆円、社会保障費68.5兆円、地方交付税17.7兆円、財政投融資10.2兆円、その他31.1兆円の中に公共事業費8.4兆円、文教・科学5.3兆円、防衛費4.8兆円などがある。

財務省は徹底した支出の見直しをしていると言うが、21年度の特別会計の見直し対象事務、事業の歳出予算額は-1.24兆円で、特別会計355兆円の歳出を考えると微々たるものだ。

民主党政権は、これらの中から古い時代遅れの事業の見直しや歳出削減を狙って仕分けが予定されているのだろう。中には必要以上の予算を獲得し、使われないままに積み立てられたり、国債の運用に廻したりしているモノもあるらしい。洗い出しは大変な作業だ。

埋蔵金がまだ20兆円ほどあるという人もいる。特別会計の積立金は193.8兆円あるらしい。8割に当たる151.2兆円は将来の保険支払いなどへの備えである国民年金など保険事業に関するものである。財政投融資特別会計には10.7兆円あるが、臨時に特例で一般会計繰り入れで21年度には3.4兆円になる。外国為替資金特別会計にも為替・金利変動による損失に備え20.6兆円あるが、1円の円高で0.8~0.9兆円の為替評価損となる。

複雑な国家予算だ。財務省はもっとわかりやすい国家財政の実情を公表すべきである。何故一般会計と特別会計と別にしなければならないのか。特別会計もしっかりその内容を国会で審議すべきである。

そして、菅さんや財務省、メデイアが訴えるように「本当に財政危機なのか」。菅さんが言うように議論すべきではないのか。
写真左:財務省 財政再建のための消費税増税の必要性を説くが、国家財政を分かりやすく公開すべきである。そして事業仕分けも与野党合同で財務省を仕分けすべきである。
写真右:財政事情の国際比較(対GDP比) 財務省HPより 左は純債務、右は粗債務 どちらにしてもわが国は先進国に中で一番厳しい内容である

政治に対する国民の冷めた目:政治的パフォーマンスの是非


政治家のパフォーマンスが目立つが、その背景説明がないから国民は誤解し政治に対して冷めた目になる。一方で、当該者には積極的に説明が出来ないことに問題がある。

パフォーマンスには事欠かない。各党総裁選、代表選での街頭演説、総理の現場視察、事業仕分け、脱小沢、親小沢行動、小沢さんの雲隠れ、重要課題先の視察、国民の代表者を招いての懇談会など政治家は重要だと考え、真剣に取り組んでいることを国民に広く示し、その結果点数を稼いだり、支持を上げることを考えている。

しかし、私達国民にとっては、その真剣さが分からず、さらには唐突な為に冷めた目で見ることになる。

直近の出来事と言えば、参議院選挙と金元工作員の日本招聘がある。

参議院選では、芸能人、タレント、歌手、スポーツ選手などいろんな分野から立候補するが、知名度を上げるためにはパフォーマンスが必要になるらしい。暑い中を走り回り握手する選挙手法には疑問を感じる。古い選挙手法で有権者の意識改革が必要だ。民主党新人候補者が、小沢さんのご指導通りにやっているとのコメントには呆れかえるばかりだ。

更に今回の金元工作員の日本招聘は、背後に民主党政権の思惑がある。どんな情報がもたらされたのか詳細は不明であるが、国際的なテロ行為者であり、犯罪者である金元工作員の超VIP級の待遇、2000万円との言われる費用、さらには特定失踪者を無視したやり方に疑問の声が挙がっている。

拉致問題担当で国家公安委員長の中井さんの進めた計画、宿舎に鳩山前総理の別荘を選んだことに政権内の思惑がありそうだ。記者の質問に「どんな問題があるのか」と反論する中井さんに、説明責任を果たそうとするかけらも見られない。

政治家の行動が、パフォーマンスではないかと冷めた目で見られる原因に説明不足がある。
何故、こういうことをやる必要があるのか。費用は税金から拠出するのだから具体的に公開する必要があるが、中井さんにはそのつもりはないらしい。

民主党政権の最大のパフォーマンスは、あの政治ショー化された事業仕分けだった。官僚たたき、財務省主導、蓮舫さんなど数人の民主党議員の存在がクローズアップされた。ムダ削減の成果は今一歩の処だったが、国の予算を国民の前に公開した意味は大きかった。
しかし、10月からの特別会計の仕分けを、民主党主導の従来通りのやり方でやることには反対である。財務省の本丸に向かって与野党議員が協力して仕分けをすべきである。

蓮舫さんが東京選挙区で170万票以上を獲得して当選したことに、事業仕分けのパフォーマンス効果があった。与野党の他の議員もあやかりたいと思ったに違いない。

国民は為政者の行動を厳しい目で見ている。中身のない空虚なパフォーマンスは止めて
しっかり説明の出来る行動を取って欲しいものだ。

国民への政治家の信頼は、説明責任と言行一致しかない。
写真:金元工作員の日本招聘を伝えるテレビニュースより

2010年7月23日金曜日

国益を損なう民主党の乱:政権を託する政党、総理はいないのか


参院選での民主党の過半数割れの結果、菅総理の求心力は落ち、惨敗の責任追及と9月の代表選に向けての焦臭い権力闘争の様相を呈し、民主党は混乱している。メデイアは小沢さんがこういった、鳩山さんがああ言った。菅さんは誰と会ったと毎日のように報じている。

この政界の混乱は、海外にも知れ渡っている。テレビのニュースで、ASEANフォーラムに出席する北朝鮮の外相(?)に当たる人物に、記者が「日朝会談があるのか」と質問したとき、薄ら笑いで「政権が安定してから」と言う意味の発言をしていた。

民主党内の権力闘争、菅内閣の支持率下落は「国益」にも反する事態なのだ。

何でこうも民主党は党内抗争の多い政党なのか。保守から革新まで幅広い考えの人が集まった集団だからか。

それにしても、各メデイアの世論調査の結果も不思議だ。菅内閣の支持率は下落が続くが、それでも菅さんは総理を辞める必要がないと80%の人が言うのだ。

確かに今回の参院選では選挙区、比例区共に獲得票数は自民党を上回ったが、議席数は大きく減らした。菅総理の唐突な消費税問題が敗因の要因だと、小沢さん、鳩山さんをはじめ多くの人が言うが、世論調査では60%の人が仕方ないと考えているようだし、同じように消費税増税を掲げた自民党は議席を減らしていない。

