2009年10月27日火曜日

鳩山首相所信表明:理念だけだが、心地よい響きがあった


今回の鳩山首相の所信表明は、今までの格式や専門用語を駆使した官僚から提出された施策を並べ替えたモノではなく、鳩山さんの体験から言いたいことを述べたところに、理念だけと批判されているが、何か心地よい響きを保っている内容だった。

 住民が主役の地域、国造り、暮らしの豊かさに力点をおいた経済、人と人が支え合う役に立ち合う、一人一人が参加する「新しい公共」、「役に立つ」「必要とされる人間」として社会の中で自らの「居場所と出番」を見つけ事の出来る社会を構築する理念は、今まで忘れがちだった理念を再確認してくれるモノだった。

今までの自民党政権での経済成長路線、効率化優先の市場主義経済の追求から顕在化してきた格差社会の反省から、人間重視の経済への転換は当然のことである。

 鳩山首相は、今回の選挙の勝利者は国民一人一人だという。しかし、国民は民主党を選択出来たことで勝利したわけではない。愛想を尽かせた自民党政権を今回だけは避けたのだ。戦後の行政のムダ、悪因習を蔓延らせたのには、野党だった民主党にも責任があるのは確かだ。穿った見方をすれば、勝利者と思っているのは、小沢さん一人ではないのか。

 これからやろうとしている「戦後行政の大掃除」は自民党政治を180度転換する大きな挑戦であり、鳩山さんは「躓くこともあるだろう」「頭を打つこともあるだろう」と言及している。

 ところが、既にその兆候は見えている。所謂小沢さんとの「二重権力構造」だ。これは総選挙前から見識者は心配していたことであるが、民主党の組織作りの段階で顕在化してきた。「それ見たことか」と思っている人は多いはずだ。

 改革の方向、政治を根本から見直す長期戦略のための国家戦略室の構想がよく分からない。「行政の大掃除」をするのであれば、一番活躍しなければならない菅さんの存在が薄いことに気が付いていたが、「菅外し」を覆すために特別に菅副総理に言及しなければならなかった事情も政権党内の実情を伺わせる。

 更に異例のことは、自らの政治資金規正疑惑にも言及しなければならなかったことだ。国民の政治不信を払拭するためには、政治家一人一人が襟を正さなければならないが、鳩山さん本人がその疑惑のど真ん中にいる。他人の疑惑の時は、「説明責任を」とコメントしていたが、自分の事になると歯切れが悪くなる。

 小沢さんも公設秘書が起訴された。臨時国会では、民主党は代表、幹事長2人が、政治資金規正法で自民党からの攻撃の対象になる。

 常識で考えれば、2人共に首相や与党幹事長の職に就くべきではないと思うが、大きな政局になる可能性は十分に考えられるが、そんなことに時間を費やす余裕など今の国政にはない。

 何よりも重要で最優先課題は、雇用対策だ。緊急雇用対策本部を立ち上げて、失業者支援、雇用創出に取り組むという。しかしこれは並大抵のことではない。雇用を創出しようと思えば、企業の業績回復が必要であるが、それには消費の拡大が前提になる。

 家計収入の増加、将来の不安の解消などいろんな政策が絡んでくる。今政策に上がっている子供手当、暫定税率の廃止、高速道の無料化などは家計の可処分所得を増大させるが、一方で価格競争は企業収益を減少させ、給料の減額、人件費の削減のためのリストラなど悪循環が続いている。

 雇用対策で失敗すれば、国民の信を失い、政権の座から転がり落ちる。今、民主党政権は自民党政権の政策の180度転換を目指しているように見えるが、「何だ、自民党政権の方がまだマシだったのではないか」と考えるようになる可能性も大きい。

 理念を実現する政策に緊張感を保って当たらなければ、国民に飽きられる日は直ぐそこに来ている。党内の権力闘争など御法度だ。

2009年10月26日月曜日

雇用は悪化しているのに景気は回復に向かっているとは


経済指標は改善している報告が多い中で、生活感、雇用は悪くなっている。実生活も安売りに群がる傾向にある。本当のところはどうなのだろうか?

