2014年5月8日木曜日

理研、STAP細胞論文疑惑に決着:小保方さん 何処へ

小保方さん 何処へ。理研はSTAP細胞論文疑惑に対して結論を出した。理研のホームページで「調査結果に対する不服申し立ての審査結果について」を開くと、「再調査は行わない」、「本人に通知した」、「研究不正を行ったものに論文の取り下げを勧告した」と言う。

そして理研は研究不正防止の環境整備を進め、信頼回復に努めるとともに、STAP細胞の検証計画を開始、情報を発信し外部研究者による検証実験に協力するともいう。

私も、不正行為の認定を変更されることはないだろうが、調査委員会のメンバーを変更し、少し時間をかけて検討するとみていたので早急な決定に驚いている。

小保方さん側は改ざん、ねつ造を故意によるものではなく、過失として論争を挑んだようだが、理研は「論文に改ざん、捏造はあってはならないこと」と考えている野依理事長の強い意向が働いたのではないか。

日本の科学界の信頼を失墜させた理研の責任、理事長の責任は大きい。

今後、小保方さんはどうなるのか。

先の記者会見で「STAP細胞はあります」とはっきり言い、できたらこのままSTAP細胞の研究を続けたい意向をもっていた。しかし、STAP細胞の検証を担当する丹羽さんは「小保方さんは加えない」と言いきっていた。ここでまた小保方さんを加えると検証結果に疑惑をもたれると思ったのだろう。

小保方さんも二進も三進も行かず、弁護団を結成したが理研は態度を硬化したはずだ。小保方さんにとっては不利になった。

恐らく理研では「ひどい女に引っかかったものだ。若山、笹井は何をしているんだ」と思われているだろうし、理研と論争を展開している小保方さんは「危ない研究者」とみられているはずだ。

理研に反対して小保方さんを迎え入れる研究機関が国内にあるのか。

理研がどういう懲罰を決定するかわからないが、たとえ理研が契約を続けたとしたら税金で賄われている以上は国民に説明責任が出てくる。

内容は別にしてこれほどの論文が書ける人材だが、今後の道は険しいと思うが、一攫千金を狙った機関が手を出してくる可能性はあるのではないか。


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2014.5.8掲載
理研・STAP細胞論文疑惑:「再調査の必要なし」なのか


[後記]
5月9日の新聞は理研のSTAP細胞論文疑惑での調査委員会の記者会見のニュースを載せている。
これによると、私も注目していた第1回の投稿はサイエンス誌だったようだが、ここでも画像のきりはりが指摘されていた。結果は未公開だった。

問題はその7ヶ月後に、今度はネイチャーに投稿、同じ画像の切り貼りを残したままの投稿だった。
一度指摘されれば改めるのが当然であるが、修正せずの投稿に悪意があったと思われても仕方がない。掲載を拒否されたのだから何が問題だったのかは記憶していないはずがない。

また、小出しする追加資料もことごとく疑惑を増す結果になり、小保方さんの言う理解を得るための説明にはなっていない。
寧ろ、小保方さんの実験ノート記載の不備が明らかになり、杜撰さを証明するような結果になっている。

それでも理研と論争するのであれば、誰からも批判されない資料を提出すべきではないか。山中先生のように「無ければ無い」で明確にしないからいつまで経っても埒があかない。

そして、自らの責任を他に転嫁することは止めるべきだ。

新聞報道では、小保方さんは「何を言っても通らない」と悲観しているようだが、何をすれば理解されるかをもっと真剣に考えた方がいいのではないか。今は自分の認識の範囲内で対応しているだけではないか。

そして、理研に直接自分の考えを伝える努力をしたのか。

弁護士を代理人にして理研と折衝したようだが、これでは自分の本意を伝えることはできない。それを怠ったことはチャンスを失したと見られても仕方ないことだ。弁護士を頼りすぎることは禁物だ。.
                                        (2014.5.9)

理研・STAP細胞論文疑惑:「再調査の必要なし」なのか

理研・ STAP細胞論文疑惑は「再調査の必要なし」で次の段階に行くのか。小保方さんのSTAP細胞論文に改ざん、ねつ造があったと認定した理研が、提出された追加補足資料から「再調査不要」の判断を7日の理事会に報告し、8日にも改めて理事会を開くという(読売新聞2014.5.8)。何やら慌ただしい動きだ。

