2010年11月30日火曜日

愛想も尽き果てる民主党政権




フレッシュさとクリーンさを期待していた民主党政権であったが、次ぎから次ぎに起きる事態への稚拙な対応は経験不足か、直面する事態が厳しすぎるのか。愛想も尽き果てる民主党政権である。

北朝鮮の延坪島砲撃事件を受けて、国会での政府の危機管理が追求されていたとき、菅総理は事件の発生をテレビで知ったという。私もテレビで知ったが、何のことはない総理も私達も同じ程度なのだ。北朝鮮は報復攻撃は受けないという確信のもとで横暴な攻撃、恫喝を繰り返す。

政権奪取前に国民と約束した公約、夢見ていた理想は、現実に直面し大きく後退する羽目になった。一体野党の時に何をしていたのか。ただ自民政権に反対していただけではないか。描いていた政策の2~3割が出来れば御の字と言うが、実際はどうなんだ。

軸足もはっきりしない。主義主張の異なる保守系から革新系までごちゃ混ぜの政党だから、政策に確かなモノがない。ここの政策毎に、野党に相談して進めたいと言っても、野党は「まず党内でまとめてから提案しろ」と痛い点を着かれる。

おまけに政府の基本戦略が決まらない。国家戦略局を設置すると言っていたが、総理の諮問機関の様だ。大臣は」自分が一番偉いと思ってか、勝手な発言をする。調整するにも党内には小沢さんという実力者がいるから、一本化も難しい。

総理の指導力、求心力が試されるが、党内基盤の弱い菅総理は、他グループの顔色を見ながらの舵取りで、指導力、求心力は低下するばかりだ。小沢さんの国会招致問題一つとっても、本人から拒否されている。

政治のショー化で政権浮上を試みるも、事業仕分けでも分かるように国民にそっぽを向かれる。税金の無駄使いの実体が明らかにした功績は分かるが、官僚の抵抗は大きい。

官僚政治からの脱皮で「政治主導」を掲げたが、過去ののいきさつ、約束事など関係なしに、自分の主張を通そうとするから混乱を招く。鳩山政権での普天間移設問題は代表例だ。
日米安保50周年を迎え、日米対等は重要な考え方であるが、有事の際は米国を頼るしかない。尖閣諸島領土問題での対中国、対北朝鮮然りだ。

国益を害する外交上の処理は、将来に大きな禍根を残す。脅せば弱腰になる日本外交は定着している。世界の諸国は日本に何を期待しているのか。援助資金だけではないのか。国連で日本の総理が演説するときの議場を見ると空席だらけである。オバマ大統領の演説の時は満席だったのに。

最近の官房長官の定例記者会見の会場をテレビで見ても、真ん中付近は空席が目立つ。官房長官の発言は、政府談話を除いては数段の記事に載れば良い方で、ほとんどが記事の中での関連発言扱いだ。聞いても仕方がないと言うことか。

もう民主党政権には愛想を尽かした。

もう出てくる総理候補は、前原、岡田さんだろうが、前原さんには偽メール事件での判断ミスは忘れられない。岡田さんに期待も出来るが、党内での寄って立つグループがない。支持基盤の弱さは、致命的かも知れない。

政権担当能力の点では、民主党は?マークだ。野党時代に何をやっていたのか。野党にも族議員がおり、それぞれ専門に政策を戦わせていたはずではあるが、長い野党生活では人材は育たなかったのか。

又、次々に起こる事態は、厳しいモノなのか。TPP一つ取ってみても、農業のように打撃を被る分野もあれば、関税なしで成長する分野もある。普天間移設問題も自民党政権下で静かになっていた日米合意に火を付けてしまった。

沖縄県民も米軍がいることでの危険がある一方で、経済的な問題もある。県知事選での「県外移設」の約束は、民主党政権にとっても大きな足かせになる。民主党政権存亡の危機だ。

この乱世に、強い政権を期待するが、民主党には期待できない。

メデイアは、政界再編、大連立を煽る。

しかし、ここはまず政権与党の民主党が軸足をはっきりさせることだ。そして野党、弱小政党間で考えの合うグループ同志が、纏まるべきではないか。政界を再編成し、国民に信を問うべきである。過半数が確保できず連立と言うこともあるだろうが、公約推進に支障をきたすような連立では脆弱な政権しか期待できない。

民主党単独政権での「新しい政治」の夢実現は限界だ。

2010年11月29日月曜日

晩秋の鎌倉を行く:紅葉、ひこばえ、抹茶アイス?











28日快晴。半年ぶりに晩秋の鎌倉を訪れた。JR北鎌倉で下車するとすごい人出だ。狭い小さな改札で身動き採れないほど混雑していた.紅葉はピークを過ぎているらしい。円覚寺山門前の階段の紅葉が人気を呼んでいたが、光線の具合で綺麗に見える。

兎に角、歩道が狭いと言うか、人出が多いのだろうか歩くのも思うようにならない。車道も渋滞気味で、付近の駐車場は満杯。観光バスが駐車場を探して走っている。「来るまでこなくて良かったね」と若い家族が話していた。シーズンになると付近の住民は生活もままならないようだ。

裏から鶴岡八幡宮に入っていった。「おみくじ」に人集りだ。こんなご時世だから自分の運勢を占ったのだろう。良い結果が出た人は、ニコっと笑っているが、運勢の悪い人は苦虫を潰した顔だ。でも皆、指定された場所に結んでいた。

切り株からでた新芽「ひこばえ」がどうなっているか見に行った。残された大イチョウの株から「ひこばえ」が沢山出て、黄色の葉になっている。

この中から、根から養分を吸い上げて育つ元気の良い芽を残していくのだろう。今は皆同じような太さに見えるが、数百年後には2本ぐらいでイチョウの二股が出来ているのだろうか。

江ノ電も相当込んでいるが、長谷駅でほとんどの客が下車し、長谷観音、鎌倉大仏へ向かった。

大仏前の売店では、オバマ人気か、気候のためか、抹茶ソフトクリームが飛ぶように売れている。ステイック状の抹茶アイスを頼んだが、ソフトクリームしかない。オバマ大統領には、特別に造ったらしい。

ここのソフトクリームの作り方は独特だ。プラスチック容器に入った抹茶アイスクリーム1個毎に押し出し機にセットし、ソフトクリーム状に成形するのだ。観光客はもくもくと食べていた。

200円の入場券を買って大仏を見に行ったが、廻りの紅葉は、ピークを過ぎていた。色ずいている木もあったが、すでに枯れ葉になっているのもある。今年は気温も高かったこともあって紅葉もなく、枯れて落ち葉になるのか。
それにしても樹木は良く出来ている。気温を感じ取って色が変わり、葉の根本にホルモンが働きポロリと落下するらしい。気温がおかしいと葉も調子が狂うのだろう。

それにしても今年は、綺麗な紅葉にお目にかかれなかった。
写真上段左:「ひこばえ」 倒れた大イチョウの切り株からたくさんの新芽が出て、紅葉している
写真上段右:円覚寺の紅葉
写真下段左:大仏前の売店の抹茶ソフトクリーム売り場 飛ぶような売れ行きだ
写真下段右:鎌倉大仏

2010年11月28日日曜日

菅総理 辞めないなんて、それこそ暴力ではないか

「歯を食いしばっても」、「石にかじりついても」、「支持率が1%になっても」総理の座にあってがんばるという菅総理の悲愴な決意(?)の発言が続いている。

民主党政権になってから、指導力、決断力のない政権、国益を害する政権が相次ぎ、政権交代の期待を完全に失っている。今までの世論調査では支持率が30%程度だったが、更に下落するだろう。

自分から総理を辞めない限り、居座り続けることが出来る今の国会の力関係を考えての発言だとすると、「総理を辞めない」ことは、国民に対する暴力行為ではないか。

こんな状況下で、何をやろうとしているのか。日本をどう導こうとしているのか。

事業仕分けでも自民党政権時代の政策を仕分けしていれば良かったが、今後は民主党政権の政策を仕分けしなければならなくなる。「反自民」の姿勢を取っていれば良かった時代は終わったのだ。

国会の審議を見ていても、情報の公開、説明責任は勿論のこと、国民の常識からかけ離れた感覚の政治は、「クリーンで開かれた政治」とはとても言い難い。キャッチフレーズに騙されたも同じだ。

ところで、悲壮な決意(?)でがんばろうとする菅総理のもくろみは何なんだ。

今までやってきた政策の成果が出るとでも言うのだろうか。いつまで我慢すればそうなるのか。

経済対策のために5兆円にも及ぶ補正予算を通したが、内政、外交を見渡しても、常識で考えても明るい展望は何処にも見あたらない。

35万人の民主党議員、地方議員、サポーターで選ばれた菅総理であっても、有権者から直接に信を得た政権ではない。

ここは解散・総選挙で直接国民に信を問うべきである。

注:「支持率1%担っても・・」発言の真相は、「友人から支持率1%になってもやめるな」と励まされたことを菅さんが鳩山さんに紹介したということらしい。

2010年11月27日土曜日

八ツ場ダム計画:進む生活再建工事、消え行く川原湯温泉風情
















どうなっているんだ八ッ場ダム計画。又、1軒旅館が廃業し消えゆく川原湯温泉の一方で、生活再建工事は進んでいる。

八ッ場ダム計画も先の見通しは立たない。馬淵国土交通相は6日、「予断を持たず検証を進める」と発言したが、洪水時の基本高水の根拠となる流量に関する設計資料が見つからないと言う。ダム建設の妥当性が大きく揺らいでいる。毎秒22000トンという数値だけは活かされているようだ。

また、打越代替地に地震対策が不十分な箇所も見つかったが、住宅地には影響ないらしい。この辺は地盤が安定で以前から地滑りの危険が指摘されている。川原畑代替地付近でも法面の地滑り対策が必要になった処もあるらしい。完成しても地滑りの危険は消えない。

1月には工事費がショートするらしい。ダムの建設が進まないのであれば東京都など1都6県が負担金を払わないと言うのだ。生活再建事業の財源になっているので厳しい。

八ッ場ダム計画は、4600億円という莫大な費用を投入したが、安全に対して根本的な問題を残したままなのだ。

約半年ぶりに、川原湯温泉を訪ねた。

国道145号松谷付近では、国道、県道付け替え工事が着々と進み、一部は通行可能になっている。

雁ヶ沢信号を左折すると、東吾妻町立の日帰り温泉施設「天狗の湯」がオープンしている。八ッ場ダム建設事業での利根川・荒川水源地域対策基金事業だという。安産、合格祈願とある。

国道に戻りしばらく行くと、左に「工事中 地元車優先」の看板が掛かった道路がある。警備の女性に聞くとトンネルを出ると代替地に通じるという。1760mのトンネルを出ると打越代替地につく。

打越代替地には、新築の家屋が増えて約25軒になったが、相変わらず工事中だ。豪華な造りもある。背後の急斜面は何と言っても不気味だ。沢も多く砂防ダムがあちこ地に存在する。
国道に降りて、川原湯温泉街に向かった。