 内閣府の6月の景気動向指数先行指標は、05年を100として、先月比2.9ポイント上昇の79.8。7月の消費者物価指数は前年同月比2.2%下落、3ヶ月連続で下落している。景気回復の実感のない中で、消費者の財布のひもは引き締まっている。一方、内閣府の8月の消費者動向調査では、消費者態度指数は確実に改善していると見られていい、9月は40.5と前月を0.4ポイント上回っている。

 日銀の景気判断も2ヶ月続けて引き上げられ、「持ち直しに転じた」から「持ち直しつつある」という。

 アジア経済も底打ち感が出て、シンガポール、タイやインドネシアではGDP成長率が大幅にプラスに移ったと言うし、世界的にも、景気底打ちの兆しが見られ、欧米の株価も上昇している中で、日本だけが取り残された感がある。

 製造業でも一部の企業は、繁忙度が高まっていると言うし、損益分点売上高を越える企業も出てきているが、実体は在庫調整が進んだり、リストラで1人当たりの仕事量が増えたためでもあり、人件費削減で損益分岐点が引き下げられた為だろう。自動車産業では期間工の採用も出てきた。

 経済指標は改善されて来ているようだが、雇用は悪化している。

 失業が依然多いのだ。昨年10月から今年6月まで職を失ったり、失う見通しの派遣社員や契約社員は20万人をこえ、解雇された正社員は2万人の上ろうとしている(2009年5月)。企業のリストラも正社員まできた。

 有効求人倍数も7月は0.42、完全失業率は5.7%に達し、8月は5.5%に改善したという。内閣府の7月の経済動向試算では5.4%と見ていたので、5.7%には驚いている。約360万人が失業していることになる。

 しかし、失業者の実数はもっと多いだろうと見られている。就業者でも従業員を解雇せずに休業する企業には国が手当を補う「雇用調整助成金」により支えられている人も200万人前後おられるらしく、これも高止まりの様相を示している。

 自民党政権の時、09年度緊急人材育成・就職支援制度が導入され、月10万年の生活費をもらいながら職業訓練を受けることが出来るようになったが、訓練を受けても職がない状態にあるらしい。

 特に注目しなければならないのは、若年層の雇用悪化が目立つことだ。15~24歳で9.9%、25~34歳で7.1%になっている。

 これは大変な事で、すさんだ人生を送ることにもなるし社会人として教育(経験)も積めず、ゆくゆくは国の成長力も低下するはずだ。

 やっとのことで仕事が見つかったとしても、今は低所得化の時代だ。

 OECDの08年の相対的貧困率では、日本は15%をこえ、ワースト4、1人親家族の貧困率は58%だと言う。あるテレビ局で、「貧困を感じるときはどんな時か」との質問に、食事が3度とれない時、病院に行けない時、携帯が使えない時、旅行に行けない時などを上げていた。「食事が3度取れない」は身につまされる思いだ。

 読売新聞の5月の世論調査でも、54%の人が昨年の4月に比べて「生活が苦しくなった」と指摘しているが、当然かも知れない。加えて自分や家族の仕事の現状や将来に不安を感じている人も78%に達している。

 経済指標が少しよくなったと言っても、雇用が改善しなければ実体感はつかめない。

 外交デビュー華々しかった鳩山さんも、ここに来て「経済は必ずしも順調ではない。家計に刺激を与えることが一丁目一番地の課題だ」と指摘した。

 雇用の悪化、給与所得の減少は、家計に大きく響き消費は冷え込む。その結果企業業績も当然悪化する。分かっていることだが、雇用の改善の為の景気対策は先決問題だ。

 しかし、子供手当や公立高校の無料化などマニフェストに沿った政策が推進されようとしている。今の民主党の事業の見直し、公共事業の削減、赤字国債の抑制など賛成すべき面もあるが、景気刺激策として逆効果になっていないだろうか。教育・訓練が必要な医療・介護分野、補助金で保っているような環境分野で内需を拡大するのは、並大抵のことではない。