小保方さん側は当然、この決定(?)に反発している。

しかし、大きな組織では一度決まったことを覆すことは至難の業だ。相当の瑕疵がなければ不可能だ。

ところで、今まで小保方さん側が提出した補足説明資料の内容は、どんなものだったのか。

「本来載せるはずの画像(小保方さん側の主張)」、真正な画像とも言っていたが、この画像は提出されているらしいが、それを裏付けるデータが実験ノートあるいはメモ類から追跡できたのか。追跡できれば小保方さん側の主張は分かる。

でも、今までのように文章だけの説明でデータでの追跡ができなければ小保方さんはOUTではないか。

朝日新聞(2014.5.8)に実験ノートの一部が小保方さん側から報道陣に公開されている。実施した実験の方法だと言うが、肝心の日付も経過も分からない。これではちゃんと実験をやったということの証明にはならない。

理研は提出された資料では改ざん、ねつ造疑惑を覆すことは出来なかったといっているようだが、こんな状態では、そうだろう。

もっとしっかりした追跡の出来る資料はないのか。

調査委員会の委員長だった石井さんや、他の委員にも改ざんの疑いがありそれぞれ検証されていると言うが、だからといって小保方さんの不正行為が免責されるものではない。

小保方さんのSTAP細胞論文疑惑は、その論文自体で判断すべきであって他の研究者の疑惑で左右されるものではないと思う。

しかも、どういうわけかこのSTAP細胞論文には疑問が残る。

「生物学の常識を覆す理論」とまで言わしめたSTAP細胞のアイデイアはバカンテイ教授や東京女子医大の大和教授だといわれているが、どうして若い小保方さんに論文提出を任されたのか。本来であれば自分たちで発表すべき論文ではなかったのか。

裏を返せば、多くの専門家が見ているように懐疑的な仮説なのか。

でも、どうしてハーバード所属の小保方さんが出張と言うのに神戸の高級ホテルに長期滞在できたのか。記者会見でも質問されていたが、小保方さんはあいまいなことしか説明していない。

理研がハーバード大のバカンテイ教授と取引し費用を丸ごと持ったとの見方もできる。それだけ理研は功を焦っていたのではないか。

この論文疑惑は、理研のなりふり構わないやり方の結果だったのではないか。そういう意味では小保方さん一人の責任ではないと思う。

若山さん、笹井さんの責任も大きいのではないか。特に、ねつ造と指摘された画像を論文作成時にどう説明されていたか。聞きたいところではある。


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2014.5.8掲載
理研・STAP細胞論文疑惑に決着:小保方さん 何処へ


2014年5月7日水曜日

安倍総理の「私は改革を恐れない」:目指すは誰のために改革か

安倍総理は「私は改革を恐れない」と言うが、庶民には負担ばかり強いる政治で、一体誰のための改革を目指しているのか。大企業の経営者を引き連れてのトップセールス、「アベノミクスの成果」をPRするヨーロッパ訪問先から「私は改革を恐れない」と威勢の良い発言が帰ってきた。

テレビの報道から思い出すと、「日本へ来ていない人は是非来て日本が変わっていることを見てほしい」「改革に拘ることでアベノミクスは完成する」「デフレから脱却しようとしている」そして「規制をドリルの刃で切り裂く」という意味の発言をしていた。

本当に安倍総理は改革者なのか。

確かに自民党政権から続く1年チョット前の民主党政権の失政は大きかった。小沢さん率いる鳩山内閣、「オレがオレが」の菅内閣、そして参院のドン(名前は忘れた)に押し上げられた野田内閣は党内の権力抗争に明け暮れ国民に政治を近づけさせた面もあったが、思ってもみなかった大震災、福島第一原発事故対応で国民の信用を失う結果になった。

そこに自民党は下馬評とは違って安倍さんが総裁に座に着き、民主党政権も言い出し始めていたインフレターゲットや異次元の金融緩和を日銀に強く要求し、円高→円安、株安→株高に大きく転換するきっかけを作り、一気に人気が出て来た。衆院選でも圧倒的に多数の議席を確保し一党独裁の様相を呈している。

円安で驚いたことに赤字の大企業が一転、黒字化したという。多くの企業が経営を立て直すことが出来たそうだが、中小企業には円安は却って迷惑という。中小企業あっての日本経済だから、これでは遺憾ともしがたい。

