2011年11月16日水曜日

円高・デフレ対策:日銀は国会で政策論争せよ







日銀は国会で政策論争し、国民に円高・デフレ対策についてもっと説明すべきではないか。11月15日の参院予算委員会で民主党の川上義博議員が、日銀に円高・デフレ対策で、「もっと金融緩和をすべきではないか」という意味の質問をしていたのをNHK国会中継で聞いた。

今、日本中の企業が円高に悩まされている。TPPも経済連携では大事なテーマであるが、経済成長には円高、デフレ対策も重要な課題である。ところが翌日、16日の新聞では川上議員のこの質問は予算委詳報には載っていなかった。大事なことなので記憶に頼りながら記事にした。

まず、川上議員は「何故、日銀総裁が出席できないのだ」と執拗に代理出席(?)した副総裁に迫っていた。金融政策に責任を持つ立場であるなら白川総裁の出席は当然のことだ。
副総裁は、15日から金融政策決定会合が数ヶ月も前から予定されていたので出席できなかったと弁解していた。

おまけに「日銀は市場の動きに敏感に反応するために緊張感を持って仕事をしなければならない」という意味のことを発言し、国会出席よりも金融政策決定会合の方が重要であるかのように抗弁していた。

16日の新聞には、日銀政策決定会合の記事が載っており、欧州の財政・金融危機や最近の超円高が日本経済に及ぼす影響を話し合ったという。前回の会合で追加緩和を決めており、今回はその効果を見極める「様子見」のようだ。

円高の要因を聞かれ、ユーロ各国の経済不安でユーロ安、米国景気の先行き不透明感でドル安が円高につながっているという。

川上議員は円高是正には、「更なる金融緩和が必要ではないのか」という趣旨の質問をしていた。

これに対して日銀副総裁は、マネタリー・ベースで言うと、日本は対GDP25%,アメリカは17%で、決して金融緩和が不十分というわけではないという。日銀が常に言っていることだ。

確かに、日銀は対GDP24.6%、FEBは17.4%、ECBは11.5%で高くなっているが、日本は現金決済取引が多く、欧米より高くなっているのだ。

マネタリー・ベースで言うと、日本円は対GDP25%とすると、GDPが480兆円だから約120兆円、米ドルは対GDP17%だからGDP1063兆円とすると180兆円になる。

ところが、日銀は金融緩和をするが一向に円高は抑制できない。その原因についてエコノミストの高橋洋一さんは、「水準」ではなく「変化」が大事なのだという。日米マネタリーベース対GDP比を比較すると、2000年1月を100として、アメリカは290、日本は180で日本の金融緩和は不十分だという(現代ビジネス 「ニュースの深層」より)。

日銀は18番の「様子見」を決め込んでいるが、更なる金融緩和をやってみる必要があるという考えが多い。

川上さんは、民主党政権も困っているので何とかしろという。

安住財務相は、日銀の金融政策ばかりではダメで、財政政策と組み合わせての円高対策が必要で、今後日銀と強調し対応していくと引き取った。

日銀はもっと政策を検討すべきだ。失敗を恐れて及び腰になっている。象牙の塔のような日銀の部屋で会合し、時々記者会見し、出張先で政策についてコメントするのではなく、国会でわれわれの代表者、財務省、日銀、在野のエコノミストが政策について議論し、国民にしっかり説明すべきではないのか。

政策に至る根拠が見えず、責任の拠り所が不明である。

写真左:日銀本店

写真右:日米マネタリーベース比較 高橋洋一 現代ビジネス「ニュースの深層」より

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