2010年10月26日火曜日

小沢氏強制起訴は人民裁判なのか




人民裁判とは、主に共産国で裁判所と関係なく人民が行なう裁判という(国語辞典)。小沢さんが自らの政治資金疑惑で、告発事実以外の案件も含まれての「起訴すべき」議決で強制起訴されたことにより議論を呼んでおり、人民裁判だと批判する者もいる。

小沢さんは「不正はない」の一点張りで理解を求めてきたが、ここに来て起訴を回避すべく手続き差し止めなどの訴えを起こしたが「刑事裁判で手続きも争える」として却下され、即時抗告したが高裁も同じ理由で却下した。

捜査権を持つ地検特捜部が2度にわたり不起訴にした案件を、検察審査会が「起訴すべき」と議決したこと、更には告発事実にない事実が追加されての議決だったことが波紋を呼ぶ結果になったのだろう。

小沢さんの政治資金疑惑は、単なる記載ミスの形式犯と小沢さん側は見ているようだが、この案件では土地取引に関する原資の所在も問題になる。小沢さんの此までの説明は2転3転している。小沢さんにとっては触れられたくない問題だ。

私もこの点が一番の疑惑だと思うし、この真相がはっきりしなければ小沢さんの疑惑は晴れないと思う。人民裁判だと反論している連中は、真実をはっきりさせようとしているのか。ただひたすら小沢さんを擁護しようとしているのか。

確かに、検察と審査会では判断基準が違うのだろう。検察は、「証拠上有罪を確信できなければ起訴しない」(大阪地検特捜部の件は別として)と言うことだが、審査会は「疑わしきは起訴し裁判ではっきりさせる」と言うことだろう。極言すればえん罪を有無危険もある。

法の下に平等であるべきだが、国民の負託を受けた国会議員は、一般の人よりも厳しい責を負うのは当然だ。国民の税金から年間1億円もの大金を支出し議員活動を援助しているのだ。

一般国民の良識を検察官の職務に反映させる目的が検察審査会制度にはあることを考えると人民裁判という批判は当たらない。

検察審査会法を見ると、あらゆるところで裁判所が関与して、検察審査員の権限、義務その他必要事項を説明し宣誓までさせている。勿論検察審査会長の責任は大きい。私達が新聞報道などで知る以外にも重要な証拠を把握しているのかも知れない。
更に審査会が起訴相当の議決をする場合は、予め検察官に対して会議に出席し意見を述べる機会も与えられている。その時どういう意見が述べられたのか分からないが、会議録には記載されているのだろう。公表されるべき者かどうかは法には規定がない。審査会が公開されないのだから、非公開なのだろう。

小沢さん側や学識者、興味のある人には公開して欲しい資料だろう。

小沢さんは自らの疑惑事件を、政局のカードにしようとし、スムーズな国会審議の担保を取ろうとしている。何処までお騒せの小沢さんなのか。

小沢さんの言う「不正は一切ない」のであれば、政治倫理審査会ばかりでなく、参考人招致、ウソの証言は罪になる証人喚問だってでれるはずであるし、政治家経歴に汚点が出来るだろうが、裁判で真相を明らかにすべきだ。

取り巻き政治家や一部ジャーナリストが「人民裁判だ」と批判しているが、裁判所抜きの裁判ではない。

検察審査会制度自体に対する疑念もでているのは確かだ。国会審議で検察審査会のあり方が質問されたが、最高裁、法務省の答弁はありふれた手続きに終始した。

裁判員制度、検察審査会制度は、一般国民の良識を司法や行政(検察は行政の一部、裁判所は司法)に反映させる目的がある。検察審査会法が強化されたときに、小沢さんをはじめ国会議員は審議にどう係わったのか。法案が一括処理されたから分からなかったのか。
写真左: 小沢氏の「政治とカネ」問題で揺れる国会
写真右:東京地方裁判所 即時抗告も却下、手続き上の問題も裁判で争われることになる 

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