2011年10月21日金曜日

財政破綻危機:ギリシャと日本の類似点と相違点




ギリシャの財政破綻危機は、国債信用を失い、ユーロ不安から世界経済に大混乱を巻き起こし全世界がユーロ圏の対応に注目しているが、日本だって他人事ではないのだ。ギリシャの債務は対GDP比160%、3500億ユーロ(約39兆円)、一方日本は債務残高が対GDP比200%超、1000兆円を超え、GDPの規模の違いはあるが、ギリシャより悪いのだ。

危機対策として、ギリシャの債務を50%削減し、デフォルトに持って行き、世界経済への影響を最小限にするために、欧州金融安定基金(EFSF)の拡充、銀行の資本増強などが検討されているようだ。

ギリシャ政府も、公務員3万人の一時帰休、高額年金支給者への支給額カット、所得税の課税免除額引き下げ、公務員給与の平均2割賃下げなど財政緊縮策を18日国会で通した。EUやIMFがギリシャにつなぎ融資80億ユーロ(8400億円)を実施する前提条件だったのだ。

ところが、新聞報道によると、官民の2大労組がゼネストに打って出、ギリシャ国内は大混乱になっている。テレビの映像を見ると「これがあの文明国ギリシャなのか」と驚く。

そもそもの発端は、2009年政権交代したとき、旧政権が財政赤字を実際の対GDP比12.7%を5%と過小評価していたのだ。新政権は破綻危機回避のために財政緊縮政策を策定したのだ。

日本との類似点は、対GDP比が他国に較べて非常に高く(イタリアも高いが)、財政再建を国際公約しなければならない立場にある。

一方、相違点は、ギリシャは公務員などが自らデモなどで緊縮策に反対しているが、日本では公務員はおとなしくしている。その代わり、財務省が公務員の利権をしっかり守ろうとしている。

政府の立場も、ギリシャは切羽詰って財政緊縮策を打ち出しているが、日本の政府は国家公務員の削減など公務員制度改革など言ってはいるが、人事院勧告を見送り、平均7.8%引き下げる給与削減法案の成立を目指す他は何ら進展させていない。これも財務省が反対しているからだ。

一方で、財政再建は財務省主導の増税が先行している。
ギリシャの問題は、決して他人事ではない。遅かれ早かれ必ずやって来る。そのとき、政府、財務省はどうするのか。

写真:ギリシャの大規模デモを報じる読売新聞 2011.10.20

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