 失業者を支援し、税制で雇用主を優遇する施策などで経済を活性化し、税収を上げなければ景気対策にはならない。そう言う意味では金融相の亀井さんのモラトリアムは一手だ。

 需給ギャップの問題もある。供給に対して需要が落ち込んでいる。テレビで放映される画面を見ると、小企業では工場内はガランとしていて稼働しているのは数台の設備だ。経営者は、これ以上こんな状態が続くとやっていけなくなると訴える。一方で、特色のある技術を持った中小企業ではフル稼働している。今の不況などどこ吹く風だという。しかし、、多くの中小企業は似たような技術で熾烈な競争している。

 おまけに、もうけなしの仕事もしている。「断れば次がない」の強迫観念がある。

 失業率が高止まりの状況での景気回復はリストラ以外の何ものでもない。教育・訓練したって受け皿がないのだ。若者が企業人として経験を積めないことは、国の将来にとって大きな損失である。

写真は、大田区本羽田の工場周辺 こういった工場の活況が日本経済を支えた事になる。
    今は、高層アパートやマンションに変わっている。生き残れた工場が、細々と稼働している。

2009年10月24日土曜日

急勾配の碓氷線の電化を支えた旧丸山変電所







明治時代のレンガ造り建築物に興味があったので、富岡製糸場に次いで旧丸山変電所に行ってみた。今、地域で世界遺産登録を目指そうとしている碓氷峠鉄道施設だ。

 10年ほど前に、終着駅となったJR信越線横川駅から旧碓氷線の下り線路跡を改造した遊歩道「アブトの道」を碓氷峠鉄道文化村を右手に見ながら、碓氷峠の森公園へ向かって歩く。旧碓氷線の上りは、「ぶんかむら駅」から「とうげのゆ駅」までトロッコ列車が土日、休日に運行されている。

 2kmほど歩くと、赤い煉瓦造りの建物が見えてくる。こんな人里離れた山間にある建物だから直ぐにそれと分かる。

 1893年(明示26年)、急勾配の碓氷線横川―軽井沢間約11km、標高差約550mの峠越えをアブト式鉄道が採用されたが、1911年(明示45年)日本で最初に電化されることになり、この変電所が建設された。

 2棟からなっており、1棟は変流器や変圧器が収められた機械室、もう1棟は、必要な電力を供給するために蓄電地室で、312個の蓄電池が配置されていたそうだが、1963年に新線が開通することになりその役割を果たした。1994年(平成6年)に国指定の重要文化財に碓氷峠鉄道施設として指定された。

 レンガ造りで格調高い建物であることは分かるが、外側は痛んできている。蓄電池室は、窓は曇りガラスで、中の様子は伺えない。充電中は水素と硫酸が室内に発散するために通気に気を配った作りになっている。屋根には換気窓らしいモノもある。

 機械室は、交流電流を直流電流に変えて機関車に送電していたので変流器と変圧器が置かれていたらしいが、今はそれらしい器機は見あたらない。換気塔の残骸やレンガ、碍子、鉄材などが無造作に放置されている。

 そう言った機器類がきちんと保存されていれば、この建物の評価は上がるのだが、残念ながら建物だけでは価値が半減するように思えた。ここを通る観光客は、ほとんど建物だけをデジカメや携帯電話で撮し、通りすぎる。私のように窓の外から中を撮影している者はいなかったが、世界遺産登録を目指すのであれば、保存の仕方を工夫しなければならないと思う。

 この道を更に登って行くとトロッコ列車の終着駅「峠の湯」につく。さらに旧線を碓氷峠に入っていくと、いくつかのトンネルを過ぎて、名勝の「めがね橋」まで行ける。

 このメガネ橋と旧丸山変電所が、絹産業関連の世界遺産登録リスト入りの準備をしている。

2009年10月22日木曜日

時の政権に翻弄される八ツ場ダム?







