2011年10月13日木曜日

増税を言う前に、野田首相、財務省は日本経済像を示せ







増税論が、かまびすくなってきたが、増税を言う前に野田首相、財務省はどんな日本経済像を描いているのか。今回の震災復興は歳出増で景気は回復基調になると考えていたが、その前に復興財源の問題があり、さらには財政再建、安心できる社会保障の制度改革があるのは分かるが、政策推進に当たって政権、財務省は今の日本経済、今後5年間の日本経済を動描いているのか。

政府・民主党は次期臨時国会で復興債発行法案、臨時増税法案などの提出を考えているようだ。

さらに、社会保障と税の一体改革法案は「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」ことになっている。消費増税への一歩だが、菅政権の時に実施前に国民に信を問うと約束した。

しかし、これが曲者なのだ。通常国会で税制改革法案を通しておいて、総選挙で国民に信を問うというのだ。例え国民が否定したとしてもすでに法案は通っている消費税増税は出来ることになる。

本来であれば、通常国会に法案を提出する前に、総選挙で国民に信を問うのが筋なのだ。野田政権、財務省の悪巧みを感じる。

ところで、こういった増税が今の日本経済にどう影響するのか。

増税しなければ財政再建は出来ないと考えている政治家は、増税で景気が悪くなるとは考えていない。むしろ歳出が増えるので景気は回復軌道に乗るという。

一方で、今のデフレ状況の中での増税はさらに需要が落ち込み、日本経済は悪化すると主張する。まず、デフレ脱却で経済成長軌道に持って行き税収を増やせというのだ。

日本は世界的に見ても税が安いので、増税するべきだという考えもあるが、逆に諸々のことを考えると決して安くはないという研究者もいる。

適正税率ってあるのか。アメリカでレーガン大統領のときだったと思うが、ラファー曲線というものが提案された。放物線を逆さまにして横軸が税率、縦軸が税収とする。税率を上げていくと、ある税率までは税収も増え最高税収に達するが、その税率を過ぎると逆に税収が減ってくるというものだ。でも適正税率がいくらかは分からないし、レーガンの時代と今の経済環境は違うので、一概には言えない。

ところが、知りたかったデータが見つかった。週刊ポスト(2011.10.21)の「消費増税で「景気は後退」「税収は減少」の衝撃データ」で、総税収を見ると消費税増税で日本経済は悪化しているのだ。

消費税増税については、菅首相が参院選の時に唐突に消費税10%を打ち上げたように、民主党、自民党でも消費税増税は既定路線のようであるが、増税が日本経済に与える影響について、しっかりした議論をし国民に示すべきだ。

そして、今の、そしてこれから5年程の日本経済を野田首相や財務省はどう導こうとしているのか。

今後、「実質経済成長率を約2%にする」とは、よく言われている戦略であるが、プロセスがはっきりしない。インフレターゲットとは言わないが、2~3%のインフレ率をも目標にしているらしい。

マネタリーベースで紙幣を増やせばデフレ脱却につながり、円高対策にもなるというが日銀の腰は重い。そもそも日銀は今の日本経済をデフレとは認めていない。日銀は物価の監視をしていればいいのであって、経済成長に責任はないのだろう。

兎に角、野田政権、財務省、日銀は日本経済像を国民に責任を持って示せ。

写真左:「消費増税で「景気は後退」「税収は減少」の衝撃データ」 週刊ポスト2011.10.21

写真右:財政再建のため増税路線を突っ走る財務省 民主党の政治主導は何処に言ったのか

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