鳩山、小沢体制での「政治とカネ」の問題、マニフェストの大幅な見直し、選挙中の小沢さんの執行部批判など党内不統一に国民は「NO」を突きつけたのだ。

小沢さんは、鳩山内閣の支持率が大きく下落したことで、選挙に勝てないと見て辞任した結果、菅内閣の支持率が急回復した。自分が大きく貢献していると思っているらしいが、悪の小沢さんが身を退いただけのことだ。

更におかしいのは、菅さんが小沢さんに会って「お詫びしたい」というが、小沢さんは無視しているようだ。お詫びするのは国民に対してしっかり説明責任を果たすことであり、党内での保身を第一義的に考える菅さんに総理の資格はない。

小沢さんも、自身の「政治とカネ」の問題で何ら説明責任を果たしていない。さらに、バラマキ的マニフェストを見直すことに反対しているが、ではその財源がどこにあると考えているのか。地方をこまめに歩いていると言うが、票を獲得するために無理な約束をしているのではないかと疑う。

9月の代表選で自ら、或いは側近を立候補させ政権の座を狙おうとしているらしいが、ますます党内は混乱するばかりだ。

政治改革を目指しているのであれば、まず民主党内の改革から始めればいい。一番良い方法は、自ら身を退くべきことだ。

一方の自民党だって、選挙に勝ったは良いが、意気は上がらないようだ。谷垣さんでは物足りない。執行部も年寄りが多い。党のイメージチェンジが出来ないらしい。それでも総選挙を訴えている。

野党が、どう共闘していくか。民主党とどこが組んで、マニフェストがどうなるのか。法案が通らなければ二進も三進もいかなくなる。政治の停滞は、国民に混乱を巻き起こすだけだ。

国民はまだ民主党政権に期待している。菅さんも辞める必要はないと言う。でも政権交代の目玉だった「政治主導」も国家戦略局の諦めなど政策への信頼性の無さや菅政権の基盤の軟弱さは、政治の不安定さを増すだけだ。

党内権力闘争より、まず党内一致の政策を打ち出せ。
写真:民主党本部 相変わらずの党内の権力闘争、責任問題、政治とカネの問題で政権は不安定で、国益を損なっている

2010年7月21日水曜日

小沢さんの「不起訴不当」は、なぜか説得力のある議決だ


参院選が終わって4日後の東京第一検察審査会の議決の公表は、何かしら与党の民主党に配慮した格好に見えるが、何故か一番説得力のある内容だ。これ程まで論述して何故「起訴相当」でなかったのか。先の検察人事でも、小沢さんの起訴に消極的な人間がトップの座に就き、検察側が積極的に対応するとは思えないが、その検察の姿勢をも批判している。

先の東京第5検察審査会の「起訴相当」議決を見に行ったが、すでにはがされた後だったが、今回の平成22年東京第1検察審査会審査事件の議決要旨は、裁判所の掲示板で確認することが出来た。

小沢さんは、菅内閣発足時に、表舞台から一時身を退いた格好になっていたが、選挙では川上作戦と称して小さな町や村の小集会で支持を訴えていたが、菅さんの消費税増税問題ではあからさまに反対の意思を示したし、大幅なマニフェストの見直しでも、執行部を批判した。その結果、党内不一致を醸し出した。

さらには、菅さんに対抗して、9月の代表選では一戦を交える構えを示している。

小沢さんが辞任したことで、民主党内では責任を取ったと判断しているのか。自ら倫理委員会に出席しても良いと言っていたことも今は話題に上がらないし、選挙中に菅さんは「クリアーした」とも言っていた。

しかし、今回民主党が過半数割れしたことから、「政治とカネ」の問題で小沢さんの責任を問うことも可能になっていたが、それでも小沢さんの考え方次第だ。

今回の第一検察審査会の議決を読むと一般常識で十分納得がいく。

政治資金規正法での虚偽記載は、代表者の政治生命を絶たれることもあることから、秘書が勝手にやったとは思われない。

不記載などについて、報告了承を得たという供述は信用性が高いと、共謀に疑念を呈する検察と真っ向相対している。

「おう、分かった」は、小沢が理解していること。

4億もの大金借り入れの時の手書きの自署は、原資隠蔽の動機があったことになる。
水谷建設の資金提供に関する供述は、信憑性が高い。

そして、4億円の大金の処理に小沢さんが何ら無関係であったとは考えられない。「秘書に任せていた」ですませることは、司法手続きに関する信頼性を損なうことになると法治国家での国民の大方の考えに沿った論述である。

そして、「もっと証拠の提出を求めろ」「秘書をもっと取り調べろ」「否認する小沢さんも聴取しろ」と、再捜査のポイントを指摘している。

私も小沢さんの自宅の家宅捜査を何故しないのか疑問に思っているが、すでに関連する証拠は破棄されているだろうし、今から捜索しても新しい証拠はないだろう。新しい証拠が出ない限り小沢さんを聴取しても新しい展開はない。

小沢さんが国会内で説明しない理由がプライドなのかどうか分からないが、これから民主党の代表選に出馬し、総理を目指すという冗談とも思える情報があるが、自ら総理となり、逮捕に不同意という手も保身術の一つだ。

しかし、「政治とカネ」の問題で疑惑のある小沢さんが、暗躍することは政治不信を募らせるばかりだ。

この際、検察は小沢さんを起訴すべきだ。何ら自分の責任を国民に説明しない小沢さんを裁判の場で真実を明らかにすることが、小沢さんの為にも、また政局の安定のためにも不可欠だ。

先に「起訴相当」の議決をした第5検察審査会の2回目の議決に注目しているが、何やらおかしげな動きもあるようだ。ここはスカッとした結果が欲しい。
写真:東京第一検察審査会の「不起訴不当」の議決要旨 2010.7.20 東京地裁掲示板にて

