2010年6月30日水曜日

続く政権内のゴタゴタ、民主党は分裂し再編を 


難題が山積し、これと言った処方箋も打ち出せない政治で、何故こうもゴタゴタが続くのか。

自民党時代の小泉政権以降の安倍、福田、麻生政権然りだ。安倍さんは年金問題で総攻撃を受け、選挙で惨敗しても政権にしがみつき、挙げ句は体調を崩して政権放り出し。福田さんは、森さんに担がれ突如本格内閣として出てきたが、選挙の顔ではなく政権放り出し。後を受けての麻生さんは、総裁選の洗礼を受けたが、リーマン・ショックもあり、解散の時期をめぐり、「麻生おろし」が噴出した。

一方、鳩山さんも自らのスキャンダルと資質問題が出て、選挙に勝てないと見た参院執行部に引きずり降ろされた。政権のたらい回しで出てきた菅政権であるが、距離を摂った小沢さんからはマニフェスト見直しを公約違反と非難される。過半数確保が難しいと見てか、連立話も持ち上がってきた。

政権担当能力に疑問符の付く民主党政権であるが、政策の違いによる「内輪もめ」なのか、政権与党内の「権力闘争」が続いているのか。

一方、民主党の過半数確保には疑問もある。過半数を与えると「何でも認められたことになる」と誤解して身勝手なことをする。過半数に足りなければ、数あわせの連立に走り、公約もねじ曲げられる恐れがある。

小沢さんとは、一線を画っしているが、小沢さんも自分の掘り出した候補者を支援すべく応援に駆け回っているようだ。遊説先で執行部批判を続けることは、相変わらず権力の二重構造が残っている。

小沢さんの影が見え隠れする間は、小沢さんが言うように「政治は闘争」なのだ。古い政治を引きずっていることになる。

ところが、求める「民主党らしい政治」となると、又話が違ってくる。民主党には旧社会党系、旧民社党系の議員がいる。当然労組の支援を受け、労組の利益沿う政策が求められていることは、伺い知ることが出来る。公務員制度改革、公務員数削減、人件費カットもうまく行かない原因はそこにある。

「増税の前に、やらねばならないことがあるだろう」と各党が主張する政策である公務員改革が着手も出来ないでは、民主党政権は国民を裏切ることになる。

民主党はいつもギクシャクする政党だ。成り立ちから考えて、いろんな系列の議員が混在している。常に「どうすれば自分のグループがイニシアテイブを取れるか」で行動している政党だ。

折しも、参院選後は政界再編だと言う見方が、メデイア、世論調査で見られる。

安定政権、誰でも分かる政党をめざし、まず民主党が分裂することだ。

自民党と民主党の一部の合同、労組を支持母体にする旧革新系、公明、共産その他の党になればいい。自民党だって野党転落後は学習し、民主党に似た政策になってきた。小沢グループはその他の党として独立すべきである。小沢さんが加わると何やら難しいことが起きる。小沢さんは政権に加わるべきではない。仙石さんをはじめ、主要閣僚に労組出身者がいるが民主党の労組出身者も離党して革新系と合同すべきである。

政権党として、立ち位置の分かる政党であって欲しい。
写真:民主党本部 相変わらずの党内のゴタゴタ、民主党は分裂し政界再編を。安定した誰でも分かる政党が必要

2010年6月29日火曜日

その真相?:日本の国家財政の危機という問題




まともな議論もないままに消費税が参院選の争点になってきた。二大政党が消費税10%を主張、その他の党はそれより先にやることがあると批判を強める。しかし、日本の財政がどういう状態にあるのか分からないままに、財政再建を強調する動きが出てきた。

批判の多くは、「財務省官僚による企て」と批判することも理解できる。あれだけ官僚を批判してきた菅さんが、財務省官僚に屈したと言うのだ。

今まで我が国の財政状況がオープンになったことはない。その時その時の課題が、メデイアで報じられるが、そのニュース・ソースも財務省だと言われている。

一方で、相反する見解も出ているし、おかしいと思う点もある。

「財政危機だ」と主張しているが、決してそうではないと言う。日本の国債の95%は日本人が買っている。借金は外国人買いの約5%だという。G20首脳宣言で財政赤字を「2013年までに半減し、16年までに政府債務の対GDP比率を安定化させる」と言うが、日本は例外扱いになった。その原因の一つに国債の95%を日本人が買っていることにある。

又、日本の借金は900兆円と言うが、特別会計などには約500兆円の国の資産もある。
対GDP180%の先進国一の債務国であるが、資産を差し引くと約400兆円で、特に多額とは言えないと言うのだ。

確か日本は米国債を200兆円ほど持っていると思う。橋本元総理が、米国の大学で講演し「日本は債権者として、米国債を売る衝動に駆られたことがある。米国はもっとしっかりして欲しい」という意味の発言をして、何か忘れたが経済指標が下落し、外交で言うべきことではないと批判されたことがある。

ギリシャの財政危機も他人事ではないのは確かだ。ギリシャは日本と経済力が違うのでギリシャのような危機ではないと言う。しかし、ギリシャの財政危機の原因の一つは、公務員の多さ、高給にある。とすると日本だって他人事ではない。

メデイアの報道を見ると、税体系として消費税、法人税など個々の税の比較では日本は低い、高いを比較している。しかし税体系全体ではどうなのか。法人税を下げる穴埋めに消費税増税では、共産党の言うようにおかしい話だ。
さらには、納税の公平感があるのか。昔10:5:3:1と言われたことがあるが、今は余り聞かない。サラリーマンは100%捕獲されているが、自営業や農業は正確に把握されていないという不公平感である。

企業だって税金を納めているのは全体の1/3で、2/3は税金を納めていないとも言われる。宗教法人だっておかしい。宗教にかこつけて脱税行為をしている。その宗教団体が選挙で候補者を公認しているのだから、ついお灸など出来るはずがない。

民主党は、一般会計と特別会計を一本化して、国会で監視できるようにしたい考えがあるようだ。特別会計が財務省の思うが儘の懐であってはまずい。

早く、国の財政、会計を公開すべきだ。何故、財政学者が考えを述べないのか。週刊誌では、問われてコメントしているが、日本財政学会のプログラムを見ても、国の財政を論じた報文は見あたらない。

象牙の塔では、実際に財務省がやっている悪事や絡繰りを見破ることが出来ないのか。

今の経済状況で、増税が是か非か。選挙抜きでも真剣に考えなければならないことだ。生産者、消費者の心理は良くない。雇用もはかばかしくない、低所得化も進んでいる。リストラで収入は減る一方だ。こんな時、消費者は増税されると、更にモノを買い控えるようになる。作っても売れないから生産者はモノづくりを控える。生産者だって消費者だ。モノを買い控える。税収は減る。

一方で、減税すると消費は増えるだろう。今まで買い控えていたこともあって、消費者心理は上向くかも知れない。菅さんは、増税分をうまく使えば効果はあると主張するが、増税が生産者や消費者の心理を好転させる補償はない。

やはり、時間をかけて十分に議論し、低所得者層にも配慮した国民が納得する税制度でないと混乱するばかりだ。

「選挙前に増税に言及するなんてもってのほかだ」とか、「4年間増税しないと約束したのだから、守るのが当然だ」と民主党を問わず非難囂々であるが、日本の国家財政を根本的に考える機会は必要だ。これは税の無駄使い排除と表裏をなす課題である。

あらゆる形の税金が、どう使われているかを知ることは納税者の権利であり義務である。財政学者も堂々と発言すべきだ。そうでなければ学問の価値がない。
写真左:財務省 国家財政の全体像を公開することなく、財政危機で増税を訴える。あらゆる形の税金の使い道を国民に知らしめるべきである
写真右:菅官邸 唐突な消費税10%は、国民の支持を受けられない。当然支持率は下落しかない

2010年6月28日月曜日

菅さん、谷垣さん 本当に任せて良いんですか




菅さんは党内で十分に議論もされないままに、突如消費税について自民党案の10%を目標に議論すると言い出した。数字自体の根拠は「腰だめの数字」だから、非半田出てきても当然だ。

2ヶ月後の退陣に追い込まれた細川さんを思い出す。あの時も旧大蔵省の事務次官が大きく係わっていたと言われたが、今回も財務省の入れ知恵があると言われている。日本の財政を把握しているのは財務省であるから、それは仕方ないことだが、その前にムダを排除し、その是非を議論するのが政治主導だ。

政治は国民に言いにくいことも言わなければならないが、消費税は選挙では禁句であるのは確かだ。内閣支持率が急落している。あわてた菅さんはじめ、民主党幹部は連立の模索を始めた。

54議席が当面の目標らしいから、過半数確保となると、まとまった議席数が予想される「みんなの党」が連立先になるが、公務員制度改革では制度設計が異なるし、自治労が支援労組であればギクシャクは免れない。

一方の自民党谷垣さんも、辞任を覚悟で選挙戦を戦っているという。内閣支持率は下がっても、自民党支持率は相変わらず低く、民主党に大きく引き離されている。菅vs谷垣、枝野vs大島のイメージで考えれば、自民党に不利かも知れない。

しかし、自民党が全く信頼を失っているのかと思うと、そうでもないのだ。60%を越える人が、まだ自民党に期待しているのだ。

読売新聞世論調査(2010.6.28)によると、「自民党に再び政権を担当して欲しいと思うか」との質問に、「出来るだけ早く」が17%、「担当して欲しいが、当面はのぞまない」が46%、「担当して欲しくない」が34%だ。

マニフェストや新聞の意見広告を見ると、菅さんは政権党として、「新星町戦略」で新しい経済が生まれるという。しかし、成長分野と言われているのは医療や介護、林業、観光などで、低効率、しんどい仕事で、低所得の分野。環境分野をのぞいて世界的に競争力は劣る。本当に期待できるのか。

一方の自民党も、今の経済の最大の課題である「デフレ脱却」を訴えている。小泉政権の時に「デフレ脱却宣言」を出すかどうかで迷ったが、脱却できず、デフレスパイラル状態だ。

雇用の創出も長く自民党政権で唱えられてきたが、リーマン・ショックもあり一向に改善できていない。今まで出来なかったことが、どうしてこれから出来るというのか。

政治への信頼も早急に取り戻さなくてはならない。

今、各党が共通して訴えていることは、国会議員自ら「我が身を削ること」から始めることだ。年間1人当たり、1億円もかかっている国会議員722人を半減し、歳費も削減、さらには地方公務員も含めて大幅にカットすることだ。消費税の2%相当分を削減すべきだ。

民主党が出来なければ、自民党に変えてでもやるべきだ。「もう少し民主党に委ねてみよう」
なんて悠長なことは言っていられない。

各党の公約を見ても、良いことは言っているが、候補者数も少なく、当選者数も数名の弱小政党でどうして実行出来るのか。

同じ読売新聞の世論調査でも、「政界再編での新しい枠組みの政権」の期待が大きい。民主党や自民党に任せるわけにはいかないと国民は見ているのか。政策課題毎に、支持政党が違う結果なのか。

いろんな政治課題が山積しているが、経済を良くするには、生産者、消費者の心理も大切だ。雇用の改善、デフレ脱却は緊急の課題だ。

次の総選挙までに、行財政改革に着手すべきだ。まず我が身を削ることから、国会議員、公務員の削減は避けて通れない。一般会計と特別会計は一本化し、国会での監視を強化すべきだ。特別会計の仕分けも始まるらしいが、これにも赤字が含まれているらしい。消費税増税は国民も仕方ないと思っている。しかし、その前にやらねばならないことがあるのだ。

