社会保障と税の一体改革案で消費税10%引き上げが具体化してきた。今年度内の法案化に向けた協議が始まりそうだが、菅総理が政治家の本望とまで言った財政再建への一歩であるが政治主導なのか。必要性は分るが、IMFまで国の借金が対GDP200%は未知の領域として財政改善のため消費税上げに異例の提言をするほど財務省の強い意向が伺える。
確か配分など詳細は決まっていないはずだ。曖昧な内容ほど裁量が自由になる財務省の望むところで、財務省主導の増税ではないのか。
そもそも、我が国の借金(債務残高)が対GDPで200%を声、先進国では最悪の財政であること自体が本当なのか。もっと議論し、国の財政の本来の姿を国民に示さなければならないのではないか。
確かに、財務省のHPから一般政府ベースの債務残高の国際比較(対GDP比)を見ると2011年には204.2%になり、米国98.5%、英国88.6%、ドイツ81.3%、フランス97.1%と比べても異常に高い。
一方で、債務残高ではなく、政府が保有する金融資産などを差し引いた純債務残高で比較すべきだと言う考えもある。その純債務残高での比較でも、2011年には米国74.3%、英国57.6%、ドイツ51.6%、フランス61.8%と比べ、日本は120.4%でやはり異常な悪さであることは分る。
ただ、純債務残高を比較する場合、我が国政府の金融資産の多くは将来の社会保障給付を賄う積立金であり、直ぐに取り崩して債務の償還や利払いの財源などにすることは出来ないと注意書きが書いてある。何やら埋蔵金の取り崩し論議の時もそうだった。
IMFの援護もあるが、これに対してエール大の浜田先生は純政府債務であれば日本の借金は対GDP比60%以下になり、先進国とそう変わらないが、日本の借金は対GDP比約180%(2008年の173.9%)を用いていると批判している。
先進国に比べても遜色のない借金レベルであれば問題ないのだが、この見解の違いをはっきりさせるべきである。
一方で、一般政府ベースの他に、購買力平価ベースでの国際比較もある。コレだと比率がグッと落ちるが、それでも先進国では最悪だという。
IMFは、購買力平価ベースでの対GDPで財政赤字の見通し比較を発表した。それによると日本は2011年10.5%、2012年9.1%、米国はそれぞれ9.9%、7.8%で共に中期の財政再建策が不可欠というが、フランス、ドイツ、カナダは財政再建が進んでいるという(読売新聞 2011.6.18)。
購買力平価ベースは、国内総生産の実質比較を調査対象品目の価格、支出ウェートのデータで換算し、それぞれ通貨の購買力が等しくなるようにしたモノで、為替レートによる通貨換算の弊害を避けたやり方だ。
この購買力平価ベースのGDPで、最近センセーショナルなニュースが流れた。2010年の購買力平価ベースでのGDPで日本は3位だったが、今年はインドに抜かれて4位に落ちるらしい。米国、中国、インド、日本、ドイツと続くらしい。
でも予断になるが、GDPが増えたからと言って喜んでばかりはいられない。病気が増えて医者に行く、高齢化が進むと介護・福祉の需要が増える、環境汚染が進めばその処理関係でお金がかかる。すべてGDPは増加するのだ。GDPは増えても世の中は良いことばかりではないのだ。
ところで財政赤字評価も、計算条件によって債務残高を使えば対GDP比204%と先進国で突出して財政状況は悪いが、純債務残高を使えば120%と悪いことに変わりはないが、債務残高ほどではない。しかし、この純債務残高による比較でも研究者によっては対GDP比約60%になり、何ら他の先進国と変わりがなく、日本の財政危機は財務省に作られたモノだというのだ。
購買力平価ベースでの対GDP比も先進藷国見通しが2011年で8%弱、2012年で約6%なので我が国は悪いことには変わりない。大震災での税収減、復興のための財政出動も見込まれているため悪化しているのだ。
菅総理は、消費税増税案を閣議決定し、今年度内の法案化に向けて協議したいらしい。財務省に押され気味にならず、政治主導でしっかり詰めて欲しい。内容が曖昧なままでの法案化は、財務省の思うがままに出来る余地を残すことになり、将来に禍根を残すことになる。
ところで、菅総理は国会審議で増税の場合、予め国民の信を問うと言ったことがあるが、そんなことはお構いなく、国民の信を問わず強行突破するのではなかろうか。国民は民主党に衆院で308議席を与えてしまった。総選挙になれば民主党は惨敗で民主党政権は存在しない。
菅政権での消費税増税などできないはずだ。まず、民主党内をまとめることが出来ない。「マニフェストで増税しない」といったはずだと党内論争が起きる。
消費税増税の必要性は分るが、国家財政のあり方に対し国会審議が不十分である。財務省言いなりの増税策ではなく、政治主導の増税策をやって欲しい。
確か配分など詳細は決まっていないはずだ。曖昧な内容ほど裁量が自由になる財務省の望むところで、財務省主導の増税ではないのか。