2010年7月15日木曜日

対決から協同へ、成熟した政治を目指せ


国民が選択した「ねじれ国会」、国会運営を考えて菅民主党は政策毎の部分連合か連立に動くのか。混迷した政局が続くだろうが、ここは「対決から協同へ」成熟した政治基盤構築へ動くべきだ。

今回の参院選は、民主党惨敗の結果だという。しかし、選挙区、比例区の各党獲得票数を見ると、ともに民主党が自民党など野党を上回っている。ただ、選挙区で獲得議席数が民主28,自民39で大きく離された。このことは先に記事にした通りだ。

自民党は、勝った勝ったと喜んで、人差し指を掲げているが、何かをやったために勝ったわけではない。世論調査でも、自民党の政権復帰は当分望まれていない。

みんなの党だって、何かが認められての躍進ではない。アジェンダ、アジェンダと言うが、やってみなければ分からない。連立も政策の丸飲みなら可能性があるが、基本的には拒否している。

民主党内は権力闘争の様相、政界は数あわせの連立か再編かでメデイアは大騒ぎしている。

国会議員よ 兎に角しばらくは冷静になれ! 今何を為すべきか。権力闘争やキャステイングボードを握るための駆け引きをしている時ではない。政治課題は山積するが、何も解決せず、先送り状態なのだ。

これからは、「政策毎に丁寧に」審議をつくして行くしかない。

ここ10ヶ月の民主党の政権運営をみても、決して国民の意に沿ったとは言い難い。

郵政改革法案に見る短時間審議の結果の強行採決、民営化の逆行。新しい成長分野に投資するが一向に改善しない雇用、貴有無員制度改革は骨抜きの状態だ。連合が支持母体である民主党に期待する方が無理なのか。威勢が良かった政治主導も稚拙な政治手法だった。官僚の協力がないと何も出来ないことが分かった。

財政再建か財政出動かも難しい問題だ。一方で、民主党は子ども手当、戸別補償制度のバラマキヲ繰り返し、赤字の上積みをやっている。普天間移設問題は、自民党政権時の日米合意案に戻ったが、これから政権の命取りになりそうな展開も予想される。

根深い問題である「政治とカネ」も、2人の辞任で解決したように持っていこうとしているが、一向に解決していない。

衆議院選に向けたマニフェストは、現実からかけ離れた、余りにもお粗末なものであった。
政権について、現実の壁がわかり方向転換したが、約束違反と思われた。民主党が信頼を落とす要因にもなっている。

鳴り物入りで展開された「事業仕分け」も、成果というと蓮舫議員が東京選挙区で170万票という圧倒的多数で再選されたことだ。仕分けが、民主党の専売特許になってはいけない。与野党協同してムダの削減に取り組まなければならない。

本当に「国民のため」になる政治の方向は決まっているはずだ。

今後は、「対決ではなく協同」で成熟した政治を目指すべきだ。

取りあえずは、与野党協同で「事業仕分け」で結果を出せ。国会議員、公務員数の削減、その人件費の削減からまず手を付けろ。与野党上げて公約になっているのだから出来るだろう。

2010年7月13日火曜日

2010参院選:獲得票数から考えると民主党は勝っている







今回の参院選は、唐突な消費税論議で民主党敗北の結果であるが、各党の獲得票数から考えると、民主党は負けていない。菅執行部の責任論が出て民主党内のお家芸であるゴタゴタが再燃しているが、難題山積の今、権力闘争をやっている時ではない。

新聞に今回の参院選の選挙区、比例区の各党の獲得票数が載った。有権者は本当に民主党に愛想を尽かせたのか。

有権者約5800万人の選挙区、比例区の各党への投票数と、それぞれの議席獲得数(選挙区121人、比例区48人)を見てみた。

選挙区では、民主党2275万票(全体の38.9%)、自民党1949万票(33.4%)、公明党226万票(3.9%)、みんなの党598万票(10.2%)、共産党426万票(7.3%)、社民党60万票(1%)、たちあがれ日本32.8万票(0.6%)、国民新党16.7万票(0.3%)、新党改革62.5万票(1.1%)その他192万票(3.3%)だ。

得票数からすると、民主党は自民党を上回っているが、選挙区での獲得議席数は民主党28議席(全体の議席数の23%)、自民党は39議席(32%)で民主党は大きく差を付けられた。有権者一人一人の判断では民主党が勝っているが獲得議席数で負けた。

選挙区で民主党、自民党に投票した人も、比例では約970万人の人が公明党、みんなの党、社民党に投票した。

一方、比例区は獲得票数と、獲得議席数の割合は、ほぼ一致する。

民主党の敗北の原因は、選挙区での獲得票数の割合と議席の獲得割合とが乖離しているところにある。これは先の衆院選で政権交代を訴えて戦った民主党が、獲得票数割合よりも多くの獲得議席数を得たのと同じことだ。

確かに言われているように、唐突な消費税問題、現実論に向けたマニフェストの変更、一向に解決していない「政治とカネ」の問題、鳩山政権での右往左往した普天間移設問題など民主党政権にとってはマイナスイメージが強い選挙戦であった。

しかし、選挙区での一人一人の有権者の判断は民主党に軍配を上げている。
今回の選挙結果を得て、民主党内では、小沢さんよりのグループから総括、責任論が噴出している。当然、総括は必要であるし政権与党として安定した政権基盤を築いて欲しいが、権力闘争を帯びたゴタゴタは御免だ。

みんなの党も一躍脚光を浴びた。アジェンダ、アジェンダとうるさい程だ。11の議席を獲得したのだからあっぱれだ。選挙区で約600万票、比例区で約800万票を獲得、選挙区で民主、自民に投票した人の約200万人が比例でみんなの党に投票した。

議員定数の削減、公務員削減などはみんなの党の渡辺さんに頼るしかないと見たのだろう。

民主党との連立には否定的であるが、みんなの党の政策を丸飲みするのであれば、連立の可能性もあるという。民主党政権が国会議員削減、公務員削減、公務員制度改革にモタモタしていると、更に勢力は拡大するだろうが、民主党が削減、公務員制度改革にしっかり取り組めば「みんなの党」の存在感も薄くなる。