更に危険なことには、自分の目指す政策に対しては、日銀総裁や法制局長官など人事に介入してまで徹底しようとする安倍総理は改革者と言うより「危険な総理」総理であることはNHKの会長人事(実際にはNHK経営委員に自分の考えとあった2人を送り込む)でもはっきりしている。政権の政策に異論を唱える放送にNOを突きつけているのだ。

集団的自衛権行使に対して憲法9条の解釈見直しを目論んでおり、現行日本国憲法を「25人の素人がたった8日間で作った事実をちゃんと見ろ」と言い、独立国家として独自の憲法制定を目指すが、しかしこの背景には大きな誤解がある。GHQ草案は決して「押しつけ」ではなかったのだ。今の憲法の作成過程をしっかり把握すべきである。
また、アベノミクスの成果を上げるには、成長戦略、規制改革が不可欠であるが、第3の矢は不評で期待出来ないとみてか、6月中に成長戦略の見直しをするという。成長分野に効率的な資金の投入、規制改革を目指しているのだろうが、同じ官僚が考えて期待出来る政策が出てくるのか。

出せるものならすでに出ているはずだと言う疑いの目を持った見方もある。

うまく行かない要因に、官僚組織、族議員や大企業の既得権益者の抵抗があるのではないか。官僚が自らの利権を失うような政策を打ち出すはずがない。だから法人税下げで海外の企業を日本に誘致することなどできないのだ。国際戦略特区構想だってそうだ。

「政策は、官僚機構、族議員、大企業、富裕者層のためにある」とは以前から言われていたことであるが、安倍総理の政策も違わない。

安倍総理は日本のトップセールスマンとして大企業の経営者を引き連れての外遊だが、原発、武器輸出のにおいが強い。

消費税の増税分は社会保障費に回ると言うが、一方で赤字国債を発行し公共事業を増やしている。国土強靱化、景気対策と言い、すでに6割は契約を終わったと効果を強調するが
実体はそう簡単なものではなさそうだ。

消費税8%は大した反動もなく、現状は想定内とみているようだが10%への判断はどうなるか。7~9月期の経済指標次第だという。

念願だった2年で2%の消費者物価安定目標も日銀の強気の見通しとは打って変わって、民間エコノミストは1%程度とみている。

未達なら日銀総裁、副総裁は辞任すべきだが、安倍総理はどうするのか。

安倍総理は「津々浦々までアベノミクスの効果を」と機会ある毎に言っているが、アベノミクスの効果は都市部で出ているだけで、農村、漁村の人口減、過疎化の状況下では願いは届かない。

安倍総理は自らを改革者として振る舞おうとしているが、今のままでは悪しき改革者のレッテルを貼られる可能性が強い。

官僚組織、族議員の既得権益者、大企業、富裕者層のために改革ではなく、庶民のための改革でないと政治家としては2流、3流だ。

海外で威勢の良いことを言うのもしかたないが、国内でしっかり既得権益者と闘ってほしいと思うが、その覚悟が安倍総理にはあるのか。

今になって、「民主党政権で岡田さん、前原さんだったらどうだろう」と思うようになってきた。

2014年5月6日火曜日

現行・日本国憲法は「押しつけ」?:GHQ草案と当時の日本政府の草案をちゃんと見るべきでは

現行・日本国憲法は「押しつけ憲法?」 その草案の経過をGHQ草案と当時の日本政府提出の草案とちゃんと比較してみる必要があるのではないか。憲法記念日が近づくと憲法論議が活発になる。特に今回は安倍総理が前のめりの「集団的自衛権の解釈見直し」が話題になっているので現行・憲法第9条との関係でどう対応するかは議論のあるところだ。

そして現行憲法を嫌う人間は「押しつけ憲法」と批判するが、本当にそうなのだろうか。

ポツダム宣言受諾後、日本は民主政治確立のため新憲法を制定する必要があった。GHQはまず日本政府に草案の提出を依頼したが、その草案が余りにも民主政治にほど遠い内容であったので諦めてGHQが独自に草案を作成することになったのだ。

安倍総理は、そこのところを衆院予算委員会で次のように答えている。

朝日新聞(2014.5.4)によると、「25人の全くの素人が選ばれて、たったの8日間で作られた。そういう事実をちゃんと見ながら自分たちで真の独立国家を作っていく気概を持つべきだ」と言うのだ。