国土交通省の中止で心配されていたが、生活再建事業の一環で湖面1号橋の建設が始まっていた。工費52億円で国が96%負担するらしい。完成は23年11月末だ。以前茅葺き屋根の食事処があったところだ。その時店員が「ここに橋脚が立つ」といっていた。

川原湯温泉街入り口から、工事の重機と騒音だ。これでは温泉気分を満喫しようと言う客などいない。

途中に土石流危険地代替地造成で大規模に盛土した場所がある。打越沢だ。石が落下しているのが見つかったが、そのうちに落石ネットが張られた。法面に植生されていないので,大雨が降るたびに土石が流れ落ちるのではないかと心配になる。

今日は、晴れて天気も良く、年配の日帰りの温泉客が多く、足湯は混雑していた。露天風呂にもオートバイが3台止まっていたので入浴しているのだろう。平日なのに意外と賑わっている感じだが、ほとんどが1時間ぐらいの滞在だ。

近くに草津温泉、軽井沢など観光地があるので、川原湯温泉は中途半端な存在になっていた。万一ダムが出来、ダム湖畔としての温泉街が復活しても川原湯温泉の風情はない。
旅館業にとっては難しい選択だ。

その旅館もまた1軒廃業した。高田屋だ。25日に最後の客を見送ったという。

この高田屋のある処は温泉街の中心だが、すでに「柏屋」も休館、「みよしや」も廃業している。休館なのか、廃業なのかはっきりしない。ピーク時は20軒ほど逢ったと聞くが、今は、やっているのは5軒ぐらいだという。

高田屋の玄関には「長い間ご愛顧承り ありがとうございました」という看板が置かれていた。

しばらく物思いにふけっていると、前に一度あったことがある移動販売者が来た。「商売にならんでしょう」と聞くと、「皆、やる気が無くなって閉めたからね」という。それでもお客が来るかも知れないので、廻っているのだという。

閉めた旅館から年配の女性が出てきた。何か販売業者と話している。果物を買って戻り、また出てきた。「これを奥さんに」と柚を渡していた。こういう付き合いが出来るのだ。
話によると、旅館は閉めても、しばらくは冷蔵庫に食材が残っているらしい。それがなくなってから商売になるのだそうだ。顔を見合わせて笑った。

温泉街を抜けて、駅の出来る場所に向かった。至る所が工事中で、急に女性の声で「ご迷惑をおかけします。足下に注意してください」という。辺りを見回しても誰もいない。

上湯原地区代替地粗造成工事現場に着いた。無効に今ら繋がった湖面2号橋が見える。この辺が駅になるのか。相変わらずの急斜面だ。

以前、墓参りに来ていた人と出会った場所には墓がない。移転が終わったのだ。その時
「どうなるんだろう。墓の移転先を申し込んだのだが、ダムが中止になれば必要ない」と
言っていた。

生活再建事業は進めると工事は進む一方で、川原湯温泉は「その風情」を完全になくしている。

いつか書いたのか分からない歓迎板の残る廃業した旅館、家屋撤去跡地だけが目に付く温泉街だ。
写真上段左:新駅建設予定地 向こうに湖面2号橋が見える
写真上段右:温泉街の中心地 廃業した旅館群(柏屋 高田屋 みのしや) 休館か廃業か分からない
写真中段左:打越代替地 まだ工事中だ
写真中段見後:湖面1号橋建設工事現場 川原湯温泉街入り口にあたる
写真下段:日帰り温泉施設 「天狗の湯」 八ッ場ダム建設事業の一つ 

2010年11月24日水曜日

家電量販店LAOX銀座進出:そう言えば、昔は百貨店で家電を扱っていた


中国資本の家電量販店LAOXが、銀座に進出したという。20日には、オープニング・セールを目当てに長蛇の列が出来たとメデイアは報じた。

銀座は今、ファーストファッションなどが席巻し、高級ブランドのイメージが薄れつつある。LAOXが入る「MATUZAKAYA GINZA」には、フォーエバー21も入っている。だが、まだ日本一の商業地であることは間違いない。観光客で訪れる中国人もターゲットにしているようだ。

「中国資本が銀座まで進出してきたか」という感じが強く、翌日行ってみた。

考えてみれば、昔はデパートでも家電製品売り場が設けられ、家庭の電化に貢献していたが、いつの間にかテレビ、冷蔵庫、洗濯機などが去っていった。

訳は何だったのか。専門の電気店が増えてきたためか、お持ち帰りがほとんどのデパートで、重量物の流通に問題があったのか。

松坂屋銀座店の6Fに上がると、ラオックスの売り場がある。広いフロアの一部を使っているようだ。出入り口には記念品が愛っていると思われる紙袋が山積みになっていた。どうしたらもらえるのか分からない。案内も低調だ。

商談らしき風景も見られたが、大方はオープニング・セールでの安売り目当てか。

兎に角、売り場面積が狭く、従って品揃え画布十分だ。パソコンだって26種類しかおいていない。値札も付いているが、安いのかどうか判断が出来ない。他店で調べて来なくては比較できない。デパートの商売にやり方で表示にも制限があるのか。

中国人観光客はめっぽう減った。街中屋店内でデジカメを構えている姿を多く見てきたが、今日は目に付かない。

これでは、中国資本恐れるにたらずだ。家電量販店も競争が激しい。郊外型の大型店から交通の便の良い商業地にも集中してきている。女性や高齢者にとってはデパートでの販売は便利になったかも知れない。

注目してみよう。
写真:マツザカヤ銀座店に進出した家電量販店のLAOX 2010.11.21

2010年11月23日火曜日

ダメな総理:政治の言葉や理想が力を失っている

どうしてこうも選ばれる総理はダメな総理ばかりなのか。結果として、1年ごとの交代で、国民の信を問わない総理に政治を託すことになる。政権交代してもその傾向は変わらないところに何か原因があるのだろう。

フランスの社会学者ボードリアールは「政治の見せ物化が進んで、政治の言葉や理想が力を失っている。今は、イメージで政治家を選ぶ時代だ」と言った(朝日新聞 2003.10.22)。

良く言い当てている。自民党の総裁選、民主党の代表選で人気投票し、若者、無党派層を掴んだ方が勝ち戦になる。負けても2位に付ければ、無名の候補者でも要職に着くことが出来るし、次回の総裁選、代表選に出る権利を得たことになる。

リーマンショックによる経済不況に直面しているものの、ここ数年の総理の評価はさんざんたるモノで、支持を落とす要因は「指導力がない」点にある。経験と実力が伴っていないのだ。

菅総理も御多分にもれない。「指導力がない」、「丸投げ」、「攻めには強いが、守りにはめっぽう弱い」、「弱気になりブレる」など芳しくない。

菅さんは、人気があって総理に躍り出たのかと思っていたが、そうではなく、「なりたがってなったのだ」。

世論調査での「総理に相応しい人」をみると、鳩山内閣の支持率が33%だった2010年4月5日(読売新聞)では、舛添29%、岡田9%、前原8%、菅7%、渡辺6%、鳩山5%で、閑散は財務大臣の要職に着いていたが、4位だ。

2010年5月17日の毎日新聞では、舛添13%、前原12%、渡辺9%、石破6%、菅6%、岡田4%、鳩山3%、小沢2%となっている。

普天間問題、「政治とカネ」で鳩山総理は6月3日、退陣を表明したのを受け、菅さんが代表選立候補を表明した。狙っていたかのような素早い行動だった。「政治とカネ」の問題にきちんとケジメを付け、幹事長人事も小沢さんの影響を避けることも表明した。

そして、代表選は、菅vs小沢、「脱小沢」vs「強いリーダーシップ」の闘いの構図になった。前原さんや岡田さんは、早々と菅支持を打ち出した。

私もこの時、「本当に菅さんで良いのか」という記事を書いたが、小沢さんで良い訳でもなかった

「政治は悪さ加減」と言われるが、菅さんと小沢さんを比較したら、「政治とカネ」のスキャンダルを抱えた小沢さんより、菅さんの方がマシだ。

当時の新聞論調を見ても、菅さんを積極的に支持するモノはなく、寧ろ鳩山政権が普天間移設問題で右往左往している時に、副総理として何ら行動しなかったことに、総理の座を目前にした様子見の姿勢に批判がいった。当然の話だ。

しかし、代表選は、国会議員では拮抗したが、サポーター、地方議員では圧倒的多数で勝利した。小沢さんの政治生命は終わったと思った。

人気投票で勝ったのも同然だ。

それから2ヶ月余り、参院予算委員会で「仙石総理大臣」と間違ってコールされるほど、仙石官房長官の力が大きく、菅総理の存在感は薄らぐばかりだ。

「指導力がない」と求心力を落とすばかりで、外交では国益を害する判断が相次いだ。柳田前法相の更迭、国会運営の駆け引き、中国漁船長釈放、尖閣ビデオ流出事件など政治的ケジメはこれからだ。

国会中継を見ても、「政治の言葉や理想」が力を失っている。国民の信を問うていない菅―仙石体制は崖っぷしに立たされている。

解散、総選挙しか解決策はないが、負けが分かっている戦いに菅政権は決断できるか。

日経平均株価:11000円突破を目指せ


低迷していた株価が5ヶ月ぶりに1万円を突破して4日続伸し、22日終値は1万115円だ。政治がゴタゴタし政局孕みの中で、市場がどう動くのか22日、東京証券取引所に行ってみた。

10133円87銭で始まったが11時には101.65円高の10124円08銭を付けた。

要因は、米国の株高、景気の持ち直しにあるようだ。アイルランドの金融・財政危機も支援が決まったようだ。

日本の政治家にとっては、いいものだ。ほとんどをアメリカなど海外の市場、経済政策に影響され、我が国の政治、経済政策など瞬時の影響しかない。柳田法相の辞任問題、仙石、馬淵大臣の問責決議案などの悪影響は、市場にとっては織り込み済みなのか。

日本政界のこのような状況は、海外では余り報道されていないようなので、影響も少ないのではないか。世界は日本抜きで進んでいる気配だ。

市場は、今後11000円台に迫るかどうかだが、円安がどう動くかがポイントになりそうだ。通貨安競争に批判が集中した最近の国際会議を反映して、各国政府が手控えているのかも知れない。
写真:東京証券取引所 11時に10124円08銭を付けていた 2010.11.22

2010年11月22日月曜日

柳田法相更迭:更迭するほどの問題か、尻尾切りか


柳田法相の地元後援会によるお祝いの会での2フレーズ発言は、昨夜の続投宣言からうってかわって、ついに本人の辞任、事実上の更迭になった。メデイアや国会での責任追及は、法相の発言の真意を分かってのことか。それとも例にもれず尻尾切りか。

昨日は、国会の法相答弁を2フレーズに限らず、「更に踏み込んだ答弁は出来ないか、しっかりした改革案を出して欲しい」と刑事局長に指示をしたという。今後も真摯に国会答弁をするとも言う。