 一都5県の知事の現場視察も終わり静かになった頃合いを見て、一ヶ月ぶりに八ッ場ダム工事現場を訪れた。紅葉も真っ最中のためか平日でも観光客が多い。途中、柵で囲まれているダム本体工事予定地に工事事務所の人が立っている。また、誰か視察に来るのだろうか。

 まず「やんば館」に八ッ場ダムのパンフレットをもらいに行ったが、いつもあるパンフレットがない。置いてあるのは「川原湯温泉の吾妻渓谷散歩マップ」だけだ。案内の女性に「パンフレットはないのか」と聞くと、「そこにあるだけです」という。いつも八ッ場ダム工事事務所作成の資料があるはずなのだが・・。

 跡になって分かった。同じ日に衆院国土交通委員会の川内委員長が建設予定地を視察した際、公報センターの「やんば館」が「ダム建設を前提とした展示に問題がある」とクレームを付けたらしい。それで常置されていたパンフレットをしまい込んだらしい。

 今回の前原国交相の中止発言から始まり、時の政治に翻弄される八ッ場ダムだ。

 昭和27年に利根川改修改定計画の為に調査に着手されて以来、国(当時の建設省)、群馬県、長野原町そして1都4県の関連地方自治体でいろんな協議がされたようだ。当然のことながら国会議員、県知事、県会議員、町議会議員が建設推進で利権に群がって暗躍したのだろう。地元で推進協議会などが発足すると、会長は町議会議員やその地域の有力者が就き、国はその有力者と組んで強力に推し進めるのは常套手段だ。それが出来なければ今までの公共事業はまとまらない。

 今、週刊誌で利権に群がった人達の事が報道されている。真偽のほどは知らないが、地域や住民を代表して国や県と交渉する人達は、あらぬ嫌疑をかけられないためにも十分に注意すべきだったことは確かだ。「ダムはムダ」とよく言われるが、建設目的以外に無駄な費用を税金で賄っていることへの批判もある。

 川原畑側の移転先にいってみた。「工事関係者以外 立ち入り禁止」の看板の他に「地元車優先」の看板も立つ。中腹に比較的緩い斜面を削り取った造成地が現れた。神社は一番高い場所に移され、先祖のお墓も湖の見える場所に移設されている。

 移転先の造成は終わった箇所には家が新築されている。驚いたことにまだ全体の造成も終わっていない場所でも新築中の家もある。図面上は区画の線引きも出来ているのだろうが、造成工事が住民の要望とあわず、遅れている可能性もある。
 神社の下は、付け替え国道145号線の函渠工事が進んでいる。この付近の完成予想図を見ると、4車線になっている。「八ッ場ダムの経緯」をみると平成5年に、長野原町が国道145号付け替え道路の4車線化構想の受け入れを決定とある。町が希望したのか、国が気を利かせたのか知らないが、こんな山間で4車線なんて考えられないことだ。

 この神社の境内から川向こうの川原湯側の移転先(打越地域)を見ると、既に1期は分譲され家も建っているが、2,3期分は今も造成中だ。右方でも造成工事中で、ここはJR新川原湯温泉駅になる。温泉地もこの付近に移転するのだろう。川原湯温泉は、駅に近い温泉を売り物にしている。

 八ッ場ダムは、4600億円のうち、既に約70%にあたる3200億円を使っているとよくいわれる。予算ベースではそうだろうが、工事を見渡すと、とてもそうとは思えない。反対している民間団体の調査では、まだ土地の収用も出来ていないところがあるという。完成しているのはトンネル工事ばかりだ。

 地質だって良いとは言えない。盛り土整形されたところを見てもよくない。しかも湖面に突き出る法面勾配は30度を越える急斜面のようだ。指摘されている地滑りの危険は大きい。