無党派層に頼る政党に危うさがある。

民主党が本当に政権を担う能力を持っているかどうか、強固な基盤を築けるかどうか、見極めなければならない。
写真:比例区、選挙区での獲得票数 2010.7.13読売新聞。 選挙後の国会運営を語る菅総理、キャステイングボードを握ったみんなの党の渡辺さん テレビ報道より

2010年7月12日月曜日

ねじれ国会:「政策毎に丁寧な」国会審議は望むところだ


今回の参議院選は、民主党にとって事前の予想を遙かに超える44議席という厳しい結果になった。

昨夜のNHKの開票速報直後に、群馬選挙区で中曽根さんの当確が出て、民主党候補の敗北が決定した。何やら今回の参議院選を暗示するものだった。中曽根さんは八ッ場ダム続行派、民主党の比例で出馬した元群馬県知事で推進派だった小寺さんも落選し、八ッ場ダム問題は一層混迷の様相を呈している。

私も東京に引っ越しして、住民登録が6月23日で、ギリギリのところで投票することが出来た。東京選挙区は定数5人の処を24人立候補した。私は国会議員、公務員の削減を訴え区長として実績もあり、且つ大学が同じだった候補者に投票したが落選だ。

今回の東京選挙区は、事業仕分けで断トツの知名度のある蓮舫さんが立候補していたので、断トツのトップ当選なら有権者はミーハー的だという記事を先に書いたが、案の定170万票という2位の80万票の倍の大量得票を得た。

蓮舫さんは「事業仕分け」を専売特許のように利用していたが、これからの仕分け作業を民主党単独の政治ショーにしてはならない。これこそ超党派で国会でしっかり議論して欲しい政治課題だ。

それにしても、菅政権にとっては大きな敗北だ。昨夜のうちに早々と、「続投」の意向が伝えられたが、自民党時代の安倍政権に似てきた。小沢さんに近いグループからは、責任を追及する動きがあると言うが、相変わらずの党内抗争である。

反対に際だって目立ったのが、自民党の開票会場での総裁以下役職者が全員笑顔で、人差し指を立てている姿だった。51議席を獲得したのだから気持ちは分かる。野党になって初めて民意を得たうれしさだろう。

やっぱり、地方では自民党は強い。選挙区選挙できっちり戦う、それなりの地盤を持っている。一方の民主党は、労組などの組織に頼るしかない脆弱な地盤しかない。無党派層に頼る危うさも浮き彫りにした。

菅さんはじめ、民主党幹部は惨敗の原因に「説明不足だった消費税」を挙げている。しかし、超党派で議論を始めようと言っているのであって、直ぐに上げると入っていない。そこを信ずるかどうかは、菅さんを信じるかどうかだ。

敗因の原因としては、総理の指導力、マニフェストの実現性への疑問、菅さんはクリアーしたと言ったが、「政治とカネ」の問題はまだ解決していないことが大きかったのではないか。

菅さんは、これからが再スタートと言った。衆議院で2/3の議席を持っていないので、これからの国会運営は大変だろう。

しかし、国会がねじれ国会であることは、有権者が与えた結果である。民主党政権には「政策毎に丁寧な国会運営」が求められる。与野党がしっかり議論して、政権党の暴走を防止しなければならない。「政治主導「公務員制度改革」など民主党政権の政策が、ここに来て大きく変化していることにも注視すべきである。

一方、自民党も野党としての責任が大きくなった。ただ「反対、反対」では国民が納得しない。「政策、法案が通らないのは、野党がごねているからだ」と言われないようにしなければならない。
写真:開票結果を受けた菅総理の記者会見 「これからが再スタート」「総理続投」を訴えた。テレビ報道より2010.7.11

2010年7月9日金曜日

菅さんは「日本を洗濯する」というのか


菅さんが、「日本を選択する」と言うのか、最近民主党はテレビCMで菅さんが洗濯する映像を流し、「元気な日本を復活させる」と訴える。

今、菅さんの評価は、内閣発足時に比べて相当落ちている。危機的な国の財政を再建しようと消費税増税への協議を超党派で始めようと提案したが、換算の思惑を越えて消費税論争になってしまった。

国の財政を根本的に立て直すことは緊急の政治課題であり、日本洗濯のテーマにはなる。提案自体は賛成であるが、皆は「その前にやることがあるだろう」と批判する。もっと日本の国家財政の状況を国民にオープンにすべきである。何でもそうだが、現状をしっかり把握して対策を立てることが重要なのだが、それが出来ていない。

国民のコンセンサスが出来ていないのだ。

こんな状態で、菅さんは本当に日本を洗濯する意気込みがあるのか。相変わらずのパフォーマンスか。

日本を洗濯しようと思うと、根本的に制度、体制を見直さなければならない。

憲法改正、安全保障、リーマン・ショック以来変質した経済構造、デフレスパイラルからの脱却、行財政機構の改革、財政再建、議会制民主主義のあり方など根幹となる問題が山積している。

今だって菅さんは、その資質が問われ、党内不一致もささやかれている中で、本当に日本を洗濯することが出来るのか。自分の能力を自覚して、確実に出来ることは何かを訴えるべきである。

おまけに許せないのは、こういうテレビCMが政党交付金で賄われていることだ。税金を使って、出来もしないことを誇大広告する民主党政権に、正気に戻れと言いたい。

菅さんが、日本を洗濯することなど出来ないことは、皆知っている。
写真:最近の民主党のテレビCM 「元気な日本を復活する」という。これも政党交付金から支払われているCMだ。

2010年7月8日木曜日

入谷朝顔市で人気の「団十郎」をみるか







7月7日、入谷の朝顔市に大人気の「団十郎」が出ているというので、見ようと行ったが・・。

JR鶯谷駅を降り言問通りに向かう。夕方5時を過ぎていたので、通りは通行止めになり、片側に約120軒の朝顔業者、反対側では100軒の露店が出ていた。朝顔よりも夜店の方が流行っていた。

