2010年6月26日土曜日

消費税ばかりでない参院選争点


参議院選の争点をどこに求めるか。消費税増税論争が出てきた。菅総理が10%に言及すると内閣支持率も59%から50%に急落した。他にも大事な課題がある。消費税論争で他の争点をぼかしてはいけない。

こうなったら何やら16年前の細川内閣が、国民福祉税構想を発表した時のことを思い出す。消費税を廃止して、7%の国民福祉税にするというのだ。しかも未明の突然のことだったので良く覚えている。

会見で「その根拠」を聞かれたとき、「腰だめ数字」といったモノだから批判が続出した。すぐさま、当時の竹村官房長官は「過ちは改むるに憚る事なかれ」と新税導入は「あやまち」と決めつけ、2ヶ月後に細川さんは退陣になった。背景には「細川斬り」があった。

菅さんの10%の根拠には、自民党案があったようだが、その消費税増税10%を今回公約に載せた自民党でさえ、「丸映し」と批判している。自民党案には、根拠があるそうだが、自民党のHPを開いても、その根拠を見ることは出来なかった。

菅さんには、自民党案に乗ることによって、超党派での議論に誘おうとしたのだろうが、自民党は「4年間消費税は上げない」と言ったことは何だったのかと批判する。このような借金大国にしたのは、自民党政権だったのだから、潔く参加すべきだと思うのだが・・。

もっと先にやらなければならないことがあるとの主張には同感である。

ムダの削減は不十分だ。事業仕分けは流行語大賞になるほど有名になり、国民に見える政治を提供したが、その結果は9兆円の削減にほど遠かった。現実を十分に把握せず、この程度のムダがあると発言していた識者の見方を鵜呑みにした結果だったのだろう。事業仕分けも10月には、特別会計に踏み込むという。

176兆円の及ぶ国会の監視の外に置かれていた特別会計であり、10%削減しても17兆円になり、約7%の消費税に相当する。期待が大きいが、この特別会計にも赤字があるそうだ。一般会計では赤字が目立つために、特別会計で赤字を隠していたのだ。

民主党は、一般会計都特別会計を統一したい考えもあるようだが、是非統一し、すべて国会で審議できるようにして欲しい。官僚に任せてはおけない。

行政改革も遅れている。民主党は国会議員の80人削減などを提案していたが、一向に進んでいない。今国会議員は722人いる。1人当たり1億円かかっていると言われているので人件費は722億円だ。

国民に負担を強いる野であれば、まず「我が身を削ってから」と言うことになる。日本創新党の旧杉並区長は、まず自分の報酬カットから始めたという。

日本には国家公務員30万人、地方公務員が300万人。年間27兆円かかっている。20%カットしたら5.4兆円、消費税約2%に相当する。自治労が支援労組である民主党に改革が出来るのか。

景気回復、雇用創出は税収アップにも結びつき緊急の課題である。大企業の景気は良くなったという。月例報告にも「回復」の語句が使われている。しかし、失業率は相変わらず高く、低所得化が進み世の中はデフレ・スパイラルだ。

経済成長(景気回復)か財政再建か。公約でも意見が分かれている。世界でも経済成長派の米国と財政再建派のEUと意見が分かれている。

ところが菅さんは、「経済成長と財政再建は両立できるという」。二兎を追うと言うのだが、一兎も得ずと言うこともある。ノーベル経済学者は財政出動派が多いようにも思える。
消費が低迷している時の増税は、更に景気を悪化させるという。ここは財政出動しかないと言うのだ。

しかし、対GDP赤字が先進国ワーストワンの180%にまでなっている日本で、これ以上の赤字が許されるのか。赤字返済のために消費税導入には反対だという主張は理解できる。
財政出動か財政再建か迷う。財政出動なら弱小政党に投票しなければならない。

すでにメデイアは、参院選での世論調査(序盤情勢)を発表している。有権者は本当に政策中心の政党選択をやっているのか。

有権者をバカにしたような有名人、二足わらじの候補者擁立作戦に乗っかって、間違った判断をしていないのか。政党は、有権者をミーハー的存在と思っているのだ。

菅さんは消費税を今すぐに上げようとは思っていないようだ。まず議論から始めようと言っている。そして実際にやるときは国民に信を問うとも言っている。騙されてはいけないが、今、重要な政治課題が消費税論争に隠されている感じがする。

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