しっかり国会で議論し、どの程度の上げ幅になるのか、国民に信を問わねばならない。

ねじれ国会は政権がやろうとすることが出来ないだけで、やらなければならない政策は沢山ある。数あわせの無理な連立は公約自体がねじ曲げられる危険があることは前例でもよく分かる。

ねじれ国会状態は、国民が選択した道である。政権党はしっかりした内容の政策を提案し、それでも成立しなかった理由は、過半数確保が難しかったことにあることを説明し、国民が認めてくれるか同どうかだ。

菅さんは、与えられた議席で最大限の努力をすればいい。谷垣さんは、「自民党は政権を担当しても良いが、当面は望まない」という国民の声を真摯に受け止め、信頼回復に努めるべきだ。

大丈夫か、菅さん、谷垣さん。
写真:民主党、自民党の新聞意見広告 読売新聞より

2010年6月26日土曜日

参院選東京選挙区:有権者のレベルが分かるか


5議席を24人が争う激戦区となった東京選挙区、序盤のヨソウでは民主党の蓮舫候補者が圧倒的にリードしているという。そりゃあそうだろう、あれだけ事業仕分けで目立っては知名度も上がるはずだ。

なかなか自分たちの選んだ国会議員が、日常どんな活動をやっているか分からないが、当然のことながらあの「事業仕分け」という政治ショーは、仕分け人に摂っては、この上ないアピールになった。議員は選挙の時に知名度があがるし、識者はそれなりに箔が付く。

でも事業仕分けだけで圧倒的に有利だなんて、あまりにもミーハー的ではないか。東京選挙区もさることながら、他の候補者のために全国を飛び回るとは、人寄せパンダ的存在だ。
鳩山、小沢体制の時は、苦戦が伝えられていたことを考えると、菅、枝野体制では雲泥の差だ。

24日の新橋の第一声では海江田さんから、マニフェストを実施しようとしても財源の壁に突き当たる。蓮舫候補の事業仕分けに頼るしかないと紹介されていた。ニコニコお辞儀をしていた。

東京選挙区は登録有権者数が約1070万人、投票率50%として、500万票だ。蓮舫候補が大きくリードし一人勝ちでは、選挙民はミーハー的レベルだ。混戦となり競り合う結果であれば有権者のレベルは高い。

一方、事業仕分けは、それなりの効果はあったとしても、仕分け人である国会議員の知名度アップに利用されていたとしたら、メデイアの報道のあり方に問題がある。

これから特別会計での仕分けが待っているというが、民主党は政治ショーとして利用することは控え、メデイアも強調した報道は他の候補者に不利だと言うことを考えるべきだ。

東京選挙区は、有権者の政治的レベルを伺う絶好の選挙区だ。
写真:陣営が使うのぼり「SHIWAKE 2010」 いかにも仕分け人であることを強調している

消費税ばかりでない参院選争点


参議院選の争点をどこに求めるか。消費税増税論争が出てきた。菅総理が10%に言及すると内閣支持率も59%から50%に急落した。他にも大事な課題がある。消費税論争で他の争点をぼかしてはいけない。

こうなったら何やら16年前の細川内閣が、国民福祉税構想を発表した時のことを思い出す。消費税を廃止して、7%の国民福祉税にするというのだ。しかも未明の突然のことだったので良く覚えている。

会見で「その根拠」を聞かれたとき、「腰だめ数字」といったモノだから批判が続出した。すぐさま、当時の竹村官房長官は「過ちは改むるに憚る事なかれ」と新税導入は「あやまち」と決めつけ、2ヶ月後に細川さんは退陣になった。背景には「細川斬り」があった。

菅さんの10%の根拠には、自民党案があったようだが、その消費税増税10%を今回公約に載せた自民党でさえ、「丸映し」と批判している。自民党案には、根拠があるそうだが、自民党のHPを開いても、その根拠を見ることは出来なかった。

菅さんには、自民党案に乗ることによって、超党派での議論に誘おうとしたのだろうが、自民党は「4年間消費税は上げない」と言ったことは何だったのかと批判する。このような借金大国にしたのは、自民党政権だったのだから、潔く参加すべきだと思うのだが・・。

もっと先にやらなければならないことがあるとの主張には同感である。

ムダの削減は不十分だ。事業仕分けは流行語大賞になるほど有名になり、国民に見える政治を提供したが、その結果は9兆円の削減にほど遠かった。現実を十分に把握せず、この程度のムダがあると発言していた識者の見方を鵜呑みにした結果だったのだろう。事業仕分けも10月には、特別会計に踏み込むという。

176兆円の及ぶ国会の監視の外に置かれていた特別会計であり、10%削減しても17兆円になり、約7%の消費税に相当する。期待が大きいが、この特別会計にも赤字があるそうだ。一般会計では赤字が目立つために、特別会計で赤字を隠していたのだ。

民主党は、一般会計都特別会計を統一したい考えもあるようだが、是非統一し、すべて国会で審議できるようにして欲しい。官僚に任せてはおけない。

行政改革も遅れている。民主党は国会議員の80人削減などを提案していたが、一向に進んでいない。今国会議員は722人いる。1人当たり1億円かかっていると言われているので人件費は722億円だ。

国民に負担を強いる野であれば、まず「我が身を削ってから」と言うことになる。日本創新党の旧杉並区長は、まず自分の報酬カットから始めたという。

日本には国家公務員30万人、地方公務員が300万人。年間27兆円かかっている。20%カットしたら5.4兆円、消費税約2%に相当する。自治労が支援労組である民主党に改革が出来るのか。

景気回復、雇用創出は税収アップにも結びつき緊急の課題である。大企業の景気は良くなったという。月例報告にも「回復」の語句が使われている。しかし、失業率は相変わらず高く、低所得化が進み世の中はデフレ・スパイラルだ。

経済成長(景気回復)か財政再建か。公約でも意見が分かれている。世界でも経済成長派の米国と財政再建派のEUと意見が分かれている。

ところが菅さんは、「経済成長と財政再建は両立できるという」。二兎を追うと言うのだが、一兎も得ずと言うこともある。ノーベル経済学者は財政出動派が多いようにも思える。
消費が低迷している時の増税は、更に景気を悪化させるという。ここは財政出動しかないと言うのだ。

しかし、対GDP赤字が先進国ワーストワンの180%にまでなっている日本で、これ以上の赤字が許されるのか。赤字返済のために消費税導入には反対だという主張は理解できる。
財政出動か財政再建か迷う。財政出動なら弱小政党に投票しなければならない。

すでにメデイアは、参院選での世論調査(序盤情勢)を発表している。有権者は本当に政策中心の政党選択をやっているのか。

有権者をバカにしたような有名人、二足わらじの候補者擁立作戦に乗っかって、間違った判断をしていないのか。政党は、有権者をミーハー的存在と思っているのだ。

菅さんは消費税を今すぐに上げようとは思っていないようだ。まず議論から始めようと言っている。そして実際にやるときは国民に信を問うとも言っている。騙されてはいけないが、今、重要な政治課題が消費税論争に隠されている感じがする。

2010年6月24日木曜日

参院選新橋で第一声:「正気を取り戻せ(創新党)」、「見える政治、見る政治(蓮舫)」




24日参院選がスタートした。各党首がそれぞれ力を入れたい都市での遊説になったが、東京・新橋で日本創新党山田候補、中田候補と民主党蓮舫候補の話を聞いた。

10時半から11時15分まで日本創新党、指令工民主党に時間が割り振りされていた。カラーコーンで狭い範囲に取材陣や聴衆が集められ、溢れた聴衆が広場に散らばった。どこでもそうだが、メデイアの取材陣は我物顔で、最前列で高い脚立や三脚を立てカメラを廻していた。迷惑な存在だ。

「山田候補以外は意味がない」という声が取材陣からもれてきた。

最初に登場したのが、その日本創新党の山田宏候補だ。開口一番「日本の新しい夜明けへの出陣式です」。「正気を取り戻し、日本や自治体を立て直そう」と訴えた。

山田市は、日本の今を、底に穴が空きドンドン水で浸水(財政赤字)し、日本は沈む。エンジンはさび付いたままで、日本の電器会社全部でも韓国のサムスンに対抗できなくなった。

公務員も多すぎる。国で30万人、地方で300万人。多いから悪いこともする。二重三重行政だからコストもかかる。日本創新党は公務員を30%削減し、日本丸の乗組員の数を減らし、行政コストを下げる。

バラマキ予算に見えるレストランのメニュー競争をやっているときではない。子ども手当は何で配っているのか。37兆円では何も出来ない、借金して配っているのだ。誰が返すのか。

正気を取り戻そう。もっと頭を使おう。皆さんももっと怒らなければダメだ。

杉並区では、924億円あった借金を、あと2年で0に出来る。自分の給料を削ることから始めた。民主党は議員数を80人削減すると言うが、やっていない。このマニフェストは食べられない模造品なのだ。

自分たちの違う処は、「自分の身を削ってからやった」。「やったか、やらなかったか」だ。「ばかげた政治は切っていく」「良識を次の世代に」「選挙目当てを終止しよう」と訴えた。

今までの政治はおかしい。ここで正気に戻って、日本、地方を立て直そうと訴えた。

続いて、民主党の蓮舫候補だ。幟には「SHIWAKE 2010」と書かれている。自分のイメージは「仕分け」しかないと言っているようなモノ。事業仕分けを専売特許伸してはいけない。

まず海江田さんが、マニフェスト項目179のうち94に着手した。50%の実行だが、問題は財源だ。そのために蓮舫さんの仕分けがあると持ち上げた。蓮舫候補は、笑顔でお辞儀する。

そして、蓮舫さんは「皆さんの税金を取り戻させてください」「政治は国民の皆さんの生活を守るためにあるのです」という。昨年の政権交代実現で、税金の使い方を改める。事業仕分けで、使われ方を公開する。実績がないのに、予算ばかりふくれる。

どうやって直して行けるのか。「誰が、いつまで、効果」について事業シートを書かす。5000事業を8月までに公開すると言う。10月から特別会計の事業仕分けが待っている。カネの使い方にムダがないと思われるまでやる。

そして、「見える政治、見る政治」をやっていきたいと結んだ。

蓮舫さんには、事業仕分けの思い入れがありすぎて、仕分けのことしか話していない。一閣僚なのだから、もっと「日本をこうする」位のことは言っても良いはずだが、これでは心許ない。

それに引き替え、創新党の山田さんには説得力があった。事業仕分けも、まず国会、国会議員からやるべきだ。国会議員自ら身を削ることから始めなければ日本を改造することなど出来るはずがない。

2010年6月23日水曜日

政党選択のポイント:マニフェストではなく、「情」と「悪さ加減」では




選挙で政党を選択するときに、マニフェストを参考にしている人が多いというが本当か。実際は「情」と「悪さ加減」で選んでいるのではないか。そこに大衆迎合の危険が出てくる。

先の参院選では、マニフェストに異常なまでの重点が置かれた。政権交代を目指す民主党は、自民党に先駆けて膨大な公約を公表した。政権に就いたことのない民主党は、現実を把握しきれず、バラマキ政策に走り、政権交代は出来たモノの、鳩山政権は9ヶ月の短命政権で終わり、菅政権へのたらい回しとなった。

民主党は野党時代に、政権のたらい廻しを批判していたが、自民党は国民の多数に選ばれた自民党国会議員による、総裁選を経ての総理選出だから民主主義に反していないと見解を述べたが、民主党はこの政権たらい回しをどう考えているのか見解がない。