憲法改正論者にすれば「素人が8日間で作った」というのだろうが、チョット様子がつがうのではないか。

確かに憲法では素人だったかもしれないが、理想的な国作りを目指した人たちであった。8日間で作ったと言うが、私は以前記事で見たところによると、この憲法草案はマッカーサーがフィッリッピンで使おうとした案をベースにしていると言うことだった。だから8日間という短期間でできあがった内容では決してないのだ。

また、当時憲法草案作りをGHQが日本に2系統で指示したが、そのうちの1つが草案としてGHQに提案された。それを見たGHQが民主政治とはほど遠いと言うことで日本側に任せるのを諦めてGHQが独自に作成することになったらしい。当時民間でも憲法草案が作成されたらしい。

GHQの草案が日本側に渡され、日本も検討、修正を加えて解散後の新しい国会で審議され制定されたというのだ。決して押しつけで簡単に決められたものではないのだ。

確かに終戦を迎えて、「あの悲惨な戦争はもうイヤだ」という考えから日本は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」(憲法前文)戦争放棄を謳った第9条など理想的な平和憲法作りを目指したのだ。

そして新しい国の体制として国会解散後、新しい国会議員で審議され、制定された。

思い出すのは、経済同友会で長く代表幹事をされ亡くなられた品田さんが「復員船上で新しい憲法を見て、「これこそ民主政治なのだ」と涙した」と言う話が朝日新聞紙上で紹介されていた。

今も多くの国民は、「この平和憲法があって、今の日本があるのだ」と思っている者が多いはずだ。

私は決して「押しつけ憲法」とは思っていない。国民が選んだ新しい国会議員によって信義、制定されたものだ。

安倍総理は「そういう事実をちゃんと見ながら」と言うが、GHQ草案と当時の日本が提出した草案もちゃんと比較公表すべきではないのか。


そして、どういう過程で現行・日本国憲法が作成されたのか。知りたいところだ。

5月5日、午前5時18分伊豆大島近海地震M6、東京・千代田区で震度5弱:相模トラフ巨大地震の前兆か

5月5日伊豆大島近海地震地震情報 
気象庁地震情報より
5月5日午前5時18分頃、伊豆大島近海を震源とする地震が発生、東京・千代田区で震度5弱、関東地方の広い範囲で震度4,3の揺れを観測した。連休で一時帰省していた群馬県安中市でもグラッと来て、少し休んだかと思ったらグラグラ揺れが30秒ほど続いた。そんなに大きな地震とは感じなかった。急いで起きてテレビをつけると地震が発生したことを伝えている。

最新の地震活動(速報値)
気象庁hpより
震源域は伊豆大島近海で震源の深さは162km、M6.2(後にM6の変更)だ。テレビの画面に出てくる震度分布を見て驚いた。広範囲で揺れているが、震源から100km以上離れた場所でも震度4、深い場所で固い岩盤だと遠くまで減衰せずに揺れが伝わる。特異な地震だ。

東京・千代田区で震度5弱、震度4は群馬県安中市、栃木県鹿沼市、東京都港区、新宿区・・・・関東平野の広い範囲で揺れている。アナウンサーが安中市で震度4など各地の震度を繰り返すので一緒に帰っていた娘が「安中市も有名になったね」と笑う(先の大雪で国道18号が大渋滞した時も安中市の被害を繰り返していた)。

読売新聞2014.4.25
しかも震源域を見ると、1923年の関東大震災M7.9付近ではないか。まさか相模トラフ沿いの巨大地震の前兆かと疑った。後でよく見ると相模トラフには乗っているが、読売新聞(2014.4.25)の相模トラフ地震の想定震源域で見ると南西縁に当たる。

判断の難しいところであるが気象庁は深さが162kmと深く(関東大震災では50~60km)地震のメカニズムが違うので関東大震災との関連は少ないが、3~4の余震には一応気をつけろという。

気象庁は関連を否定するが、プレートが込み入っている場所なので、この想定震源域のどこで地震が発生してもお互いに影響し合うとみた方が良いのではないか。相模トラフ地震は少し先とみても、首都直下地震への影響は心配になる。

