2011年11月4日金曜日

ギリシャ債務問題:何を考えるパパンドレウ首相、日本だって他人事ではない









世界経済を脅かすまでになったギリシャの債務問題は、EUの提案を受け入れ「管理型デフォルテ」で財政再建を目指すことになったが、EUからの支援を受けるには緊縮財政が必要で、その前提に政権は公務員数の削減や年金カットを打ち出したが大規模デモなどで国民の不満は高まり与野党の攻防にまで発展した。パパンドレウ首相は国民投票での決着を表明した。

EUからの金融支援を受けることになると、全てがEUの管理下に入ることになりギリシャの主権が危ぶむことにもなる。

国民の反対はある一方、ユーロにとどまることを目指すが政治基盤の弱いパパンドレウ首相にとっては国民投票で直接国民に「緊縮策受け入れの是非」、「内閣の信任」を問いかけ、信任を得て一気に突き進もうとしているのだろう。政治決断が出来ず、国民に判断を仰ぐことになる。

日本だって同じことをやろうとしている。野田首相は、国内では反対も多い消費税上げに関してG20のテーマでもないのに国際舞台で表明し国際公約を背景に国内で消費税上げに突き進もうとしている。

公明党の井上幹事長に続き、自民党の谷垣総裁も消費税上げ法案の前に総選挙で国民に信を問えといっているが、民主党政権は消費税を上げる前に国民に信を問えばいいと考えている。

ところで、ギリシャの債務問題は、どうなるのだろうか。債務問題は、ギリシャに次いでイタリア、日本が危ぶまれている。決して他人事ではないのだ。

パパンドレウ首相の国民投票表明で危機再燃を心配したフランスのサルコジ大統領、ドイツのメンケル首相、EU,IMF関係者らが協議し、パパンドレウ首相を説得したが失敗した。

しかし、今朝のメデイアは一斉に「ギリシャ国民投票回避も」と報じている。相変わらずのギリシャ国内の与野党攻防で「議会承認」を条件に国民投票を撤回する可能性が出てきたというのだ。

ギリシャ国債の債務50%引き下げでもギリシャの債務残高は対GDP比160%から10年後に120%に下がる。ギリシャのGDPを35兆円(2008年 3575億ドル)とすると42兆円だ。ギリシャの2009年度の輸入が443億ユーロ、輸出が143億ユーロで貿易赤字の国だ。

主権を失うよりもユーロを離脱してドラクマに復帰し、債務をチャラにすればアルゼンチンのように、すっきり行くのではないかという考えもあるだろうが輸出で儲けることが出来ず輸入超過では無理なようだ。

欧州各国は、投資家に安心感を与えるためにギリシャ支援を行っているが、債務問題は尽きない。12月にはギリシャの国債償還期が来るというが、破綻はフランス、ドイツをも悪化させる。スペインへの不動産投資の不良債権が拡大するともいわれ、フランスは国債格下げの問題があり、ドイツは50%の国民がギリシャ支援に反対している。

日本だって他人事ではない。ギリシャに次いで、イタリア、日本の債務問題に注目が集まっている。

わが国の債務残高は対GDP比約200%、1024兆円だ。先進国一悪い。ギリシャのように公務員削減、ムダの削減は進んでいない。一方で消費税の値上げは段階的に10%まで持っていくとG20で国際公約してしまった。法案と国民に信を問う時期で国会が紛糾するだろう。

まだ日本は国債の95%が国内で資金調達されているが、国内資金調達が難しくなってくると市場で財政危機が意識されるようになるだろう。

決して他人事ではないギリシャ債務問題だ。


写真左:フランス サルコジ大統領 「ユーロ圏にとどまりかどうかも問え」と言う 2011.11.3フジテレビ スピーチより

写真右:ギリシャ パパンドレウ首相 ユーロ圏にとどまる考えを表明 2011.11.3 フジテレビ スピーチより

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