私は、総選挙前に「この雪崩式政権交代は問題だ」という内容の記事を書いたが、何故こういうことが起こったのか。

マニフェストを参考にするとか重視すると言うが、本当にそうなのか。大部分が「情」に訴えられたり、「悪さ加減」で支持政党を選択しているのではないか。

6団体による民主党政権のマニフェスト評価を見ても、9ヶ月の実績とはいえかなり厳しい点数だ。余りにも理想的で根拠の低い政策であったために、実現の壁に阻まれ民主党内でも混乱を来した。

私は、ISO9000シリーズにならって、マニフェストもPDCAサイクルを廻して、政策の質を向上させるべきだと主張している。子ども手当のように財源不足で、現金給付は満額支給を止めて要望の大きい保育所などを整備するという方針の変更は、当然である。

参議院選を前に、民主党は衆議院選のマニフェストを修正しなければならない羽目になった。鳩山政権から菅政権に変わり、さらには財源の確保が難しくなった今、現実主義に方向転換しなければならないことは当然としても、前のマニフェストは余りにも幼稚すぎた。

民主党政権とは違ったことをやりたい。高速道無料化など外国事例を参考に極端な政策に飛びつき、国民はマニフェストの真贋も分からないまま、「政治が変わる」ことに大きな期待を抱いた。「政権交代をやってみませんか 皆さん」、「政治を根本から変えるんです」、「官僚主導から政治主導へ」と鳩山さんに訴えられれば、情に負けて「一度やらしてみては」ということになる。

マニフェストは手に掲げて見せるだけでいいのだ。

参院選に向け、「消費税増税」がクローズアップされてきた。

選挙を前にして増税は禁句であったが、今の日本の財政状態を考えれば、早く議論をはじめた方がよい。一般会計92兆円については、事業仕分けでムダを摘出したと言うが、金額的には9兆円にほど遠い。9月からの176兆円に上る特別会計の仕分けに期待したい。

消費税1%は、2.5兆円に相当するといわれているので、特別会計を10%カット出来れば消費税増税5%分を十分に賄うことが出来る。増税の前にムダ削減は当然の話である。

菅さんは、財務省に丸め込まれていると批判されているが、消費税増税を国家財政の観点からしっかり議論し、国民に提案すべきである。「おおざっぱに」では信を失う。

共産党や社民党政権にならない限り、政策が大きく変わることはない。民主党も自民党も似たり寄ったりなのだ。この二大政党以外の弱小政党は、政党支持率だって2~5%、候補者が当選したってたかが知れている。政界再編を狙い、あわよくば主導権を握ろうとする強者が代表だ。

結局は、民主党、自民党の政策目標、政治手法、「景気対策」、「政治とカネ」の問題への対応、日米関係の維持など総合的に考えた「悪さ加減」で政党を選択することになる。

私も先の衆院選では、民主党の内紛で選挙区に候補者がいなかったこと、比例区は「不要」と記入した。従って政権交代に一票投じたわけではないが、民主党政権の稚拙さには、呆れるばかりだ。

今度の参議院選に当たっては、各党の主張する政策もすべてを一党に委ねることは難しい。情で判断することも良くない。結局は全体を見て、どの政党が「悪さ加減が少ないか」で決めるしかない。でも比例区は「不要」にしようと思う。

2010年6月22日火曜日

大相撲賭博汚染:国技を返上し、一介の格闘技で出直せ


「国技」とは、その国の代表的なスポーツ・武術で、日本では「すもう」だと言う(三省堂国語辞典から)。

その国技を継承していかなければならない日本相撲協会で、外国人力士の大麻事件、力士の死亡事件、暴力行為(?)での横綱朝青龍の「解雇」そして今回の理事、親方、現役力士65人もの多数を巻き込んだ野球賭博事件と不祥事が多発している。

その都度、組織を守らんとするが為に、責任の取り方が不透明で、しっくりいかず、それが不祥事を早期にあぶり出し適切に対応していけない協会の限界を示している。

NHKが相撲を中継し、多くの国民の娯楽に一役買っている相撲の歴史を顧みても国技に相応しいスポーツなのだ。それが賭博という社会的に厳罰に処すべき行為が横行していたのだ。

中には相撲部屋の半数以上の力士が賭博行為にはまっていたという。親方は何故辞めさせなかったのか。角界で噂が広がっていたはずだが、どうして自浄作用が働かなかったのか。
「ごっつわさん」の意識で悪事に麻痺していたのか。

中学や高校を卒業して直ぐに入門し、社会人教育もまともに受けることなく、若くして幕内になれば高給を得ることが出来る閉鎖的社会だ。上下関係も厳しいだろう。弟子と親方の現役時代の番付が逆転すれば、弟子の教育もうまくは行かないだろう。

ところが今回の野球賭博は、親方など弟子を教育すべき要職にある人間が、賭博行為の該当者になっていることだ。これでは正常な協会の運営などできっこない。

賭博行為をした力士を持っている親方、関取衆が身の振り方について、「協会に一任している」という。自分の身の処し方を自分で判断できない程、社会的能力に欠ける人間の集団になったのか。

協会は、名古屋場所の中止も判断できないでいる。関係することが多すぎて困惑しているのだろうが、事件の重大さ、該当者の多さから考えても、他に方法はない。

ここは、国技、法人を返上し、一介の格闘技スポーツとして出直したらどうか。

国技を継承するに必要な心身共に健康な力士が育っているとは思えない。悪事、不祥事を早めに防止できる自浄作用も全くない。国技とは言っても、現状は外国人力士に負うところが多い。日本人力士だけではやっていけないことはすでに分かっている。

一介の格闘技スポーツ団体になれば、八百長だって、そう言った目で見れば面白い。

相撲は、小・中学生、高校、大学とすそ野の広いアマチュアスポーツとして認められた存在ではあり、プロへの道を絶つことの是非があるだろう。しかし、それは何も相撲に限ったことではない。格闘技としての道がある。

何も財団法人としての日本相撲協会がある必要はないのだ。解体して、一介の格闘技スポーツとして出直した方がよい。

2010年6月21日月曜日

50%台の菅内閣支持率は、何を言っているのか

政権交代直後の鳩山政権の支持率は、大きな(?)期待を受けて70%台の高率であったが、菅内閣は50%台にとどまり大きな期待はできない現実路線内閣であると見られているのか。

菅さんは、市民運動出身で代議士の家系でもなく、庶民的と思われているかも知れないが、息子を立候補させたり、親族の選挙を後押ししたり、鳩山政権末期では次期総理を意識した行動が目立ち、「権力志向」の人間であることは確かだ。過大な評価は出来ない。

今回の民主党政権の支持率の予想外のV字型回復を良いことに、言いっぱなし之所信表明、質問しっぱなしの代表質問で、国会を閉じ参議院選に突入した。国会外での消費税言及に対しても、大して支持率はおちなかった。

大きな期待はしないが、現実路線への転換で本格政権を目指せるのか。

本当の評価は国会の論戦が始まってからだ。鳩山政権で迷走した「普天間移設問題」、経済指標は「回復」であるが、実感の湧かない「景気対策」、相変わらず高い失業率に示される「雇用創出」などへ向け、「最小不幸社会」「第三の道」構想が、菅さんのアドバイサーである大学の教授の説を採用しているようであるが、詳細は分からない。

このまま参院選に突入しても、民主党、菅内閣の支持の判断をするのはチョット乱暴である。

今回の選挙では、大衆迎合の動きはないようだ。消費税増税が争点になる動きも出てきたが、菅さん自身は具体的には言わず、自民党の消費税10%増税が参考になると政権を担う菅さんらしくない発言だ。

国民の評判を気にする政権にとっては、消費税増税論議は2番手で良いとする菅さんの逃げの一手ではないだろうか。当然、自民党は「丸写し」と批判する。自民党案の10%を目標にしたのは、超党派での消費税論議に自民党を巻き込む戦術も見え隠れする。

国会での論議もないままに政策の争点も絞れない今は、民主党の過半数確保は阻止するのが正道ではないか。

自民党政権でやっと合意に達した普天間問題も、眠っていた在日米軍の見直しに火を付けたようなモノだ。日米合意を実施に移すには、沖縄県民、徳之島住民の総乙の反対に遭い、政権が頓挫する可能性もある。

兎に角菅政権は、多難な課題に立ち向かうことになる。理想論を言って浮かばれている時ではない。

内閣支持率が50%台は、そうした難局への対応の不安を含めたモノであり、決して期待などないのだ。

鶴岡八幡宮の「ひこばえ」:普段は邪魔な新芽も大イチョウ再生の役目


普段、健全な樹木の邪魔な新芽「ひこばえ」も、鶴岡八幡宮の大イチョウの場合は、再生の重要な役目を負うことになった。

3月10日に倒木した樹齢800~1000年とも言われ、歴史的にも訳ありの大イチョウはご神木だから尚更注目を集める。

樹木の寿命が尽きるときは、自ら新芽を出して、次の世代を残そうとすることは、何かで読んだことがある。鶴岡八幡宮の大イチョウはどうだったのか。誰もまだ寿命が尽きることはないと思っていたようだ。

八幡宮の人の話では、倒れた大イチョウを根元から4mの処を切って左側に植え、右側に根を残して埋め戻したという。大イチョウは、高さ30m、16mほど残し、先は壊れたらしい。

今は、両方に多数の新芽「ひこばえ」が出ているが、これにより栄養分が根に行き根が成長するかどうかが重要なことらしい。3年後にその可能性がはっきりするという。

山林、山里、庭の植木も「ひこばえ」をしっかり剪定しなければ、荒れるし、正常な成長は不可能だ。普段はやっかいな新芽も輪廻に欠かせないモノなのだ。
写真:3月10日倒れ、再生を目指す鶴岡八幡宮の大イチョウの「ひこばえ」

2010年6月19日土曜日

新聞が大ピンチ:でもニュースはやっぱり紙媒体か

米国では、新聞の経営難が厳しいようだ。あおのNYタイムズはじめ著名な新聞社がもれなく経営難から記者のリストラをしたり、本社機能の効率化、ついには紙媒体からインターネット版へのシフトを強化している。しかし、ネットは無料の世界で、有料化は苦戦しているようだ。

我が国でも、毎日新聞は長く経営不振が続き、読売新聞をのぞいてはどこも同じ状況だ。朝日新聞は営業利益が赤字になったと騒がれ、コンビニなどで売る新聞を130円から150円に値上げした。新聞社各社は、記者のリストラら、印刷の委託、共同通信の配信、そして無料のニュースサイトから有料のインターネット版への移行など生き残りをかけた闘いが続いている。

著名な記者になると、テレビのコメンテーター、大学の教員などの職もあるという。そう言えば、毎日新聞の元記者にコメンテーターなどが多いことに気づく。

紙の新聞の不振の原因は、広告が激減したこと、若者の新聞、活字離れ、記者クラブの流す記事の垂れ流しなど理由はいろいろ考えられる。

ネットで広告費を調べてみると、2009年総広告費は5兆9222億円、そのうち新聞は6739億円、雑誌3034億円、ラジオ1370億円、テレビ1兆7139億円、そしてインターネットは7069億円で、言われるようにネットに抜かれた。新聞はピーク時1兆2000億円ぐらいあったと思うので、半減したことになる。

新聞のページ数が28~36ページと各社、毎日違っているが、それは広告量により編集しているからでベースは28ページらしい。

ネトは新聞広告の10分の1程度の費用であるが、広告対象を絞り込むことが出来るし、アクセスから情報を解析できるメリットがある。ネットでは必要な情報を改めて確認できると評価され、新聞広告は信頼性があると評価されている。

