政府事故調差委員会の中間報告を新聞報道で読んでみた。政府、東電の危機管理、自然災害である津波に対する最低で、無責任な対応には呆れ返るばかりだ。適切な注水やベントを行っていても水素爆発などを防止できたかは評価できないとしているが、原発の安全神話がひっくり返った事故であった。
いつも事故がおきると感じることは被害の甚大さに較べて防止対策費のわずかさだが、今回も15m超の防波堤、全電源喪失対策の自然災害への安全対策の欠如が悔やまれる。
中間報告では、事故対応とその背景分析が行われていた。1号機では電源喪失で緊急冷却装置が停止していたのに正常に冷却されていると判断したり、3号機では緊急冷却装置を手動停止するなど、事故対応では東電の初動ミス、処置の「誤り」、そして背景には自然災害に目を向けず幅広い原発の安全を考える視点に欠けていたと指摘する。
そして、国民の安全を守るべき政府、保安院の対応では官邸内のコミュニケーションの欠如、監督官庁としての機能がだめで、「正確な情報を早く上げろ」の指示を出すだけだったと言う。その間専門家のアドバイスがなく、政権首脳が独自の指示を出していたことになる。
立派な官邸を作り、地下には危機管理センターなる組織があったが、情報収集手段は派遣された東電社員が東電本店と取り交わす携帯電話だったとは驚く。
中でも注意すべきことは、政府が東電や保安院の公表に口出すようになったことだ。
東電は、まず官邸の許可を得て公表するために、公表の遅れや説明が曖昧になった。悪いことに意に沿わぬコメントは官邸からとがめられたと言う。思い出すのは早い時期の保安院の「炉心溶融の可能性」をコメントした審議官がテレビ画面から消えた。何かあったと誰もが政府を疑ったのは当然のことだ。
住民退避で問題になった汚染区域の設定だって、「スピーデイー」の予測も現地のモニタリングポストの消失で実測地を整合することが出来ず、政府はむしろ危険な地域への避難を指示する結果になった。
報告書では、全電源喪失、緊急冷却装置の操作など過酷事故対策(AM)に不備があったと指摘している。
東電ともあろう日本を代表する企業で、しかも巨大技術である原発を運転する東電が、相だったのかと呆れる。
化学工場では、安全教育、設備の安全チェックに「オペラビリテー・スタデイー」などの手法を使っている。
[正常状態をはみ出た起こりえる異常事象][原因][放置するとどうなるか][その拡大防止対策]をプロセスシートで設備間ごとにチェックし、対策の漏れがあるかどうかを確認している。今回の全電源喪失、緊急冷却装置の操作、勿論想定外とも言われる自然現象もチェックすべきだ。
その結果をペーパーで残し、教育、操作マニュアル化し、場合によってはパソコンで緊急事態発生時の思考のバックアップに使っていたら、「多くの情報の中で、重要な情報を総合的に考える」バックアップにはなっていたはずだ。
しかし、これでチェックして問題点が把握されても最後は人間の判断になる。「そんなことは起こらないだろう」、「対策に相当な費用がかかるので考えないことにしよう」と言うことになると、何の役にも立たないのだ。
事故発生当初は「想定外」のできごとと連発していた東電の副社長も度重なる「天災か人災か」の記者質問に、小声で「私としては人災だと思う」とコメントしていたことが思い出される。
15m超の巨大津波、全電源喪失は東電にとっては「あってはならない事象」だったのだ。
報告書は終わりにで、「想定外」の事柄にどのように対応すべきかについて重要な教訓を示しているというが、それにしても余りに大きすぎる事故だった。
いつも事故がおきると感じることは被害の甚大さに較べて防止対策費のわずかさだが、今回も15m超の防波堤、全電源喪失対策の自然災害への安全対策の欠如が悔やまれる。
中間報告では、事故対応とその背景分析が行われていた。1号機では電源喪失で緊急冷却装置が停止していたのに正常に冷却されていると判断したり、3号機では緊急冷却装置を手動停止するなど、事故対応では東電の初動ミス、処置の「誤り」、そして背景には自然災害に目を向けず幅広い原発の安全を考える視点に欠けていたと指摘する。
そして、国民の安全を守るべき政府、保安院の対応では官邸内のコミュニケーションの欠如、監督官庁としての機能がだめで、「正確な情報を早く上げろ」の指示を出すだけだったと言う。その間専門家のアドバイスがなく、政権首脳が独自の指示を出していたことになる。
立派な官邸を作り、地下には危機管理センターなる組織があったが、情報収集手段は派遣された東電社員が東電本店と取り交わす携帯電話だったとは驚く。
中でも注意すべきことは、政府が東電や保安院の公表に口出すようになったことだ。
東電は、まず官邸の許可を得て公表するために、公表の遅れや説明が曖昧になった。悪いことに意に沿わぬコメントは官邸からとがめられたと言う。思い出すのは早い時期の保安院の「炉心溶融の可能性」をコメントした審議官がテレビ画面から消えた。何かあったと誰もが政府を疑ったのは当然のことだ。
住民退避で問題になった汚染区域の設定だって、「スピーデイー」の予測も現地のモニタリングポストの消失で実測地を整合することが出来ず、政府はむしろ危険な地域への避難を指示する結果になった。
報告書では、全電源喪失、緊急冷却装置の操作など過酷事故対策(AM)に不備があったと指摘している。
東電ともあろう日本を代表する企業で、しかも巨大技術である原発を運転する東電が、相だったのかと呆れる。
化学工場では、安全教育、設備の安全チェックに「オペラビリテー・スタデイー」などの手法を使っている。
[正常状態をはみ出た起こりえる異常事象][原因][放置するとどうなるか][その拡大防止対策]をプロセスシートで設備間ごとにチェックし、対策の漏れがあるかどうかを確認している。今回の全電源喪失、緊急冷却装置の操作、勿論想定外とも言われる自然現象もチェックすべきだ。
その結果をペーパーで残し、教育、操作マニュアル化し、場合によってはパソコンで緊急事態発生時の思考のバックアップに使っていたら、「多くの情報の中で、重要な情報を総合的に考える」バックアップにはなっていたはずだ。
しかし、これでチェックして問題点が把握されても最後は人間の判断になる。「そんなことは起こらないだろう」、「対策に相当な費用がかかるので考えないことにしよう」と言うことになると、何の役にも立たないのだ。
事故発生当初は「想定外」のできごとと連発していた東電の副社長も度重なる「天災か人災か」の記者質問に、小声で「私としては人災だと思う」とコメントしていたことが思い出される。
15m超の巨大津波、全電源喪失は東電にとっては「あってはならない事象」だったのだ。
報告書は終わりにで、「想定外」の事柄にどのように対応すべきかについて重要な教訓を示しているというが、それにしても余りに大きすぎる事故だった。
写真左:原発事故調の中間報告を報じる読売新聞 2011.12.27
写真右:備えの甘さを指摘する みのもんたの朝ズバ TBSテレビ 2011.12.27
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