2011年12月18日日曜日

八ッ場ダム建設継続:何だったのか建設中止





























政治主導で建設中止と思っていた八ッ場ダム建設が、どういうわけか官僚(国交省)主導で建設が継続されると言う。民主党がマニフェストで国民に公約した政策であるが、その変更は政府・民主3役会議で協議する必要もない案件だともいう。それほど軽い公約に地元住民は振り回されていたのか。

何故こんな結果になったのか。そもそも政権交代を目指した民主党のマニフェストに八ッ場ダム建設中止が載ってきた経緯に問題があったのではないか。

政権交代の機運が高まってきたとき、民主党は自民党政権との違いを出すために、何でも自民党政権の政策の180°転換した政策を打ち出した。反対運動と協調し、ムダな公共事業の削減、「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズにぴったりの政策だった。

鳩山さんは、もっと説明すべきだったと思うが野党時代に川原湯温泉地区を訪ねて地元の人と懇談した時、すでに「建設中止ありき」の雰囲気だったと当時参加した人が述懐しているのを新聞で読んだことがある。

私も7年ほど前、本体工事も始まりそうだと言う時期に、川原湯温泉を訪ね現場を見た。すでに地元高校教師が指摘していた「地滑り」の危険性は感じることが出来た。地盤は脆そうで、温泉地は急斜面の地すべり警戒区に指定されていた。奈良県川上村の大滝ダムの例もあるが、ダムが完成し冠水すれば地すべりの危険が考えられ、ダム建設不適地だ。こういった意見は、反対者の意見が真実に近い。

更には、工事を継続しダム湖が出来たとして温泉地(街)として新しい代替地でやっていけるのか。近場には草津温泉、伊香保温泉、軽井沢と有名温泉、観光地が存在する。そんな中で、川原湯温泉はひなびた温泉地としての価値があったと思う。

しかし、新築の湖畔の温泉宿に川原湯温泉のメリットをどう生かせるのか、観光客を楽しませる娯楽施設が移転先に出来るのか。

そしていつも問題になるのが、4600億江印と言う建設費の妥当性もあるが、このダムの目的が十分に果たせるかどうかだ。当初目的が治水、用水だったと思うが、景勝地が壊されると反対されると、景勝地を維持することもダム建設の目的だと国交省は抗弁した。

計算書もあるかどうか分からないでは、ダム建設の目的も曖昧になってくるのは当然だ。
それでも他の代替案と比較しても、工事継続が一番良い策であるというのは、計画根拠が不明朗になった結果の国交省の逃げなのだろう。

政治主導で中止し、官僚主導で工事継続とは、今の混乱した民主党を象徴する政策決定ではないか。


写真上段左:消え行く川原湯温泉風情 2004.2.8


写真上段右:八ッ場ダム建設継続を伝える読売新聞 2011.12.18


写真下段左:ダム本体工事予定地


写真下段右:ダムが出来れば水没する景勝地

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