ところで、社会にとっての各メデイアの不可欠度が日本新聞協会の「新聞の世職・評価に関するデータ 2009」に載っている。新聞をベースに考えている人は、47.5%、50歳以上、若年層はインターネットと併用、社会、環境に高い関心を持っている。

インターネットは、38.9%、40歳以下、世帯収入が高く、自分志向も高いという。
テレビは61.8%で、比較的女性に多く、世の中の動向が気になる人となっている。

また、メデイアの印象も、新聞は社会に対する影響力も大きく、地域や地元のことがよく分かる。テレビは楽しき親しみやすく、インターネットは情報量が多く早い徒歩ピュ化されている。

新聞はなんだかんだ言われても、ベースのメデイアだ。テレビの情報番組を見たって、インターネットを見たって、その情報源は新聞だ。テレビの朝の番組は、新聞記事の紹介に、テレビ局が肉付けした番組が横行している。

新聞がなければ、政治の監視がおろそかになる。政策が国民にしっかり伝わらない。私達の身近な地域のことが分からない。

私も、紙の新聞1紙の他に、全国紙と地方紙1社の無料ニュースサイトを利用している。記事を書くためや興味のある情報を得るためにネットサーフィンしている。地方紙は共同通信などの配信に頼っているが、全国紙には載っていない記事が時々見つかる。

接触時間は、トータルで約10分ぐらい。必要な記事はスキャンして保管する。

これが、有料となるとどうだろう。ネットでは月1980円ぐらいか。紙媒体が月3980円ぐらいだから、2000円ほど安いことになる。

でも私は、存在するのであれば紙媒体の新聞が良い。今、ニュースサイトはテキスト形式で慣れない。やっぱりページを捲って読みたいモノだ。ところがiPadでは、新聞や雑誌を捲って読むことが出来るらしい。

それで、2000円ぐらいなら2年ぐらいでペイする。勿論、このような手段は良い日1日進歩する。次々に新しい機種も出てくるだろうし、コンテンツも増えるだろう。

新聞の広告減、読者減を有料インターネット版で解決するとは思えないが、新聞の衰退は、政治への監視と関心を交代させる社会現象を考えると、何としても踏ん張って欲しいと思うのだが・・。

2010年6月18日金曜日

八ツ場ダム:先が見えず旅館の休廃業で川原湯温泉ピンチ
















昨年9月、民主党政権によりダム本体工事が中止になり、今後は周辺住民の生活再建に重点が置かれたが、旅館は廃・休業が相次ぎ川原湯温泉は消滅の危機に直面している。

その八ッ場ダム工事現場を、約半年ぶりに訪れた。吾妻渓谷は新緑にもえ、平日でも観光が見受けられた。

ダム本体工事の予定地は、斜面はモルタルが吹きつけされ、フェンスが設置されたままの状態で、「これからどうなるのだろう」という感じだ。

川原湯側の移転先へ向け、上っていった。新聞で県が入札し、予算を計上したと言う1号橋建設予定地で工事が始まっているようだ。依然、国道沿いの麦わら屋根の食事処があった場所は、橋脚の建設予定場所になっている。

向こう側の移転先である川原畑地区と橋で付け替えられる県道、国道そして新しくできるJR新駅にもつながるらしい。ダム湖はなくなっても、生活再建の事業として重要らしい。地元の人は、「ダムがなくなるのにどうして橋が必要なのか」と計画を疑う。

川原湯側の移転先も新築工事が進んでいる。広い庭に豪華な住宅が点在する。なかには畑も造成されている。ダム湖に沈む宅地、田畑だから高価な買い上げになったのだろう。まだ造成が終わっていない場所もある。地区内を走っている工事の終わった付け替え県道は一部開通している。

再び国道に下って、川原湯温泉街に入っていった。

半年前に来たときに、解体工事中だった美容院も基礎だけを残した状態になっていた。急斜面の狭い土地によく作ったモノだと感心する。解体後の旅館跡も急斜面に基礎が残っている。温泉街の旅館は、ほとんど急斜面にへばり付いている。駐車場も狭い空地を利用している。

今、旅館、民宿で営業しているのは8軒ほど。山木館、公衆浴場玉湯、柏屋、高田屋、みよし、足湯のある場所が、温泉街の中心だろう。しかし、話によると、山木館は今休業状態だという。お客様歓迎板にはご一行様の名前が書いてない。一番規模の大きそうな柏屋は廃業を決めたと新聞に出ていた。普段だと勝手口も開き、従業員が動き回る姿が見えるのだが、今はひっそりしている。日帰り入浴は開いており800円だ。高田屋も12月で休業するらしい。

八ッ場ダム計画の先が見えず、設備は老朽化しても更新の決断が出来ない状態では、廃業するしかないのだ。それでもまだ期待する経営者は、休業して様子を見ようとしているのだろう。

旅館の経営者に「何時移転するんですか」と聞くと、「2年先には移転する予定だが、民主党がダム建設反対をいっているのが心配だ」と言っていたのが昨年の4月頃だった。それが政権交代で現実になった。各党が視察に訪れたが、話し合いは平行線だ。

先行き不安で、旅館の廃業・休業が相次ぎ、川原湯温泉は消滅の危機に直面している。公衆浴場近くに掲げられた温泉街メインストリート、親水公園を描いた「川原湯温泉は生まれ変わります」の掲示がむなしく見える。

JRの新駅が予定されている温泉街の一番高いところに来てみた。工事はされているが、何のための工事か分からない。工事現場を囲むネットの向こうには、連結した2号橋工事現場が見える。近くの住民は「本当に出来るんですかね」と計画推進を不信がっている。

帰りに新聞、テレビで有名になった女主人の土産店に寄った。丁度テレビで八ッ場ダムの問題を放映しており、女主人が取材に応じていた。女性客が「テレビの取材だから綺麗にしているんですね」と聞くと、「いやいや、急に来たんです。昨年です」という。57年のダム反対運動から賛成への歴史は、地元の人にとっては複雑な感情がある。

800年前の建久3年に源頼朝が浅間狩りの時に発見したとされる川原湯温泉ではあるが、近くには、草津温泉、伊香保温泉、軽井沢もあり、これと言った遊ぶ処もない鄙びた川原湯温泉は、例えダム湖が出来て再生できたとしても将来性はないのかも知れない。

折しも参議院選が始まる。民主党から何と元群馬県知事の小寺さんが比例区で立候補するらしい。道中で小寺さんのポスターを多く見かけた。「決断と勇気」と書かれている。土産物店の女主人も「困っちゃうんだよね。小寺さんはよく知っているから」と困惑する。小寺さんは現役の頃は推進で調整していたのだ。今回は中止する民主党からの立候補なので、今度は中止後の生活再建に向け調整役を果たすつもりなのか。
写真上段左:旅館解体跡地 急斜面にへばりつくように建設されていた。
写真上段中:川原湯温泉街中心地 すでに廃業したりや休業が予定されている旅館もある
写真上段右:JR新駅建設予定地 向こうに繋がった2号橋の工事現場を望む
写真下段左:ダム本体工事建設予定地 昨年の中止宣言以来フェンスが張られたまま
写真下段右:住宅建設が進む川原湯側移転先 

2010年6月16日水曜日

民主党政権の本音:「やっと現実が分かってきた」


「コンクリートから人へ」、「命を大切に」など理想論を掲げてスタートした鳩山民主党政権であったが、「公共事業の見直し」、「高速道の無料化」、「子ども手当」、「戸別補償制度」、「4年間は増税しない」、「政治主導」、「政治を根本から見直す」、「ムダを排除し9兆円を捻出」そして「CO2の25%削減で国際舞台へデビューするなど、今までの自民党政治とは180度の方向転換の政治を訴えた。

「民主党政権になったら変わるんだ」という錯覚を国民が抱いたのも、無理はない。

しかし、現実の壁は高すぎた。

バラマキ予算、直接給付は財源不足に突き当たり、やっと「子どの手当」の満額給付を断念した。先進国一の対GDP債務は、超党派での財政再建の審議会設置の提案になった。このままでは日本経済破綻が、現実のモノとなる。

税制改革、消費税増税問題は避けて通れないが、選挙での不人気あって堂々と公約に掲げる勇気に乏しい。

「公共事業の見直し」は、八ッ場ダム本体工事をストップさせたのは良いが、住民の生活再建のための付帯工事は進んでいる。整合性されないままに住民の混乱が続いている。

「普天間移設問題」も、沖縄県民の負担の軽減、自民党時代の日米合意との違いを織り込もうとする余り、右往左往し、総理の信頼を大きく落とす結果になった。

菅総理も、この日米合意を踏襲すると言うが、実施にあたっては相当混乱し、政権を揺るがすことになりかねない。しかし、常駐なき安全保障の理念からも全国民に米軍基地問題のあり方を問いかけたことは評価できる。

鳩山、小沢の退陣の要因になった「政治とカネ」の問題は、「知らなかった」「秘書に任せていた」では、何ら自民党時代とかわらない。自民党政権時は、閣僚クラスの議員が、辞めていったことを考えると、党内の自浄作用もなく、寧ろ擁護の動きもあり、これが民主党かと呆れるぐらいだった。

「政治主導」も、官僚の際限のない省利省益行動を考えると、国民の共感を得たが、多くの情報、行政のノウハウを持つ官僚を退けて、何も知識のない閣僚が自分勝手な解釈で政策を上げていった結果、混乱を来した。

菅さんは、「官僚をうまく使うこと」を提案しているが、何のことはない麻生さんが指摘していたことだ。

私は、先に「民主党再生:まず8ヶ月の総括から」という記事を書いたが、結局は「現実を知らなさすぎた」だ。

菅さんも理念として「最小不幸社会」を掲げ、強い経済、社会保障のために「第三の道」も目指すという。詳細は分からないが、臨時国会での審議で明らかにされるだろうが、参議院選での判断材料にするには無理な気がする。少しでも国会を延長して予算委員会などで審議すべきだった。

結局は、「やってみなければ分からない」のだ。菅さんは、「私を信じてついてきて」都訴えたが、「国民は半信半疑なのだ」と思っている現れだ。
写真:民主党スローガン「元気な日本を復活させる」 強い経済、社会保障、「第三の道」を提案するが、詳細は分からず、参院選の判断材料には無理。詳細を明らかにしないのが、菅政権の主旨か

2010年6月15日火曜日

菅民主党よ 政権与党としての矜持をもてないか


鳩山、小沢退陣で「政治とカネ」問題に一区切り出来たことを好感し、人気がV字型回復したことを良いことに、この上げ潮に乗ろうと菅民主党は党利党略に突く進んでいる。
言いっぱなし、質問しっぱなしの所信表明、代表質問が終わると今国会を閉会して、参議院選に突入すると言う。

国会閉会間近で政権が代わり、直ぐに参議院選を控えているのだから、少しでも国会を延長し予算委員会や党首討論で質疑を通して菅政権の政策を寄り鮮明にし、加えて選挙戦での民主党か、自民党かの判断材料にすべきではなかったのか。

所信表明では、日本の財政破綻を回避すべく超党派で「財政再建」に向けての審議機関設置を提案している。国会を延長し審議することで民主党政権での「政治とカネ」、普天間移設」「新成長戦略」「雇用の創出」などへの取り組みを説明すべきであったが、寧ろ民主党政権の取り組みに曖昧さ、政策の整合性に無さなどが明らかになれば、イメージダウンに繋がり、参議院選への影響が心配されるとの構図が見え隠れする。