遠方に、上部が雲に隠れ霞んだ東京スカイツリーが見える。工事は400mを越えているので、相当遠くからでも見ることが出来るのだ。完成すればこの辺の景色も一変するだろう。

どの業者のブースも同じで、青、白、紫、茶色の4色巨大輪咲きが主流で、一鉢2000円で売られている。夕方なので、どの鉢の花もし折れており、どの鉢を買って良いのか迷う。

業者が「何を求めているのか」と聞いてきた。「勿論団十郎だ」というと、「これだ」と指さす。「この茶色がみなだ」とも言う。薄茶色の花で、1鉢に4株ほど植えてあり、一鉢で4色を楽しむことが出来る。幻の団十郎が、あちこちにあることに疑問が出てくる。

団十郎は有名で、あの色を出すのに苦労したというのだから、もっと高価なものだと思っていたが、チョっとがっかりだ。

青の綺麗な朝顔を見た。「オーシャン・ブルーと言うんだ。綺麗だろう。琉球朝顔とも言う」とかってに説明してくれた。確かに綺麗な色だ。

若い浴衣姿の女の子が売り子になっているブースでは、購入した鉢を抱えて中年の男性同志がデジカメで写していた後、満足そうな顔をして帰っていった。

折から参院選だ。3人の候補者が音量を落として練り歩いていた。名前の通っていない候補者は「○○です。名前を覚えておいてください」と連呼している。今回の参院選ではそう言う言い方を良く聞く。ある候補から政策、経歴、名前を印刷した丸形の内輪をもらった。蒸し暑いので重宝するが、普通の内輪でないので、これが公職選挙法に違反しているおそれがあるらしい。

帰り際、家内が娘に「朝顔をかってか選ろうか」と電話した。娘は「いらない。内庭鉢に植えているし、子供は学校で植えて観察している」という。やっぱり自分で植えた方が、価値があるようだ。

帰ってきて、「団十郎」を調べてみたが、一般的に茶色の朝顔を団十郎と呼ぶらしい。本物は濃茶無地、日輪抜けで、美しい茶と鮮やかな日輪抜けが特徴らしい。夜店のあれは、本物ではない。
写真上段左:いわゆる「団十郎」 薄茶色の朝顔を一般的に団十郎と呼ぶらしい
写真上段右:商談中 1鉢2000円が主流だ
写真下:会場から遠くにかすむ東京スカイツリーを望む

2010年7月7日水曜日

何故だ:まだ民主党に頼る不思議


本当に政局が読めない。鳩山さんから菅さんへ、支持率は60%までになったが、消費税発言で40%前後に急下落、菅内閣に対して疑心暗鬼の中での参院選は難しい判断を強いることになる。争点が消費税に特化される傾向にあるが、それでも言いっぱなしで議論が煮詰まらない。

各党は選挙後のキャステイング・ボードをめぐっての鬩ぎ合いをやっている。各党共に失点を少なくし、耳さわりの良い主張を繰り返している。消費税に対する主張は分かったが、他の政策はどうなのか。これが又、各党勝手なことを言っている。

当然のことながら、議席数の多い民主党、自民党の政策が重要になる。弱小政党は、多数党の暴走を抑制するブレーキのような者だ。

ところで、政権交代後のここ10ヶ月の民主党政権を見ると、「政権担当能力」に赤信号が付く状態だ。鳩山政権の時は、各閣僚が勝手にバラバラなことを言っていた。政権内不一致が各所に見られた。菅政権になるとマニフェストの大幅な見直しで、今度は政党内不一致が出てきた。無党派層の支持を得るには、この不一致は致命傷だ。

各社の世論調査を見ると不思議に思うことがある。内閣支持率は下落の一方であるが、どうして「まだ民主党に恋している」のか。

朝日新聞、読売新聞の世論調査を見ると、内閣支持率は朝日39%、読売45%。政党支持率は民主30(読売34)%、自民は15(18)%。比例区の投票先は民主30(28)%、自民17(16)、みんな6(7)となっており、内閣支持率は大きく下がっても、政党支持率は自民を大きく引き離している。

しかも自民党政権でも良いが、当分は望まないと言う。「今は、民主党に恋している」というのか。

政権担当能力に疑問符が付いたが、まだ民主党政権では10ヶ月しか経っていない。その本当の実力を見ていない。鳩山さんがダメでも菅さんがいる。前原さん、岡田さんに期待する向きもある。人材に事欠かないのが自民党と違うところだ。

自民党には、次の顔がない。あるのは高齢の領袖達だ。とてもじゃないが次代を任せる訳にはいかない。
自民党からは「我は」と思う人は離党して新党を立ち上げたが、みんなの党を除いてはパットせず、埋没の運命にある。

民主党も菅さんになって現実路線に舵切りし、自民党との政策の違いが狭まってきた。

しかし、一番心配なのは、「強い経済」とか「第三の道」など抽象的な表現でしか政策を述べない菅政策に不安が残る。国会閉会までの短い期間でも政策について議論していれば良かったが、菅さんは議論を避けた。

菅さんは、攻撃には強い政治家であるが、守りには弱い政治家だ。急ごしらえの政策では質疑が持たなかったのだろう。

自民党ではしばらく御免だ。民主党を中心とした再編に期待しているのか。幹事長を辞任した小沢さんにまだついて行っている議員がいることは、この再編に期待していることなのか。でも小沢さん含みの再編には反対だ。政局を小沢さんに頼る危うさは、嫌と言うほど見てきた。
写真:最近の読売新聞、朝日新聞の世論調査

参院選:疑心暗鬼の中で、どう判断を下すのか


参院選投票日を控え、今の政局は各党党首、候補者そして有権者までが疑心暗鬼になり、菅総理の説明不足も手伝って憶測が先走りし、互いに批判しあっているだけで、実りのある成果は出ない。