ところで、柳田さんの地元での発言は、この2フレーズだけだったのか。参加者を笑わせるための不適切な発言であったことは確かである。

しかし、もっと話を聞くと、「もう少し踏み込んだ発言は出来ないのか」などの苦情を多く聞く。何とか出来ないのかという問題意識を持った話だったのではないか。それが21日午後の突然の会見にも現れている。

野党は、菅政権を揺さぶり、次ぎに来る仙石官房長官、馬淵国土交通相の問責決議案の提出を目論んでいるが、政府は不適切発言の柳田法相の更迭で回避したかったのだろう。

仙石官房長官には、中国漁船衝突事件での国益を害する処理、自衛隊を「暴力装置」と言う暴言、官邸危機管理の問題など責任が追及されているし、馬淵国土交通相には尖閣ビデオ流出事件での監督責任がある。

法相にも中国漁船長の釈放問題、検察庁の改革問題、裁判員制度、検事総長を通じて検察組織を指揮するなど重大な問題が山積している。国民の信頼を損ねるような不適切発言には勿論責任がある。

しかし、更迭までしなければならない責任だったのか。

メデイアが一部分だけとって構成したニュースに国民、国会が惑わされ、柳田=悪者の構図を作り上げてしまったのではないか。 もしメデイアが柳田前法相の話の後段を伝えていたら、ことの展開は違っていたのではないか。
「従来の決まりきった答弁から、一歩突っ込んだ答弁ができないものか」、良識ある大臣なら考えることである。むしろ民主党が言う「開かれた政治」を目指したのではないのか。

菅内閣の最近の不適切な問題の処理の責任は、権限が集中した仙石官房長官にある。まず責任追及され、更迭されなければならないのは、仙石官房長官ではないのか。
後任に仙石官房長官の兼務を発表した。ますますこじれるのではないか。

政治は、補正予算案をはじめ多くの重要法案が目白押しであるが、成立の可能性は非常に低いという。

「国民の生活」を第一に考える与野党であるが、どうなるのか。テレビの映像を見ていても緊張感がない。二進も三進もいかない菅政権になった。
写真:柳田法相の更迭を報じる朝日テレビ報道ステーション 2010.11.22

2010年11月21日日曜日

予算委員長の「仙石総理大臣!」:存在感薄い菅総理


先の参院予算委員会をNHKの国会中継で見ていたら、予算委員長が「仙石総理大臣!」と指名した。「エッ」と思った人が何人いたか。菅総理は一瞬「ムッ」として委員長を振り向いたら、委員長は苦笑いしながら手で誤っていた。

今までも何回かこうした場面があり、菅総理も苦笑いし、場内の笑いを誘っていたが、度々総理が替わるので今誰が総理か級には思い出せない時もあるだろうが、一国の総理、しかも日本の国会での話だ。

何とも「たがのゆるんだ」国会だ。

柳田発言、尖閣ビデオ流出事件、それに関連しての危機管理、予算案審議、TPP、雇用など難問が山積する中で、緊張感に欠けた国会である。

内閣支持率の低下の要因は、「総理の指導力の無さ」が指摘されている。重要課題は仙石官房チョ婦菅主導、「政治とカネ」での小沢さんの処置は岡田さんに丸投げ。事業仕分けは期待はずれ、おまけにAPECでは下手外交、ペーパーの棒読みで菅さんも認識しているように評価を落とした。

外交は素人と言うが、「では、何が玄人なんだ」と問いかけたい。

最近の菅―仙石路線は、国益を害する一方だ。

今、参院では柳田法務大臣の問責案が注目されている。補正予算案と引き替えに、首を差し出すと言うのだ。

確かに、柳田さんの2フレーム発言は、国会を冒涜するモノだとはいえ、「個別の案件には意見を差し控えたいが、一般論として・・・」は、自民党時代からよく使われたフレームだ。身内でのパーテイーとは言え、笑いを誘うとした面は大きい。

そんなに責任が大きく、問責にかかる問題なのか。かえって仙石官房長官の「自衛隊は暴力装置」発言や、尖閣諸島での中国漁船長釈放問題など国益を害すると思われる判断の誤りは非常に大きい。

「悪さ加減」は、仙石官房長官のほうが大きいのだ。野党は、菅内閣の一角を崩すために柳田法務大臣の首を取ろうとしているのだろうが、定例記者会見で記者から「柳田法相問責問題はドミノ式に他の大臣に及ぶのではないか」と問われ、仙石さんは「一寸先は闇・・」と答えていた。

仙石さんは、旧社会党に属した議員で、「暴力装置」は学生運動のころの考えだろうが、大昔の感覚である。偏った思想で、大臣として政権を担った経験のない仙石さんに多くを頼ることの危うさを知るべきである。

菅総理が、以前身内の会合で、「官邸には情報が来ない」を嘆いたニュースが新聞に載っていた。冗談ではない。官邸にこそ情報は集まるモノだ。菅さんにまで届かないのは、途中で遮断されているのだ。

それは、官房長官の処だ。国民に信を問うていない仙石官房長官が、すべての判断を下しているのだ。

柳田法務大臣にも問責に問われるべき大きな責任はあるが、仙石官房長官の責任は、それ以上に大きい。柳田さんは自ら辞任をすべきだろうが、柳田さんの首で問題を矮小化してはならない。

国民や世界に恥を晒さない、国益をきちんと守ってくれる政権を選ばなければ。
写真:参院予算委員会でもたがの緩んだところをさらけ出す国会。

2010年11月20日土曜日

菅総理、「歯を食いしばって」までやってほしくないのです


最近、菅総理は、国会審議で「歯を食いしばってでも」とか「石にかじりついてでも」がんばっていきたいという政権を担う意気込みを連発している。

19日の参院予算委員会で、舛添さんが「世論調査で内閣支持率が30%を切った。その要因は菅総理の指導力が見えないためでは」と問うた。

それに対して、菅さんは「改造内閣がスタートし2ヶ月、尖閣問題では支持を失ったが、TPP、事業仕分けでは成果が出てくる段階になった。厳しいが歯を食いしばってでも成果が国民に見えるまでがんばりたい」と答えたのだ。

内政、外交共に「どんなに苦しいことがあっても(=石にかじりついても)」、評価されない「くやしさ、苦しみなどをこらえて(=歯を食いしばる)」、引き続き政権を担当する意欲を示したのだ。

しかし、「もうそんなにしてまでがんばってもらわなくてもいい」と国民は思っているのではないか。

菅さんが評価している「自由貿易の問題」は、農水省、経産省ではまるっきり反対の調査結果が出ている。関税撤廃になれば輸入食品は安くなるが、日本の農業は壊滅するとまで心配されており、民主党内でも意見が割れている。

民主党政権が鳴り物入りで始めた「事業仕分け」は、第3弾終了で一区切りするようだが、言われていたほどの成果もなく、今後の展望も全くない。

どうして、成果を国民に示すことが出来るのか。

外交でも菅政権は失態の繰り返しである。尖閣諸島近海での中国漁船領海侵犯、公務執行妨害での船長逮捕も、中国の恫喝にあい処分保留の儘釈放してしまった。「日本固有の領土」とは裏腹の外交処置ではないか。

国益を守るためにも即時公開が必要だったビデオ公開も、「隣国の嫌がることはやらない」方針で、部分公開にしたが、海上保安庁職員のネット投稿は80%の国民の支持を得た。

APECでの胡・国家主席との会談は、ペーパーを見ながらの会談で、お互いに従来の主張を繰り返しただけだという。

マニフェストもころころ変わる。財源確保との問題も絡めて、国民にしっかり説明する必要があると思うが、正式な記者会見は予定されていない。

閣僚では、柳田法務大臣の「2フレーム発言問題」は、国会を冒涜するモノで不信任決議案が提出されるという。

仙石官房長官も、自衛隊を「暴力装置」と表現し、撤回謝罪させられた。尖閣問題の処理の間違いを含めて大きな責任があり、自民党政権だったら更迭されているはずだ。仙石さんに頼ることの危うさをしっかり知るべきだ。

菅総理は「開かれたクリーンな政治」を目指すと言ったが、予算委員会の国会中継を見ていると以前の自民党政権と何ら変わらない。大臣席に座る人間が自民党から民主党に変わっただけだ。

「政治とカネ」では、小沢さんの国会招致もままならない。岡田さんの調整を待って必要なときに、自分が決断すると言うが、野党は小沢さんの国会招致をカードに使おうとしている。

菅さんが、歯を食いしばってがんばることに国民の70%以上は期待していない。

党内では、小沢さんが妙な動きをしていると言うが、民主党だって一致団結して菅政権を守ろうとはしていない。

本当に困った政権だ。世論調査での自民党支持率も、民主党と逆転している調査も出ている。しっかりしたメッセージを国民に送る必要があるのは、自民党も同じことだ。
写真:歯を食いしばってもがんばるという菅民主党官邸

2010年11月19日金曜日

期待はずれに終わる事業仕分けだったのか


目標の16.7兆円が4.5兆円に終わり、「廃止」事業の姿を変えた復活、自民党政権の政策から身内の政策の仕分け、改革を進めなければならない政務3役からの「これまでにしてくれ」の批判続出。当初期待していた事業仕分けも期待はずれに終わるのか。

政権交代選挙で民主党が掲げた「ムダの削除」、16兆円はひねり出せるという主張に、「自民党政権はそんなに無駄なことを税金を使ってやっているのか」と批判は高揚するばかりだった。

政権交代後も、民主党政権は事業仕分けをパフォーマンスに、高支持率の維持に努めた。蓮舫議員は、一躍脚光を浴び、参院選東京地方区で170万票も獲得する結果になった。

しかし、色あせることも早かった。説明員側の官僚を叩く事業仕分けは、回を重ねる毎に国民の注目度も低調になった。

私も全部とはいかなかったが、2日ほど一般参加してみた。

事業仕分けがうまく行くかどうかは、官僚の意識改革次第だと思っていたが、収入が激減しながら、且つ赤字の累積にもかかわらず、利権事業を通そうとする官僚に違和感を感じた。

法に定めた目的を達成するためには、国がやらなければならない事業が定められている。それを推進する為に組織(法人)を作り、スタッフを雇い入れなければならない。仕事の内容によっては専門業者に丸投げすることも考えるが、その専門業者も息のかかった組織にする。

役員には天下りを受け入れ、高給と事業の赤字は税金から補填すれば、何のリスクもないことになる。費用対効果など誰も追求しないから役人天国だ。毎年予算を計上すれば事業は何時までも続く。

事業によっては、自治体にも負担させる。何に使われるか、何のための負担かを詳細に検討せず、請求されたままに負担に応じた。

事業本体は東京都心の一等地に本社を構え、国民の知らぬ間に豪華なビルに入ったり、建てたりする。官僚の我物顔が罷り通る。
一度始めた事業を途中で止めたり、縮小することなど、官僚にとってはタブーだ。折角先輩官僚の築いた利権を手放すことなどやってはいけないことだ。自分の出世にも影響する。

今回の事業仕分けで、追求されていた主要点は、費用vs効果だ。私が聞いた事業では全く検討されていない。どういう項目で評価するかも決まっていない。確かに評価しにくい事業もあるが、だからこそ気を付けなければならないことだ。

