2010年6月23日水曜日

政党選択のポイント:マニフェストではなく、「情」と「悪さ加減」では




選挙で政党を選択するときに、マニフェストを参考にしている人が多いというが本当か。実際は「情」と「悪さ加減」で選んでいるのではないか。そこに大衆迎合の危険が出てくる。

先の参院選では、マニフェストに異常なまでの重点が置かれた。政権交代を目指す民主党は、自民党に先駆けて膨大な公約を公表した。政権に就いたことのない民主党は、現実を把握しきれず、バラマキ政策に走り、政権交代は出来たモノの、鳩山政権は9ヶ月の短命政権で終わり、菅政権へのたらい回しとなった。

民主党は野党時代に、政権のたらい廻しを批判していたが、自民党は国民の多数に選ばれた自民党国会議員による、総裁選を経ての総理選出だから民主主義に反していないと見解を述べたが、民主党はこの政権たらい回しをどう考えているのか見解がない。

私は、総選挙前に「この雪崩式政権交代は問題だ」という内容の記事を書いたが、何故こういうことが起こったのか。

マニフェストを参考にするとか重視すると言うが、本当にそうなのか。大部分が「情」に訴えられたり、「悪さ加減」で支持政党を選択しているのではないか。

6団体による民主党政権のマニフェスト評価を見ても、9ヶ月の実績とはいえかなり厳しい点数だ。余りにも理想的で根拠の低い政策であったために、実現の壁に阻まれ民主党内でも混乱を来した。

私は、ISO9000シリーズにならって、マニフェストもPDCAサイクルを廻して、政策の質を向上させるべきだと主張している。子ども手当のように財源不足で、現金給付は満額支給を止めて要望の大きい保育所などを整備するという方針の変更は、当然である。

参議院選を前に、民主党は衆議院選のマニフェストを修正しなければならない羽目になった。鳩山政権から菅政権に変わり、さらには財源の確保が難しくなった今、現実主義に方向転換しなければならないことは当然としても、前のマニフェストは余りにも幼稚すぎた。

民主党政権とは違ったことをやりたい。高速道無料化など外国事例を参考に極端な政策に飛びつき、国民はマニフェストの真贋も分からないまま、「政治が変わる」ことに大きな期待を抱いた。「政権交代をやってみませんか 皆さん」、「政治を根本から変えるんです」、「官僚主導から政治主導へ」と鳩山さんに訴えられれば、情に負けて「一度やらしてみては」ということになる。

マニフェストは手に掲げて見せるだけでいいのだ。

参院選に向け、「消費税増税」がクローズアップされてきた。

選挙を前にして増税は禁句であったが、今の日本の財政状態を考えれば、早く議論をはじめた方がよい。一般会計92兆円については、事業仕分けでムダを摘出したと言うが、金額的には9兆円にほど遠い。9月からの176兆円に上る特別会計の仕分けに期待したい。

消費税1%は、2.5兆円に相当するといわれているので、特別会計を10%カット出来れば消費税増税5%分を十分に賄うことが出来る。増税の前にムダ削減は当然の話である。

菅さんは、財務省に丸め込まれていると批判されているが、消費税増税を国家財政の観点からしっかり議論し、国民に提案すべきである。「おおざっぱに」では信を失う。

共産党や社民党政権にならない限り、政策が大きく変わることはない。民主党も自民党も似たり寄ったりなのだ。この二大政党以外の弱小政党は、政党支持率だって2~5%、候補者が当選したってたかが知れている。政界再編を狙い、あわよくば主導権を握ろうとする強者が代表だ。

結局は、民主党、自民党の政策目標、政治手法、「景気対策」、「政治とカネ」の問題への対応、日米関係の維持など総合的に考えた「悪さ加減」で政党を選択することになる。

私も先の衆院選では、民主党の内紛で選挙区に候補者がいなかったこと、比例区は「不要」と記入した。従って政権交代に一票投じたわけではないが、民主党政権の稚拙さには、呆れるばかりだ。

今度の参議院選に当たっては、各党の主張する政策もすべてを一党に委ねることは難しい。情で判断することも良くない。結局は全体を見て、どの政党が「悪さ加減が少ないか」で決めるしかない。でも比例区は「不要」にしようと思う。

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