「国民のための政治」を標榜するのであれば、政治の方向は同じである。だが、そのプロセスにリーダー・シップを摂ろうと、各党の思惑がありそうだ。

今、争点になった消費税増税論も、景気が回復し、税収が増えれば財政再建に道が付く恥であるが、企業収益は回復しているものの、雇用不安、失業率は相変わらず続く。産業界は人件費削減などリストラで収益を戻しているようだ。だとすると、個人消費が伸びるはずはない。1993年に消費税を5%に上げたが、法人税は減収で財政はかえって悪化した。

景気回復が覚束なければ、増税して成長分野を支援し、経済成長に持っていきたいらしい。増税も正しいやり方をすれば成長につながると菅総理は言う。でも多くの学者はこの不景気の時期の増税は、更なる不景気をもたらすと言う。橋本内閣で実証済みで、退陣に追い込まれた。

皆が疑心暗鬼になっているのは、菅総理の説明不足がある。組閣以降、国会の予算委員かで政策の審議もしないままに、国会を閉じて選挙戦に突入した。所信表明、代表質問は通り一遍の言いっぱなしで終わった。

底に、消費税10%構想が飛び出し公約かどうかで一悶着、内閣支持率が下落すると見るや、菅さんの街頭演説から消費税は消えていった。

これでは、野党も有権者も「その本気度」を図りかねるし、選挙での判断基準に迷いが出る。

菅さんが言うように税制改革の一環として議論を始めることは良いことだと思う。しかし、野党も言うようにその前に国家財政をしっかり議論する必要もある。増収の道を探る。資産を売る。国会議員や国家公務員、地方公務員の削減と人件費の圧縮、不公平税制の是正、税捕捉の強化など少しも進んでいないから、反発が大きい。

特に、国会の監視外にある特別会計は徹底したチェックが必要である。民主党は10月から特別会計の仕分けをすると言うが、民主党主催の政治ショーではなく、与野党挙げての
特別会計のオープン化をやって欲しい。

特殊法人には700兆円があり、特殊法人を潰したり、民営化すると350兆円がかえって来るという。国の借金は900兆円に及ぼうとしているが、そのうち600兆円は天下り先の借金であるらしい。何かしら官僚に良いようにされていると言える。

法人の2/3は税金を納付していないことも問題だ。10:5:3と言われるように税の捕捉率が悪い。の婦税を逃れ手いる者も多い。納税者番号を作成することにより納税逃れを防止できるらしい。役人は信用できないので、悪用されることを理由に反対する者も多いが、真正直に税金を納めさせられている者にとっては、是非やって欲しい。

兎に角、国家財政のことが全く分からない、日本の税制体系もはっきりしない段階での、増税による税収増は誰が考えても納得のいくものではない。

疑心暗鬼の中での、参院選での是非の判断は難しい。消費税論争で、9ヶ月の民主党政権への評価を下すのか。それとも消費税の議論も否定することになるのか。
この混乱の根源は、菅総理の説明不足にある。
写真:2010.6.24 新橋駅前の遊説会場にて

2010年7月5日月曜日

参院選で各党は何を訴えるのか


新聞報道によると、ここに来て菅さんは、党首討論を嫌がっているという。1:8での討論では質問を一身に受ける構図になるかららしい。連立を組んでいる国民新党は消費税増税に反対しているので味方ではない。

選挙前の増税論議は禁句であったが、その消費税が選挙の最大の争点になり、内閣支持率も下落する一方だ。鳩山さん、小沢さんの辞任で「政治とカネ」の問題で追求できなくなり、選挙戦の争点に苦慮していた。

NHKの党首討論を見損なって、「参院選 9党討論」を見ることになった。各党の参議院の代表が参加していた。財政再建に向けた「消費税10%」、普天間移設をめぐる「外交・安全保障」、政界再編がささやかれている「選挙後の対応」にテーマが絞られる。

当然司会者も「この参院選で何を訴えたいか」と質問した。

民主党輿石さんは、政権交代の着実な実施に向け、安心した政局の基盤が必要で、過半数である安定多数を確保したいという。自民の林さんは、民主への逆ねじれを作り、民主の暴走を止める。公明の白浜さんは「政治とカネ」の防止対策、マニフェストの進行具合、普天間移設問題では裏切られた気持ちだ。この選挙で審判を下す。共産小池さんは、消費税アップに怒りを感じる。弱い者いじめに菅さんは迷走している。

社民の又市さんは、政治を変えてくれと悲鳴が聞こえる。連立での国民生活再建内閣を目指す。国民新党自見さんは、構造改革としての郵政改革を目指す。みんなの党川田さんは、増税をする前にやることがある。民主は言っていることとやっていることが違う。マニフェストの実行を求めていく。

たちあがれ日本藤井さんは、財源の裏付けのないマニフェスト、消費税10%では党内が混乱の様相だ。将来どうしていくのか。2900万人の65歳以上がしっかり働ける社会を。そして最後に新党改革荒井さんは、国会議員の定数削減、国民主導、国民審査請求、経済成長、雇用を守る。不誠実な民主党をストップし、再編を図ると言う。

消費税10%問題は、輿石さんは、「ブレても変わってもいない。菅さんは超党派で協議しようと提案しているのだ」と火消しに躍起だが、「鳩山さんは、任期中は上げない」と言った。菅さんも「10%を目標に公約と受け止めて結構だ」と言ったと野党は追及した。

鳩山さんと菅さんでは言っていることが違わないかとの質問に、輿石さんは「上げない。抜本的に議論しようと言うことだ」と発言するが、小池さんは「2010年度10%を成立させると言った。この22年間消費税224兆円集めたが、法人税は220兆円減った」と法人税引き下げとのセットでは反対。

自見さんは、橋本内閣の時の自分の閣僚経験から「3~4%アップするとたちまちのうちに大不況になる」と警告する。一方で、藤井さんは「団塊の世代1000万人が65歳になり受け取る側になり、1兆円の増加になる。現実問題をしっかり議論すべきだと正論を言う。

手順、段取り、社会保障に限定するのか、ムダの削減、還付制度など多くの課題が不明のまま、消費税が争点になっている。輿石さんはこれから党内で工程を考えていくと言うが、まだ10%を言うべきではない。事業仕分け20兆円、軍事費5兆円、政党助成金300億円をどうするのかと小池さんは言う。自見さんも赤字だと言うが、500兆円の金融資産、外国で所有する200兆円の金融資産がある。国の財政を一度チェックすべきだ都主張する。