 打越地域では沢が多いようだ。防災ダムが至る所に設置されている。上部からの落石、土石の流出を食い止めるのだろう。知事の現場視察の時に、工事事務所の人が「地質は硬い。金槌で叩くと火花が飛ぶ」と説明していたようだが、そんな問題ではない。川原湯温泉街を登っていくと、あらゆるところに落石防止ネットが張ってある。

 温泉街で落ち葉の掃除をしていた人は、「中止が前提では、話し合いしても仕方がありませんよ」という。「ここまでやったら、もう進めるしかないと思いますよ。私達は温泉で生きていくしかないのです」ともいう。

 「新しい温泉街出来ると環境はこんなによくなると言われ、期待していたが工事も長引くばかりで、温泉街はかえって寂れた」と失望を隠せない。確かにそうで、親水公園の未来図が画かれている。

 湖面2号橋工事現場付近で農作業していた人が、「政治に翻弄された50年だよ」と苦笑いする。

 前原さんは「マニフェストに書いてあるとおり、中止にかわりはない」と言うが、後処理をどうするのか。ダムは止めるが、JR,国道の付け替え工事は完成させるのか、温泉街の再構築はどうするか、地域住民の生活の補償をどうするか。

 民主党が政権に就いている間に、解決できるのか。これこそ問題だ。

2009年10月18日日曜日

マニフェストに拘ると政権はもたない。マニフェストの存在意義は?




 マニフェストを実現しようとすれば国債発行に頼らなければならないジレンマに鳩山政権は置かれている。読売新聞の世論調査では、マニフェストの修正について、「必要な場合は修正」を認める人が76%に達している。

 マニフェストか、赤字国債か、政権は難しい舵取りの局面に向かっている。

 10年度の一般会計要求額は、政権公約実現関連の4兆3767億円を含め、95兆380億円の過去最高額になったが、更に予算額の明示にない事項要求を加えれば97兆円になるらしい。税収が46兆円から40兆円に落ち込むことを考えると、赤字国債の発行は避けられない現状だ。

 マニフェスト実現に必要な主な予算は、子ども手当2.3兆円、公立高校無料化0.46億円、農業の戸別所得保障0.56億円、高速道無料化0.6億円、雇用対策0.27億円 で子ども手当が全体の約50%を占める。
 
 中学校卒業まで1人あたり2.6万円を支給し子育てを支援するらしい(10年度は半額)。7人ほどいる家庭では月18万円の手当になり、父親は「実現すれば嬉しい」と笑顔でコメントしている。

 子供を産んで育てることは親の責任である。低所得なら低所得なりに育て方もあるだろう。またその覚悟で子供を作ったのではないのか。子供1人1人に手当を支給すること自体に抵抗を感じる。

 寧ろ保育所が不足して、働きたくても働けない母親の為に、待機児童を解消するための保育園、学童保育、延長保育などを拡充すべきではないのか。子ども手当は内需拡大のための施策の一環でもあるらしいが、景気対策には待機児童解消策の方が効果は大きいのではないか。そのためにも設置基準緩和などの構造改革が必要だ。

 民主党の政策で子ども手当が、クローズアップされているが、最近の世論調査(読売新聞2009.10.18)で内閣に優先的に取り組んで欲しい課題では、景気対策(73%)、年金制度改革(49%)、雇用対策(47%)、医療制度改革(41%)そして子育て支援(31%)だ。

 「国民の目線」での政治が、先の衆議院選での人気取りのバラマキ政策に翻弄されている感じがする。
 早く国会を開いて、政策の議論をするべきである。この1ヶ月民主党政権は、マニフェストに掲げて国民の信を得たとマニフェストを御旗に、今までの自民党政権とは逆の政策を推し進めてきたが、ここに来て公共事業、外交、そして今までの構造改革で混乱が起きている。

 政権に就いたこともなく、実体は把握できず、民間のコンサルタントなどの活用で何とかまとめ上げたマニフェストだ。実際に政権に就けば思うように行かないのは当然だ。

マニフェストの目標から離れると、公約違反だと非半田出る。マニフェストを実現しようとすれば、予算がいくらあってもたりない。おまけに国民は期待している面もある。実現しなければ政権の維持は難しい。