民主党は「開かれたクリーンな政治」を目指すと行ったが、小沢追放はその一つであって、すべてではない。本来は、国会を通じて推進する政策を国会で審議し、修正すべきは修正し国民生活に益する処がなければならない。

郵政改革法案は、2週間ばかりの延長では強行採決でしか成立が困難で、強行採決は民主党のイメージを害すると言う発想もあったと思う。確かに郵政民営化改革法案は国民新党の亀井さんの思い入れが激しいモノで、民主党が描いている姿とは違うかも知れない。この法案はもっと検討すべきである。

選挙を控え、国会での不正が曝露される古都を避けるために、国会を早々と閉会にした例は、自民党時代にもあった。自民党が今野党として、民主党のこの戦略を批判するのもおかしな話である。

政権交代、V字型回復を良いことに、政権政党としてのプライドを棄てた戦略は頂けない。

菅さんも大したことはない。市民運動出身とは言うが、他の政治家同様に権力志向に変わりはない。私も一時支持していた市川房江さんも呆れているはずだ。
菅さんも、国民がどう考えるかを熟考して、かからなければ直ぐに国民から棄てられる。
写真:代表質問に答える菅首相を報じるテレビ

2010年6月14日月曜日

逆説:小沢一郎さんの功績

小沢さんも、要職を去り、彼曰く一兵卒になったが,政界は小沢抜きの政局に一段と苦労することになった。今までは、反小沢、「政治とカネ」を訴えていれば良かったが、これからは政策が本題になる。

ふり返って考えれば、小沢さんにはいろいろ黒い部分が多く政治家としては好ましくないが、逆説的であるがそれなりに功績もあった。

小沢さんのことは、ほとんど知らないが、彼の力の源泉を考えると自民党時代は、背後に権力者の権勢に頼り、新進党結党以降は政治資金、数の力に頼る面が大きかった。

自民党時代は、派閥の権力者の覚えが良く、若くして幹事長などの要職に付いた。印象に残っているのは、都知事選で鈴木さんの多選を阻止するためにNHKの磯村さんを担いだことだ。結果は意に沿わず、辞任した。潔い決断と思ったが、激しい党内批判に屈したのだ。

もう一つは、自民党総裁選で、自派から候補者を立てることが出来ず、4人の候補者を面接してきめることになり、大先輩の宮沢さんを事務所まで呼び出したことだ。宮沢さんは、支持欲しさに「大幹事長」と煽てていたが、腹の中では「この若造が」と怒っていたかも知れない。メデイアもその姿勢を批判した。

その後、自民党を離党し新進党結成になった。表向きは「新しい政治」を目指すと言うが、派内の権力闘争に負けたのだ。

表面上は、新しい政治を目指し政治改革を訴えていたが、その政治手法、党内把握は旧態然とした古い自民党以上の悪しきモノであった。政治資金と「数の力」は小沢さんの力の源泉であったが,その無理が疑惑の根源になった.

しかし、悪くばかり言われているが、小沢さんにも功績があるんだ。

民主党がピンチの時に、代表そして今回の幹事長の職を辞すると人気が回復した。人気が落ちた原因は小沢さん自身にあるとしても、民主党を助けたことになる。

また、「反小沢」で若手、中堅議員などを育てたことだ。反小沢がなかったら、菅さん、仙石さん、前原さん、枝野さん、玄葉さんなど、今政権中枢でがんばっている議員の存在は薄かったのではないか。

そして、金権体質の追放に国民が立ち上がった。小沢辞任は国民の80%の人が要求していたし、検察審査会は、検察内の事情で不起訴処分になった小沢さんに「起訴相当」の議決を突きつけた。2回目の議決によっては「強制起訴」に繋がる事態になっている。

国会自体の不正に対する積極的な自浄作用が起きてこない事態に、国民が「政治とカネ」の問題に立ち上がったことになる。

参議院選での、タレント、スポーツ選手、芸能人などの候補者が乱立している。候補者選考難の時代に、安易に人気者を票集めに使う手法は、政治を甘く見ている。閉塞感を打開しようと「反小沢」で結党した他の党も人選難で、訳あり候補者が多い。

有権者を舐めた候補者選考に、有権者はきっぱり判断を下すべきである。

小沢さんの存在は、良かれ悪しかれ政界に緊張感があった。第一線から身を退いた今、「仮想敵」がいなくなり、参議院選でも戦術を見直す動きもある。

これからは、政策本位で各党が戦って欲しい。小沢さんも「これが民意だ」と政府を突っついていたが、これからは各党が民意を取り込み、小沢さんの言うように国会を通年開会で、しっかり議論すべきである。

2010年6月13日日曜日

東京スカイツリー:その期待と不安




3月29日東京タワーの333mを抜いて、完成すれば634mになる。この完成で残念がっているのが、京都タワーだ。タワー展望台で10位に位置していたが、ついに11位に転落するらしい。

この京都タワーが計画段階の時に、私は京都で学生生活をしていた。京都の表玄関に、こんなタワーを建てるのは古都の景観を壊すと猛反対が起きた。しかし、年が経つに従って慣れたのか、展望台に上れば一望できると評判になった。

しかし、高層建造物は何かと物議を醸す。その後、京都ホテルが高層ホテルに改造しようとした時、神社仏閣関係者が反対に立ち上がった。京都ホテル宿泊者には入場禁止にしたのだ。

この押上、業平地区の下町の街並み保護しようとすると、スカイツリーは問題があるだろうが、街への集客、活性化を考えると期待が持てるかも知れない。

地下鉄押上疫のB3を出ると工事中のヘンスが張り巡らされている。どこかと思って横を向くと工事中のスカイツリーが目に飛び込んできた。確かに異様な風景である。

京成橋から見ると「現在398m」という表示が見える。高さ約400mを、巨大なクレーンが、約7分かけてゆっくりつり上げている。地上でも風が強かったので、上空はもっと強いはずだが横揺れもなくほぼまっすぐに上がっていく。

地震に強い五重塔の伝統的技法をと最新の技術で、このような公報になったという。東京タワーは早稲田大学の先生が計算尺一本で設計したと言われているが、東京タワーとは公報が大きく違う。富士山をイメージし、デザインされている。

橋から見える北十間川に映るスカイツリーの姿は、撮影ポイントとして度々紹介されている。当日は風も強く川面は波だっていたが、観光客は一瞬の風の緩むのを待ってシャッターを押していた。

それにしても何故634mなのか。このプロジェクトが計画された当時、600m級のタワーが必要とされていた。都心部は200mを超す高層建築が林立しており、電波妨害のない送信を考えると、610mが必要らしい。しかし、中国で610mの電波塔建設の構想があることが分かり、更に高く634mになった。何やら武蔵の国と言うことでムサシ(634)としたらしい。東京タワーもエッフェル塔より高くと言うことで333mになった。それぞれ競争されているのだ。

事業費は、タワー関連で約500億円、関連事業全体を含めると1320億円になるらしい。この500億円をNHKや民放5社など利用者の賃貸料と入場料で回収するらしい。

しかし、入場者数二期帯が出来るのか。「新タワーによる地域活性化など調査報告書」によると、年間550万人が予測されている。一方で、有識者検討委員会は、この種のタワー展望台はオープン当初をピークに減少するのだという。一度見ればそれで良いのだ。

東京タワーはオープン当時520万人だったが、現在は50%減の270万人になっているというデータが示されている。往々にして当初の予想(ヨソウ)は、逆に読んでウソヨと言うことになる。

街区への来訪者も、1260万人と見ているが、大型商業施設への集客が主で、旧来の街は寂れていく例が多い。共存できる街作りには課題も多い。

他にも指摘されている問題がある。

この辺の下町は地盤が悪い。当然、直下型地震など巨大地震時の長周期地震動に対する措置は技術的にされていようが、実際には予測できない事態も考えられる。このスカイツリー自体が、防災機能百道あわせているために、これ自体が不能になると防災上重大な事態になりかねない。

また、電波塔による健康障害は、古くから言われている。疫学的調査では可能性はありそうだが、まだ確証には至っていない。

期待と不安を掲げて、2011年12月に竣工する。

東京スカイツリーも地デジ化対策の一つであるが、この地デジ化も、今必要なのかという疑問も上げられている。何やら郵政省の利権がからんでいる事業だとも言われている。
東京スカイツリーの建設の進捗を面白がって見ているばかりではダメだ。
写真左:見物客でにぎわう東京スカイツリー 現在398m 2010.6.12
写真右:北十間川に映るスカイツリーの影 撮影ポイントになっている

2010年6月12日土曜日

日本経済の実感できる回復は何時なのか


政府は月例経済報告で「回復」を盛り込むという。何やらこれも選挙対策の気がする。実感がわかないのだ。所信表明では医療、介護、環境などの新成長分野に重点を置くと言うが、この分野がそうなのかと疑いたくなる。日銀も成長支援に融資すると言うが、資金の貸し手、借り手の心理は好転しない。

成長路線に乗り、雇用を創出できれば税収も増え、あらゆる面で明るい方向になるのだが菅政権を信ずればよいのか。「信じてくれ」ということは、裏返せば不信感を持たれていることだ。

環境分野だって技術力はあるが、今の技術で成長するとは思えない。新技術の開発、新事業の創出がポイントになる。医療分野では医師不足、看護師不足、公立病院の閉鎖、診療科目の減少など社会問題化しているし、介護だって施設不足、老老介護は悲惨な状態だ。私の年以上になると、年賀状が途絶えたと思ったら介護で大変だったという。

施設運営も大変で、人件費を節約するために、当直は定年退職者をあてたり、毎日の施設の送迎を見ると運転手は年配者だ。若い職員だって勤務は厳しい。腰痛は当たり前のようだ。この分野も職員の待遇改善が必要だ。とてもじゃないが、経済成長の原動力になる分野ではない。

観光立国もテーマになっている。押上にスカイ・ツリーを見に行ったが、ここでも外人の観光客が見受けられた。秋葉原の電気街は中国、韓国人の買い物客で賑わっている。中国語、韓国語が併記されており、ある建物の中では、ほとんどが外国人の買い物客だ。買い物が主の観光客のようだ。

雇用の創出は、成長戦略の主要な課題だ。若者、女性、高齢者の就業はなかなか大変なようだ。政府は景気は回復していると言うが、では何故、3月の統計で生活保護世帯が134万世帯、人数で187万人にも増えたのだろう。 

何故、先進国中、日本だけが経済の回復が遅れているのか。日本の税負担は他国に比べて低いから増税すればいいのか。法人税は40%都高いが、これを20%程度に落とせば経営者の投資意欲が湧いてくるのか。その場合の新規事業は何なのか。

いろんな人がいろんな提案をするが、具体策で確証があるのか。

今の経済は、需要が少なく作っても売れない。経営者は設備を休止し、リストラされ雇用減で失業と低収入化が進み、当然税収は減る。メイドイン東南アジアの低価格商品しか売れず、国産材料を使っての製品は高価で販売に苦労している。当然国内の生産者は潤わない。

大手スーパーは、低価格路線を進めているが、老舗百貨店では高価格商品も売れて来だしたという。節約、低価格商品に飽きてきたのか。粗大ゴミの中に安価な家具が目立ってきた。

デフレ対策について、昔買った経済書を開いてみたが、インフレに関する記述は多いが、デフレついては記述がない。今は、書店でもデフレに関する本が並んでいるが、昔は余り関心がなかったようだ。

たまたま、「ケインズ説得論集」が目にとまったので購入し読んでみた。

ケインズは、「1930年の大不況」で、多数の労働者が失業し、重要な産業に事業を拡大出来るほどの利益を確保できている処はない。生産者の多くにとってコストを回収できない価格になっているという。理由を少ない紙面で説明することは出来ないとも言う。