事業の丸投げは常套手段であるが、丸投げするのであれば、直接やれば良く、何も法人を設立してまでやることはない。

競争入札などしていないので、費用は言いなりの価格だ。役人の天下りがあれば、その人件費に該当するコストも含まれている。事業仕分けでは、少なくとも5社で競争させると、3割は削減できると指摘されていた。確かに公共事業は、官庁仕様で3割は高い。

全体を通じて不思議に思ったことは、収入が激減しているのに、官僚のやる事業は水ぶくれ、焼け太りだ。普通の感覚なら人件費から削減し、維持管理費、運営費も極力削減することに真剣に取り組まなければならないが、その姿勢が見受けられない。

海外青年協力隊JAICAの高齢の理事長が年収2500万円、調整員が1000~1300万円、国内での職を辞めて海外で2年間のボランテイア活動している若者の年収が60万円と聞くと唖然とする。報酬が逆ではないか。

事業仕分けは私達に、問題意識を与えてくれた。政治の仕組みの一環を明らかにしてくれた。

しかし、一番大事なのは、官僚の意識改革である。それも高級官僚の意識改革が緊急の課題だ。それなくして改革は無理だ。

最後に「事業仕分け」そのものの必要性が問題になったようだ。自民党時代の政策を仕分けするうちは良かったが、民主党政権になってからの仕分けに政務3役から異論が出てきた。事業自体が、一定の業種、地域の活性化に大きく影響する補助金のようなモノに対しては、国会議員の利権がらみの様相を呈しているのだ。

事業仕分けへの批判は、菅政権の求心力の低下と共に拍車がかかっている。
写真:事業仕分け第2弾 ワーキンググループB 2010.10.28

2010年11月18日木曜日

中国漁船長釈放:指揮権発動は、本当に無かったのか


10月24日の突然の那覇地検による中国漁船長の釈放は、誰でも政治的決着と見ていたし、17日の参院予算委員会で野党が「中国との密約」説を糾したが、政府側はきっぱり否定した。しかし、思い返すと指揮権発動に準ずる行為があったことが想像できる。

18日の参院予算委員会の国会中継を見ていた。全部通して見ていたわけではないが、自民党の林さんが、柳田法務大臣を相手に指揮権の質問をしていた。それは「どういう場合に指揮権を発動するか」に関しての質疑だったと思う。

尖閣ビデオの公開の是非、中国政府との密約の有無、中国漁船長の釈放問題などが論戦のテーマになるのは当然としても、政府側の歯切れの悪さは否めない。裏に何かあったのではと疑いたくなる。国会の論戦は、菅政権にとっては厳しい。

指揮権発動があったかどうか、当時の新聞報道を読み返してみた。

中国漁船による、領海侵犯、海保の艦船との衝突事件は10月7日に発生、公務執行妨害罪で船長が逮捕された。

この時、「国内法で粛々と処理する」と関係者は大見得を切った。しかし、ここから中国側の恫喝が始まった。4人の日本人会社員の拘束、レアアースの輸出制限、APEC開催など切られるカードが日本に不利なモノだ。

10月22日、菅総理は「超法規的措置」を探ったようだ。過去にも人質解放に向かってこのようは措置が執られたことはあるが、中国漁船の衝突事件、公務執行妨害罪に対して超法規的措置を探るなんておかしい。

しかし、仙石さん、前原さんが動いたようだ。

同じ頃、米国でクリント国務長官と会談していた前原外相は、中国との関係を心配するクリントン国務長官に「もうすぐ解決する」と自信を見せたという。

そして、10月24日、逮捕拘置中の中国漁船船長を那覇地検は処分保留のまま釈放を発表した。「我が国国民への影響や今後の日中関係も考慮すると身柄を拘束したまま捜査を続けることは相当でない」とコメントしたことはまだ忘れていない。

柳田法務大臣は、早々と「指揮権発動はなかった」と会見した。疑惑を早めに打ち消そうと企んだのか。

那覇地検は、福岡高検、最高検と協力し判断したという。検察官一体の原則があるから当たり前の話だ。

しかし、尖閣諸島が日本領土であることを考えると、国内法で起訴すべきであり、不起訴は尖閣諸島を手放したことになる。誰だって今回の措置は間違っていると思うはずだ。

中国との関係、APECを成功裏に終わらせたいとする菅政権にとっては、中国の機嫌を損ねることは避けたようだ。

「法と証拠で処理することを旨とする」検察にとって、「今後の日中関係を考慮して」とは、政治的に判断せざるを得なかったことだ。

その政治的判断とは、直接に法務大臣が検事総長に発動する指揮権ではなく、それに準じた形で行なわれたのではないだろうか。

官邸の誰かが、最高検の誰かに、「超法規的決着」の可能性を臭わせばいいことだ。菅総理や仙石官房長官が直接法務大臣に言ったり、法務大臣が検事総長に言うと政治生命が終わることぐらい知っているはずだ。

菅政権の意を汲んで検察が釈放を判断したのではないか。それが次席検事のコメントに現れている。

検察官には一体の原則があるが、行政組織の一部である。指揮権発動に準じた動きがあったと見るべきだろう。

官政権の寿命も長くはない。国会審議を見てても閣僚の稚拙さには呆れるばかりだ。
写真:中国人船長の釈放を発表する那覇地検次席検事 2010.10.24テレビニュースより

国会中継で知る民主党政権の内情


今、国会中継が面白い。「面白い」というと、不謹慎に聞こえるかも知れないが、今の国会中継はいろんな情報を得ることが出来る。新聞では要点だけだったり報じられていないモノもある。質疑応答の中から、質問者、答弁社の顔、動作からその心境を掴むことも出来る。

自民党が政権政党で、民主党が野党だった時、政権政党として自民党大臣の答弁は曖昧で、攻める野党の方が正論を吐いていた。前原、長妻、馬淵さんらはよく勉強し厳しい質問を浴びせていた。

ダメな自民党政権、威勢の良い民主党。誰だって「政権が変われば日本も変わる」と淡い期待を持ったのも当然だ。

しかし、今政権交代して国会予算委員会の質疑を聞いていると、大臣席のメンバーが、自民党から民主党に変わっただけだ。

チョっと不思議に感じるのは、政策に関して国会で提案し、活発な議論をすることは当然と思うが、国会外で発言したことをメデイアを通じて知り、それが委員会の議論になっていることも多い。

17日のNHKの国会中継を聞くと、柳田法務大臣が、地元の会合で、国会答弁は2つのフレーズを使えばいい。「個別事案にはついては、答えを差し控える」「法と証拠に基づき適切にやっている」だという。

国会を冒涜する発言で、法務大臣の資質に欠けると責任を追及された。柳田さんはうってかわって神妙な顔つきで謝罪していた。しかし18日の世耕さんの質問で都合33回もこのフレーズを使っていたと聞き驚く。分からなければ、このフレーズを使えばよいとは、呆れかえる。

防衛庁のイベントで協力団体の代表が「民主党政権は早くつぶれた方が良い」と発言したことで、防衛次官が、「政治的発言をする者を関連行事に来賓として呼ぶな」という通達を出したことは、民間人の言論を統制するモノで撤回しろと自民党の衛藤議員が追求した。

北沢防衛相は、政治的中立を害するような行為は慎まなければならないと答弁したが、紛糾、答弁も聞き取れないほど騒然となり立ち往生、議論がかみ合っていないので理事が委員長に詰め寄って何やら話し合うシーンが何度も見受けられた。イライラしたのか、北沢防衛相は何度も水を口にしている。

18日にも世耕さんが、「憲法の表現の自由、言論の自由に反する通達だ」と追求したが、大げさとも言えない問題だ。

尖閣ビデオの公開について、「中国と密約が逢ったのではないか」と質問され、菅、仙石、柳田3人共にきっぱり「なかった」と否定した。あまりにきっぱり否定されるとかえって信用できなくなる。「あの人がそう言うのだから、そうなんだろう」と納得できる3人の顔ではなかった。

更に、限定公開では6分の内容で、実際に流出したのは44分、90%のことは分かっていない。「公開出来ないのか」と詰め寄ったが、「捜査中」を理由に政府は拒否した。

何を捜査中なのか。流出させた海上保安官か、釈放した中国人船長のことか。

民主党政権でも、相変わらずの秘密っぽい答弁で、民主党が標榜する「開かれた政治」都はほど遠い。

逆に、今世論調査では、民主党支持と自民党支持が拮抗し、自民党支持が上まる結果も出ている。正論を吐く自民党が政権に戻った時、どうなるのか。

大衆迎合に迷わされず、国会中継などしっかり聞いて、政権政党選択をしなければならない。

仙石官房長官、馬淵国土交通相の不信任案提出とも相まって、自民党は大臣の首を取りに行き、菅政権を揺さぶっている。

政治主導を通しているのか。大臣も答弁に行き詰まることも多いが、事務方の官僚の答弁は全くない。委員長の指示で事務方の官僚と相談している状態だ。ここは、官僚の答弁も許可しスムーズな審議を進めるようにしたらどうなのか(18日の参院予算委員会で気が付いた)。
写真:2010.11.17 NHK国会中継

2010年11月17日水曜日

事業仕分け第3弾:「再仕分け」でも「廃止」が続くエコ推進事業


取りまとめに入ります。12人中11人が「廃止」、1人が「予算計上見送り」で「廃止」と致します。こんな評決結果が相次いだ事業仕分け第3弾2日目のエコ推進事業関係の再試分けだ。

事業仕分け第3弾後半2日目(16日)を聞きに行った。ワーキンググループBはエコクラブなど関係事業、環境関係普及啓発事業、エコツーリズム推進事業など環境省関係の事業の再仕分けでも「廃止」が相次いだ。

見直し、統廃合の評決を受けた事業が、姿を変えて予算化され、焼け太りになっているのだ。

水環境保全活動普及促進事業では、官僚側の言い訳だろうか、「即時の効果は出ない」、「数値に表しにくい」、「時間をかけながら見直しを行なっている」、「ボリュウムが小さく限定的」と事業自体の特徴を説明していた。

そうはいっても、税金を使っての事業だ。効果がないものをやる必要はない。

全事業を通じて指摘されていたことは、共通点がある。

まず、啓発事業などを国がやる必要があるのか。実際に予算化しても国自体が事業をやっているわけではなく、自治体、NPO,民間企業に丸投げされている。国がやるとなると税金の無駄づかいに為りやすい。官僚は、啓発事業の必要性は法に記されていると言うが、評価者はアドバイスで良いのではないかと反論していた。

丸投げが、天下りの温床になっている。環境保全調査を入札した(社)国際環境研究協会は役員数15人のうち4人が官庁OB出、7月から1人常勤役員が増加している。この理由を聞かれても答えられなかった。