更に野党は、ねじれを作り民主党の暴走をストップさせ(自民党)、「政治とカネ」の再発防止、マニフェストの進展具合、裏切りの普天開設問題に対し、審判を下す(公明)。

外交・安全保障での舵取りについて、輿石さんは日米合意を基軸に危険負担をどうするか話し合うことを主張するが、又市さんはアメリカと先に合意してしまった。抑止力と言うが海兵隊は沖縄にはいないと反論する。林さんも沖縄との合意をぶち壊し、8月中にまとめるというが、米国の信頼関係も失ったという。白浜さんももう一度一から始めるしかないと主張した。小池さんの言うように「新しい基地を作る」とこではないのだ。

「与党時代と、野党時代で考えが違っていないか」民主党はきちっと認めるべきだと小池さんは追求した。

それでは、選挙後は一体どうなるのか。

自見さんは連立を維持すると言うが、藤井さんは民主党に過半数はとらせない。政界再編の起爆剤になると言う。川田さんも議論をしようとしない民主党に過半数をとらせない。民主党との連立は出来ないときっぱりという。荒井さんも同意見だ。

一方で、又市さんはパーシャル連合を主張する。林さんも「ねじれ」で暴走を止め、パーシャル連合を目指すという。輿石さんも緩やかな協力関係、党派を超えて協議することになると言う。

しかし、小池さんは、横暴な大連立は許さない。共産党に支援を訴えた。

消費税問題では、菅総理の方針に過剰に反応しているように思えるが、影では15%を想定したシミュレーションまでやっていると言うらしい。選挙後に突然提案された例もあるので信じられないが、一度国の財政についてきっちり議論すべきである。財務省しか分からない状態での増税では納得がいかない。

今の民主党政権に、安定多数の議席を与えることは出来ない。ねじれ国会で民主党の暴走を抑制することは大切かも知れない。だからといって安易な連立は、公約までねじ曲げてしまう。

特に政権党内の意見の対立は、国民にとっては不幸なことである。それが権力闘争の様相を呈しているからだ。

ここは、民主党が分裂し、小沢さんのグループ、労組支持の議員は離党し、すっきりした格好での再編が必要なのかも知れない。パーシャル連合はもってのほかだ。
写真:2010.7.4 NHK参院選特集より。各党参院代表者が政治課題で論戦をはった。

2010年7月4日日曜日

消費税論争は、「政治とカネ」、「普天間移設」の目くらましか


参院選投票を控え、メデイアでは消費税論争に加え、「政治とカネ」の問題への各党の対応を問題提起している。消費税は政権党にとっては禁句であり、今まで必ず支持率を落とし、退陣せざるを得なかった政権もある。

そしてあれほど騒がれた普天間移設問題も、沖縄選挙区では民主党候補擁立出来なかったこともあり、選挙の争点から隠れることになった。

菅さんが危険を冒してまで「消費税論争」に打って出たのは、一向に前進しない「政治とカネ」問題、オバマさんとは先に確認しあった日米合意の履行も、大きな火種を抱えている「普天間移設」問題の目くらましだったのか。

鳩山さん、小沢さんは、自らの「政治とカネ」の問題で辞任しておきながら、それで責任は摂ったとでも思っているのか。菅さんの言及もトーンダウンしているし、他の閣僚も同じだ。辞任したのだから、本人の人権問題も絡んでくると言い出す始末だ。一向に民主党内から自浄作用は起こってこない。

普天間問題も8月にかけて、技術的な検討に入り次の山がやってくる。測量班が入ろうものなら流血騒ぎの反対が繰り広げられるかも知れない。沖縄県知事選も控えている。誰が総理であっても難局が続く。

一方の消費税増税問題、財政再建と経済成長の2本立てを国際舞台で約束してしまった。内需拡大にプレッシャーがかかる。増税→雇用増→経済成長の成長パターンに舵取りをしようと言うのだ。この説はある特定の大学教授の説であるが、菅さんにとっては耳さわりの良い説だ。しかし、経済学者によっては「ばかげている」と映る者もいる。今の不況下で増税は更に景気を悪くすると見るのだ。

財政再建に向けた「消費税増税」、政治の根幹を揺るがし続ける「政治とカネ」、日本の安全保障が絡む「普天間移設」。どれをとっても難題である。

この中で「政治とカネ」の問題は、国会議員の本気度にかかっている。すでに政治資金の毎日の出入りを公開したり、企業・団体献金を排除したり、各議員がそれぞれ努力している。要は、多数の秘書を抱え、多額の政治資金を動かし勢力を拡大する小沢流政治が必要かどうかなのだ。

今回の参院選でも定員はそのままで、数を確保しようと、どうしようもないタレント、スポーツ選手、落語家などを無理矢理に掘り起こしている。知名度があれば票を取れるという有権者をミーハー扱いしている。

新党結成しても候補者は、一度は有権者からNOを突きつけられた曰くありげの人材ばかりだ。

もう無理してどうでも良い候補者を立てるのではなく、722人いる国会議員の定数を大幅に削減することだ。カネのかからない、誰でも挑戦できる政治の世界を目指さなければならないが、容易なことではなさそうだ。

しかし、それにしても菅さんは、消費税増税を「政治とカネ」「普天間移設」問題の目くらましにしているのか。

そう言う穿った見方は出来ない。一つ一つが扱いを間違えば、命取りになる政治課題だからだ。
写真:首相官邸 難問山積の菅官邸であるが、ぶら下がり取材はなく、仙石さんの記者会見の様子も流れず、情報が特に少なくなった

2010年7月3日土曜日

参院選候補者選び:政党か、候補者個人か


参議院選の争点が消費税増税の是非になってきたが、肝腎の政権党内でも意見が分かれている。小沢さんや鳩山さんは反対で、菅執行部と相対する事態になっている。国民は、民主党の本気度を測りかねているのではないだろうか。