このような不況の時に、生産を減らすか、賃金を引き下げ総コストを削減していけば、かならず均衡を回復できるとみるのは幻想である。賃金カットは勤労者の購買力が低下する。勤労者は商品を買う顧客でもあり、企業の収入がほぼ同額だけ減収すると説いている。

対策は、先進国の中央銀行が協調して国債長期債市場の信認を回復するために大胆な政策を採ることだという。

リーマンショック以来、景気回復に向け各国が協力して当たろうとしているが、国毎にいろいろ事情があるようだ。欧米の先進国に比べ、日本の回復は遅れている。政府は日銀に下駄を預けた格好であるが、日銀の動きにはもどかしさを感じている。

資金の貸し手、借り手の心理的な要因も大きいらしい。

従って穏やかな回復が、何時起こっても不思議ではないとも言えるという。今は、設備投資を行なう市場が低迷している為に、新規事業が不足している。新成長戦略で、新規事業が見つかれば、大きく回復するチャンスはある。
写真:菅首相の所信表明を報じる読売新聞と「ケインズ説得論集」

相変わらずの政界ドタバタ劇:その背景に曖昧な連立合意と選挙


自民党の安倍内閣以来、4日前に樹立したばかりの菅内閣まで相変わらずのドタバタ劇が続いている。背後に曖昧な合意と選挙、「国民のための政治」と口幅ったく言うが、自分たちの政権を何とか維持したいだけのことだ。

自民党の国民の信を問わない政権たらい回しを、民主党は批判したが、その民主党も政権のたらい回しで、菅内閣が発足した。その結果鳩山政権で10%台だった支持率が、V字型に回復、連立与党の国民新党との約束であった郵政改革法案の今国会の成立を反故にし、廃案にして7月11日の参議院選投開票となった。

社民党に続いて「国民新党まで連立離脱か」と注目したが、深夜に及ぶドタバタの挙げ句、責任を取って亀井さんの大臣の辞任、交代と連立維持という不可解な結果になった。「誰に対して責任を取るのか」、「離脱をしないのか」と亀井さんに質問が飛んだ。

その背景には選挙がある。どうしても政党、内閣支持率の世論調査が気にかかる。

何としても人気のある人を総理候補に担いで、政権を維持しようとするが、国民が期待する首相と政党の党首候補は、往々にして違う場合がある。国民に人気があっても、政党内では全く人気が無く、当然のことながら国民にとっては期待はずれで、世論調査結果も良くない。

このままでは目がないと思った「オレがオレが」の議員が党を飛び出し、新党を結成するが弱小政党だ。大山鳴動ねずみ5匹と言うことになる(大騒ぎするが、政党の条件である5人の確保がやっと)。

弱小政党は、生き残りをかけて連立を組み、自分の政策を活かそうとする余り曖昧な政策合意になり、肝心なところで政権離脱か維持かの判断が要求されるようになる。結局振り回されるのは、数あわせで連立した多数政党であり、国民だ。

それにしても考えてみよう。もし選挙が間近になかったらどうなったか。

自民党時代の福田→麻生のたらいまわしは、任期満了による衆議院選があったから、いろいろ批判を浴びた麻生政権も1年で終わった。

しかし、今回の民主党の鳩山→菅へのたらいまわしは、夏の参議院選がなったら、もっと鳩山・小沢体制の政権が続いていたことになる。鳩山さんは自分から止めると言わない限り、誰も降ろすことは出来ないのだ。

社民党の連立離脱は避けられなかったかも知れないが、国民新党とのゴタゴタはなかったはずだ。

「政治とカネ」、「普天間移設問題」という爆弾を抱えたまま、内閣改造を繰り返しながら後2年ぐらいは、権力二重構造で不安定な鳩山・小沢政権に耐えて行かければならなかったのだ。

ところで、連立で数あわせをしなければならないような政策が、本当に「国民のため」の政策(制度/法案)なのか。反対がある政策には、それなりの重大な欠陥があるからではないか。

国民新党が一丁目一番地にしている郵政改革法案も、衆議院で強行採決されたが、今国会では廃案になった。国民新党は民主党との政治合意を掲げて、今国会での成立を目指したが、叶わなかった。参議院戦後は民主党の獲得議席数で、又どうなるか分からない運命の法案だ。
民主党菅内閣は、「開かれた政治」をめざすという。わかりやすい政治をやってもらいたいモノだ。
写真:郵政改革法案先送りで亀井大臣辞任と、連立維持を報じるテレビ

2010年6月10日木曜日

連立政権で民意に沿った政治ができるか、政界再編では?


今回の普天間問題で鳩山民主党政権からの社民党の離脱、そして郵政民営化法案審議で菅政権での国民新党の離脱の動きが出てきた。連立政権の運営の難しさがマタマタ現実のモノになろうとしている。

国会運営の安定と選挙協力を求める民主党と自分たちの公約を推進しようとする少数野党の思惑が一致しての連立政権ではあるが、逆に政権運営の不安定さをさらけ出している。

連立政党間で政策を詳細に詰めることなく、安易に連立を組んだための混乱である。見方によっては多数党の政権の暴走を防止することは出来るとしても、混乱を来すことも考えられる。

今、政界再編がメデイアでささやかれている。自民、民主の二大政党に少数政党、そして結成され間近の新党など10近くの政党がある。それぞれの党首、代表は「オレがオレが」の目立ちがり屋だ。あわよくば「自分が総理に」と思っている。

人間関係もあるだろうし、ガラガラポンですべての政策を同じくする人間が群れることが出来るのか。人間っていろんな考えのある人が群れて意味がある。同じ考えの人が集まった集団なんて面白くもない。必ず違った考えが出てくる。

更に、今の小選挙区比例代表制の選挙制度で対応できるのか。以前のように中選挙区制に変えることも考えなければならない。

小泉政権以降のほぼ1年ごとに政権が変わったこの4年間は、政権交代があったことを考えても政治的には不毛な時代であった。国際的にも大きく信用を失ったことだろう。

政党支持率も低く、無党派層の増加、若者の政治離れと政治不信は募るばかり。政界再編が解決策になればいいが、今すぐに取り組める問題ではない。

衆参ねじれ国会が政権与党では運営上問題であることは分かるが、利権に偏った政策を十分な審議もせずに採決しようとするから問題なのだ。国会を通年にし、十分な審議を経て与野党がほぼ合意に至る政策を進めることが大切だ。

郵政民営化改正法案は、小泉政権の時の10分の一の審議時間で強行採決され参院に回った。今国会で成立を期す連立与党の国民新党と国会を延長せず、直ぐ選挙に突入したい民主党とで攻防が始まった。

連立政権が民意を反映しているのか、政界再編で民意が反映できるのか、分からない。しかし、国会で十分に議論を戦わせ修正すべきは修正し、より国民のためになる政策を実施することが大切だ。

選挙のために、民主的政治、政策をねじ曲げることはあってはならない。

2010年6月9日水曜日

組閣・党内人事にみる民主党内事情


今回の菅新体制も、組閣、党内人事で各グループの思惑を経て、「若さ、清新さ、仕事大好き内閣」が発足した。総理や一部の閣僚、党役員が大幅に変わっただけで、普天間問題、経済不況、「政治とカネ」の状況は全く変わっていないので、菅さんも大変な政治・経済運営を強いられるのか確実だ。

支持率はV字型の回復をしたことで、民主党内には一応に安堵感が出ているようだが、鳩山・小沢体制の閉塞感から解放され、「開かれたクリーンな政治」への期待感の現れだろうが、政治・経済事情は全く変わっていないことから考えても、失望の道へ転がり込むのも時間の問題とも考えられる。

ところで、今回の組閣、人事をみると、相変わらずのドタバタ劇、人間くささが伺える。

野党、メデイアはこぞって「小沢がくし」と言うが、「そんなことは意識していない」「そう言う考えは全くない」、「もうそう言うことは言わないでくれ」と嫌悪感が出るに及んでは、「反小沢」を強調したことになる。

しかし、最高権力者と崇められた小沢さんも、「子供っぽい」政治家だ。新幹事長が「ご挨拶したい」と言っても返事をしない。嫌いな人からの電話には出ない。前原さんが第保油の時に、副代表をお願いしたが、断られたとも言う。民主党にとっては大事な両院議員総会にも欠席した。「全員参加」、挙党態勢を目指す民主党再生に水を差す行動には納得がいかない。

こんな子供っぽい政治家に国政など任せられない。要職を辞任させられたのも当然の成り行きだ(どちらが先に辞任を勧告したかは不明であるが)。

それにしても、どうして人事決定のプロセスがメデイアに筒抜けになるのか。当事者である本人しか知り得ない情報であることから考えて、本人が訪ねてきた記者に話したのだろう。ただの議員であれば寄りつきもしなかった記者が、要人となると情報欲しさに近寄ってくる。優越感から出たのだろう。それとも「開かれた民主党」を目指しているのか。

それにしても国会議員という人種は「他人の不正行為」を参考に、我が身をただすことをどうしてしないのか。早速国家戦略相の荒井さんに事務所経費の疑惑が明らかになった。
こんな人が菅グループにあって、優秀な人材だというのだから笑い者である。

政界には、嫉み、相手の失脚を狙った不正、スキャンダルを密かに探し合っているという。自分自身を守れないような人間に、国政など無理だ。

最後に、国会の審議の障害になっている「政治とカネ」の問題に早く終止符を打って欲しい。鳩山さん、小沢さんは辞任したのだから、証人喚問、参考人招致には慎重論が出てきたが、野党は攻勢を緩めない。

小沢さんは国会で説明責任を果たすべきであり、政治資金規正法の改正で企業・団体献金を廃止すべきである。そうでなければ年間300億円を超える政党助成金を廃止すべきである。

民主党の目指す「開かれたクリーンな政党」は、政界浄化の手段でもある。

2010年6月8日火曜日

鳩山・小沢民主党政権の過ち:308議席という圧倒的支持の誤解


昨年8月30日の民主党の「本日、政権交代」は大衆迎合で308議席を獲得、鳩山・小沢民主党政権に期待したが、ここに来て世論調査での支持率下落で政権を放り出し、「全員参加」を訴え菅政権がスタートした。

先の衆議院選挙では、私は選挙前に「雪崩的政権交代は問題だ」と指摘する記事を書いたが、その結果は各政党の獲得票数割合から考えても、民主党の獲得した308議席という議席数は、驚くほどの圧倒的多数であった。

このことが、鳩山さんをはじめ、小沢さんなど民主党幹部の高揚感をそそり、「自分たちの好きに出来る」との誤解に繋がった。

小沢さんは、この結果は自身の選挙戦術によると考えたのも無理はない。引き続き幹事長の要職に当たろうと考えていたが、鳩山さんはその人事に煮え切らなかった。業を煮やした小沢さんが、鳩山さんに決断を強いり、深夜の幹事長内定を勝ち取った。

鳩山さんにとっては、自分の思い通りの人事ではなく、鳩山さんの躓きの始まりだった。

鳩山さんは就任直後、早急に国会を開き施政方針を述べるではなく、夫人とイベントに参加するパフォーマンスや、国際舞台ではCO225%削減を訴えて拍手喝采のデビューをやらかし、国民に新しいリーダー像を植え付けたのも当然だったが、おごれる者久しからずだ。