事業の手段、評価法も問題になった。

家庭部門におけるCO2削減のための「環境家計簿」の普及を図っている「我が家の環境大臣事業」では、マンネリ傾向にある。13万人が登録しているにもかかわらず、実際に家計簿を付けているのは2万人程度。「こどもエコクラブ」事業では27年度の125万人の参加目標を立てているが、初年度は43万人と言うが算出根拠が曖昧だ。
参加人数で評価するのであれば、事業を拡大すれば人数は増えるのは当たり前、「目標はCO2削減にあるのならば、削減量はどうなのか」という質問が飛んでいた。

0.001%のCO2を減らすのに、この事業は役立っているのかと言う質問も出てきた。

確かに数値化は困難だろうが、参加人数が増えれば削減量も増えていくと言う単純な考えだろう。夜になると、玄関から1階、2階とほとんどの部屋に電気がついている家庭が多い。我が家は、みんなが集まる居間しか電気を付けない。

「焼け太りではないか」という指摘もあった。

「我が家の環境大臣」と「こどもエコクラブ」の2事業は再編統合し、効率的な実施が指摘されていた。22年度は2事業で133百万円であったが、抜本的な改善で23年度は150百円になったという。「こどもエコクラブ」は自信を持ってやっている事業で、ユースエコクラ、社会人エコクラブ、シルバーエコクラブと階層毎に再構築したというのだ。

長妻議員が、「トータルとして国は環境問題の啓発事業に、一体いくら使っているのか」という質問だ。環境省、文部科学省或いは経済産業省などがそれぞれ別個に係わっているのは確かだが、誰も答えることが出来なかった。

エコツーリズム総合推進事業では、ルートとかガイドの育成であるが、HPでは宿の紹介をもしているが、趣旨に反するのではないか。民間に任せればいいことだ。

短時間でその事業が役立っているかどうか判断するのは難しい。要は官僚が自分たちで決めた事業をどうやってP→D→C→Aのサイクルを廻して改善しているかだ。それにはISO14000シリーズの環境管理計画などの手法を採用した方がよいのではなかろうか。

確かに金額は小さいではないかという感じ方はあるだろう。しかし、それが天下りなどの温床になっているし、税金の無駄使いの要因にもなっている。
官僚が事業を丸投げしたり、答えられなかったりすると、一般席から「行政のプロだろう!」と怒りの発言があった。大方の国民の考えを代表していると思った。

「法に定められているから、啓発活動をやるのだ」では国民に理解されない。
写真:事業仕分け第3弾後半 ワーキンググループB 2010.11.16 

2010年11月15日月曜日

尖閣ビデオ流出(3):国益を守った保安官、害した仙石官房長官

15日午後4時40分、テレビがス-パーで「逮捕見送る方針」を報じた。今日当たり方針が出ると言うことで注目していた。「国民の知る権利」を考えた場合、当然の結果であり、逆に仙石官房長官の政治的責任が追及される。

捜査機関は、根拠に逃亡、証拠隠滅のおそれがない、供述に大きな違いがないことをあげているし、自白した保安官も「広く国民に知って欲しかった」と供述している。

警視庁は「逮捕」を主張したが、検察は「逮捕見送り」の見解だったという。警視庁は管轄外であるが特に指名されて捜査したプライドがあり、逮捕したい気持ちは分かるが、検察の判断は国民目線上でも妥当な判断と思う。

一番のポイントは、「機密資料」か、「国民に知らしめて国益を害する資料」かと言うことだろう。私が読んだ法律書では、機密資料とは「上司が機密事項と決めた資料」、「秘の印が押された資料」が該当するという。一方、官僚がすべての資料を機密資料に指定すると、国民の知る権利をバランスを書くことになる。

最終的には「国益を害するかどうか」で判断すべきだ。そう言う意味で、海上保安官による尖閣ビデオ流出は、「公開することで国益を守る」ことにある。

検察OBは「けったるい、締まりの悪い事件」と表現していたが、分かる気がする。無理な逮捕、起訴は信頼を落としている検察が、更に信頼を落とすことになる。

この事件は、非公開にして「国益を害した」仙石官房長官の政治責任を追及すべきである。

仙石さんは、中国の反日、反政府運動が拡大するのを危惧してと思うが、「ナショナリズムを刺激することは避けなければならない」と記者会見でコメントした。我が国の国益を犠牲にしても、相手国の国益を守らなければならないと言うスタンスを取った。

この事件の対応の不手際は、仙石官房長官の責任が大きい。

中国や韓国に比べて、我が国のナショナリズムは低調だ。政治の不手際の追求も余りない。グローバリゼーションで政治、経済は全地球規模で考えなければならないという機運が大きく影響しているが、中国やロシアにそんなことは期待できない。

APECでの対中、対露首脳会談の菅総理のおどおどした様子は、相手に圧倒されていた。これで「国益を守れ」なんて無理な話だ。

菅総理の支持率は、さらに大きく下落し、求心力など残っていない。取りあえずやらなければ為らないことは、政治的責任を誰がとるかだ。

仙石官房長官の更迭しかない。

2010年11月14日日曜日

車が家電製品になる日
















勿論電気自動車だ。駆動用バッテリーはリチウムイオン電池、機械的パーツは基板に代わる。先の東京モーターショーでもその予感があったが、三菱自動車と家電量販店のビッグカメラが「普及に関する基本協定」を結んだことから大きく前進した。

9日にビッグカメラ有楽町店で、展示イベントがあった。

翌日の10日に有楽町店へ行ってみたが、それらしい様子はない。男性店員に「車は何処に展示されているのですか」と聞くと、「済みません、昨日1日のイベントだったんです」という。「車が家電製品になったのかと見に来たんです」というと、「チョット待ってください。パンフレットがあります」と駆け足で店内に入って、パンフレットを持ってきた。

「いつから始まるんですか」と聞くと、「三菱さんの考え方次第です」という。ビッグカメラは展示場に来たお客を三菱自動車に紹介だけするらしい。価格交渉などは三菱自動車になる。車の販売は、店頭は勿論のこと、顧客訪問も重要な仕事であるが、店頭だけの販売では限度もあるのではないか。

家電量販店の拡大は目覚ましいモノがある。そんなに市場のあるモノなのか。テレビでは新店舗開店のCMが流れているが、地方紙の電子版をみると採算の悪い店舗を閉鎖するニュースも流れている。

家電業界市場は5.7兆円になったが、ヤマダ電器のように売り上げが増加しているところと、ビッグカメラのようにマイナス成長と明暗が分かれているようだ。成長は伸び悩みである一方、競争は激化している。

エコポイント、地デジ化は需要と供給のバランスを崩してしまった。

各社新しい分野へ進出しようとしている。その一環がビッグカメラの電気自動車販売だ。

電気自動車が家電製品という発想は面白いが、車と電器製品では販売方法が根本的に違う。来客者を自動車メーカーに紹介するだけでは、同じ形態かもしれない。三菱自動車の人が、他の家電販売会社にも拡大していくと言っていたが、販売網の整備はこれからだろう。

電気自動車の売りは、「走行中のCO2排出がゼロ」だ。しかし充電するのでその時点で電気を造る時に排出するCO2がある。それでもガソリン車に比べれば1/3程度だ。
価格は高い。三菱自動車のiMiEVではメーカー希望価格が398万円だ。クリーンエネルギー補助金が114万円(上限)なので、284万円になる。一回の充電での走行距離約150km、街中を走るには十分だろうが、長距離は充電設備が必要になる。

充電施設は、コンビニ店舗でもサービスを開始している。私の住んでいるマンションの近くのコンビニで充電が可能だが、今のところプリウス級か。

そう言えば、有楽町の西武が12月に閉店するためのセールをやっていた。その後を家電量販店が入るという話を聞いた。家電の激戦区になる。そのそばに「有楽町で逢いましょう」の碑がある。ビッグカメラ有楽町店の前の所有者である「そごう」のCMソングだった。
注:2010.12.2 ヤマダ電機が、首都圏の店で三菱自動車の電気自動車の販売を開始した
写真上段左:そごうのCMソングだった「有楽町で逢いましょう」の碑
写真上段右:コンビにでは、電気自動車の充電サービスが始まっている
写真中段:12月に閉店する西部有楽町店 その後に家電量販店が入るという
写真下段左:三菱自動車の電気自動車パンフレット
写真下段右:ビッグカメラ有楽町店 昨日一日の展示イベントがあった。今は通常の売り場になっていた。

日本外交:APECで見た「味方は米国だけ」か







本来のAPECより、日中、日ロ首脳会談が注目された格好であるが、両首脳の顔を見るとその置かれている立場は一目瞭然だ。中国は予想されたとおり厳しい。笑顔は腰砕けと思われるらしい。ロシアは、口をへの字にした薄ら笑顔は、北方領土訪問が確信犯であることを表している。

一方、米国のオバマ大統領とは満面の笑みだ。それだけ見ても日本外交は、米国頼みでなければダメなことが分かる。

しかし、残念なことに、そのオバマ大統領も中間選挙で厳しい立場に立っている。改革→希望→失望→不満へのプロセスは、日本の民主党政権とも共通事項だ。

中ロの日本の領土問題への共同歩調は、中国主導であったが、米中関係、ひいては日米関係のギクシャクの隙間を着いた卑劣な無法行為だ。

尖閣諸島での中国船の領海侵犯、今回の衝突事件では、中国の主権拡大に危惧する米国が、「日米安保は尖閣諸島にも適応」というメッセージ送ってくれ、サポートされた格好になった。弱腰外交しかできない菅政権に撮っては助け船だ。APECで礼を言ったそうだ。

しかし、その米国とは普天間移設問題での日米合意を推進できるかどうかで揺れている。時8民党政権が長年にわたり築いてきた日米合意を、日米対等外交、県外・国外移設をうたって登場した鳩山政権により二転三転する結果になり、最後は落ち着くところに落ち着いたが、実施となると沖縄県民の抵抗に遭い、民主党政権を揺るがすことになる可能性がある。

民主党は政権与党にありながら、沖縄県知事選に候補者或いは推薦者を出せない事態に至っている。

それにしてもトホホな民主党政権だ。

老練な国会議員であっても、今まで政権の一翼を担った経験もなく、おまけに政治主導で官僚の判断、アドバイスを聞かない(?)仙石官房長官に頼る危険を、中国漁船衝突事件の処理に見ることが出来る。

捜査機関が起訴という間違った判断を下せば、民主政権はもう持たない。市民団体が「起訴処分」に対して、検察審査会に告発すべきである。
写真:APECでの首脳会談のニュースを流すフジテレビ・スーパーニュースより 2010.11.13

2010年11月13日土曜日

中国に強いメッセージを送るために


中国の国家主権に係わる強硬な政策に南シナ海では隣国と摩擦を起こしているし、東シナ海では尖閣諸島で領有権と海底天然資源を巡り、民主政権を揺るがす問題に発展している。

日本は、東南アジア諸国と協調して対中政策に当たらなければ為らないところであるが、一国だけ中国に対しては腰砕けの状態だ。

ここに来て、米国は中国牽制の意味から、インド、インドネシア、韓国そして日本と協調関係を築こうとしている。勿論、普天間問題で拗れている日米同盟の修復は緊急の課題であるが、県外移設がほとんど無理な状況では展望も開けない。