参院選東京選挙区の議員選挙公報を見ると、消費税に言及しているのは24人中4人だ。共産党、新党改革、あきつ新党と無所属の候補者だ。自民党、民主党の候補者はムダの削減を主張するも態度をはっきり打ち出していない。

消費税を議論しようとする有権者は、これらの政党を選ばなければならないのか。自民党か民主党かの選択ではなくなる。

たまたまNHKの政見放送で群馬選出の候補者の政見を聞くことが出来た。

民主党候補は富岡さん。日本の債務、1人当たりの借金、法人税、EUの消費税野比較など財政事情を詳しく説明し、増税の必要性を臭わす。一方の自民党の中曽根さんは、自分の閣僚時代の功績を説明し、北関東自動車道の開通は観光、企業誘致に貢献できると主張する。更に八ッ場ダムでは建設続行を訴えた。民主党の富岡さんは何ら言及せずだ。民主党は元県知事で推進派だった小寺さんを比例区で擁立している。有権者も選択に苦慮しているだろう。

中央での論争と地方での論争がかみ合っていない。

消費税増税論議もこれ程までに批判が高まるとは、菅さん自身も思っていなかっただろう。今まで民主党は「ムダの徹底削減」「逆立ちしても鼻血もでない」と言っていたのだから、そこまでまだ行っていないことへの不満だろう。

このために、内閣支持率は下落し、過半数確保は難しいという。元々鳩山さん、小沢さんの「政治とカネ」問題で不利な立場になったのだから、個々で過半数に達しなかった責任追及は、反執行部のなせることだ。

その「政治とカネ」の問題だって、「開かれたクリーンな政治」を目指す民主党にとっては、全く解決していない。諸悪の根元と言われる鳩山さん、小沢さんがかってに選挙応援のため全国を回っているという。

民主党内の自浄作用を促すという意味でも、小沢さんの虚偽記載問題では、検察審査会の二度目の議決も「起訴相当」であって欲しいと思う。

安全保障、財政再建か景気対策か、雇用の創出、失業対策、年金問題そして「政治とカネ」問題など難問が山積する中で、どんな候補者を選べばよいのか、

後、1週間で迷いがさめる可能性はない。
写真:通学路に建てられた選挙公報板 東京都大田区内で 2010.7.3

政界も角界も改革しなければ悪の温床に




角界や政界の収入(給金)資料を見て驚く。ある意味でよく似ているのだ。

角界では幕下以下は場所毎に7~15万円支給され、十両に上がると100万円を超え、大関235万円、横綱は282万円、そのほかに各種手当ても大きい。関取の収入で、母国で事業を展開している外国人力士の話も伝わる。

一方、国会議員の所得も発表になった。衆参国会議員の給与は1834万円が大多数で、それに不動産利子などが公表された。必然的に鳩山さん、菅さん、小沢さんの項に目がいく。

何故、この人がこの程度と疑問が湧く例もあるが、琺の不備で公表を除外されているものもあるらしい。例にもれず「あくまで自主申告、ウソを言っても罰則はなく、緊張感の欠如が目立つ」と学者は批判する。虚偽記載については、国会で何らかのルールづくりが必要なのだが、自分で自分の首を絞めるようなことはしないのが国会だ。

国会議員の給与手当は3500万円と言われ、勤続年数に関係なく、ベテランでも新人でも同じである。政治家を目指しているのかどうかは知らないが、税金から給与が払われる公設秘書などは別として、私設秘書などは7~10万円と言われている。

何やら角界も政界もよく似ている。

黒塗りの高級車で高級料亭に乗り付ける国家議員伸す型を見ると、自分も国会議員に当選すれば、同じことが出来ると錯覚を起こしても不思議ではない。

自民党だった杉村さんが、初当選で「料亭に行ってみたい。BMWに乗ってみたい」と発言し、顰蹙を買ったことがあるが、何で国会議員にあのようなことが出来るのか。官房機密費などが疑われる。

角界も政界も閉鎖的社会で、身内意識が強く、悪い慣例が蔓延っている。威勢のいいことを言っていた新人だって、その世界に入れば、なにも出来ない。当選回数が物を言うのだ。

角界は、力士の仲間で協会が運営され、外部からはよく分からない組織になっている。今、不祥事の反省からギブの人達が参加することになったが、その抵抗も大きいようだ。閉鎖社会で反社会的行為に対して鈍感になっていると批判するが、そのような環境を醸成したのは、相撲ファン、後援会、タニマチ、NHK等ではなかったのか。法人のチェックもろくにしないでその特権を認め続けた監督官庁の文部科学省の責任も大きい。

政界も世代交代が求められている閉鎖社会で、古い慣例を一生大事にし、激動の社会の変化についていっていない。消費税増税の前に、「まず自らの身を削ること」を要求されている。改革の本気度を自ら示せと言うのだ。

政界も角界も自らを律する能力に欠けている。求められる自浄能力がないのだ。不祥事が起きるたびに、曖昧な処理で時間を稼ぎ、突風が通り過ぎるのを我慢強く待つだけだ。病根は絶っていないので、次から次に不祥事が起きる。

今回の日本相撲協会の野球賭博汚染に至っては言語道断、国技を返上し、一介の格闘技、プロスポーツとして出直すべきである。国技とは言うが、名ばかりで外国人力士に負うところが多くなっていることを考えても、今後国技としての相撲を維持することは難しい。

政界も同じだ。折角政権交代しても自民党も民主党も余り変わらない。政権党内ではゴタゴタが絶えない。何やら権力闘争をやっているようだ。政治改革を推進しようとしているが、模範となる英国では二大政党制、選挙制度で弊害が指摘されている。日本には日本に相応しい政治制度があるはずだ。それが国の品格でもある。すべてのことを海外に学ぼうとするのは、余りにも安直である。

政界も角界も、その閉鎖性による組織の腐敗は、どんな組織にも見られることである。しかし、国技の継承、政治を司る公的分野であるが為に、その弊害は許されない。
写真:国会議事堂、国技館 改革しなければ組織は疲弊し、悪の温床に