その後の鳩山さんは、政策ではただの「反自民」で、何かに付け自民党政権とはひと味つがうことを印象づけようとしたことが、混乱を招くことになった。公共事業の見直し、普天間問題しかりだ。国民の嫌う「政治とカネ」の問題も、小沢さんの例とは違い違法性は低いと判断したのだろうが、野党時代の発言とは大きく違う言行不一致が国民の顰蹙を買った。

次々に変わる発言、先送りは、総理としての資質まで問題にされるようになり、支持率は下落、このままでは選挙に勝てる政権ではないことから、辞任に追い込まれた。何も決断しないことが批判されたが、最後の「小沢降ろし」は、大決断だった。

引き下ろされた小沢さんだが、圧倒的多数の議席確保は、「何でも出来る」と誤解したのだろう。党内改革、政治改革では、余りにも理想とする改革で急ぎすぎた。一方で小沢さんの選挙一辺倒の政治手法は旧自民党より悪質と映り、嫌小沢の動きが高まった。
「政策の是非」についての議論もなく、政治とカネの問題では自浄作用も発揮できなかった民主党に、政権担当能力の欠如も指摘された。

トップ2人のスキャンダルを抱えた民主党政権という異常状態の政権であったが、大衆迎合で成立し、大衆迎合(世論調査)で引きずり降ろされる結果になった。

閉塞感を打破し、「全員参加」を訴えた菅政権は、政権交代の高揚感に酔うことなく、「開かれたクリーンな政治を目指すべきだ。
写真:2010.6.2 鳩山総理の辞任会見を伝えるテレビ報道

2010年6月7日月曜日

小沢さんの担ぐ総理は、何故短命なのか


小沢さんが担ぐ総理は何故か短命だ。思い出しても細川、羽田、海部、そして鳩山政権が上げられる。

担ぐ小沢さんは、数を得て主導権を握りたいために、政治信条が少々異なっても手を結ぼうとする。存在感が薄く、自分の言いなりになる者が最適なのだ。

一方の、担がれる方は、運良く行けば総理になろうとする野心は持っている。その周辺もあわよくば甘い汁に有り付ける都考えれば、煽てに載る。

結局は総理としての資質に欠け、政治手法も相容れないことになり、袂を分かち総辞職、辞任と言うことになる。

小沢さんは、懲りずに次の手を考えればよいが、国民は溜まった者ではない。国内政治を混乱させる元凶である。

それでも小沢さんに群がる人もいれば、嫌がる人もいる。自民党時代から剛健でならし、金権体質で、その政治手法から敵も多い小沢さんに、何故群れるのか。

一番考えられることは、政治資金を自由に采配出来ることだろう。国民の税金から拠出される政党助成金も平等に配られるのかと思ったら、小沢さんの恣意で配分しているという。何のことはない、税金で小沢さんは勢力拡大を図っているのだ。

一方、小沢さんの掲げる政策も詳しく聞いたわけではないが、憲法解釈、政権交代可能な二大政党制、政治改革、政治主導、自衛隊の海外派遣、外国人の参政権、その他直接給付策など、自分よがりで、票に結びつく利権誘導の傾向が強い。

常に傀儡政権の疑惑が付きまとうが、自分で総理として立とうとはしない。説明が面倒、答弁が面倒、討論も好きではなく、公私にわたり監視されることは嫌いときたら、当然かも知れない。

他人を使って、自分の思うようにしようとすること自体が無理なことだ。それを政治の分野でしようとするから「政治は闘いだ」と言うことになる。

十分な時間をかけて持論を述べ、政策論争をせずに安易に数あわせで一国のリーダーを決める政治手法にはもう飽きた。

今、メデイアは、菅さんの過去の発言、政治信条から菅内閣の政策を検証しようとしている。菅さんがブレないかぎり市民目線は期待できそうだ。
小沢さんは闇将軍としての存在感が残っているが、小沢さんの辞任を80~90%の国民が評価し、「小沢外し」で民主党再生に向けた動きに支持が高まっていることを小沢さんはしっかり認識すべきだ。
写真:2008.10.2 朝日新聞 小沢さんの代表質問 なかなか良いことを言うのだが、小沢さんには必ず裏がありそうで安心できない。

2010年6月6日日曜日

メデイアの報じる小沢観測記事に、何の意味があるのか


「開かれたクリーンな民主党」を目指し再生へ向けた一歩を踏み出した菅新体制であるが、代表選、人事をめぐり一悶着あるようだ。菅さんがこれをどう越えるかが、民主党の今後を占うことになる。

自民党の時もそうだったが、閣僚待望組が派閥やグループには必ずいる。挙党態勢と言っても嫉み、恨みは付きまとう。「うちの先生は、そろそろ大臣では」と後援会も期待するから、実力は別として議員は皆望んでいるのだ。昔、「末は博士か、大臣か」という映画があった。

それに加えて、民主党は小沢さんの存在が大きい。「小沢外し」「小沢周辺は・・・」と言う記事が新聞やテレビで踊る。どうしてこうなるのか。勿論自称150人という勢力を誇る小沢グループだから、今回身を退いたとは言え、数にモノを言わせれば、どんなことでも出来ると考えても仕方がない。

メデイアだって、菅体制構築の過程を報じるよりも、小沢グループとの攻防の構図にした法が記事としては面白いし、読者も「小沢さんは黙ってはいないぞ」という感覚で行方を見ている。「9月の代表選には自ら・・・」と言うメッセージは闘争心を煽って面白い。

小沢さんは、常に戦っていなければ忘れられることを恐れている。各政党が「反小沢」を掲げていたことからも分かる。

しかし、今そんな党内抗争をしているときではないし、「反小沢」を結党の目的にしているときでもない。どうやってこの難局を切り抜けるかを全国会議員が真剣に考えなければならない。

菅新体制、人事構想に協力すべきである。

小沢さんは、「政治とカネ」の問題で数々の疑惑を抱えているが、自ら進んで説明責任を果たすべきである。検察や後援会で「国民の皆さんにわかりやすく丁寧に説明した」と言うが、私達には一向に解明されていないと思う。

小沢さんが再び政界の第一線に出てくるのであれば、これらの説明責任を果たしてからにして欲しい。国会は小沢さんの後援会ではない。

メデイアも面白おかしく紙面構成するのではなく、菅さんの考え方、施策を伝えて欲しい。後になってスキャンダルが明るみに出ると、こぞって菅批判をすることのないように、メデイアも責任を持って菅清次を監視すべきである。

民主党の再生は、メデイアや国民の質も問われているのだ。

2010年6月5日土曜日

民主党議員は、自分の置かれている立場を見直せ


あらゆる面で国民の期待を裏切った鳩山、小沢大勢が崩壊し、新しい菅体制が稼働し始めようとしている。誰でも思っている総理の発言の軽さ、政治とカネの問題はトップ2人に大きくのしかかり、普天間問題ではその処置をあやまり、支持を大きく落とした。

2人の辞任を受けた世論調査では、鳩山さんより小沢さんの辞任を評価する割合が大きかったことから考えても国民の「嫌小沢」は最高潮に達していた。

しかし、そう言った世論をどう考えているのか。代表選とその後の人事では、相変わらず親小沢、非小沢、反小沢と小沢さんの存在が付きまとう。

小沢系と言われた人達は、自分の置かれている立場をどう考えているのか。

小沢さんの権勢に寄りすがり甘い汁を吸っている人、過分の待遇で議員に当選した人、あるいは小沢砂案の主張する政策、政界再編に期待している人などそれぞれ理由はあるだろう。

要は、全国民の代表者として国会に送り込まれた人達だ。新しい「開かれたクリーンな民主党」、政権与党を目指しどう行動すべきか分かっているはずだ。

ところが、相変わらず、小沢さんの発言として、「9月が本番だ」「独自候補を立てる」など述べたと言うし、自主投票に激怒したとも言う。新聞報道では、田中真紀子さん、海江田さん、原口さんが立候補を打診されたという。叶わなかったが、小沢さんは未だ「数の力」を鼓舞しているのだろうか。

国民に為の政治より、自分の権勢を維持することにしか興味を持っていない政治家にしか小沢さんは見えない。

小沢グループと言われている人達は、早く自分の置き方を見直すべきである。日本の政治を混沌とさせている要因の一つは、国会議員自身にある。

ところが、自民党時代の安倍さん、福田さん、麻生さんそして今回の鳩山さんと、4回も世論調査で支持率を落とし、おまけにこのままでは選挙を戦えないと政権が短命に終わった。このことを反省し、世論調査に政治が動かされるのを危惧する考えもある。

国民にとって、嫌なことでも政策として推し進めなければならないときもあると言うのが理由だ。世論にながされてばかりではいけないと言うのだ。

ごもっともな意見ではあるが、世論で批判された政権にはそれなりの理由がある。寧ろ世論は、消費税増税など受け入れてもいいと考えている人も多い。国民の方がしっかりしている。

民主党議員は、政権与党として自覚する必要がある。野党時代の延長線では、国民が迷惑する。

2010年6月4日金曜日

民主党再生は、8ヶ月の総括から


鳩山さんの唯一の功績は、「小沢さん道づれ」のトップ2人の同時辞任になった。各方面の評価は良かったモノの、急がれる民主党の代表選へ向けた取り組みは旧来の民主党の姿丸出しで、鳩山さんが願った「本来の民主党らしさ」への回帰に疑問が出てくる。

菅さんの「小沢さんは少し静かにしたほうがよい」とか、閣僚の「権力の2重構造は民主主義に反する」発言など小沢さんからの距離を置く発言は、小沢さんに振り廻され、すべて「小沢さんの意向」で決まる政策に民主党の特異な体質がある。

4年ほど前の連立構想破談時の「今の民主党に政権を担う能力はない」という小沢語録は
現実のものとなり、今回の鳩山辞任にいたった。

民主党が、昨年8月30日の「本日、政権交代」の原点に返るには、この8ヶ月の民主党政権の総括をやる必要がある。

国民に提案した「マニフェストはどうだったのか、財源を赤字国債に頼る是非」、「政策を実行するための司令塔 政治主導と言いながら各閣僚がバラバラなことをやっていなかったか」、「その政策を担う能力があったのか」「余りにも大きな権力を持つ小沢さんがあっての政府と党の権力の二重構造」「知識、行政能力を持つ官僚を排除しての政治主導のあり方」「自民党以上に悪しき選挙手法」さらには「政治とカネの問題での民主党内の自浄能力の無さ」、「安全保障で考え方の違う政党との連立」にどう評価するのか。

しかし、なんと言っても民主党に後から加わった小沢さんの存在は、良かれ悪しかれ評価は分かれるが、日本の政治のためには鳩山さんと同時に政界から去った方が良さそうだ。
党の権力者である小沢さんの説明不足が、側近の忖度で強権政治に至ったことは反省すべきである。

小沢さんの権勢を背後に、権力を振るい利権に預かる議員も多かったのではないかと思うが、国民はそれに嫌気を刺している。我々が選んで国会に送った代表者を、小沢さんの権勢の道具に使ってほしきない。

民主党再生への道は、この8ヶ月の民主政権の総括をきちんとやると同時に、「小沢離れ」
をしていかなければならない。小沢さんは、自民党の青木さんを「過去の人」と評したが、そういう小沢さんも「過去の人」なのだ。

これからの政治は、民主党が「小沢離れ」をして再生できるか、自民党が若い力で新しい自民党に再生できるかにかかっている。

取りあえずは、菅さんが言ったように「みんなが参加できる政治、政調を復活する」ことに期待する。

今、新代表に菅さんが選ばれた。樽床さん129票、菅さん291票。

2010年6月3日木曜日

次期総理は菅さんでいいのか


社民党連立離脱による国会運営の難しさ、次の参院選での惨敗予想もあって、民主党トップ2人の辞任となった。多くのメデイアが「総理続投」を予想していたことから考えて、今回の辞任は予想外だったのかも知れない。