取りあえずやらなければならないことは、今回の中国漁船衝突事件で中国に強いメーセージを送ることだ。

それには、まず衝突事件のビデオを全公開すべきである。いろんな情報の中で、「ビデオは公開しない」という密約が中国と出来ているのではないかという疑念がある。隣国の不利な情報を公開しないと言うこと自体、腰砕け外交、属国外交である。

そして、流出実行者である保安官は、不起訴処分にすべきである。そもそもこのビデオは
「国に重大な害を及ぼす」資料ではなく、逆に有益な資料である。非公開こそ、国に重大な害を及ぼすと考えるべきである。

更に、政治的落としどころとして、仙石官房長官の更迭だ。

事件を省みると、その混乱の原因は、「粛々と国内法で処置する」と言った口の渇かぬうちに、「今後の日米関係を考慮」して処分保留のまま、船長を釈放したことだ。ビデオを見ると、船長や漁船員の不貞不貞しい態度、海保の艦船に体当たりし多幸道は普通の漁船とは思えない。早くから工作船ではないかと思っていたが、その調査結果も明らかにされていない。

APECを控えて中国の参加は欠かせないことから、政権が弱腰になっていることは明らかだ。中国の自分勝手の横暴な行為を抑制さすためにも同盟に取り込んでおくことは大切だが、国の主権まで手放してはダメだ。

責任問題として、海上保安庁長官は当然としても、国土交通相仁摩で責任が波及することを回避しようと仙石さんは「政治職と執行職では責任の取り方が違う」とでも言いたいのだろうが、今回の事件の処理に対しての混乱の原因は、官房長官の判断ミスにある。

国会であらゆる手段を使っても、更迭に持っていくべきだ。これなくして中国への強いメッセージは送れない。「恫喝すれば折れる政権」であるレッテルを剥がさなければならない。
写真:海保の艦艇に衝突を繰り返す中国漁船 2010.11.13 日本テレビ ウェークより

2010年11月12日金曜日

尖閣ビデオ流出事件:検察・警察の筋道と政治的落としどころ

またもや検察・警察、海保など捜査機関からにリーク情報で今回の尖閣ビデオ流出事件の内容を知ることになった。検察・警察の描く道筋と政府が取ろうとする落とし処が何処にあるのか。

解明が困難と言われていた証拠固めからの実行者の割り出しも、実行者の「私がやりました」の告白で早まったが、流出意図や流出経緯がはっきりさせることがまだ出来ないために逮捕に至っていないらしいが、中国政府が「これ以上日中関係を荒立たせたくはない」という意向に配慮して、APEC終了までは何の変化もないのか。

一方、証拠固めから実行者を割り出す方法は、時間がかかるが特定できないこともある。USBメモリーは「神戸市内で壊して棄てた」と供述している。

実行者が告白したことで、かえって難しい局面になってきたのではなかろうか。

毎日繰り出される情報を見るにつけ捜査機関からのリーク情報には、世論操作危険が指摘されている。

政治資金規正法違反事件では、小沢=悪者の構図ができあがったと批判が集中した。ところが大阪地検特捜部のFD捏造事件では、検察のリーク情報で前田、その上司=悪者ができあがったが、誰も批判はしなかった。検察内部の問題だから放っておけということか。

ところが、今回の流出事件では、実行した保安官=悪者と、=正義の味方の両論が出てきて、正義の味方説が圧倒的に大きい。ビデオ流出によって、「良くやった」と評価されているのだろう。

小沢さんは「不正はやっていない」と主張したが、今回の保安官も「犯罪意識はない」と言っているようだ。あの時、小沢さんを擁護したジャーナリストも今回は実行者の保安官を擁護することはなく、「流出させたことに責任がある」という。

一体何処に落ち着くのだろうか。政府は、国家公務員法守秘義務違反で起訴されることを望んでいるのだろう。「ケジメのついたしかるべき処分をしてもらいたい」と官房長官は言う。

この問題は、行き着く処は「公開が国益に沿うものなのか、非公開が国益に叶うものなのか」に尽きる。

政府は非公開の姿勢を取ったが、前原さんは「一目瞭然」とコメントしたし、限定公開でも見た議員が模型を使って説明していた。やっぱり中国側は間違っている。今回の公開で日本側の正しさが確認できた。非公開にするメリットは何処にもない。

責任の取り方を質問された仙石さんは「政治職と執行職では当然違う」と、今まで聞いたことのない論法で閣僚の責任を早々と否定した。

撮った映像の管理責任は海上保安庁が負わなければならないが、中国人船長の処分保留のままでの釈放から始まる今回の処理をめぐってのゴタゴタの責任は政府にある。

国会は官房長官を参考人招致し、ことの処理が正しかったかどうかの検証をするべきである。そして仙石官房長官を辞任させるべきである。

折しも、余り好きではない民主党参議員会長の輿石さんも「一般公開すべきだ」と言う。小沢さんが何日か前に「政治家が責任を取らなければならない」と発言していたが、この件では小沢系議員の方が民意に沿っていそうだ。

相変わらず中国の考えは理解できない。APECでの日中首脳会談を念頭においてか、「条件を整えるのは日本側にある」とか、船主が中国人である貨物船が西表島沖で行くへ不明になり、海保が中国人船員4人を救助したことで、「この件を高度に重視している」とのコメントが報道された。

海保の船艇に衝突事件を起こしたり、その海保に海難事故で救助されたり、中国は自分のやっていることが恥ずかしくないのか。

APEC出の首脳会談の有無は偏に中国側の誠意にある。議長国だからと言って成功裏に終わらせるためにひれ伏すことがあってはならない。中国が会談をやりたいと言えば、応ずればよい。そして「固有の領土である」ことを強調すればいい。ひれ伏すこと自体が、国益を害するのだ。海上保安官は、体を張って領土を守っていることを、この映像から知るべきだ。

2010年11月9日火曜日

厳戒態勢のAPEC会場を行く











APEC閣僚会議、首脳会議を控えて警備体制が強化された横浜・みなとみらい地区を8日訪れた。JR桜木町で降りると警備の警察官の姿が増えた。至る所に配備されている。

駅構内のロッカーは、すべてカギが抜かれて封鎖されている。ゴミ箱もかたずけられている。いつもの警備状況だ。

大きなカメラを持っていると職質にかかるので、今日はソニーのブロギーにした。あちこちの柱にAPEC2010とあわせてクリスマスの幕やポスターが張られている。

ショッピング街を歩くが、平日でも訪れる人は少ないようだ。店内にはお客がいない。控えているようだ。

警察官と警備員の数が増えてきた。これより先は「認証カード」が必要だという。女性スタッフが通行人をチェックしている。ここにも大きなクリスマスツリーが飾られている。この建物の外は警官の警備が厳しい。

車の検問も至る所で実施されている。この付近の人は、カードを持参しているが、それでも免許証の提示、トランクの中のチェックをかかさない。通過する車輌のナンバーもチェックされている。

場所によっては車の下を自動的にチェックするカメラが路上に設置され、低速で車が通過している。今までは一台一台、ミラーでチェックしていたことを考えると格段の進歩だ。

付近の人の生活、企業の活動にも影響が出ているようだ。病院前のバス乗り場は閉鎖され、バスは迂回路を通っている。バスの運転席などに迂回と表示されている。

警備ゾーン毎に各県警が分担しているようだ。北海道警察から長崎県警まで全国から動員されている。若い女性が「あら 高知県警」と笑っていたが、「竜馬が行く」で親近感を持ったのか。

場所によっては「今日は」と声をかけられる。挨拶とも受け止められるが、返事で悪者かどうか確認しているのかも知れない。「ご苦労様です」と言い返した。

海からの警備も厳しい。海上保安庁のゴムボートが通じる水路口で背馳されているし、高性能の模型ボートも活躍している。何処で操縦しているのか分からない。

山下公園に向かうと、車の検問も多くなってきた。昼時だったので、普段は女性が弁当を食べる姿があちこちで見られるが、今日は少ない。やはり外出を避けているのか。

横浜港は開港151年、ホテル・ニューグランドの玄関のアーケードに表示されている。このホテルは歴史的にも由緒あるホテルで、新館建設も本館として保存し、今も結婚式などで使われている。

移民船として活躍した氷川丸も生誕80年という。APEC会場近くに係留されている「日本丸」のマストに「傘寿」と書いた幕が張られていた。80歳のお祝いのことだが、氷川丸のことを言っていたのか。

遊覧船乗り場も桟橋まで警官で警備されている。男性を車椅子に乗せた年輩の夫婦が通ると、若い警察官が「今日は」と笑顔で挨拶したら、老夫婦も笑顔で会釈していた。女性が「アラ、カモメが沢山日向ぼっこしていますよ」と言うので振り向いたら、氷川丸を係留するチェーンにカモメが行儀良く2列に並んでとまっていた。

大正12年9月1日正午前、東京帝国大学地質学教室の地震計が大きく揺れM7.9の関東大震災が発生したとき、この惨事を世界に第一信したのがここ横浜港沖に停泊中のコレヤ丸だったと言われている。

「横浜地震後火災岸壁に近づく」、その後「正午横浜大地震、大火災死者多し」と打たれたという。

さて、横浜で開催のAPECでは、「自由で開かれた貿易、投資の達成」に向けて、どんなプレゼントをアジア太平洋自由貿易経済圏にもたらすのだろうか。

国会では、「平成の開国」と言われるTPPで大もめであるが、対中、対露首脳会談の行方だけに注目したくない。
写真上段左:会場に近い建物では「これより先、認証カード」必要という
写真上段右:今年4月が生誕80年になる氷川丸
写真中段:館内に飾られたクリスマスツリー 
写真下段:ゾウの鼻より会場 みなとみらいを遠望

尖閣ビデオ:機密資料か、ただの記録映像か


国民の80%は「公開」すべきとしている尖閣ビデオは政府の言う機密資料なのか。「国民の知る権利」とは裏腹に、ついに海上保安庁は被疑者不詳のまま国家公務員法(守秘義務)違反で刑事告発した。

対中外交を考えると、隣国が嫌がるjことは出来るだけ避け、友好関係を保とうとすれば、日本には有利であっても、中国に不利な資料は隠したいと思う。そう思えば機密資料である。

一方、中国漁船船長を起訴して公判に臨むのであれば機密資料にも為るが、処分保留のまま釈放し二度と起訴の機会がなくなったのであれば、このビデオの映像はただの記録映像である。

更に新聞報道によれば、石垣海保では、当初説明用内部資料として編集、多数の人がアクセス出来る状態に会ったのであれば、機密資料とは考えにくい。

一体、政府のいう機密資料なのか、「国民の知る権利」から考えても機密資料として非公開が国益に叶っているのか。


写真:ネット流出の映像を検証する読売新聞 2010.11.6

尾身出すのは、1971年の沖縄返還協定おいて、毎日新聞の西山記者が国家公務員法違反に問われた外務省機密漏洩事件だ。この事件で裁判所が「国家機密」をどう判断したかを調べてみたが、この裁判では機密保持には直接言及せず、20年の除斥期間及び機密文書を入手したその行為が判断され、機密文書については避けた判断を下している。

