国の借金1000兆円超は、その時の政権を選んだ私たち国民にも責任の一端がある。今、野田総理は不退転で税と社会保障の一体改革に取り組み、消費税増税へ向けて突き進もうとしているのに対して、当然、選挙を控えた国会議員には増税では戦えないと反対する者もいるし、国民の理解を得るために増税の前にやらなければならないことがあると真っ当な意見を言うものもいる。
政権与党の民主党内は賛否二分する事態になっているし、選挙公約で消費税10%をすでに掲げている野党第一党の自民党は、解散・総選挙で政権奪取を狙いダンマリ作戦に出ている。
何か野田総理が気の毒に思えるが、私たち国民にもその責任があるのだ。各種メデイアの世論調査でも6割が増税に理解を示している。
ギリシャの財政破綻に対して、英ケンブリッジ大名誉教授のジョン・ダンさんは、ギリシャを破産状態に追い込んだのは過去何代もの政権であり、それを選挙で選んで来た国民にも一部責任があると言う(漂流民主主義 「放漫財政 市場がNO」 読売新聞2012.1.3)。
今、わが国の借金は2010年で国債残高768兆円と借入金、政府短期証券、保証債務210兆円と言われ、1000兆円を超え、対GDP200%超はジンバブエに次ぐ状態だと言う。
政権は人気取りに大判振る舞いをする。竹下内閣のふるさと創成1億円、公明党が押した地域振興券などたちの悪い政策に集った。メデイア、学識者には反対する意見もあったがごり押しされた。
1998年小渕内閣が国債40兆円を発行し、世界一の借金王と自嘲していたが2008年に償還期限を迎えるにあたり「2008年問題」と国債危機が叫ばれていたのを思い出す。その後、国債は増え続け国債残高が対GDP比100%を超えたのは2002年だ。財政再建を訴えていた小泉内閣でも借金は増え続けていたのだ。
増税の前に、国会議員定数削減、国家公務員給与削減など公的セクターの身を削る努力をしなければならないのは当然であり増税関連法案の理解を得るための方便であってはならない。
しかし、この時期の増税は経済にどう影響するのだろうか。
民主党政権は2012年の経済成長を実質3%、名目2%と見ているようだが、民間の予想は1.5~2%だ。これが増税になるとどうなるのか。安心できる社会保障制度の構築で、消費が増え税収も増える絵を描いているのか。
そもそも経済成長率は労働人口の増加+生産性向上+技術の進歩で表される。これに最近のデータを入れていくと、労働人口増加は-0.5%、生産性の向上は+0.9%そして技術の進歩+1.2%で経済成長率は1.6%と見る考えもある。
政権を担っていれば、どうしても自分たちの政策を良く見せようと高い成長率を発表しがちであるが、「増税後の経済はどうなるか」を国民に説明すべきである。
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