与党の悲哀とでも言うのか、消費税増税へ一本化できない民主党。野田総理が、あれほど熱意を込めて訴える消費税増税に反対姿勢を打ち出す小沢グループの「新しい政策勉強会」に109人もの国会議員が集まったというが、その中心は民主党議員だ。民主党大会直後の勉強会だったからその意味は大きい。
小沢さんは以前、自著で消費税増税を唱えていたので、「今、何故反対なのか」の説明がないし、「なぜ小沢さんに群れるのか」もはっきりしない。小沢さんにしてみれば、自分が代表の時に作成した09年のマニフェストで政権交代したのだから「増税せず」の公約は守れというのだろう。小沢さんに群れる議員は、選挙を控えて増税論は不利だとわかっているので、今の状態での解散・総選挙は回避したいのだろう。
いつから消費税増税が民主党に大義になったのか訝る向きもあるだろう。思い出すのは菅総理の時、参院選で唐突に消費税増税、自民党の言う10%を打ち出し惨敗した。財務省は選挙で増税を言うと負けると助言したようだが、菅総理は政治に名を残したかったのだろう。幸いなことに自民党も増税10%を唄っているので、有権者の批判はチャラになると考えても不思議ではない。
でも与党が言う増税と野党が言う増税では、その意味合いは大きく違う。
政権与党の議員にとっては、有権者の政治へのうっぷん晴らしを一手に受けることになる。選挙基盤の脆弱な議員にとっては致命傷で落選の憂き目に会うことはわかっている。コロコロ変わる人気のない総理、数々のマニフェスト違反、稚拙な政権運営そして増税だ。
また、政権交代で政治主導を標榜しながら増税は官僚主導で、財務省への嫌悪感も強い。「増税前にやることがあるだろう」という考えは強く、今やっと野田総理は行政改革、政治改革を言い出し通常国会で関連法案を提出するというが議員歳費、議員定数、政党交付金の削減を唄ってもその内容は不透明、公務員数、給与削減も同様だ。国民へ信を問う時期までに整備するという保証はどこにもない。泥縄式削減は公務員の天王山とも言うべき財務省の思うところだ。
野党から「事前協議の前に成案を持ってこい」、「国民と再契約しろ」、「政策に一貫性を」、そして「恫喝は許せない」と言われている民主党野田政権にとって、党内を増税で一本化できないのは与党の悲哀だ。
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