そこで「公務員法」(法律学全集 鵜飼 有斐閣 昭和38年)を開いてみた。

法第100条で「職務上知ることの出来た秘密を漏らしてはならない義務を負っている」としながら、「職務上の秘密」とは特に規定されていないが上司が秘密とする事項や「秘」の印のあるモノと解説している。

しかし、絶対的なモノであっては為らず、公表の要求があった場合は、「国の重大な利益を害する場合」を除き公表、公開しなければならないというのが法の精神である。

そこでこの尖閣ビデオはどういう管理をされていたのか。

2010年11月7日日曜日

菅総理はAPEC後、速やかに記者会見を


菅総理は、APEC閉会後速やかに記者会見を開き、内外政ともに難しい局面にどう取り組もうとしているのか国民に説明すべきである。国会は勿論のこと、民主党内でも菅政権のやり方に批判が続出し、そのマニフェストの整合性も危なくなってきた。

尖閣ビデオ流出事件は、民主党政権に「NO」を突きつける格好になった。守秘義務に違反した犯人探しよりも、対中戦略の検証が重要だ。

仙石官房長官の定例会見だけで対応するには、余りにも国民を軽視している。攻撃には強いが、守勢には弱いと言われている菅総理であるが、どう考えているのか聞いてみたい

雇用、景気対策と補正予算、APECとTPP、対中戦略と尖閣ビデオ流出事件、領土問題、「政治とカネ」での小沢氏国会招致など重要課題が山積している。おまけにマニフェストの整合性に係わる問題も出てきた。

更には、今後の政局運営に当たり、どういう勝算があるのか。何の展望もなく行き当たりばったりでやっているわけではないだろう。

内閣支持率に拘るのも問題であるが、このまま行けば支持率は最悪になるだろう。今までもメデイアに相当こき下ろされていたが、求心力がなくなったとメデイアが騒げば、外国政府はどう考えるだろうか。

民主党政権の行き詰まりは早ければ12月、遅くても来年3月頃と見られている。春の統一地方選が惨敗なら民主党政権は持たない。

重要な節目だ。記者会見でしっかりした姿勢を見せるべきだ。


写真:どういう舵取りをするのか菅官邸

2010年11月5日金曜日

尖閣ビデオネット流出(2):国益を考え民主党政権に「NO」か




流出ビデオは、本物の可能性が強くなった。政府、国土交通省、海上保安庁は「本物かどうか」、流出に至った経緯を調査するという。sengoku38と命名された仙石官房長官の顔は冴えない。

映像を見ると、この漁船は網を揚げているシーンもあるが魚を捕ることに専念した様子はなく、おまけに普通の漁船で体当たりすることなど考えられず、特殊な任務を帯びた工作船のようにも思える。

「本物なら政府の責任は重大だ」と記者会見でコメントした。影の総理とまで揶揄された仙石さんだ。「公開すればAPECがダメになる」とビデオの公開を拒んだことも予算委員会で丸山議員に曝露された。

鳩山政権での普天間移設問題での右往左往は日米関係をギクシャクさせ、それが今回の中国の漁船の領海侵犯・衝突事件、中国の恫喝に恐れを成した曖昧な処理、更には中国と結託したロシア大統領の北方領土視察へと日本の「国益」を害する外交が連続して起きた。

今は「政治とカネ」の問題で強制起訴され、国会での喚問を拒否している小沢さんが民主党の代表で、自民党の福田政権と大連立構想を企んで失敗したとき、「民主党はまだ政権を担う能力はない」と発言したことがある。

この時すでに民主党では政権交代の機運が高まっていたときであるが、小沢さんは政権交代を危惧していたことになる。

そして、政権交代後の鳩山政権、菅政権を見ると、小沢さんの心配が現実になったことを痛感する。

難しい外交を強いられているが、「国益」を守ることを最優先に対応をしていかなければならない。そう言う意味では、今回の尖閣ビデオ流出事件は民主党に「NO」を突きつけたことになる。

菅総理は、正式な記者会見で速やかに対応を国民に説明すべきである。
写真左:まず調査をするという国土交通省、海上保安庁
写真右:民主党本部 本当に政権担当能力がある政党なのか

尖閣ビデオネット流出:「あってはならないこと」か、国益か


尖閣諸島での中国漁船の衝突事件のビデオがネットに流出したことは、海上保安庁職員の正義感に拍手し、菅政権の国民に目を背け、中国に媚びた姿勢が批判されるのは当然で信頼を更に失うだろう。

政府高官は「あってはならぬこと」と実体の調査をすると言うが、国益を考えると事件直後に公開すべきであって、攻められるべきは菅政権である。

中国人船長を公務執行妨害で逮捕し公判維持のためにビデオ公開を封じたのであれば、処分保留のまま釈放された後で、公開すべきであった。

そもそもきちんと公開していれば、これ程中国の無謀な恫喝にひれ伏すこともなく、日本国内は勿論のこと世界に向かって真実を示したことになる。

菅政権は「開かれた政治」、「分かる政治」を標榜していたが、これでは国民の信頼を完全に裏切ることになる。自民党は公開すべきだと主張しているが、実際の座に着いていれば、また違った結論を出している可能性はあっただろうが、今のところ自民党など野党の主張が正論である。

公務員は、かってに情報を公開することは秘密漏洩などで罪に問われることになるが、ここは国益を守ることとの比較の問題だ。

海上保安庁の職員には、世間を騒がせようと言うよりも、今回の政府の事件の処理に関して忸怩たる思いが強かったのではないだろうか。一抹の正義がまだ残っていると考えるべきではないか。

政府は、もっと国民に目を向け、「国益を守るにはどうすべきか」を考えるべきだ。

写真:尖閣ビデオ流出映像を報道するテレビニュース。2010.11.5
仙石さんは実際に見た映像と違う感じもするとコメント。国土交通相、海上保安庁長官は調査するという。

2010年11月4日木曜日

日米両民主党政権:希望から不安へ、そして不満へ


米・中間選挙は、民主党が上院でやっと過半数を維持したモノの、下院では過半数を大きく下回り、オバマ民主党は大敗した。4日の新聞は、トップ面を含め4面を中間選挙の報道に費やした。さながら国内の総選挙のようだ。

米国の選挙は世界の政治経済に大きく影響を及ぼすが、私達には選挙権がない。じれったさを感じながら見るしかなかった。

日米両民主党政権は、国民に大きな希望を持たせたが、思うような生活改善は出来ない不安が不満へとなり、日本の民主党政権は「総理の指導力の無さ」、「政治とカネ」の問題があったにせよ、内閣支持率が下落する一方であり、米国のオバマ民主党政権も、若者の無党派層が離れていった。「何もやっていない」というのだ。

その一番の要因は雇用が改善しないことだ。オバマ大統領は、景気刺激策として64兆円を投じて、グリーン・ニューデイール政策を打って出たが、雇用は生まれず、壮大な無駄使いと批判された。

菅さんは先の民主党代表選で「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と政策を訴えたが、雇用は改善していない。逆に生活保護世帯は、7月で139万世帯になり過去最高だという。高齢者、母子家庭、障害者は当然としても、職のない世帯が増えているらしい。

企業の業績は改善しているにも係わらず、雇用が創出されていない。従来と構造が変わってきているのだろう。

雇用が増えているのは製造ラインの一部だろう。大企業と共に中小企業も海外へ工場を移しており、中国や東南アジアで雇用が創出されているだけだ。米国で輸入が増えても中国や東南アジアで雇用が増えるだけのことだ。国内の労働力を活用することにはならないのだ。

財政再建が急務の経済状況の中での、景気対策は誰がやっても難しい。オバマさんも、菅さんも大変な時期に政権を担うことになった。国民の支持が一番の拠り所であるが、成果として生活の改善が見られないのだから、希望から不安へ、そして不満を増殖することになった。

オバマ政権の「大きな政府」政策に「もっと税金を払うのは御免だ」と「小さな政府」を目指す「テイーパーテイー」運動がオバマ政権に立ちはだかった。保守層の目覚めだと言うが、若者達の無党派層はこの運動にも共感は出来ないと言う。

「一つのアメリカ」という考えが崩れ、分裂したかに思えるが、議会は共和党、大統領は民主党と考え協力して欲しいというのがアメリカ人の考えだろう。

我が国だって、議会は「ねじれ国会」だ。菅さんは「熟議の国会」とか表現しているが、野党もそれなりの責任を負うことになる。「成熟した国会審議」をして欲しいモノだ。

今回の米・中間選挙での結果、オバマ政策はどう変わるのか。

アメリカ製品の輸出振興になるとドル安が続くだろう。円高の傾向は今後も続くのではないか。在日米軍はどうなるか。普天間移設問題で、日米関係はギクシャクし、それが中国、ロシアとの領土問題へ波及しているという。対中、対露戦略はまず日米関係の修復にあるのだ。しかし、沖縄の状況を考えると普天間移設問題はますます厳しい状況だ。民主党は沖縄県知事選に候補者を立てることが出来ないらしい。

対中国では、今まで協調路線のようだったが、尖閣問題で「尖閣は安保の対象」と日本よりの発言になってきた。ASEANに見られるように中国の自己中心的な経済政策に米国も警戒を強めなければならない。人民元の切り上げも思うような成果にはなっていないようだ。

オバマ政権の政策は、即私達の生活に影響する。1日も早く信頼を取り戻して欲しいモノだ。
写真:米・中間選挙結果を報じる読売新聞 4面を使っての報道は、さながら総選挙のようだ 2010.11.4

2010年11月3日水曜日

対中、対露戦略:APECか国益か


東シナ海での中国の漁船監視船による尖閣諸島での領海侵犯・公務執行妨害事犯、そして露大統領の北方領土国後島訪問など領土問題にからむ中国、ロシアの行為は国民の感情を逆撫でするようなモノだ。

更に、それへの菅政権の対応が弱腰外交に見えて政権支持率を大きく下落させる要因になった。

前原外務大臣は一貫して「尖閣諸島に領土問題は存在しない」と主張し、今回の露大統領の北方領土訪問に対しては駐ロ大使を一時帰国させる対抗手段に出た。

しかし、菅総理は冷静な対応を主張、APECでの首脳会談で、「遺憾の意」を表明したいと考えているというが、その首脳会談の実現も不透明らしい。

一連の中国、ロシアのごり押し外交も日本で開催され菅総理が議長で、達成評価報告をする横浜でのAPECの開催を考えると胡国家主席、メドベージェフ露大統領の出席は欠かせないし、対応にも苦慮するところだ。

APECか国益か。「自由貿易の推進」も世界経済を考えると重要な課題であるが、領土問題は死守しなければならない国益だ。尖閣は資源問題も絡んで中国は強行な姿勢を取っているが、竹島の二の舞は避けなければならない。

それにしても、アジアでの各種首脳会議が相次ぎ、その度に中国との関係が取りざたされた。

東南アジアの経済は中国なしでは成長できなくなっているが、自己中心的な経済政策を採る中国のやり方は、利益を中国に持って行かれるというチャイナ・リスクが危険視されている。