 ところが、国民はマニフェストも「必要があれば修正してもかまわない」という人が76%もいるのだ(同 読売新聞)。

 赤字の上積みは極力避けなければならないが、税収も46兆円から40兆円に落ち込みそうだ。ここは一般会計ばかりでなく、特別会計も含めた207兆円全体での削減を考えるべきだ。ほとんど必要な予算である一般会計より、特別会計の方に削減代がありそうだ。民間企業では一律5%カットでの予算執行をよくやるが、国はどうしてこういう考えが出てきないのか。

 一般会計概算要求95兆円を92兆円まで落とすと仙谷さんは発言している。あれもこれもではなく、優先順位をはっきりさせて、PDCAで修正しながら目標に近づけていった方が良いのではないか。

 今の状態が自民党麻生政権だったら、「またブレた」と批判されるだろうが、鳩山政権では国民は鷹揚だ。09年度補正予算見直し、10年度予算編成において、そのプロセスが国民にオープンであった為ではないか。

 今マニフェストはその存在意義を問われ始めたのではないか。政権政党にも野党にも選挙公約を要求した。政策課題について、何時までにどうするか数値目標で示すことを要求した。しかし、人気取りのバラマキ予算に走った嫌いはある。

 強力にマニフェストを推進した早稲田大の北川先生はどう思っているのか。今、一向に発言されないことに疑問を感じる。

2009年10月17日土曜日

羽田ハブ空港化は唐突な政策なのか







 関空について負担金や伊丹空港の関係、リニア問題などいろんな問題を抱えていた大阪府の橋本さんが、国土交通相の前原さんと会談したが、羽田のハブ化、関空については具体策がなかったことに大きなショックを受けたようだ。
 この前原さんの羽田空港ハブ化発言は、千葉県にも波及し、驚いた森田さんが急遽、前原さんと会談し、笑顔で納得した様子がメデイアで報道された。「誤解のないように、意思疎通が必要」ということらしい。

 この政策は、本当に唐突だったのか。

 成田は国際線、羽田は国内線でのすむわけで共存していた事は明らかなことであるが、 羽田は航空需要の増加から発着能力が既に限界に来ている。成田は夜間しようが出来ないし、今後の拡張は難しいらしい。どう考えても羽田の拡張しかないが、今2010年10月の使用開始を目指して工事中だ。

 久しぶりに羽田空港に行ってみた。展望デッキから離発着をしばらく見た。離陸は頻繁だ。誘導路には常に4~5機が滑走路に向かっている。前の機が離陸して上空を旋回しながら上昇している間に、次の機が離陸する。離陸間隔は40秒前後か。過密状態であるのは確かだ。以前、離陸間隔が短くて気流が安定しないままに次の機が続き、事故を起こしたことがある。

 離発着便を見ると、圧倒的にJAL機が多い。ジャンボ機は幹線を飛んでいるので問題なかろうが、それ以外は不採算が多いのだろう。地方空港が出来るたびに、JALが飛行を押しつけられる歪んだ航空行政も経営悪化の一因なのだろう。

 向こうに建設工事中の情景が見える。2010年10月新国際線ターミナル誕生と英語、中国語、韓国語で書いてある。1245億円かけて新滑走路(2500m)、誘導路、エプロン、管制塔を建設している。今回の拡張計画で、国際線が3万回増え、さらに深夜・早朝の国際線3万回も増えることになるらしい。発着回数は最終的に40.7万回(現在30.3万回)になるらしい。