しかし、鳩山さんの「開かれたクリーンな民主党」への再生要望は、民主党を立ち上げた鳩山さんにとっても、今の小沢さんがらみの路線は不本意なモノだったのだろう。

政治の空白を避けるために、民主党議員のみによる代表選が決まったが、民主党員でない者にとっても、次の総理を選ぶことになるので、今回の代表選は気になる。

寄り合い所帯の民主党にとって、まともに2年の任期を全うした者がいないことにも、党内事情が影響しているのではないかと心配になる。「政権を担当する能力があるのか」という本質的な問題だ。

鳩山さんが「民主党らしさ」を求め、本来の民主党回帰を訴えたが、小沢さんの存在は大きな障害になる。

代表選候補として、副総理格の菅さんが、いち早く名乗りを上げ支持を訴えている。他のグループは様子見のようだ。「小沢さんと距離を置くのであれば」と条件付きで支持を仄めかす候補予定者もいる。

野党時代であれば、誰が代表になっても、早期にはならなかったが、今回は政権与党であり、即総理になるのだ。無関心ではいられない。

私達は、菅さんについて、どれほど知っているだろうか。本当に総理として国政を託すことが出来るのか。

市川房枝さんの市民運動から出てきた政治家で、厚生大臣の時に、0.157の原因がカイワレ大根だと発表し、業界が沈滞した。後で間違いだったことがわかり、報道陣の前でカイワレをほおばって安全であることを訴えた。

また、厚生省の役人が、「資料がない」としていたのを、命じて探させ、倉庫から見つけ出したことは、官僚に厳しい姿勢を取ったと言うことで、政治主導にも合致して評価された。

しかし、年金問題が持ち上がったときに、一時期入っていなかったことを追求され、代表を去ったことがある。原因は役所側にあったが、一度も反論せず、お遍路姿で四国を回った。

代表選では、何回か経験した。小沢さんと争った時の立会演説で小沢さんが「私こそ変わらなければなりません」と発言したことで、事前の優位を覆されて敗れたことがある。

政権について、副総理を兼務し、財務大臣などを経験しているが、国会審議で「公共事業の乗数効果をどう見ているか」と自民党議員から質問され、立ち往生したこともある。市民運動家出身だから行政に精通しているかは疑問である。

財政再建、景気の為の金融政策などでは、「2兔を追う必要がある」と発言しているが、「1兔も得ず」と言うこともある。鳩山さんが普天間移設で揺れている時に、副総理として動いた形跡はない。安全保障をどう考えているのかも分からない。

ただ、小沢さんとの距離が、親小沢でもなく、反小沢でもないことに選考基準のポイントがあるとは、国民に反感を買いそうな相変わらずのお粗末さだ。今年の正月は、閣僚でも唯一小沢邸に駆けつけ乾杯の音頭を取ったという。

代表になりたいために、一定の距離を取り出したというなら、何をかいわんやだ。

小沢さんに担がれた総理は思うような政治が出来ず短命に終わっているし、良かれ悪しかれ小沢さんに振り回された政局であった。「小沢さんに頼る政局の危うさ」という意味の記事を書いたことがあるが、いつもこうなる。

民主党が再生するには、「小沢さん抜き」の党内運営が出来なければならないが、今回の代表選も小沢さんの存在が気にかかる。

2010年6月2日水曜日

鳩山、小沢辞任で「クリーンで開かれた民主党」にリセットできるか


この期に及んでも続投の意欲を示していた鳩山さんが、小沢さんと共に辞任することになった。

この8ヶ月の民主党政権の挙動を見ていると、自民党政権と連立を企て、幹部の猛反対で頓挫した時の小沢代表が「今の民主党に政権を担う能力はない」と発言したことが現実に証明された格好だ。

折角の民主党への政権交代も「政権を担う政党ではなかった」のだ。

鳩山さんも当初は希望に燃えていたと思うが、政権は直ぐに躓くことになった。安全保障のスタンスが異なる社民党、郵政民営化見直しを強調する国民新党と、国会運営、選挙協力で連立を組まなければならなくなった。

官僚の天下りを廃止しようとした矢先に、亀井さんが日本郵政の社長に旧大蔵省の事務次官経験者を持ってきたことだ。これには鳩山さんは困惑したことだろう。次官退任後民間会社勤務の経験があると強弁せざるを得なかった。

更に、マニフェストに掲げる政策は、「反自民」一辺倒だった。政権に就き現実問題が立ちはだかると、ことごとく見直しが必要になったが、公約違反を避けるために赤字財政へと突き進んだ。

そして、結党時の「クリーンな民主党」イメージも、トップ2人の政治資金規正法違反事件で、何ら自民党に変わらないではないかと国民は感じた。政治家と秘書の関係も、野党時代の鳩山さんの威勢の良い発言があったが、実際に自分のことになると言行不一致になり国民の信頼を損ねる結果にもなった。

鳩山さんは、辞任表明で、辞任に至った理由として、普天間移設で県外への移設が頓挫し、社民党が連立から離脱せざるを得なくなったこと、「政治とカネ」の問題を上げたが、国民の信を失った原因は他にもあるだろう。

大きく国民の期待を裏切ったことだ。

鳩山さん、小沢さんが辞任することで、「クリーンな民主党」にリセット出来るのか。

民主党内がどんなことになっているのか分からないが、今後も親小沢/反小沢の構図が続くのであれば、「開かれた民主党」「クリーンな民主党」は疑問である。支持団体も労組が主流であるが、その立ち位置は国民の側なのかどうか。

議会運営、選挙対策で、民主政治、政策をねじ曲げて欲しくない。
写真:民主党両院議員総会で辞任を表明する鳩山さん 2010.6.2 NHKテレビより

2010年6月1日火曜日

小沢発言「民主党にまだ政権を担う能力なし」が現実に

「この民主党には、まだ政権担当能力はない」とは、小沢さんが代表の時に自民党の小渕政権と連立構想を企て、民主党幹部に拒否され連立が頓挫。確か、代表を慰留された時の小沢さんの会見での発言である。

それから何年経ったか、昨年8月30日の「本日、政権交代」で、政権の座に就いたが、鳩山政権、政権与党の体たらくは目に余るモノがあり、民主党に一票を投じた国民を失望させている。

その当時、小沢さんはどういう理由で「政権担当能力がない」と言ったかは定かでない。

旧自民党から労組出身者と多義にわたる議員を抱えるが、政権に付いた経験のあるのは、自治大臣をやった小沢さん、厚生大臣の菅さん位だ。小沢さんは背後で権力を握る「闇将軍」の誉れ(?)高い。

国会では野党時代に、若手、中堅の議員が自民党政権を追求する姿は、頼もしさを感じたモノである。「この人達が政権を担当すれば、すべてうまく行くのでは」と錯覚を起こしたのも無理はない。

しかし、実際に政権に就いてみると、がっかりさせることばかりだ。

「反自民」一辺倒だったマニフェストは、財源、現実問題が壁になって公約違反の声も挙がってきた。選挙を控えてその見直しさえままならない。

権力者と言われる小沢さんの「悪」の部分は付きまとう。「政治とカネ」の問題は検察に対する「小沢擁護」として、民主党は異常な動きをしている。小沢さんは小沢さんで、自分の権力の源泉である議員数をバックに、勝手気ままな政治手法を駆使している。

小沢さんに担がれた政権でうまく行った試しはないが、鳩山さんも例にもれず「軽くて、パーがよい」を証明している。鳩山さんの「弱」点は、重要事項を自分で決断したことがないことなのか。リーダーシップの欠如、「その場しのぎの発言」は全く信を失い、総理の資質問題になった。

そして、普天間移設問題に見るように、安全保障の考え方など勉強している集団が見あたらないことだ。自民党のように利権誘導の「族」議員の存在は問題ではあるが、政策を研究し、政権を導いていくシステムが出来ていない。

今の民主党にあるのは、親小沢か反小沢だけである。「選挙に強い」、「政界再編は小沢さんでなければ出来ない」で「国民の生活が第一」をモットーに出来るのか。

今、小沢さんの10年前の危惧「民主党に政権を担う能力はない」ことが証明された。そして民意を反映する能力にも欠けているのだ。こんな民主党政権は短期間で終わった方がよい。

沸きあがる「鳩山降ろし」に、小沢、輿石、鳩山さんは「厳しい局面であるが、国家国民のために3人で力を合わせてがんばろう」と話し合ったと言うが、国家国民のためであるのなら「3人共に辞任することだ」。

老舗百貨店の生き残り策:店子にファストファッション店か高級ブランド店か











都心の百貨店でもそごう、三越池袋などの閉店もあり、売り上げ不振に喘ぐ老舗百貨店であるが、その原因の一つに従来の顧客層も高齢化が進み、その好みに合わせ過ぎたことが、新しい若者の顧客の取り込みに後れを取ったことにもある。

日本百貨店協会のデータによると、平成22年4月の東京地区14社の売り上げは1219億円、前年同月比―4.9%、26ヶ月連続でのマイナスだという。全国の売り上げも4846億円でー3.7%だと言う。コンビニにも逆転された。

百貨店の売り上げも91年の9.7兆円を記録したのを最後に、2005年には7.84兆円、2009年には6.58兆円に減った。5年後には5兆円になるだろうと予想されている。基本的に商売のあり方を考え直さなければならない時期に来ている。「下取りセール」も他の売り場への波及効果はない。

一部、衣料品、時計や装飾品など高級品に買い控えの底を突いた感もあるらしいが、長引く不振に、高価格帯から若者向けのカジュアル衣料への転換が出てきた。しかし低価格路線への加速が収益向上に繋がるかどうかは不明だ。

高級ブランド店の進出が相次いだ銀座も変わった。高級ブランド店は閑古鳥が鳴く店内であるが、ユニクロなどの高機能・低価格商品路線のファッション店は活況を呈している。

百貨店も売り上げ不振打開のために、試行錯誤をしている。マツザカヤ銀座は米のファストファッションストアチェーンのフォーエバー21を店子にしたが、一方で近くのマツヤ銀座は高級ブランド店を店子にしている。

松坂屋銀座に入ってみた。「フォーエバー21」が1~5階に入って、婦人服、洋品雑貨、アクセサリー、紳士服などを扱っている。当然若者で賑わっている。しかし、フォーエバーに通じる従来の婦人服売り場などは、依然お客は少ない。陳列のやり方、扱っている商品の価格帯も異なるが、期待していた集客力も限度があるようだ。

はっきり言って、新エリアと旧エリアでは境界がはっきりしている。フォーエバー21から従来の売り場に客は動いていない。フォーエバー21エリア内で買い物を済ますと、デパートから出て行くようだ。

係の人に「賑わっていますね。従来の売り場もお客が増えていますか」と聞くと、「ありがとうございます。 おかげさまで新宿に3号店がオープンします」という。他の売り場の集客にどう影響しているかは分からないらしい。

一方、高級ブランド店を入れた近くのマツヤは、賑わいは感じられない。高級ブランド店は、なかなか入りにくい。銀座の高級ブランド店は、軒並み閑古鳥が鳴いている様相だ。ドアマンも配置し高級感を出しているが、入りにくい。チョットのぞいて見てみようと言う気がおきず、遠ざかる。

客単価の違いもあるが、老舗百貨店の高価格帯から若者向けのカジュアル衣料への転換は収益向上に貢献できるだろうか。今、銀座から目が離せない。