東アジア首脳会議(EAS)は東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に日本、中国、韓国など16カ国が参加し、30日にハノイで開かれた。中国の異常なまでの拡大行動を抑制しようという狙いもあるが、ASEANだけでは中国に対抗するのに限界があると考え、来年からはアメリカ、ロシアが加わるという。

当初は経済連携での枠組みだったが、中国の軍事拡張を押さえ込もうとするモノへ変質していった。

ところが、アジア太平洋経済協力会議(APEC)には、広大なアジア太平洋地域全体を自由貿易地域にするFTAAP構想を進める計画がある。これは「自由で開かれた貿易及び投資」を達成しようというモノだ。

今回のAPECでは、日本が議長になって、達成評価報告書を作成し、最終承認を求めることになっている。

今話題になっている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)もアジア太平洋で貿易、投資を自由化使用という経済連携であるが、我が国では農業政策も絡めて賛否両論だ。これもFTAAPにつなげようとされている。

兎に角、地域の経済統合は急速に進められようとしている。菅総理もこういった経済の枠組みの中で、安全保障にも取り組もうとしているという見方がある。

横浜でのAPECの意義は重要であることは理解できるが、中国、ロシアの参加も不可欠だろう。だからといって、国益を害することはできない。

ひれ伏して中国国家主席、露大統領に当たるよりも、毅然として国家の品格を保つべきだ。日本の総理は「遺憾の意」を表明すればいいのだ。断固とした強い姿勢を取ることが国益を守ることになるのだ。

APEC開催が成功か、失敗かは参加国の対応次第だ。
写真:釈放でも強硬 対中国政策・・問われる政府より 2010.9.27テレビ報道より

2010年11月2日火曜日

尖閣ビデオ限定公開:見透かされた民主党政権の弱腰外交


中国漁船の領海侵犯、公務執行妨害事件は、何故記録映像の公開をしなかったのか。横浜で開催予定のAPEC首脳会議への影響を危惧した仙石官房長官が船長の早期釈放を強要したのだろうが、「国内法で粛々と処理する」と言いながらながらの弱腰外交は、その後の国益に反する事態を招いた。

中国と協同歩調を取るロシアも、ついに北方領土の訪問を強行した。抗議をしたが、純粋な国内問題だという。

国会でも民主党政権の外交が問題になったが、質問する側も、答弁する菅総理も国民の感情に反して冷静な対応だった。

尖閣ビデオの限定公開を見た自民党の武部さんが、予算委員会で「世界にアピールするためにも公開すべきだ」と迫っていたが、委員会内では笑い声も聞こえ、武部さんが、「笑っているときではない」と叱責するほどの体たらくだった。

こんな調子では、中国、ロシアから国益を害する無謀な行為を受けても仕方ないことだ。

ここに来てギクシャクしていた日米関係であったが、米国が「尖閣諸島は日米安全保障の範囲に入る」と明言し日本にとっては助け船になっているが、アメリカの態度が鮮明になってきたのは米中関係が影響しているのは誰が見ても明らかだ。

恫喝に屈する弱腰外交を「柳腰外交」などと言っていては、仙石頼りも危険だ。

何故、即座にビデオを公開しなかったのか。以前に参考になる事例があるではないか。

小泉内閣の時、領海侵犯している北朝鮮の漁船(?)を発見し、海上保安庁の艦船が追跡、撃ち合いになった後、疑惑漁船が沈没する事件があった。漁船との銃撃戦の映像が流され、暗闇の海に大きな袋が放り投げられる映像が映っていた。どうも麻薬の密輸入の疑いが出てきた。

この時、沈没した漁船を引上げるかどうかで議論になったとき、小泉さんは引き上げを指示した。北朝鮮との関係を危惧する意見もあったようだが、一つの決断だった。北朝鮮は何ら日本を誹謗中傷するコメントを発することは出来なかった。映像で何も言えなかったのだ。
今回も即座に公開していれば、日本の正当性が示され、その後の理不尽な中国の恫喝にも会わなくて済んだはずだ。

確かに中国の成長は目覚ましい処があるが、APECに中国の胡国家主席が出席しなかったところで、何ら日本の失点ではない。正しい情報を流していれば今のような状況にはなっていなかったはずだ。

国益を守れない政権に、政治を託すわけにはいかない。仙石さんも「影の総理」としていろいろ言われているが、小沢さんが要職にいた時の「反小沢」の急先鋒として存在価値はあったが、政権内での存在には疑問を感じる。

今回の那覇地検の処置に対して、告発文が提出されたという。当然のことであるが、船長は放免されてしまった後だが、検察審査会の中で、未だ公開されていない情報もでてくるだろう。特に検察が不起訴処分にした背景、最高検都のやりとり、更には政府高官とのやりとりも明らかになるだろう。

指揮権発動に準ずるような背景があったかも知れない。ここはしっかり解明して欲しいモノだ。

菅内閣の支持率は最近40%になったという世論調査が発表されたが、更に落ちるだろう。

政権にあっては、内政で点を取れないときは、外交で点数を稼ぐのが常套手段だ。中国、ロシアは外交で点数稼ぎをしているが、菅内閣は外交で点数を失っている。

菅総理は一度、正式に記者会見でしっかり国民に説明すべきである。もう「もう、ア菅」では済まされない。
写真:日中韓首脳会談を前に、韓国大統領が菅総理、温首相を握手させようと努力している。 2010.10.30 朝日新聞より

2010年11月1日月曜日

小沢氏国会招致:自分で決めるのか、民主党分裂か


「政治とカネ」の問題で国会招致への意向を幹事長が確認しようと「会たい」とメッセージを送っても、小沢さんは「会う立場にない」と一兵卒を貫いているのか。

自民党は、補正予算審議を強行する民主党に対して「政治とカネ」の問題をないがしろにしていると反発し、審議入りに協力しないらしい。

「国民のため」の政治を両党共に標榜しながら、補正予算と「政治とカネ」のどちらを優先しようとしているのか。今の政局で取引に使うカードではないだろう。

小沢さんにとって、政治資金の4億円の出所、解党時の政党交付金残金の処理について聞かれるのを回避しようとしているのだろう。手続きについて高裁で即時抗告を却下されると最高裁に特別抗告した。もし、裁判になっても審議入りを回避するために手続き上の瑕疵を争点にするだろう。

小沢さんは、大事な局面になると実力者にあるまじき態度に出る。今回も幹事長との会談拒否の態度だ。子供っぽくて呆れかえる。

大方の見方は、国会の混乱を避けるために離党するだろうと見られている。幹事長と会わないと言うことは、誰からも指図されたくない。自分で決めると言うことなのか。

一方離党しなければ、民主党は崩れ分裂の危険がある。分裂しても小沢系グループが存在する以上は政党助成金を手に入れることは出来る。小沢さんにとって離党して一人になり政党助成金が入らないより、分裂しても金は入る方が得策だ。鳩山さんの動きも気になる。一緒になることも考えられる。

小沢さんは、今の民主党政権を歯がゆく思っているだろう。鳩山、菅と繰り出す総理は頼りない。最近の世論調査でも菅内閣の支持率は40%に下落し、不支持率が上回った。要因の一つには小沢さんの絡む「政治とカネ」の問題があるのだが。

菅さんも離党してくれた方が良いに決まっているが、どうして自分から説得にかからないのか。そこが指導力がないと言われる所以だ。思い出すのは小泉さんだ。高齢の中曽根、宮沢さんを公認しない説得に自ら当たった。

「数とカネ」にモノを言わせての強引な小沢政治も離党で終焉するが、分裂では最後のあがきになる。小沢、鳩山に何人ついて行くかだ。

民主党は分裂し、いろんなグループが混在する党内を整合性して国民に民主党の本当の姿を示さなければならない。それにより何が出来るか、国民は考えることが出来るのだ。
写真:小沢氏の国会招致で本人の意向が確認できず、混乱する民主党。

特別会計は「すき焼き」ではなかったのか


自民党時代に財務相だった塩川さんが、一般会計を「お粥」、特別会計を「すき焼き」と表現した。熱の冷めつつある事業仕分け第3弾が始まったが、埋蔵借金が出てきて、「すき焼き」どころではなくなった。以前、幹事長代理だった細野さんがテレビのキャスターの事業仕分けへの期待発言に対して「借金もある」と発言していたのを思い出す。

塩川さんは、「母家で親は「お粥」を啜っているのに、離れでは子供が「すき焼き」を食っている」と一般会計は国会で審議され厳しい財政になっているが、特別会計は誰のチェックも受けず、官僚の都合の良い財布になっていることを指摘したのだ。

一般会計は92兆円に対して、国会の審議を受けない特別会計は176兆円、何かあるだろうと疑いたくなるのは当然だ。

民主党は先の政権交代を目指した衆院選のマニフェストで、一般会計、特別会計あわせた総額207兆円の国家予算を全面組み替えで、新たな財源16.8兆円を生み出すと街宣車の上で鳩山さんは強調していた。

特別会計をゼロベースで見直すというのだ。

ところが、ムダ、埋蔵金は思うように見つからない。民主党議員は4年間での約束事だと言い出した。第3弾に至っては借金が明らかになってきた。特別会計の事業を一般会計化すると借金まで負うことになり、国民の負担が増えるというのだ。

事業廃止もあるが、見直し、予算圧縮評決も多い。借金は33兆円(?)程あるらしい。「すき焼き」ではなく、「肉じゃが」程度だ。それでも贅沢だ。

今回の第3弾では「削減の目標値は設定しない」と早々と予防線を張っていたが、仕分け議員などは期待できないことがすでに分かっていたのだ。パフォーマンスと批判されても仕方ない。

事業仕分けのあり方にも問題がある。

以前「廃止」評決されていた事業が姿を変えて継続しているらしい。当時も「政治判断」と言われていたが、第3弾後半では「再仕分け」が予定されている。是非聞いてみたい。

自民党でも、事業仕分けの検証のためのプロジェクトチームを発足させるらしい。
特別会計の見直しは、法改正が必要になるモノもある。野党の協力がなければ難しくなる。そのためにも事業仕分けは与野党合同でやるべきなのだが。

事業仕分けは、蓮舫さんが衆院選東京地方区で170万票を獲得するほど事業仕分け=蓮舫だったが、今後はそうはいかないだろう。

特別会計は、民主党が言うほど酷い内容ではなかった。逆に特別会計に係わる法案審議では民主党も賛成したのであれば、民主党にも責任はある。

今までは「反自民」、自民党政権のやったことと高をくくっていても、今後は民主党政権の政策を事業仕分けすることになる。すでに年金特会では長妻さんがやっていた政策が見直し評決を受けた。長妻さんは、「一円たりともムダがなかったとはいわない」と弁解していたが、難しい展開になるだろう。

しかし、政権交代の主要な政策で国民の期待に応えられなかった点で、民主党は一度国民に謝罪すべきである。
写真:事業仕分け第3弾 ワーキンググループB 2010.10.28