関東平野北西縁断層帯
SAPIO2014.4
ところで今回の地震の震度分布を見ると、関東平野は揺れやすい。詳しくは分からないが震度4の分布はJR高崎線に沿っているようにも思える。この辺は深谷断層、綾瀬川断層を含む関東平野北西縁断層帯が走っているのだ。

荒川、利根川、江戸川も関連した軟弱地盤か。

震度5弱が東京千代田区だけというのも不思議であるが、どんな地震が何時発生してもおかしくないし、震源から離れていても安心は出来ないことを教えてくれた5月5日の伊豆大島近海地震だった。

6日に東京へ帰ってきてマンションの中を見たが、異常は見つからなかった。深さが浅ければそうはいってもいられなかったのだろう。

関連記事
2014.4.26掲載
相模トラフ地震の広がる震源域:どの地震がM8への引き金になるのか

2014年5月2日金曜日

日銀、物価2%上昇に強気:好ましくない経済循環でもOKなのか

各メデイアは日銀の展望レポートでの物価目標2%に強気の姿勢を報じるが、好ましからざる経済循環でもOKと言うのか。日銀の見方は、しばらくの間は1%が続き2015~16年に物価2%で緩やかなインフレになるという。当初は2014年末~15年にかけて2%だったが、ズレるというのか。

14年1.3%、15年1.9%、16年2.1%の経過をたどるそうだが、15,16年は増税分0.7%を差し引いての物価上昇だ。

日銀総裁、岩田副総裁も自らの首がかかっているので、政策的にも強気の「期待感」を持たせるつもりだろう。

しかし、この2%達成時期についての表現ではいつも政策委員の3人が反対意見を述べており、決して日銀内でも一枚岩ではないのだ。

好ましい物価上昇には賃上げを前提とするが、今の状況はどうだろう。

円安→輸入品高→物価高であり、決していい状況ではない。今後は円安も一段落し、輸入品高の状況も収まれば物価の上昇も余り期待できない。

民間エコノミストはせいぜい1%程度とみている。

国内のカネの動きをよく知る立場にある日銀の判断であるが、これでいいのかと心配になる。

更に、日銀とFRBの量的緩和に対する対応の違いもある。

FRBは今秋には量的緩和を終了し、半年ぐらいの期間をおいて金利上げの可能性もにおわすが、日銀は2年で2倍の量的緩和にまっしぐらだ。出口戦略など時期尚早という。

日銀のマネタリーベースは、リーマンショック前から緩やかに実施してきたが、欧米の中央銀行はリーマンショック後に急速な増加に踏み切った。

この違いが円高の要因であるとして先の衆院選では自民党は民主党政権と日銀に政策の転換を迫り、自民党は政権に復帰した。市場に流す通貨量を増やせば円は安くなるというのだ。今は少ないから円高なのだという論法だ。

円安基調は日本経済を潤す結果になったが、物価上昇は好ましい経済循環の結果なのか。

日銀は日銀首脳の首をかけた2%目標達成に好ましくない経済循環でもOKと言うのか。日銀の展望をしっかり監視しなければならない。

好ましくない経済循環で物価上昇2%の安定確保ではたまったものではない。政府、日銀はそれでもお構いなしかもしれないのだ。

2014年5月1日木曜日

理研・論文不正行為疑惑:不正行為について各学会で統一見解が出せないか

理研のSTAP細胞論文不正行為疑惑が泥沼化しそうだ。理研の問題ではあるが理研だけでは対応が出来なくなってきた。日本学術会議や各学会で「不正行為」について統一見解が出せないか。科学的な問題でありながら何やら裁判沙汰の様相も呈してきた。

小保方さん側の代理人が理研に対して「研究不正」の定義を質問してきたのだ(讀賣新聞2014.45.1)。

小保方さんの論文改ざん、ねつ造疑惑の調査委員会が「不正行為は小保方さん一人の行為」と決めつけたまでは良かったが、その報告書を作成した石井委員長に同じような疑惑が発覚、画像の加工は認めたものの「結果に影響はなく不正はなかった」と弁解し委員長を辞任した。

小保方さん側に言わせると、同じような疑惑事件で、石井さんの例では不正はなく小保方さんの例では不正というのは理解できない。「不正行為の定義」をはっきりしなければ争点がぼやけてくると言う主張だ。

