2011年11月27日日曜日

政治の劣化:国会議員の劣化、ひいては有権者の劣化?




政治の劣化は言われている通りだと思うが、有権者の劣化ひいては国会議員の劣化か、国会議員の劣化ひいては有権者の劣化なのか。

ギリシャに始まった欧州政府債務問題は、各国に飛び火し、比較的良好といわれたフランス、ドイツまで影響を及ぼしているが、日本だって他人事ではない。国の借金は対GDP比200%で、政治局面に何かあると市場が騒ぎ出すほどの危険水準である。

そんな状況下で、野田政権はTPPに続き財政再建で消費税増税に強行路線をとっているが、解散・総選挙も視野に与野党が対峙し、民主、自民ともに党内を二分化する恐れがあり、政界は不安定なままだ。

自民党長期政権で沈滞・腐敗した政治から脱却すべく政権交代したまでは良かったが、民主党政権の体たらくは期待を裏切り、次期選挙では惨敗が確実視され、コロコロ変わる短命政権は政治不信を掻き立てる。

さらに、「政治とカネ」、小沢氏起訴、小沢vs反小沢の飽くなき権力闘争、続く弱体政権は山積する難題を処理する能力なしと見られている。

11月25日の読売新聞で「「政治の劣化」に強い不満」という世論調査結果が発表になった。今の国会議員は「決断力」「指導力」に欠け、国民の目線に立たず、政策決定が遅いというのだ。

私も以前、国会議員の政治力の劣化という内容の記事を書いたことがある。指導力、決断力などあろうはずがない。まず「何がやりたくで国会議員になったのか」わからない。短期間のうちに選挙区を走り回り、握手攻めし名前を覚えさすのが選挙戦術だ。

当選すれば、派閥に入りそのリーダーの指示通りに動けばいい。むしろ指示通りに動かなければ何をやって良いのか分からないのだ。リーダーは、数で権力を見せびらかす戦術で党内の発言力を強める。

スピード感など要求できない。今は利害が多様化している。皆が議論し妥協点を見出すのではなく、一部の人間が作った案を「ああではない、こうでもない」といっているのだから決まろうはずがない。

今のような選挙のやり方では、出てほしい人も立候補にしり込みする。立候補の話を持ち込まれた人が、資金もなく、家族のことまでばらされるのは嫌だと断った話を聞いたことがある。

当然出てくるのは、野心を持った(?)公務員や元職、鞍替え組みだ。国政など考えてはいないし、斬新さなど感じられない。「新しい風」、「新しい波」などと強調するが、根はこってり古臭い。

政治が劣化しているのは、国会議員の劣化であるし、強いては有権者の劣化だ。

私たちが通常政治にかかわることが出来るのは「選挙」だが、これといった候補者も見つからず、二大政党制といっても政策に大きな違いは見出せず、結局のところポピュリズムに流される。

誰かが言い出し、あるいは動き出したことが大衆迎合(ポピュリズム)で政治を動かすが、チョットしたことで失望し離れていく。安定政権など期待できないのだ。

既成政党に飽き足らず、中央では新しい少数派政党が乱立し、地方でも「維新の会」「減税」を訴える政治グループが活躍しているが、ポピュリズムに流されるととんでもないことになってしまう心配がある。

ダメな国会議員だといっても仕方ない。今の難局を乗り越えるには、自分で判断し自ら有権者を説得し、地道に努力するしかない。一歩政局になれば市場は不安視し、日本危機の勃発になる。


写真:「政治の劣化」を報じる世論調査 読売新聞 2011.11.25

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