現行・日本国憲法は「押しつけ憲法?」 その草案の経過をGHQ草案と当時の日本政府提出の草案とちゃんと比較してみる必要があるのではないか。憲法記念日が近づくと憲法論議が活発になる。特に今回は安倍総理が前のめりの「集団的自衛権の解釈見直し」が話題になっているので現行・憲法第9条との関係でどう対応するかは議論のあるところだ。
そして現行憲法を嫌う人間は「押しつけ憲法」と批判するが、本当にそうなのだろうか。
ポツダム宣言受諾後、日本は民主政治確立のため新憲法を制定する必要があった。GHQはまず日本政府に草案の提出を依頼したが、その草案が余りにも民主政治にほど遠い内容であったので諦めてGHQが独自に草案を作成することになったのだ。
安倍総理は、そこのところを衆院予算委員会で次のように答えている。
朝日新聞(2014.5.4)によると、「25人の全くの素人が選ばれて、たったの8日間で作られた。そういう事実をちゃんと見ながら自分たちで真の独立国家を作っていく気概を持つべきだ」と言うのだ。
憲法改正論者にすれば「素人が8日間で作った」というのだろうが、チョット様子がつがうのではないか。
確かに憲法では素人だったかもしれないが、理想的な国作りを目指した人たちであった。8日間で作ったと言うが、私は以前記事で見たところによると、この憲法草案はマッカーサーがフィッリッピンで使おうとした案をベースにしていると言うことだった。だから8日間という短期間でできあがった内容では決してないのだ。
また、当時憲法草案作りをGHQが日本に2系統で指示したが、そのうちの1つが草案としてGHQに提案された。それを見たGHQが民主政治とはほど遠いと言うことで日本側に任せるのを諦めてGHQが独自に作成することになったらしい。当時民間でも憲法草案が作成されたらしい。
GHQの草案が日本側に渡され、日本も検討、修正を加えて解散後の新しい国会で審議され制定されたというのだ。決して押しつけで簡単に決められたものではないのだ。
確かに終戦を迎えて、「あの悲惨な戦争はもうイヤだ」という考えから日本は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」(憲法前文)戦争放棄を謳った第9条など理想的な平和憲法作りを目指したのだ。
そして新しい国の体制として国会解散後、新しい国会議員で審議され、制定された。
思い出すのは、経済同友会で長く代表幹事をされ亡くなられた品田さんが「復員船上で新しい憲法を見て、「これこそ民主政治なのだ」と涙した」と言う話が朝日新聞紙上で紹介されていた。
今も多くの国民は、「この平和憲法があって、今の日本があるのだ」と思っている者が多いはずだ。
私は決して「押しつけ憲法」とは思っていない。国民が選んだ新しい国会議員によって信義、制定されたものだ。
安倍総理は「そういう事実をちゃんと見ながら」と言うが、GHQ草案と当時の日本が提出した草案もちゃんと比較公表すべきではないのか。
そして、どういう過程で現行・日本国憲法が作成されたのか。知りたいところだ。
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