そもそも、我が国の借金(債務残高)が対GDPで200%を声、先進国では最悪の財政であること自体が本当なのか。もっと議論し、国の財政の本来の姿を国民に示さなければならないのではないか。
確かに、財務省のHPから一般政府ベースの債務残高の国際比較(対GDP比)を見ると2011年には204.2%になり、米国98.5%、英国88.6%、ドイツ81.3%、フランス97.1%と比べても異常に高い。
一方で、債務残高ではなく、政府が保有する金融資産などを差し引いた純債務残高で比較すべきだと言う考えもある。その純債務残高での比較でも、2011年には米国74.3%、英国57.6%、ドイツ51.6%、フランス61.8%と比べ、日本は120.4%でやはり異常な悪さであることは分る。
ただ、純債務残高を比較する場合、我が国政府の金融資産の多くは将来の社会保障給付を賄う積立金であり、直ぐに取り崩して債務の償還や利払いの財源などにすることは出来ないと注意書きが書いてある。何やら埋蔵金の取り崩し論議の時もそうだった。
IMFの援護もあるが、これに対してエール大の浜田先生は純政府債務であれば日本の借金は対GDP比60%以下になり、先進国とそう変わらないが、日本の借金は対GDP比約180%(2008年の173.9%)を用いていると批判している。
先進国に比べても遜色のない借金レベルであれば問題ないのだが、この見解の違いをはっきりさせるべきである。
一方で、一般政府ベースの他に、購買力平価ベースでの国際比較もある。コレだと比率がグッと落ちるが、それでも先進国では最悪だという。
IMFは、購買力平価ベースでの対GDPで財政赤字の見通し比較を発表した。それによると日本は2011年10.5%、2012年9.1%、米国はそれぞれ9.9%、7.8%で共に中期の財政再建策が不可欠というが、フランス、ドイツ、カナダは財政再建が進んでいるという(読売新聞 2011.6.18)。
購買力平価ベースは、国内総生産の実質比較を調査対象品目の価格、支出ウェートのデータで換算し、それぞれ通貨の購買力が等しくなるようにしたモノで、為替レートによる通貨換算の弊害を避けたやり方だ。
この購買力平価ベースのGDPで、最近センセーショナルなニュースが流れた。2010年の購買力平価ベースでのGDPで日本は3位だったが、今年はインドに抜かれて4位に落ちるらしい。米国、中国、インド、日本、ドイツと続くらしい。
でも予断になるが、GDPが増えたからと言って喜んでばかりはいられない。病気が増えて医者に行く、高齢化が進むと介護・福祉の需要が増える、環境汚染が進めばその処理関係でお金がかかる。すべてGDPは増加するのだ。GDPは増えても世の中は良いことばかりではないのだ。
ところで財政赤字評価も、計算条件によって債務残高を使えば対GDP比204%と先進国で突出して財政状況は悪いが、純債務残高を使えば120%と悪いことに変わりはないが、債務残高ほどではない。しかし、この純債務残高による比較でも研究者によっては対GDP比約60%になり、何ら他の先進国と変わりがなく、日本の財政危機は財務省に作られたモノだというのだ。
購買力平価ベースでの対GDP比も先進藷国見通しが2011年で8%弱、2012年で約6%なので我が国は悪いことには変わりない。大震災での税収減、復興のための財政出動も見込まれているため悪化しているのだ。
菅総理は、消費税増税案を閣議決定し、今年度内の法案化に向けて協議したいらしい。財務省に押され気味にならず、政治主導でしっかり詰めて欲しい。内容が曖昧なままでの法案化は、財務省の思うがままに出来る余地を残すことになり、将来に禍根を残すことになる。
ところで、菅総理は国会審議で増税の場合、予め国民の信を問うと言ったことがあるが、そんなことはお構いなく、国民の信を問わず強行突破するのではなかろうか。国民は民主党に衆院で308議席を与えてしまった。総選挙になれば民主党は惨敗で民主党政権は存在しない。
菅政権での消費税増税などできないはずだ。まず、民主党内をまとめることが出来ない。「マニフェストで増税しない」といったはずだと党内論争が起きる。
消費税増税の必要性は分るが、国家財政のあり方に対し国会審議が不十分である。財務省言いなりの増税策ではなく、政治主導の増税策をやって欲しい。
写真上段左:IMFの11,12年主要国財政赤字見通し 米国同様中期の財政再建策が必要という 2011.6.18 読売新聞
写真上段右:財務省 何かにつけ悪者になるが、しっかり財政状況を説明すべきである
写真中段:純債務残高対GDP比 わが国は120%で、先進国では最悪 財務省HPより
写真下段:債務残高対GDP比 200%を超え、IMFは未知の領域に入ったという 財務省HPより
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