2014年5月10日土曜日

疑似科学?:常温核融合からSTAP細胞の今後を読む

STAP細胞論文疑惑も小保方さんの改ざん、ねつ造の不正行為を理研が認定したことでこの事件も次の懲罰委員会に移った。今後どうなるのかが関心事だが、1989年に起こった疑似科学と言われている常温核融合論争からSTAP細胞の今後が読めないか。

夢の細胞と言われたSTAP細胞が発表になった直後にネットでの改ざん、ねつ造疑惑が出て、おまけに第三者による再現性が確認できないと言うことで、直ぐに思いついたのが常温核融合論争だった(関連記事 2014.2.20掲載 「STAP細胞ねつ造疑惑:今まで追試に成功例がないのが致命的?」)。

STAP細胞での再現性試験をやっていた香港の研究者が、小保方さんやバカンテイ教授が発表したやり方では遺伝子の働きを確認できなかったし、STAP細胞は作成できなかったと科学誌で発表した(読売新聞2014.5.10)。

又、疑惑の論文を掲載したnature誌も別途に検証しているというし、バカンテイ教授の所属する病院でも非公開で調査するという(同上)。

小保方さんが理研に提出した追加資料も疑惑を晴らすに不十分で、かつ「STAP細胞は存在する」ことを証明するにはほど遠い内容のものだった。寧ろ疑惑を増す内容で、拙速さは否定できないが理研の調査結果はほぼ納得のいくものだった。

小保方さんが、今後どういう懲罰を受け、どういう対応をするかは分からないが、どう言おうと不利な状況には変わりない。資料を小出しにして調査を引き延ばそうとした弁護団の作戦は失敗だった。逆に理研の強気の姿勢が功を奏したと言えそうだ。

理研は、論文を発表した責任上、独自に検証実験をやると言うが、今後、STAP細胞はどうなるのか。

思い出すのが1989年に突如起こった常温核融合論争だ。高温、高圧ではなく常温で核融合が出来ると言うのだから安価なエネルギー源としてマスコミは飛びついたが、再現性でわずかな温度上昇は見られるが疑似科学の代表例になってしまった。

当時のことをネットで検索してみた。

1989年、英国のマーテイン・フライッシュマン教授、米国のスタンレー・ボンズ教授が重水素で満たした試験管の中にパラジウム、プラチナの電極を入れ、電流を流すと電解熱以上の発熱(過剰熱)がでて、核融合が起こりトリチウム、中性子、ガンマ線が確認できたというのだ。

多くの研究者が飛びつき、再現性を確認したが過剰熱を確認できなかったり、確認できても再現性がなかったりで、そのうちに研究熱も下火になった。

科学誌Nature, scienceも常温核融合の論文の掲載は拒否しているようだ。

ところが不思議なことに今でも300人ぐらいの研究者が研究を続行しているのだ。「過剰熱があるなら利用しないわけがない」というのだが、2004年アメリカエネルギー省は「現象があったことを証明できない」と結論づけた。

又、この実験の背後には他の研究との先取権争い、研究資金の獲得競争、マスコミの暴走があったという。

こう見てくると、何やらSTAP細胞論争にも当てはまる事柄が多くないか。

小保方さんは思い入れがあるので「STAP細胞はあります」と言い、「生物学の常識を覆す理論」と言う笹井さんは「検証に値する合理的な仮説」と3つの条件を挙げてSTAP細胞の存在をほのめかした。

理研も利権を捨てきれないのか、2編の論文の内1編の撤回を勧告し、1年かけて実証実験をするという。「悪意があった」と認定しても捨てきれない何かがあるのだ。

常温核融合は「過剰熱があるなら使わないわけはない」と実験を続行する研究者もいるが、STAP細胞はどうなるか。


性善説から可能性を追求する研究者もいるかもしれない。あるいは一攫千金を狙って密かに研究を続ける研究者、万一を期待して挑戦する研究者がいるかもしれないことは常温核融合からも想像出来る。

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