 我が国の航空行政はどうなっているのか、国交省のHPを開いてみた。

 「空港の設置及び官吏に関する基本方針の策定について」(平成20年12月24日)によると、首都圏における空港相互間の連携のあり方で、経済財政改革2008の基本方針に従い成田は国際線の基幹港、羽田は国内線の基幹港との基本的役割分担し、両空港の一体的活用による、国際航空機能の最大化を図ると言う。また首都圏空港における国際空港機能プランに従い、今羽田は建設工事中だ。この機能拡大プランの中で、22年には羽田は昼間約3万回、深夜・早朝3万回の系6万回、成田は約2万回の計約8万回の国際定期便を実現できるのだ。

 ハブ空港化に関しては、国際拠点空港の記述があるが、成田、関空、中部が今後共に適切に応えると共に、東アジアと世界を結ぶアジアゲートウェイとしてネットワークを構築するという。

 羽田について国際拠点空港としての言及はないが、その要望も大きい事から狙っているのは誰にでも分かることだろう。

 前原さんは、成田、羽田の国際、国内のすみわけを撤廃することに言及したが、今までのしがらみがないだけに、思い切った政策を推進できるわけだ。

 東アジア地域における空港間競争の激化問題では、韓国の仁川国際空港を念頭に置いている。私の岡山の親戚は、海外旅行に行く場合近くの地方空港から仁川国際空港に行き、そこから目指す海外へと向かうのが便利だという。地方から東京、成田経由では不便なのだ。

 羽田がハブ空港になれば、経済も刺激でき成長に繋がる。採算の悪い地方空港を増やす悪例になった空港整備の特別会計の見直し、JAL再建への道筋も付けられるだろう。今までのように、関連自治体への配慮(?)などからはっきり言及できなかったことを民主党政権になって政策に対して説明責任を果たすようになったと見て良いのではないか。

 空港を持つ地方自治体は、どう思おうと羽田のハブ空港化は時代の要請であり、遅ればせながら推進しなければ国際競争にも負けることになる。

 とは言え、大きな難題がある。孫を保育園に迎えに行った帰りに、年配の方2人が騒音を測定されていた。何をやっているのかと思ったら上空に航空機が飛んでいた。ブオーンという低い音がしているが、騒音計には出てこないだろう。

 騒音問題だ。生活環境が悪化しているらしい。朝晩の本数が増えて子供の睡眠に支障を来しているという訴えがある。そのため航空機の侵入角度を変えたり、横田基地があるために空域問題もある。

2009年10月15日木曜日

株価は海外頼みで1万円台の攻防か




10月13日、東証は5日連続の続伸で一時10,100円を超えたが、終値は10,076.56円で、9月30日の水準を回復したという。
 しかしNYダウが14.74ドル下落した事により14日は1万円台を割るのではないかと東京証券取引所に行ってみた。案の定、10時30分の時点で40円安の10,036.56円で、1万円は割らなかったモノの終値は16.35円安の10,060.21円だ。前日はロシア、イギリスでも下落している。

 日本株にとって、国内独自材料は乏しい。どうしても海外市況に頼ることになる。

 今、注目されているのは、金融危機政策後の出口戦略だ。金利らしい。

 オーストラリアは電撃的に金利を3%から3.25%に上げたという。次は韓国が上げるのではないかと見られている。円安、ウォン高は日本にとっては有利な競争になり、メリットは大きく、何時になるかが注目されている。

 日本はと言えば、景気判断も「持ち直しに転じつつある」から「持ち直しつつある」に記述が変わったが、0.1%の超低金利は維持するらしい。出口戦略についてのコメントなど、特に目新しいモノはなかった。

 ところが14日NYダウが急伸したために、15日の午前には212年高までになった。

 特に為替は影響する。今の円高は財務相の藤井さんが円高容認発言をしたのも一要因と考えられているが、元は米国でのドル安政策が原因だ。

 内需拡大政策の効果が出てきて国内経済が好転しての、円高であれば良いのだが、日本はまだまだ輸出に依存しており、この傾向は変わらないだろう。

 国内事情としては、取りあえず鳩山政権の赤字国債がどの程度になるのか、予算編成での経済対策、通常国会での鳩山政権の混乱の有無、年末にかけての雇用/失業率等か。