2009年9月4日金曜日

こんな民主党で政治主導ができるのか


民主党圧勝の原動力が分かってきた。民主党はその選挙区で、それなりの知名度もあり、実力もありそうな新人を、旧来の自民党がやった辻立ち、握手などのドブ板選挙で当選させてきた。その人物、あるいは政策、実績は二の次だ。

 国中が、自民党に嫌気がさし、今回は民主党に替えてみようかとの風潮が高まっていたのだから、民主党、名前、顔を売ることが当選の必須条件であることは分かる。

 開票してみれば、自民党は119議席に対して、民主党は新人143人を含む308議席を獲得した。民主党内では、小沢さんのグループは150人の所帯になり、菅さん、前原さん、野田さんのグループ、旧社会党グループ、旧民主党グループはそれぞれ30人程度であることを考えると、党内の小沢さんの発言力は絶大であると共に、国政への影響も計り知れない。

 それにも増して心配なのは、新人143人を抱えたことで、国政がうまく行くかどうかだ。民主党は100人ほどを行政につかせるという。全く素人では、官僚にバカにされるし、それなりに力のある経験者がつくだろう。政権を担う党として官邸にも優秀な人材を配置しなければならない。経験者65人と新人143人が党に残り国会の活動をすることになるのだろう。

 各種委員を掛け持ちで、委員会での審議に臨まなければならないが、与党委員として質問に立ったり、政策課題が十分に審議出来る能力が備わっているのか。官僚主導であれば、提案されたことにYESだけやっていれば良いが、今後は政治主導に持っていくとなれば自分の考えをしっかりしなければならないし、議員立法もドンドンやるべきだ。そんな国会で、政権与党の半分近くが素人同然の新人ではどうなるのか。

 民主党の主導する政治主導の政治など出来るはずがない。ますまず官僚が幅を利かす政治になっていく心配がある。

 しかも小沢さんには、「壊し屋」としての異名があるほど、政局での危うさがある。16年前の8党混在での細川政権樹立は、「新しい日本」の構築への期待が大きかったが、当時の大蔵省斉藤次官と小沢さんが組んでの唐突な福祉税導入問題で、政権は崩壊に向かい、他に金銭の問題もあって細川さんは政権を放り出した。

 小沢さんへの心配は、開票後から隙間見えてきた。開票速報の感想を聞かれて、「まだ確定したわけではない。メデイアの予想の段階では何も言えない」と言ってみたり、政権移行チームの断念や人事構想の発表を止めたり、何やらチグハグさが出てきているが、背後に小沢さんの意向があることは誰でも想像がつく。開票当初から、党内の権力闘争が見え隠れする状況だ。

 これでは、小沢さん不在の政権交代の方がまだましだ。

 今回の政権交代は、小泉さんの「自民党をぶっ壊す」宣言、構造改革による格差社会の顕在化などで、自民党への嫌気は増し、小沢戦術がなくても、拮抗しても政権交代はやれたはずだ。まだその方が議論百出で面白い。

 選挙期間中は、辻立ち、握手、子育て、教育など人気取りのバラマキ政策をお互いに批判しあってはいたが、日本のあるべき姿、860兆円にも上る先進国唯一の長期債務国での財政再建など重要な課題は話に上っていなかった。

 期待通り民主党はかったが、党内で小沢さんとの戦いをやっている暇などない。そんなことをやっていると官僚の思うつぼ、官僚主導に持っていかれ政治主導など夢物語になることは分かり切っている。民主党執行部が小沢さんとどう対応できるかで、日本の未来が決まるのは恐ろしいことだ。

ところで、小沢さんと鳩山さんの政治資金規正法違反事件はどうなったのか。小沢さんはあっせん収賄、鳩山さんは脱税の疑いを含んでいる。これから始まる権力闘争では自民党が激しく追求するだろう。党首討論の時、「政治と金」の問題で公明党の太田さんは「政治資金規正法違反事件では、秘書が責任をとるだけでなく、議員も辞職するようにすべきである」と鳩山さんに迫ったとき、鳩山さんはチョット考えて、「原則賛成だ」と同意した。

 「企業献金がダメなら、全面禁止にしたらどうか」と開き直るのではなく、まずもっと説明し、それでも国民が納得しないのであれば、潔く議員を辞めるべきである。

 西松建設違法献金事件での民主党の第三者委員会は「政局も重大な時期であり、指揮権発動の可能性も考えられても良かったのでは」という意味の報告書を提出した。なんて言う手前みその横暴な意見なのだろう。こんな重大な問題を抱えているので当然に、閣僚人事では法務大臣が注目される。小沢さんに近い人がなれば、見え見えである。

 国民はしっかり監視しなければ、権力者は自分に都合の良いようにやってしまう。民主党政権誕生による政権交代に浮かれてはいられない。幸いにも、来年の参議院選で審判を下す事が出来るのだ。

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