野田政権の行方は 朝日新聞2012.1.5 |
4日の野田総理の年頭記者会見の内容を知ろうと新聞を開いたが、詳細はわからない。「ネバー・ギブアップ」だけが大きく取り上げられているが、瀬戸際に立たされた野田総理が浮き彫りになっている。
第二次世界大戦時のチャーチル首相のネバー・ギブアップは、苦しめられたドイツとの戦いに勝利しての発言だったと思うが、野田総理はこれからの戦いになる。では敵は誰なのか。消費税増税に反対する国民なのか、野党なのか。
野田総理は「大義のあることを諦めないでしっかり伝えていけば局面は変わる」というが、消費税増税が何時の間に民主党の大義になったのかと訝るメデイアもある。
避けて通れない消費税増税問題は、これからのわが国の政治・経済に大きく影響する政治課題だ。民主党にあっても政権基盤の脆弱な野田総理にとっては、強い意志があったとしても主導権を握れる問題ではない。
野田総理が国民にしっかり納得のいく説明をしなければならないことがある。
一つ目は、与党内がまとめ切れるのか。
菅政権の時に、党内議論もされず唐突に消費税増税問題が提案され、野田政権では国内の議論も十分でないままAPECで国際公約をしてしまった。何故そういうプロセスをとってきたのか。さらに党内最大勢力の小沢グループをどう説得するのか。政権与党内をまとめきれずに、野党対策など不可能と思うのだが・・。党内をまとめようとする長老らしき人物も現れない。大義を通せば通ずると言うがハードルは高い。
二つ目は、野党や党内にも根強い「マニフェスト違反」に対してどう答えるのか。実際に値上げになるのは政権について4年が経っているのだから問題ないという説も出てきた。
野党は国民に信を問えというが、解散・総選挙は民主党敗北で政権を手放すことになる。マニフェスト遵守で政権を守ろうとするグループがいても可笑しくはない。
三つ目は、財務省主導の嫌悪にどう答えるか。
以前、野田総理は「一省庁の意向で動いているわけではない」と言う意味の答弁をしたこともあるが、消費税増税に向け財務省が各方面にいろんな働きかけをしているらしいが、お得意(?)の政治主導でどう対応していくつもりなのか。公務員給与削減など徹底した公務員制度改革で財務省と戦う姿勢を見せることだ。過去に出ていた財務省解体、再編成も再挑戦すべきではないか。
そして、四つ目は、増税が日本経済へ及ぼす影響である。
2012年のGDP経済成長を政府は実質3%、名目2%としているが、増税実施後はどうなるのか。安心できる社会保障制度構築で、消費が伸び、税収も伸びるとでも思っているのか。値上げ実施の条件に経済環境が挙げられたり、消えたりしているが経済指標の数値を掲げても政府の都合の良い数値を繕えばいかようにもなることだ。
今後の野田総理が、どう説明し、説得していくのか注目したい。
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