確かに、実験ノートから追跡でき不正はなかったと結論づけられるのと、実験ノートは曖昧で結論に至る根拠が不明確とでは大きな違いがある。

それに拍車をかけたのが、ノーベル賞受賞の山中先生の論文での「切り貼り」の疑惑が発覚した。「論文の報告内容に一転の曇りもない」と言うが、生データが見当たらないというのだ。

小保方さんの事例、石井さんの事例、山中先生の事例でいずれも「結果は変わらない」と論文の正当性を主張する。

山中先生のES細胞論文は第三者によっても再現されているが、小保方さんのSTAP細胞論文は第三者による再現が出来ていないところに大きな差がある。一概に比較することは困難だ。

ところでこの不正行為の有無は小保方さんにとっては研究者生命にかかわることであり、理研とその有無について攻防が繰り返されそうだが、今の理研では当事者能力がなさそうだ。そこを小保方さん側は突っ込んでいる。

不正行為とは正しくない行為だ。

論文で言うと、画像などデータを改ざん、ねつ造して自らの推論する研究結果に導き、第三者に誤解を与える行為ではないか。

通常は実際の実験結果から結論を導き、万一自分の推論と異なる場合は実験をやり直すべきだと思う。

疑惑を持たれた研究者は必ず「結果は正しいから信じてくれ」と言う。実験データから追跡できれば良いが、それが不可能な場合は完全にアウトだ。

今までの新聞などの報道を見ると小保方さん側に不利であるが、石井さんの例も出て来たので俄然反撃に出たようだ。

不正行為は理研の規程にもあるようだが、定義ははっきりしていないようだ。

もう理研だけで対応できるものではない。日本の科学界全体が「論文の不正行為」について定義をはっきりさせた方が良いのではないか。

それがこれからの若い研究者に注意を喚起することにもなる。

日本学術会議が会長談話、日本分子生物学会が理事長声明を発表しているが、他の学会はどう考えているのか。

今、研究者としての考え方を表明しなければ日本の科学界の信用を回復することは困難になるのではないか。

理研の歴史は輝かしい。ノーベル賞受賞の理論物理学者も輩出しているし、寺田寅彦博士も在籍し昔は「科学者の楽園」と言われていた。

そして今、一人の女性研究者の論文疑惑で大揺れだ。

理研幹部の笹井さんが弁解記者会見でSTAP細胞論文を撤回に同意するが「検証の価値がある理論」と自らの行為を正当化する発言をしたことで混乱している。

「間違いはあったが「結果は正しい」、「STAP細胞はあります」、「検証に値する理論」「今の段階では仮説」、それぞれの立場で我が身を擁護しているのは明白だ。

不正行為も「故意か過失か」を問われれば、どんな研究者でも「過失」と言うだろう。

第三者が見て故意、過失に関係なく「不正行為とは」の定義をはっきりさせた方が良いのではないか。

そして早く、理研の再現性試験の経過を公表すべきである。

そしてもう一つ、共著者の責任問題がある。STAP細胞論文では実際には実験せずアドバイザーの役割だったというが、連帯責任は逃れられない。

理研は「小保方さん一人の不法行為」とした。弁護団は今後、そこも付いてくるだろう。問題は最初の投稿論文作成で若山さんに図表、画像をどう説明していたかだ。出どころもはっきり説明していなければ小保方さんのねつ造となるし、2回目の投稿論文作成で図表、画像の出所を笹井さんにくわしく説明していなければこれも小保方さんの責任だ。

実験ノートなどのチェックも若山さんは「バレンテイ教授が見ただろうから」と遠慮するし、笹井さんは「若山さんが見ただろう」と遠慮する。仕方ないことだろう。

だから、小保方さんが積極的に実験ノートなど資料を提出すべきなのだ。

裁判にでもなれば、そこらへんのこともはっきりするだろう。

逆説的だが、小保方事件は理研もさることながら日本の科学界のガバナンスに一矢を放ったことになる功績は大きいのではないか。


関連記事
2014.4.27掲載
続く理研の画像改ざん事件:2者の違いで正当化できるか

[後記]
ネイチャー誌が日本にも研究不正を監視する組織が必要と提言(讀賣新聞2014.5.2)

STAP細胞論文疑惑に絡み、日本でも米国の研究公正局のような監視組織を作る必要がある指摘した。

                                      (2014.5.2)